重いカメラはイヤだけど、綺麗な写真を撮りたいョ。そんな人に実は、リコーのユニット着脱式カメラであるGXRは使えるかも知れない! このカメラは、なんだかんだ言っても、買った人にしか本当の佳さがわからないと思う。GXRでライティングするためのTipsを書こう。

2010年4月 5日 from カメラ

R0010442

メーカー名 : RICOH
機種 : GXR
露出時間 : 1/48秒
レンズF値 : F2.5
露出制御モード : 絞り優先AE
ISO感度 : 200
フラッシュ : 発光

上は、リコーのGXRにA12ユニットという、35mm判換算で50mmの焦点距離になるレンズで撮影したものだ。ただし、地あかりと呼ばれる自然光での撮影ではない。これ、クリップオンストロボを用いてライティングをして撮影している。開放F値での撮影だけど、ピント面(中央の瓶の紐にかかったラベル)はきっちりと解像していて、そこから前後は素直にボケている。適切なライティングをすることによって、よっぽどコマーシャルな商品写真などでなければこなせる程度の実力があるのではないかと思う。

 

DSC_9139

もちろん、プロカメラマンが仕事でカメラを使う場合、そのカメラが「プロっぽくみえる」ことが重要だ。一眼レフの上級機が重量感タップリなのは、機能や堅牢性を実現するためということが第一だけど、「プロっぽさ」のためという部分もあるはずだ。現に、日本は例外的に小さいカメラが好まれるけれども、海外では大きなボディのほうがいいという人が多いという話を聴いたことがある。

だからGXRをプロカメラマンが仕事で使うということは滅多に発生しないだろうと思う。けれどもこれが、素人以上プロ未満であれば話は別だ。

特に、最近では広告収入の削減などから、雑誌の取材地に編集者自身が写真撮影をすることが多くなってきている。もちろん一流紙の場合はないだろうけれども、内部向け機関誌や低予算フリーペーパーで、メインページ以外の部分では当たり前になってきているはずだ。

もちろんその場合、多くが中級クラスの一眼レフを持参し撮影するだろうけど、単純に編集者の業務量・負担は重くなる。物理的にも、ノートPCやボイスレコーダーに加え、一眼レフの重量が加わる。クリップオンストロボや交換レンズ、時にはライティングのためのスタンドやアンブレラなどを持ち歩くとなると、フットワークが鍵となる編集者にはちょっと負担が重くなるだろう。

そういうときに、このGXRやオリンパス・パナソニックが展開しているマイクロフォーサーズ機があると、話は変わる。システムがグンと小さくなるわけだ。カメラボディとレンズでいえば1/2程度にはなるだろう。スタンドなどの照明補助器具はそうもいかないけど、近年のデジカメはISO感度を上げても画像が破綻しないようにできているので、クリップオンストロボを使っても撮影は可能という状況が多くなると思う。つまり軽量化ができる。

正直にいうと、現状のGXRやマイクロフォーサーズ機では、まだその用途には足りない。たまにオリンパスのマイクロフォーサーズ機のみで出張にいくけれども、まだまだ後悔することが多い。僕の持っているE-P1とE-P2ではワイヤレスでストロボを発光させるライティングが出来ないからだ。先頃発売されたE-PL1では内蔵ストロボがついたので可能になった。本当はE-P2に着いているべき機能だ。

やっぱりライティングをする/しないというのは、写真の仕上がりに大きな影響が出る。自然光で撮るのが一番いいという人もいるけれども、いろんな光の条件を加味して設定をきちんとして撮る人が言うならともかく、雰囲気だけでそういっちゃうのは危険だと思う。だってカメラの性能は人間の眼と比べると非常に低い。人間はそもそも脳内で凄まじく補正をしながら目の前に拡がる絵を映し出している。明るくない場所でみた料理の写真でも、記憶の中ではそこそこにカラフルに思い出されるものだ。そこを無視して「そのままを撮るのがいい」といってしまうのはちょっとなぁ、と思ってしまう。ライティングは、被写体が持っている色の要素をもれなく照らして発現させてあげるものなのだから。

で、長くなったけど、GXRでライティングをするには少々コツが居る。まず、クリップオンストロボはリコーから出ているGF-1という機種。

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この名称、パナソニックのマイクロフォーサーズ機であるGF-1と一緒だから混乱しそう、、、

普通、クリップオンストロボはカメラ上部にあるホットシューに装着して撮影する。が、僕のカメラの最初の師匠である八木澤芳彦さんからの最大の教えは、

「あのね、ストロボはカメラから離して撮影する。そこから全てが始まるんだ」

というものだ。カメラ上部にストロボがある状況では、ライティングの自由度はないも同然だ。そこで、カメラから離す算段が必要になる。ふつう、カメラメーカーであればオフシューコードという、ホットシューとストロボの間をケーブルで離すことが出来る商品があるものだけど、GXRの場合は純正品は販売されていない。そこまでやることを想定していないのだろう。

そこで、、、これを使う。

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ニッシンジャパンというストロボメーカーが出している、ユニバーサルシューコード。これは、キヤノンやニコンなどのいろんなメーカーのカメラボディとストロボを繋ぐことが出来るコードだ。しかし、対応メーカーにリコーはない。

繋いでみたら、、、使えました。ただしこれは自己責任でお願いします。使えなかった場合も僕に文句いわれてもこまります。

使い方も簡単で、接続してストロボの電源を入れると、GXRのダイレクト画面にストロボのマークが出る。ストロボ背面のLEDがTTLという部分で光っていれば、カメラとストロボが通信しあっている状態だ。これで撮影して、明るい/暗い状態であれば、ダイレクト画面で調光補正ができるので、+-をすればいい。

しかしGXRのTTLは意外にも精度が高いようで、Avモード(絞り優先モード)で絞りをどんどん絞っていっても、照射量は適切に追随してくれる。

■F6.3

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■F9.0

F9.0

F13

F13

F22

F22

さすがにF22になると、ストロボの照射量が追いついていないようで、画面が暗い。この辺になると大容量ストロボが欲しいと言うことになるけど、まあF22なんて普通、使わないからね。必要ないっちゃないです。

いずれも三脚無しの手持ち。暗い室内で撮影したのでフォーカスにはちょっと苦労したけど、でも以前のファームウェア時よりは快適。

僕はこの結果にとってもビックリしたので、いずれ食い倒れ撮影にこのセットを持っていきたいと思っている。

最後に、いろんなところでこのGXRを批判的に書いている人がいるようだけど、どうも購入して言っている人はあまりいないようだ。つまり批判的に観ている人は、量販店頭などで触った感触だけでものを言っているのではないか。

実際に購入して、数日使って慣れてみると、「使えるじゃん」という感想に変化するよ。このカメラ。APS-C機で、このエントリ冒頭のように綺麗にぼけるマクロ写真ってそうそう撮れないと思うけどなぁ。食わず嫌いせずにつかってみなはれ。そうでないと、売れてくれないと、今後ユニットが出ないじゃん!と、ユーザーになった僕は叫んでみるのである。