2010年11月14日 from 出張
松山に行ったらとりあえずいかなきゃ、という店がいっぱいあって、とてもじゃないが一泊二日の日程では回りきれない。が、今回はここというのがカフェ・カバレ。素晴らしい醤油蔵である梶田商店の若旦那が紹介してくれた店だ。この店のオーナーシェフであるムッシュは実に勉強熱心で、帰りがけに「ぜひ地域の食材をもっと取り入れたらいいと思うよ、例えば甘とろ豚ね」と言ったら、すぐさま取引を始めてメニューに出すようになった。そしてそれがかなりの反響を呼んでいるという。
先日は高知に行った(例の、水浴びをする土佐あかうしの日だ)が、それにも同行し、土佐あかうしの神髄をかなり吸収していた。そしてすぐさま、カバレでは土佐あかうしがメニューに上っている。こういう、反応が早い料理人さんが大好きだ。
松山市の中心部、松山市駅のほどちかく、路面電車が通る花園町の交差点の二階にあるカフェカバレ。
え、ここを登るン?と腰が引ける、ちょっと冷え冷えとした階段を3階まで上ります。
2階までは、ちょっと道に迷った感があるけれど、ちゃーんと3階に上がればカバレ的な空間が待ってます。
どこから聞きつけたか、高知からは土佐あかうしブラザーズ、県の公文さんと三谷ミートの専務が来ている。
「ええ、そりゃもう、使ってくれている店には足を運ばんと」 うん、そうだよね。ちなみに手前は梶田君。
梶田君が「是非紹介したくて」と連れてきたのは、ブログ「勝手に松山ミシュラン」を書いている池ちゃん。(顔出しNGとのことで写真はありません)
こんな風に本も出ている。愛媛出身の二宮清純さんに帯を書いてもらっているあたりがすごい!自費出版だというが、すでに重版されている。旅行雑誌に乗るようなキレイにまとまった店ではなく、松山のディープな飲食店を紹介している、信頼のおける本だ。僕も行ったことがない店ばかり。今度本書を参考に歩きたいと思っている。卵ピッツァのバー「バンガード」が大変気になります。
さて
カバレには「とにかくじゃかじゃか食わせてよ」とラフに依頼。片っ端から食べましょう。
しょっぱなから甘とろ豚のパテと、大洲産里芋のテリーヌ。甘とろ豚、というのはブランド名で、豚の品種はLWY、つまりL(ランドレース)×W(大ヨークシャー)×Y(中ヨークシャー)という掛け合わせ。中ヨークがとめオスとして入るため、いわゆる豚臭さの少ない、女性的な肉質の優しい豚肉に仕上がっている。パテの味が非常に柔らかな風味で美味しい。インパクトを狙うのではなく、じんわりと食べさせる豚肉だと思う。だからこのパテには酸味のきいたマスタードをたっぷりのせて食べるのが美味しい。
鴨の燻製のサラダ、アジのエスカベッシュ、インゲンのクリーム和え。ボリューミーなキッシュ。
そして再び甘とろ豚のリエット。
クリーミーで優しくバゲットに絡みつく。甘とろ豚の女性的な特性が遺憾なく発揮されている。あんがい、こうしたシャルキュトリー的な食べ方の方が映える豚肉なのかもしれない。
さーて土佐あかうしのステーキだ。
ムッシュがじんわりと火入れをしてくれた、部位違いの肉。三谷さん、ムッシュを気に入ったらしい。だって貴重なメスの肉を送ってるんだもん。少し、火入れに関してムッシュに注文をつけたけれども、美味しく焼けていました。
さていよいよメイン!甘とろ豚のグリルです。
いーい感じに焼けている。
先に述べたような特性の肉なので、焼き加減はわりとハードに、そして酸の立つソース、例えばバルサミコベースで、塩はかなり効かせた方がいいよと言っておいた。イメージ通りの皿ですな。
※このカットのレンズはオリンパスZDマクロ50mmF2.0。素晴らしい解像感である。
写真をみると中まで火がしっかり通ってしまっているように見えるが、これでもしっとりした肉質なのだ。水分を思い切って脱水するような焼き方の方が、味が決まるとおもう。ただ、僕には塩が足りないと思えた。粒の大きな塩をもうすこしぱらぱらと載せた方がいいかもしれない。
けど、やっぱりいいね甘とろ豚。これを生産しているのは大洲市の松田さんご夫妻。帰ったらまた写真をアップしようと思うけど、誠実な生産者さんたちだ。夫妻の性格が豚に出ている。
土佐あかうしのヒレ。この焼きは非常にナイス!美味しゅうございます。
絶妙な食感の砂肝のコンフィから土佐あかうしのビール煮。これが絶品!白飯が食いたい。
そしていつもの〆、ラムのカレーへ。
いうことなしです。
ムッシュどうもありがとう。ナテュレの藤山さんもご一緒したが、いい店と楽しんでおられた。
愛媛でいま楽しいビストロの、第一線といえるでしょう。ごちそうさまでした!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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