TPPって、このままなし崩し的に進めてよいテーマではないよ! 金沢の農家・西田さんからの指摘。

2010年11月12日 from 日常つれづれ,農村の現実

TPPについて、石川県は金沢で有機農業を営む風来こと西田さんからメールをもらった。彼は全部で2反歩という小さな面積を最大限に活かして農業を続けている人だ。

■石川県の元気な農業者紀行 超ド級に面白い農家達がこんなにいるのであった!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/03/post_1290.html

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農家視点で冷静にTPP問題を観ると、「反対とか言う前に余りに唐突」であるという、非常にまっとうなご意見なので、本人承諾をもらって掲載します。ほんと、唐突だと思う。こんな重大なことをこんなに準備期間も検討もなしに決めていいの?と言う問題なのだと言うことを国民の皆さんに分かってほしいものです。

 

やまけんさんご無沙汰しております。また唐突なメール失礼します。石川県の西田@風来です。

いつも「出張食い倒れ日記」楽しく読ませていただいています。読んでると日本ってホントいいな~と思ってきます(^_^)

TPPについての話もとても参考になりました。

私は今回のTPPについては賛成・反対という前に唐突だな~と思い、また議論に何か違和感を感じていました。

TPPに参加することで、農業界が発奮して国際競争力がついてくる・・という意見もありますが、果たしてそうなんでしょうか?

確かにこれまでの農業政策には目に余るものがあります。トラクターは絶対通れないだろう!!というような長い橋や4車線の立派な農道など農業土木を筆頭に思うこと沢山あります。(中でも最悪なのが戸別補償制度かな(^_^ゞ )

ただ、私はやり方を変えたからといって日本の農業生産物に国際競争力がつくとは思いません。それは農業は1次産品だからです。1次産品は土地があって出来るもの。その面積で穫れる量はどんな
に頑張ったて限りがあります。(だからといってこのままでいいとはもちろん思いませんが・・)

そして国際競争力って結局はもっと安くしろということなのでしょうか?そうすることによって食の安全性がより遠のくと思うのは私だけでしょうか?

経済性だけでいいのか? 環境の視点から、文化の視点から、そして命の視点からはどうか、そんな検証も必要だと思います。

2008年10月にNHKスペシャル「世界同時食糧危機(1)」というのをやっていました。内容は・・・

「エルサルバドルは数年前に農産物の輸入自由化を行い、安い輸入穀物に頼る政策を方針化。そのため国内の農家が廃業に追い込まれる。そこに穀物価格の高騰、そこで国内のコメ生産を上げようとしてもすでに不可能になっていた。

「農業省に勤務する公務員でも食糧を買えず、貧困層では母親の母乳が出ないために乳児が栄養失調になっている現状。一方で、穀物メジャーと米国農家は空前の繁栄の様子が映し出される。穀物価格高騰は、投機マネーが穀物を金融商品化したことによるとのこと。」

こんな感じでした。

やってみた失敗した・・ではすまないのが食の問題だと思います。あえて言うなら困るのは農家なの?

少し感情も入ってしまってますが、農家から感情とプライドを除いたら農産物はまだに単なる製品になってしまうと思っているので・・。(^_^ゞ

また果たしてグローバル化はいいことなのか?国家観はあるのか?そんな問題が突きつけられているよう思います。

そんなグローバル化の真逆である、ミニマム主義の我が風来ですが最近「ミニマム主義で行こう!!」というブログを始めました。よかったら遊びにきてくださいね。
http://ameblo.jp/minimamshugi

長々と書いてまとまらなくなってしまいましたが、想いを言いたくなってしまって・・m(_ _)m

最後にそんなブログから先に書いたものを添付します。ご笑読いただければ幸いです。

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「ミニマム主義で行こう!!」ではミニマム主義について順々に書いて行こうと思っていたのですが、昨日農のことに触れ、またこのところTPPのこともありますので閑話休題ということで、テーマ「その他」で今日は書かせていただきますね。

「TPPは環太平洋戦略的経済連携協定のことで貿易自由化を目指す枠組み。関税をほぼ例外なく撤廃する取り決めのことで、日本では参加の是非が日本国内で議論されているが、今回のAPECで日本のTPP協議が開始された」by YAHOO NEWS

今のところ国内の議論としてはTPPに参加するとハイテク・自動車などの輸出産業に有利、農業は大打撃となるというのが大勢かと思います。

でもそこで止まってしまっているよう思います。ニュースの中には牛丼が安くなるとか、ゴルフパターが安くなるとか、う~むと思う例ばかり・・あまりにも楽観的すぎる(`_´)

ハイテク産業に有利というのはどのくらい有利なのか?そして農業が大打撃となるとどうなるのか?もっと踏み込んで考えてみないと、まさに国の未来にかかってきます。

今、対アメリカでどれぐらいの関税がかかっているかというと輸出ハイテク製品で5%、車で2.5%、対して日本に輸入される米には700%以上、小麦は200%となってます。

正直、ハイテク製品、車にはこれだけしか関税をかけられていないのか?と思いました。もちろん元が高価だと関税の額も大きくなるのは分かります。対して米とか小麦の関税の高いこと・・しかしここまでしないと国内の米が守れないというのが事実。そして10年(TPPでは10年後に関税完全撤廃)やそこらでこの差が埋められるとは思いません。

もちろん今の農業政策のままでいいとは思いません(というか多いに不満)が、今回のTPP議論はあまりに唐突という感が否めません。

そして見る視点。短期的に見て、長期的に見てどうなのか? 経済的な視点だけでいいのか? そのあたりが大きく問われてきています。それに対する国家観がないまま突入していくのはあまりにも怖い。補給線が断たれた上で遭難してしまいそうです。

西郷隆盛さんの言葉で「国の防衛は第一に食(農)、次に教育、そしてそのふたつがあってはじめて守られるべき国となり軍備が必要になる」というのがあるのですが、この言葉、今でも通じるのではないかと思います。国とは何か?がまさに問われているよう感じます。

国破れて山河あり・・今は山河ではなくアスファルト。一度アスファルトに埋められた土地は二度と田畑にはなりません。

先日、新聞の投稿欄に、農家に向かって「農で食べていけるのか?」と言った男性に対して「それではおまえは何を食べているんだ?」と言い返したという話が載っていて、思わず「うまい!!」と言ってしまいました。

もちろんその男性と農家の「食べていく」の意味は違います。しかしそろそろ考えるべきなのではないでしょうか、どちらが本当に大切かということを・・(了)