2010年11月25日 from 農村の現実
時間がないのでメール引用のみ。先日都内某所で会った某農○○産省の若手職員からのメールです。ありがとう。
私は入省するまでに、たくさんの現場に足を運んできました。同期の中でも、現場に足を運んできた数だけは負けない自信があります。
現場の話に耳を傾けるようになるまでは、自分も農(農業というと狭いので・・・)の大切さに気付けなかったし、多くの学者が言っていることが正しいと思いこんできました。小規模、兼業、高齢化、これらすべての言葉に対して、当たり前のように良くないもの、日本の農業の弱点と思っていた自分が恥ずかしくなりました。
大規模化が間違っているとは思っていません。
しかし、ミクロの話とマクロの話を分けて考えなければ駄目だろうといつも思っています。
規模拡大して専業でやっていこうとする方々も素晴らしいし、応援していかなければいけないと思います。
けれど、日本の農業は大規模化していくべき、という議論は全く違う話ではないかと思っています。今までたくさんの方に話を聞いてきて、大規模農家の方にすら、規模拡大一辺倒の政策はおかしいと考えている人が多い!ということを感じてきました。
農を語る前に、そこには地域というものが存在するのであり、地域に住んでいる人がすべて同じような人といろんな人が住んでいるのと、どちらの町に住みたいですか?と聞けばおそらく多くの人はいろんな人がいる地域と答えるのに、農の話になるととたんに、大規模化を推し進めることが大切、となる。どうも単純な構図にして議論するのが好きな人が多くて、色々あるのが理想、と考えるのは嫌いな人たちが多いように思います。
どういう人を育てるかにばかり目を向けて、人と人とのつながりがどうなっているのかということに農政が目を向けてこれなかったんだろうと思います。
大規模農家である長野県の永井進さんという農家が、
「地域のいろんな人に支えられて今までやってこれた。だから、地域の方々にはずっと農に携わっていてほしいし、自分が一人でその土地を走り回るような光景にはしたくない。みんなで土地を耕す風景を残していきたいし、だから自分が出来る限りの応援をみんなにしたいんだ。」
と語っていたのが非常に印象的です。色々あるのが理想というのは、それが強い地域を作るとか、いかにも経済学者的な落とし所ではなくて、単純に、一番幸せな地域とはどんなかたち?という問いかけに対する答えでもあるような気がしています。
百歩譲って農業の構造改革が進んで、日本に強い農業なるものが出来上がったとします。
けれど、そのことと、農業をやっている人たちの幸せ、地域の幸せといったものが最大化されたかということは全くの別問題であるかのように思います。ただ、幸せとかいったものは人によって無限のかたちがあるし、数字にできないから、数字ではかれるものを主張する人たちの意見が強くなるような気がしています。
例えばTPPの議論を見ても、賛成派と反対派は実は最初から同じスタートラインに立っていない。
賛成派の方が議論に打ち勝つのは楽な位置からスタートしているんじゃないかと思います。多分自分だって、もしも議論で言い負かすことが最大の目的であれば、賛成派をとります。そのくらい賛成派の方が主張しやすいのではないかと思っています。こうなると、感覚的にどっちが正しいかと思っている人の賛成反対比率と、実際にどっちの立場に立つかの比率にずれが生じてくる。大切だとは思うけれど、確かにそういわれたらそうだな、といった半分あきらめモードの人が出てくる。
実際に就職活動等で、自分の意見よりも、答えやすい流れの方を意識して話してしまう人が多いように思いました。
だからこそ、そもそも自分自身の感覚としてどう思うのかという感覚を大切にしないといけないと思います。証拠や裏付けが必要となる学者の方などは大変かと思いますが・・・。
現場の話や、自分の感性というものは、論理性のある文章よりもとても説得力が弱いかと思いますが、だからと言って、うまく言えないけれどこっちが正しいと思うという原点だけは、見失わないようにしたいと思います。もちろん、その言葉にしづらいことを多くの人に伝わるように説明できるようになることが目標ですが。
こんな若手がまだまだいっぱい居る。もっと声を上げて欲しいね!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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