実は、そうらしいのだ。宮崎の片隅にある都城市にはタリーズコーヒーが二店舗ある。そのうちの小さな一店舗でのコーヒー豆の売り上げは、九州のタリーズでナンバーワンなのだそうだ。
レタス巻きの元祖・一平寿司の現・社長である村岡さんは、宮崎市内に5店舗のタリーズを経営している実業家だ。そして、アジア地域にタリーズを進出しているグループのマネージメントも担当しており、さきごろはシンガポール進出の礎を築いた張本人でもある。むちゃくちゃにやり手。若い頃(とはいっても僕の一つ上、いま39歳だ)、アメリカで古着屋を経営していたこともあり、ビジネスと英語の双方に長けているわけだ。ちなみに宮崎市内の繁華街にあるタリーズは、全国的に珍しいコーヒープレスでの提供をしているし、百貨店の山形屋の前にある蔦谷書店の横にあるタリーズ店舗は、目と鼻のさきにスターバックスが開店したにもかかわらず売上が落ちていないそうだ。
「でもね、、、都城で呑むコーヒーって、むちゃくちゃに旨いんですよ。水が違うんだと思います」
ふうん、そうですか。と、その場では軽く聞き流していた。
ちなみに、ご関係各位には大変に申し訳ないのですが、僕はチェーン店で出てくるコーヒーを美味しいと思ったことがほとんどない豆が佳い、ということがわかっている店でネルかペーパーで丁寧にハンドドリップしたコーヒーが美味しいのであって、チェーン店のはなぁ、と思っている。本を読んだりするための場所代と思ってお金を払っている。(でも、僕の結婚パーティーで、タケが手配してくれたスターバックスのコーヒーだけは別だ。あれは友の味がした。)。
しかし、宮崎市内で二店舗、タリーズのコーヒーを飲んだが、東京の店舗(よく行く機会があるのは赤坂と京橋だ)とは明らかに違いを感じた。豆のルートなどが違うのだろうか。まあ、とりあえずは宮崎の橘通りに面した店で、コーヒープレスで呑むのが宮崎の定番、と思っていた。
車で都城に入った途端、村岡さんがにやにやしながら言う。
「全国のタリーズの中で一番看板がでかい店舗がここなんです(笑)」
おおおおおおおおおお ほんとにでかーい!
これ、都城にあるハンズマンというホームセンター内にある店舗だ。感覚的に、この看板の下に入り口があって、店舗があるんだろうとおもったが、、、あれ?ここに入り口はないのね。
あ、こっちですこっちです、と村岡さんが入っていったハンズマン店舗が、異様にどでかくそして天井が高い!
こんな贅沢な店舗は東京じゃできないね。
「ハンズマンは、九州地域では珍しい、上場を果たしたホームセンターなんですよ。」
とすたすた歩いていく先に、、、
タリーズコーヒーの看板が見えるのがおわかりだろうか? おおおっ なんだか店舗の設計的にも、タリーズへの花道ができてるみたいじゃーん、と思っていたのだが、、、
実はこの花道の先には店舗はない! 花道を左に行った先に、まるでパレスといわんばかりの店があるのだ!
こんなにゴージャスなタリーズのエントランスは初めてだ!
さてここでいただいた、普通のブレンドコーヒーを飲んで、僕はぶったまげてしまった。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
なんだこのクリアさ、すっきりさは!!!!!!!!!!!!
ビックリだ! 嫌な雑味が一切無く、素直なコーヒーの酸味、旨味が感じられる。マグ一杯飲むのもやっとなチェーン店のコーヒーとは全くレベルが違うじゃないか! 恐ろしいことに、宮崎市内の店舗のコーヒーとも全く印象が違う。
「やっぱりね、水、らしいんですよ、、、」
いやもう これはそう信じるしかない。水の美味しさが違うとこんなにも違うのか!
と、このやりとりを聴いていた、この日この店舗で接客をしていた店員さんが「お水、ぜひ呑んでみてください」とカップに持ってきてくれた。その水を飲んで二度ビックリ。これ、ホントに水道水?柔らかでスキッとした美味しい水ではないですか。
都城市には焼酎メーカーも多いが、その理由がやっとわかった。水が旨いのだ。それも半端じゃなく。いや、ほんとこれは素晴らしい。都内じゃのめないわ、これは。
ところで冒頭の画像に写っている、小さなマグカップのマスコットは、この店員君が造った、粘土を焼いたものだ。
「手軽に造れるんで、やってみました!よろしければ社長、どうぞ!」
「えっほんと?ぜひこれちょうだい!」
というやりとり。
飲食店は味や調度ももちろん重要だけど、一番大事なのは人。コミュニケーション能力が高く、そして自分のサービスに誇りや愛を持って働く人がいなければ、いい店はできない。宮崎市内のタリーズ二店の接客もとてもいいし、この店も実に居心地がいい。村岡さんの手腕に恐れ入った次第である! あっぱれ!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。