口蹄疫との戦いは続いている。先が見えてきたのか?そして宮崎の財政状況が気になる。

2010年6月30日 from 口蹄疫を考える

宮崎へ派遣されていた某県の獣医師の友人が「自分は今日で終了」という連絡があった。

「今日にもワクチン接種農場の殺処分を終える勢い。携わったものとしてはあと数日残ってケリをつけたいところだが、県から却下されたので帰ります」

とのことだった。このところ公式発表では発生件数がゼロという日が10日間続いていることもあって、終息が見えてきたか?という雰囲気が流れ始めている。報告されていないような事例があったりするのではないか、とか野生動物は大丈夫か、などなど、不安はあるものの、確実に進展はしているようにみえる。

実際、現場で防疫・殺処分を担当していた人たちが言っているのが、「初期の混乱期からずいぶん手順が洗練されてきつつある。やはり日を追うごとに経験値が上がり、それを他のスタッフに伝える手段も講じられているからだと思う。」ということだ。

いま問題になっているのは、家畜自体ではなく、その糞尿の問題だ。家畜は毎日糞尿をうみおとすわけで、口蹄疫ウイルスはその中で条件によっては数日~数十日生き延びる可能性がある。しかし現状では糞尿の適切な処理までは手が回っていない。口蹄疫発生農場には糞尿をシートで覆うなどの処理を始めているが、発生はしていないがワクチン接種をした農家までは手が回っていないのが現状らしい。しかし「なんだ早く処理しなよ」と無責任に言うわけにもいかない。糞尿処理は畜産においてもっとも重労働で、清潔度を守ることが難しい作業だからだ。

畜糞はどんなものでも、産み落とされた生の状態から数日間で発酵を開始する。初期の段階で90度以上まで温度が上がる。このあたりで発酵の状況によってひどい悪臭が発生することが多く、ハエなども寄ってくる。大変だろうが、ぜひ乗り切っていただきたい、と何の力にもなれないコメントをするしかない。作業の大変さを想像しつつ、ほんと、早く終わって欲しいと願うばかりだ。

本日付の日本農業新聞の特集「抑えろ口蹄疫(下)」では、携帯電話にもウイルス付着の可能性があるため、ビニール袋に包んで携帯・使用し、作業後の消毒時に袋ごと消毒液につけることができるようにすること、という実際的なことが写真入りで解説してある。こうしたことも、実際の現場からでないと産まれない話だ。今回の口蹄疫がきちんと終息した段階で、ものすごい防疫技術のデータベースができることだろう。

それはともかく、宮崎県の苦悩はこれからだ。以前に、心配していたとおり、県内で口蹄疫のワリをくって客足が遠のき、深刻な経営難に陥った他産業のひとたちが「俺たちも補償してくれないのか?」という憤りを感じている状況は実際に多いらしい。いろんな話が聞こえてくる。

僕が気になっているのは宮崎県の財政の状況だ。しばらく前に、県の口座に24億円程度しか残っていないという話がきこえてきた。他県の関係者からすれば「それはほぼ何もできないといっても過言でないほど、逼迫した状態」だそうだ。さらに農協関係者から訊いたところによれば、今年度の補正予算等では農林水産業でなんらかの事業が行われる可能性は低いということ。つまり口蹄疫対策でほぼ県の財政を使い切ってしまっているということだ。

まず、今の段階でまだ宮崎県に国からろくにお金が行ってないらしいというところが「?」というところだ。山田農水大臣、できるかぎりのことはするとかいう曖昧な言葉ではなくて、はやく払ってあげなよ。こういう状況が続くと、一部の人がささやいている「参院選で民主党に入れない限り、お金あげないよ」という示威行動ではないのかという噂が、本当なのではないかと思われるんじゃないだろうか?僕はもしかするとそういうえげつない行為をしているのかもしれないなぁ、となかば信じつつあるのだけれども。