2011年5月 9日 from 出張
宮崎牛というブランド自体にはそれほど惹かれない僕は、宮崎に行って牛肉を食べたいと思うことはあんまりないのだけれども、日南の「焼肉の戸村」ともう一点、ここでは肉食いたいと思う店がある。それが「みょうが屋」だ。
「やまけんさん、ほんっとに旨い店です。肉だけじゃないんで、いろいろ楽しめるんで行きましょう!」
と僕を誘ってくれるのは、宮崎の兄弟分であり、日本有数の食品スーパー「フーデリー」専務の宮田たけとらだ。彼が食べ歩きをするときは必ず一緒にいる、畜産の飼料会社を営むカシワダ君も一緒。カシワダ君が餌を供給している畜産農家の肉が結構入っているそうで、それは信頼できるなぁと言う感じだ。
畜産においては、素となる家畜のよしあしも重要だが、半分程度は餌で味が決まってしまう。増体のよい餌、サシが入る餌、臭みの出る餌、脂が堅く/軟らかくなる餌など様々だ。その中でもカシワダ君のところの餌を与えた家畜の肉は、臭みやくどさがなくなり健全な味になると思う。とりあえず彼の餌を使った鶏肉についてはそう思ったので、彼らが足繁く通う店とあらば、それは期待して佳いだろう、と思うわけだ。
正直言ってこの外観からはそんなにすごい店には思え得ないんだけど、、、(笑)コレが実はものすごーいお店なのである。ネットでもいろいろ採り上げられているのでご存じの方も居るかもしれない。
店にはすでにワインを持ち込み開けている二人が。それは、フーデリー宮田タケトラの嫁さんであり商品開発の名人・宮田リエちゃんと、そのワインの師匠であるBMOの山田恭路さん。
僕はご存じの通りワインについてはまーーーーーったくよくわからないというか、あえて掘り下げる努力を怠っている人間なんだけど、でもこの山田さんとの対話では、腑に落ちることが多かった。なにより、ワインは農作業と似ているということがよくわかった(当たり前だけど)のだ。
※ちなみに1月末来店時のものです。
さて突き出しが、ポトフ風の牛肉煮込み。
この時点ですでにめっぽう旨い!この店は牛肉とくに宮崎の黒毛和種をメインに扱う店で、メキキであるマスターが厳選した肉をいろんな形で食べさせてくれる店だ。僕があまり霜降り黒毛が好きでないことを知っているタケトラが、それでもお薦めしてくるだけあって、マスターが選ぶ個体は深みのあるいい香りの肉だ。
「でも、残念だけど今日の肉は鹿児島なんですよ。宮崎はいいのが出てなくてね、、、」
と悔しがっていたが、彼は宮崎牛に深~い愛情を持っているのだ。それもメスの30ヶ月齢以上の、味の乗ったやつなどを指名買いするらしい。こんど、ホントにお薦めの個体が入ったときに行きたいものだ。
とね鶏の砂肝のコンフィ。とね鶏は先のカシワダ氏の餌を食べさせている養鶏農家だ。通常のブロイラーが47日程度での出荷に対して、とね鶏は70日程度。ゆえに味も乗り、砂肝もでかくなって美味しい。コンフィにするとじゃりじゃり感がなくなってクンネリとしたなんとも蠱惑的な食感なのがまた佳い。ただし最近ちょっと餌を変えたという話もあって、ちょっと心配中。味が落ちなければいいが、、、
おっといきなり来たぁ!かなりデインジャラスな見た目のメンチカツですわい。
テレビ向けの、いたずらに「肉汁」となのる脂がドバドバと流出するものではなく、ホロホロに溶け出しそうな温度で味の活性化した肉がミシッと詰まったメンチである。美味しゅうございます!練り辛子で味を引き締めて食べるとなおよろし。
「ほかになにか食べられます?今日は牡蛎とかマーボー豆腐とかできますけど、、、」
うん、どっちもお願いします(笑)
ここが「焼き肉屋」ではないゆえん、、、マスター、東京で修行していたらしいが、なぜか中華もガンガンにいけるのである!
牡蛎のトウチ炒め!
そして、やたらと旨いマーボー豆腐!
花椒をそれほど効かせない、まったりうま味系の麻婆である。迷わず白飯を所望!
いやー 普通ならこの辺で終了しているところだろうけど、そうはいかない。やっぱりアレを食わなきゃ収まらないのだ。そのアレとは、、、
黒毛和牛のヒレカツとブルーチーズを挟んだサンドである!
これはもう、文句なしに美味しい。マスターの選んだ黒毛のヒレの脂は実にたおやかに溶けていく。「まだちょっと早いんだけど」という熟成加減だけど、その熟成香の少なさは、ブルーチーズが補ってくれた。タマラナイね、この組み合わせ。
この春、めでたく農協組織から独立した弟分のヌマグチも大喜びでパクリです。
この後、甘辛くてぱりぱりの手羽先を食べて、、、
最後は焼きそば。
うん、大満足!ってあたりまえか。 この日はどちらかというと肉を食べると言うよりは料理を食べるということに特化した。また今度、マスターお薦めの肉が入ったときにぜひ再訪したいと思う。
ちなみにこの後はお定まりのスナック美和へ突入。宮崎に行ったら必ず向かう、僕の癒しスポットである。
一杯目はほぼ必ず、薬草系リキュール「スーズ」のソーダ割り、レモン添えである。
美和ママは超・料理上手なので腹一杯でも出されたものは食べてしまう、、、
これなんて、マッシュポテトの上にパルミジャーノをぱりぱりに焼いたのを乗せたやつ。小さいキッチンで魔法のような酒のあてを作ってくれる。
野菜系の料理もお上手。この日はなぜか手羽先の煮物まであった、、、
こうして0時が回る、いつもの宮崎パターンなのである。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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