2010年11月22日 from 出張
「定食バンザイ」という本をご存じだろうか。昔ながらの定食屋をこよなく愛する著者が実に軽妙な筆致で探訪記を書く、面白い本だ。
なかでも神保町を愛しているらしく、ナビブラ神保町というタウンポータルサイトで、定食ホイホイ!というネットコラムも書いておられる。
■定食ホイホイ!
http://www.navi-bura.com/special/hoihoi_1011.html
著者の今 柊二(こん・とうじ)さんは、なんと僕と同じ愛媛県今治市の出身。ということは、ちくま新書のM編集者さんから訊いていたのだけれども、なんとこの今さんからお声がかかり、某新聞の企画で定食に関する座談会を行う運びとなった。
なんと、もうお一人の座談メンバーというのが、あの「居酒屋礼賛」の浜田さん!おおおおおおおおお 居酒屋礼賛は僕の食い倒れ日記よりも歴史が深く、信頼性の高いWebである。
■居酒屋礼賛
http://hamada.air-nifty.com/
なんだこの企画は!断れるはずがない!と、ようやく一息つけるようなスケジュールになった土曜日に行って参りました。
場所は神奈川県の南太田駅をでてすぐ目の前にある「丸亀食堂」。よーく観るとビル自体が「丸亀ビル」である。すげぇ、持ちビルだよ。
すぐ横にある横断歩道を渡って行く。オリジン弁当とかセブンイレブンがあるにもかかわらず、この食堂は残っている。ということは、非常に評判がいいはずである。そりゃそうだ定食屋専門家(?)である今さんが会場に選ぶ店だもんね。
まぐろのさしみ400円。豚の角煮380円。肉じゃが310円。こんなお薦めお品書きが書かれたホワイトボードは新しく清潔で、コルクボードも綺麗。よくある酸化して風化したような定食屋ではないようだ!
からりと戸を開けると、今さんが居た。顔出しNGなのが残念だが、そうかこの方が今さんかぁ。
ちょうど、丸亀食堂のおやじさんが「サインしてください!」と持ってきたご著書にサインを書き入れているところであった。僕も、持参した「定食バンザイ!」にサインをしていただく。嬉しい、、、
店内は実に実に定食屋である。
「ここはねぇ、エキスパートクラスの定食屋です。最近見つけた中ではピカイチ!」
と今さんが言うだけあって、新しいわけでもない店内にも清潔感があり、品書きからは光を感じる!
こうした作り置きの皿が並んでいるけれども、「メインのおかずは注文がはいってから作るようです。コロッケとかは可能な限り注文が入ってから揚げたり、できてるものも揚げ直しをしたり、温め直しもしてくれるんですよ。」という。
そうこうしているうちに浜田さんご登場!
実に素敵な、仏像のような笑顔!このクラスのよき笑顔を、酒を一口飲むたびに見せてくれました。
こちら、丸亀食堂のおやじさん。今さんが連載をしている某新聞の連載で、編集部が掲載許可をいただこうと連絡したときの返事がふるっている。
「お断りするほどの店じゃ、ございません。」
格好いいねぇ! 後日、編集部に届いたお礼状には「いつかきっと見つけてくださると思っていました」とあったそうだ。
この日は6品程度、適当におかずを見繕っていただいたということだったが、実に実に、その辺の定食屋とは一線を画す品質の美味しい料理が並ぶのだ!
ほうれん草の白和えのあえ衣は実に滑らかでぼそぼそ感が全くない。クリーミーであった!
食べでのある人参の切り方が印象深いひじき。
これまた存在感の大きなショウガのスライスが入った、豚ゴボウきんぴら。白飯進む。
色鮮やかなマグロの刺身も切り立て。
堅苦しい座談会じゃないから、ビールから始まり、浜田さんは「いいですか?」とお断りを入れた後、早速お燗をつけた日本酒へ!
うふふぅ たまりませんねぇぇ うわっはっはと、こちらまで嬉しくなっちゃうような笑顔炸裂!
キュウリ・揚げナス・トマト・シソの何とも面白い、ガスパチョを意識したような一皿。
ジャガイモ、ナス、ピーマンの素揚げに肉味噌あんをかけたもの。揚げ油の素性がとてもいい!全く酸化しておらず、かるいあと口。こういう店なら積極的に揚げ物をいただきたいものだ。
ここでたまらず大盛りご飯を所望。
僕は、酒も嫌いじゃないけど、酒でカロリーを取るくらいならその分、ご飯のカロリーにした人間なのです。
そして、今さんがお薦めという焼きたらこをお願いする。
「あぶります?」と訊かれたのでもちろん炙ります。「焼く」より「炙る」のほうが美味しそうだよね。
この焼き具合が絶品!
中心部がみごとにしっとり!
それにしても座談会は、ただただお二人の深い知見と知識に圧倒されてしまいました。俺なんざぁ門前の小僧だね、いまだに。
丸亀食堂の皆さん、ごちそうさまでした! こんどは自分の金で食べに行きまーす!
この対談、掲載タイミングになったらお知らせしますね。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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