おせち料理のたぐいはそれほど好きではない僕が、唯一これを食べなきゃ正月が来ないと感じるのが、「なます」だ。それも、通常の耐病総太り系の青首大根じゃなくて、神奈川の三浦大根でつくるなますじゃないと美味しくない。
三浦大根を千切りにして塩をし、しんなりとさせておく。金時にんじんも同様。数時間おいて浸透圧で出た水をきっちり絞る。このとき布巾に包んでぎゅーっと徹底的に絞るというやり方もあるけど、それをやっちゃうと大根の繊維がクタクタに抜けちゃう感じがして僕はすかない。あくまで手でぎゅーっとやって、まだ絞れるなという状態で終わりにする。
甘酢は飯尾醸造の富士酢プレミアムに通常の富士酢、砂糖、雑煮用の一番だし、塩を鍋で温め、砂糖が溶けたら冷ましておく。これを合わせて、岡山の直売所で買ってきた、つまり純国産の金胡麻をよーく炒ったのをタップリと合わせる。本当はここに油揚げの細切りを加えるともっと旨いけど、日持ちしなくなっちゃうので今回はパス。
大晦日の晩に甘酢に漬けて、でかいボウルに入れたのをベランダの天然冷蔵室(笑)においといた。今朝食べて、きっちり旨かったので安心。正月ダー。
富岡八幡宮にお参り。おみくじは吉だった。ありがたい。
「ものは八分目。度を過すともの皆悪となる」
とある。うーむ それって僕にしてみるとやっぱり食べること?ですな。今年は量を控えていこうと思います。
夜のご馳走は、昨日の蕎麦に引き続き、山形村の新井谷のおじちゃんが送ってくれた熊肉。クマですよ熊。若いイノシシ肉と並び、おそらくこの世で最も美味しい肉の一つでしょう。
スライスされているものがぎっしり詰まっている。これ、ほんと貴重な肉。ありがとうね、おじちゃん。
やっぱりこいつは、猟師のウチマギさんが得意とするマタギ焼きにするしかないでしょう。
まずはにんにくをおろしたものをからめる。ウチマギさんは時間をかけてゆーっくり混ぜていた。
そこへ日本酒を投入。
ここに醤油を加えるだけ。砂糖は加えない。外部から加える旨みは醤油と酒のみというわけだ。
はい、よーく揉んだらあとは焼くだけ。やっぱこいつは網で焼かないとダメだぁ。
いつもはこういう、食卓が汚れちゃったりするのを嫌がる嫁も、「熊肉!」と目を爛々と輝かせている。
もうね、最高!やっぱり臭み無し、噛み応えはあれども堅くも無し。芳醇な、豊かな野生の旨さがブワッとダイレクトに脳髄に突き刺さる。肉を食らうと言うことは、これなんだよなぁ。猟師の方に感謝の念。そして命を分けてくれた月の輪熊にも感謝。
ということで、美味しいスタートを切りました。2日は実家に帰ってきまーす。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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