僕が短角牛の母牛と、彼女から生まれた子牛二頭のオーナーになっていることはこのブログを読んでいるひとはご存じだろう。実はそこにまた、牛ちゃんが増えてしまった、というお話しだ。
「今日は畜産試験場まで行きますよ!」と、いつもの高知県畜産課の熱血メンツ・公文&山崎の両氏と車に乗り込む。
「本所で角田さん拾っていきますから」
と、高知県庁の本所の玄関に行くと、ゴツッとしたガタイにガッツリしたお顔の写真家・角田和夫さんが機材を持って登場。角田さんは銀塩のモノクロ写真で世界を歩き、印象的なスナップ写真を世に送り出している方だ。
■角田和夫の世界
http://www.kcb-net.ne.jp/k-violin/index.html
「やまけんさんの写真、いいですよ!」
と褒めていただくけれども、いやもうこの人のかっちょええモノクロ写真の質感はとても僕には出せない。ぜひ上記リンク先のカッコイイ写真を観ていただきたい。
で、今回は佐川町にある畜産試験場へ。数年前の夏、ここで放牧されている土佐あかうしをみて、僕は断然興味をそそられたのだ。考えてみればその時の出会いがいま僕を高知に誘っている。
で、この畜産試験場のすぐちかくに、旨いうどんの店があるというのだ!
「僕も試験場の人に訊いただけなんで、よく識らないんですけど、、、」
と公文さんが連れて行ってくれたのが、これまた実に味わい深い立地の店である!
■手打ちうどん とがの藤屋
高知県高岡郡佐川町中組1325-1
店内はすでに満員な感じだったので外のテーブルへ。なんかものすごく風情のある民家を改装した感じだ。
どうやら手書きされている「ザブザブ」がお薦めらしいが、生醤油うどんの普通盛りとスタミナぶっかけの中盛りを頼む。こういうところで一品しか頼まないなんてことは俺には出来ない。そして普通盛りだけでお茶を濁すことも絶対にできない。しかしながらこの日どうやら僕らは選択を誤った。実はこの店、メニュー上段にあるタイカレーってのが旨いらしいのだ。うーむ 次回ぜったいに頼んでみようと思う。
で、この店、すげぇ盛りがいい!
だってみてよこのかき揚げのデカサ!
ちなみにこの日の公文、山崎、角田、やまけんの4名全てがカメラ好きで、しかもニコンユーザーという恐ろしい布陣(笑) 当然、撮影会と相成ったのである。
さて僕の方へは生醤油うどんが運ばれてきた。
ん、さぬき系のコシ、ギュッと締まっていて旨い。思ったより太めの麺で、つまりかなりボリューミーである。生醤油は若干淡い味わいで、たっぷりめにかけてもしょっぱくならない。高知県特産のおろし生姜を乗せてかき混ぜて啜り込む。
そして、スタミナぶっかけがこれだ!
うーむ
かなりいい感じのスタミナ加減じゃないか!?
やっぱりうどんには牛肉を甘辛く煮染めたのが一番旨い具材だ。その甘辛煮汁を絡めながら、天麩羅も食してしまうというのは、金のない学生時代には考えられない幸せ。幸福である。
まあ、コメントはいらんでしょう。大満足でありんす。
ちなみに仲居のおねえちゃんが可愛い人ばかりであった。厨房に立っている男衆も若く、かなり意欲的で勢いのある店だなと思った。周りはもう山というへんぴなところだけど、ひるときには周囲からどどーっと人が集まってくるらしい。素晴らしいことである。ここはまた再訪したい。
さて、腹一杯になったところで試験場へ、、、そこで僕らを迎えるのはなんと!
