フードアクションニッポン・アワード2010 今年度のグランプリはサンヨーのGOPANであった!

2011年2月 2日 from イベント

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フードアクションニッポンという国民の食料自給率向上運動、覚えてますか?この事業の中で、自給率向上に資する食品や企業活動を評価・顕彰するアワード事業が、「フードアクションニッポンアワード」である。昨年に引き続き、僕は今年度もこのアワード事業の審査員として参加した。

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http://syokuryo.jp/award/

昨年は1000件以上の応募があったということで、分厚いエントリシートが審査委員のものへ届き、ある委員が体重計でその資料の束を計ったら、なんと30kgもあった!ということで騒いでいたのだが、、、

なんと今年は応募総数が2509件!

昨年度でもうかなりいい案件は出尽くしてしまったのではないかと思っていたけれども、そんなことはなかった。自給率向上に資する商品や取組はいろいろと継続され、新規開発されていたのであった!

さてそんな中で上位受賞したはこんな顔ぶれである。

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どうだろうか、いろいろと見覚えのある事例も多いだろうと思う。

実はこれ、昨日が授賞式だった。今回の会場は国際フォーラムのごはんミュージアム。

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撮影:リコーGXR+A12ユニット28mmF2.5 絞り優先モード F5.6 SilkypixPro5にてHDR処理

審査委員長は昨年に引き続き小泉武生先生!一年に一回、ここでお会いするパターンだ(笑)

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沖縄に行くならどこに食べに行く?という話で、イラブー汁の「カナ」ははずせないよね、ということで激しく意見が一致。

さて授賞式である。

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部門を超えた最優秀賞となる大賞にはサンヨーのGOPAN。まあ、順当でしょう。審査委員会の中でも多くの人がこれを大賞に推していた。

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自給率を向上させようと思ったとき、消費者レベルですぐに取り組めることと言えば、米食の割合を多くすることだ。けれども、ずいぶんと外国産麦の低価格戦略によって、この国にはパン食・麺食が浸透してしまっている。それら小麦製品を米粉で置き換えるということがもっと簡単に、そして美味しくできたら、、、というのが、自給率向上を願う人たちの悲願だった。

それを実現したのがGOPANであることは間違いない。この製品のすごいところは、米粉を使用するのではなく、我々が日常的に食べている精米した米を投入し、パンができるというところである。実は米粉を製粉するのは非常に大変で、業務用の微粒粉砕器は一時間に10キロ程度しか製粉できないのに100万円以上してしまう。おいそれと手が出せないのだ。

GOPANはそれを、粉砕し粉にするのではなく、米に水を含ませ、その状態でミキシングしてペースト状にするという発想で新しい地平を切り開いた。最初からパンにすると決まっているなら、非常によいやり方である。しかも、玄米でもできるし白米でもいいし、しかも雑穀や赤米などの特殊米も使える。外麦の由来品であるグルテンを添加しなくても、ふわっと感は落ちるものの、立派なパンになってくれる。

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しかも、、、これで焼いた米粉パンが非常に旨いのである!

写真は、プロダクト部門の最優秀賞を獲得した山形県の「つや姫」を使って焼いたものだ。これがまた、誰もが「美味しい、甘い香りと味、まさに米の味なんだけどパンだ!」と驚く出来なのだ。非常にいい受賞だったと思う。サンヨー時代に、歴史に残る製品が出たな、という感慨がある。

そして、さっき書いた山形県のお米新品種である「つや姫」。

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覚えておいでだろうか、僕はここ数年、このつや姫のブランド戦略会議に委員として関わっていたのである。その頃はまだ「つや姫」ではなかった。山形97号というコードネームだったのだが、、、

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このつや姫、今年度産米がのきなみ品質低下に悩まされる中、一等米比率98%という好成績を残した。けど、3000軒の農家を選抜して作ってもらったため、量的には非常に少なく、すでに出回り量が枯渇しかかっている。まあそれくらいのほうがプレミア感があっていいけどね、、、

山形県の関係者には、ぜひ来年度も品質を落とさずにつくっていただきたいと思う。それにしても、ロゴマークはもっと可愛いバージョンの方がよかったなぁ、、、ネーミングについては、俺は反対したけど、いざ販売してみるとこれでよかったのかもなぁ、、、マーケティングって難しい。

このほかもいろいろ受賞があったが、畜産物の中では、プロダクト部門の優秀賞を穫った中に、100%自給飼料で近江牛を育てるサカエヤさんの取組も入っている。

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僕が持っている短角牛など、最初から放牧に向く牛ならともかく、濃厚飼料を与えなければ満足に肉がつかない黒毛和牛を、地域内で生産される稻わらや乾草、サイレージなどを駆使して、外国産穀物を使わずに育てるという貴重な取組。その牛を引き受けて各所に販売しているのがサカエヤさんだ。

「やまけんさん、もうね、ホントきついです。京都のきたやま南山さんのようにコンセプトに共感してくれるお店もありますけど、他の大手の飲食や卸なんかは、担当者間の打ち合わせで決まりになっても、最後に社長とかが出てきて『サシが薄い』とか『黒毛でこれじゃ』なんていってぶちこわしになります。誰も理解してくれないんですよ、、、」

いや! 新保社長、理解される日がきっと来ますよ! 今年僕はこの取組をまじかで観に行こうと思う。レポートを待っていて欲しい。

ということで、ぜひフードアクションニッポンアワード2010の受賞賞品を応援してください。