先日、まだ皮が緑色で、内部もサクサクとしていて食えたもんじゃなかったあの宮崎県の西都市のバナナ。それが一日、二日のうちにググググッと黄色みがさしてきて、そこからは一気呵成、怒濤のごとくに熟れ出してきた。なんてったって、1週間前はこんな色だったんだからねぇ。
バナナ好きならわかるだろうけれども、バナナの外皮に黒い染みがどんどんできていくと、なんだか腐っているようにみえるけれどもさにあらず。それはシュガースポットと言って、甘みが増してきている証だ。
ただし、バナナ業界の人、特に室(ムロ)と呼ばれる施設で実際にバナナの房にエチレンガスを吸わせている専門家の人と話すと、決まって言われることがある。
「シュガースポットが出てきて熟してくると、甘みは増すけれども、もともと持っていた香りとかは消えちゃうから、できればその前に食べて欲しいんだよね」
ということだ。異口同音に、まだバナナの個性がのこっているうちに食べて欲しいと言われるのだ。そのきもちはよーくわかる。だから、段階的に食べていくのがいいんだよね、バナナは。
そういう意味ではちょっと熟れすぎになりつつある、遠山さんのバナナである。しかし、旨い!
遠山さんからのメッセージにあったように、やはりシュガースポットが出てくる前のほうが香りも高く個性があった。キャベンディッシュとは違う、もこもこ感のある果肉だ。
なにより、あんな立派なバナナ林が宮崎県内にあるっつーことがスゴイではないか。景色として見たときに本当にビックリする。
価格を超えた価値がありますよ、これは。
このバナナ、一本10本程度のハンドごとで緑色の状態で売り、安いS字型のバナナハンガーをつけて、自宅やオフィス(?)に吊り下げて、熟すのを眺めて愛でながら楽しむという売り方が委員じゃないかな、と思う。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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