東日本大震災の被災地炊き出しシェフの活躍・ ロレオール伊藤シェフからの報告 まだまだ被災地の食状況はよくなっていない。

2011年5月21日 from 東日本大震災

ロレオール伊藤さんからの通信を公開します。徐々に変容してきている現地の状況が生で伝わってきます。避難所から仮設住宅に移動する人たちが増えてきている一方で、仮設住宅に入ると被災者と認定されなくなるため、その人達の食環境が悪くなることが懸念されています。これは法律の問題。現状では、ポルコロッソやロレオールがやっている、民間レベルの炊きだし・配食・出張料理支援が頑張るしかない状況。

だから僕らも出来る範囲での支援を続けます。

伊藤さんより、報告。

やまけん様、遅くなりました。報告です。

5月9日(月) 前沢10:00発12:00~14:00 大船渡

行き先避難所大船渡 リアスホール (ポルコロッソ山崎シェフのところ)

炊き出し無し 支援物資の運搬のみ カレーうどん・そば用 南蛮カレー1800食分

人員 伊藤のみ

この日は仕込み時間にタイミング合わず、支援物資運搬のみ。避難所の人数については変動があるが、現状はまだまだ大変な状況である。

ポルコ・山崎シェフと話をしました。これから、大船渡を元気にするための様々な考えがあるようです。漁業・農業・林業については現場の方々からいろいろと聞き取りをしているようです。大部分の機能を失った被災地を以前より住みやすい、生活しやすい町にしたいと言ってました。これからでてくる問題点のひとつですが仮設住宅のこと、現状の法律上、仮設住宅に入居した場合自立していただくことが基本となるため、行政からの支援物資の供給が止まります。

配食サービス等々を続けて支援していかなければご年配の方々は大変である。まだまだ、たくさんの課題が山積しています。

振興局にて会議の予定があったので帰らなければならず、厨房に挨拶に行ったときに、山崎シェフ「明日の食材、大丈夫だよね?」 と言ってました。まだまだ大変なようです。

 

5月15日(日) 八神純子さんチャリティー ライブ& チャリティー 屋台

10:30~13:20

場所 ロレオール前芝生広場

チャリティー屋台 出店者
アルケッチアーノ MOT & 山形大学の皆さん 山形名物 いも煮 かしわ餅みたらし団子 その他
寿司橡木 握り寿司 サーモン・鯛・まぐろ・ぶり 他
ロレオールほろほろ鳥南部鉄器焼き
前沢牛オガタ 小形牧場牛肉饅 フランクフルト 前沢牛シュウマイ
ドリームキッチン あごづ 前沢牛コロッケ
伊藤酒店飲料
音響協力山形県庄内町

* この日は八神純子さんのチャリティーライブでした。

八神さんの思いと我々の思いがつながりました。内陸のみなさんにもたくさんの義援金の協力をして頂きありがたく思います。ここでは被災地の状況もお話して、これから復興へ向かうときの永い支援・ご協力をお願いしました。

食品MOTファンクラブは大学卒業したばかりの若者で山形大学の皆さんといも煮をつくって頑張っていました。このような形でも我々の支援を後押ししてくれる若者に頼もしさも感じました。

5月15日(日) 14:30 前沢発 16:30~20;00 陸前高田21:30 前沢着

行き先避難所 陸前高田

広田町モビリア夕食200名分(近隣の方含む)

炊き出しメニュー:

前沢牛と野菜のカレー

きゅうりの玉ねぎのマリネゆず風味

ご飯 握り寿司(サーモン・鯛・まぐろ・ぶり)

スタッフ人員:

ロレオール スタッフ伊藤他1名

アルケッチアーノ奧田シェフ 他 3名

肉料理オガタ 熊谷料理長味心(前沢牛オガタ)小形料理長

八神純子さん 妹さん

石黒農場 石黒専務

寿司橡木 ご夫婦他7名

県職員1名

*八神純子さんのチャリティーライブ後に片付けをして、そのまま 夕食の炊き出しに向かいました。この日は前沢牛のカレーが食べたいとのリクエストにこたえて 久しぶりのカレーです。お寿司もついて子供たちも喜んでました。

ライブでは八神さんの歌にみなさん聞き入っていました。後ろの方では同行された妹さんがおばあちゃんの手を しっかりと握り、ずーっと話をきいてあげていました。

本当に頭の下がる思いでした。ここが大事だと思うんです。今回のスタッフの人数としては多いですが、それぞれの役割があって みんな出来ることがあるので、あまり制限せずに同行してもらっています。

自分たちの都合で、ただ炊き出しをして帰るのではなく 皆さんの話を聞いて、出来るところから支援を考えるのが お互いに良いのではないかと思います。

5月16日(月)9:30

前沢発 11:30~15;00 南三陸17:00 前沢着
行き先避難所 南三陸町 歌津デイサービスセンター

昼食200名分

炊き出しメニュー:

ハンバーグ、スクランブルエッグ、カボチャサラダ、リーフサラダ、魚介のスープご飯

スタッフ人員:

ロレオール スタッフ伊藤他 2名
アルケッチアーノ奧田シェフ 他 3名
八神純子さん妹さん 他2名
日本野菜ソムリエ協会他7名

2日続けて八神純子さんのチャリティーライブと炊き出しです。

この日はご年配の方が多かったけれど歌の力はすごいですね。これからも機会があれば歌(音楽)と料理の組み合わせも良いかなと思います。

デザートにシャーベットの提供がありました。気候も暖かくなってきたので人気がありました。考えてみれば流通の問題もあるし、冷蔵設備の面からもアイスクリーム、シャーベットの類はなかなか食べる機会も少ないです。

5月17日(火)
15:30 前沢発 16:30~19;30 陸前高田21:00 前沢着

行き先避難所 陸前高田 下矢作コミュニティーセンター
110名分近隣 避難所分配達90名分
炊き出しメニュー:

サンドウィッチ、鴨肉入り具沢山スープ(ガルヴュー)

人員:

ロレオール 1名

オーボンヴュータン 河田シェフ他 3名

5月18日(水)4:30 前沢発 6:00~8;00 陸前高田9:00 前沢着

行き先避難所 陸前高田 下矢作コミュニティーセンター 110名分近隣 避難所分90名分

炊き出しメニュー:バラエティ豊かなパン数種、ショコラ・シヨウ、オーボンヴュータン自家製ジャム、スクランブルエッグ(野菜とソーセージ入り)、チョコレート

人員:

ロレオール伊藤他 1名

オーボンヴュータン 河田シェフ他 3名

1日目は夕食、2日目は朝食です。 朝食は学校に行く学生と出勤する人たちがいる為、早めの6:30~

河田シェフは前回よりも早い時間の朝食でも快く対応してくださいました 避難所にいる方に聞いたところ 炊き出しも続くと以下のように、いろいろと問題も出てくるようです。

① 単純に言うと「ごちそうも1日3食、毎日のようには食べられない」

一般的には、普段から毎食そのような食事はしていないと思うので、息抜きをする食事も必要です。

② 炊き出しするグループのバッティングがおこり、いざこざの原因になる。

③ 炊き出しする側、受ける側の考え方に違いが出てくる。これは「慣れ」によるものだとは思うが、一方は自分たちの思いを伝えたい、という気持ち、もう一方では、自分たちの生活があるわけで、お互いに相手のことを考えるということが薄れてしまう他にも様々あります。

結論からいうと現地とのやりとりをしっかりしてから炊き出し等を行っていただきたい。中には行政で炊き出しをお断りしているところも出てきています。以上簡単ですが報告です。お忙しいと思いますがよろしくお願いいたします。