土佐あかうしの肉であった、、、聞いてないよっ!腹が、、、
この日、恒例の食味試験があったらしく、土佐あかうしだけではなくはちきん地鶏、ウインナーなども供されていた。しかし、黒毛和牛ならもう腹一杯のところには絶対に入らないのだけど、土佐あかうしのクセのないサシはするすると入っていく。食べても嫌にならない牛肉なのである。
さて、冒頭に書いたとおり、実はこの日、試験場で生まれた土佐あかうしの名付け親になることになった。前にここにきたとき、試験場の人に「お願いですから一頭、土佐あかうしのオーナーにならせてください!」とお願いしたのだ。
「うーん 試験場の牛を個人オーナーにするのはちょっと、、、」
と言われていたのだが、、、
「オーナーということではなくて、ヤマケンさんのご指示通りの餌の内容で育てる牛を二頭、都合しました!この二頭は生まれたばかりです。どんな飼料設計にするのか、一緒に考えましょう!」
ということになったのだ! ひゃーーーーー 短角牛につづき、こんどは土佐あかうしに僕の意志を反映することが出来る!
いま、土佐あかうしは黒毛和牛と同じような育て方をされている。できるだけサシを入れるために濃厚飼料を中心とした給餌体系になっているのだ。けど、土佐あかうしを牧草などの粗飼料中心で育てるという試みは、まだはっきりと試験研究されていないそうだ。
「だったら、粗飼料中心の飼育をしてみてはどうですか?」
というのが今回の趣旨なのだ。あーあ、可愛そうに。僕が名付け親になる土佐あかうし二頭は、コーンなどのご馳走をあまり食べられない一生を送ることになる。いや、そのほうが幸せかも知れないけどね。
ただしもちろん課題はある。
「高知県は山岳部が多く、斜面も急なため、岩手県のようにデントコーンを大量に栽培することが難しいんです。ですから、粗飼料をどのように入手するかが問題です。」
その対処方法もちゃんと、考えてくださっていた!
「四国には他の地域にはない野生のヒエの品種があります。稲作農家にとっては大敵ですが、このヒエをサイレージにしたものを与えるといいのではないか、と思っているんです。」
うおおおおおおおおおおおおおおおおお
それは素晴らしい!雑穀を食べて育つ土佐あかうしということである。もちろん雑穀と言っても、実が充実するまえに草ごと発酵させることになるので、穀物の扱いではないが、、、
「じゃあさっそく、ご対面と行きましょう。ちょうど鼻紋もとらなければなりませんし。」
と、生まれたばかりの二頭のいる牛舎へ。
この耳標番号が4029の子と、
4030という子が、
僕が名付ける子牛だ。
さてこれから何をするかというと、鼻紋をとる。人間の指紋のように、牛の個体を識別するために、鼻の紋をとり、登記するのだ。
虐待ではありませぬ。子牛ちゃんの顔をきゅっと小脇に抱え、インクをさっと鼻に塗る。
鼻の全面をなぞれるように湾曲したストッパーに紙をつけ、鼻にクッとあてて鼻紋をとる。
これが非常に難しいのだ!
「やまけんさん、やってみます?」
といわれるが、かなり悪戦苦闘。
5~6回チャレンジして、ようやく使えそうなのが出来た。ゴメンよ、手際が悪くて。
4029の子は、身体は大きいのだけど、目が大きくて優しい感じ。おとなしくてあまり暴れない。
「よし、この子の名前は「優男(やさおとこ)」にしましょう!」
4030の子は、身体はそれほどでかくないが、ギュッと筋肉が引き締まっている。そして鼻紋を採るときも暴れて、目つきもギッと鋭い。
「よしゃ、この子は「強力(ごうりき)」と名付けましょう!」
こうして高知県畜産試験場に、僕が名付けた土佐あかうし二頭が生まれた。これが、二頭の登記書だ。
先週上京した試験場の方が、最新の写真を写してきてくれた。
やっぱり、強力(右)のほうは目つきが悪い(笑)優男はやさしげな目だ。
さてこの子達はどんなふうに育ってくれるのだろうか。楽しみだ、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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