さて素晴らしき雑穀に囲まれた昼食後、一路 久慈市へ。前回は二戸市中心のコースだったが、今回は久慈市を中心にするということで、宿泊が久慈市なのだ。
この日、天気予報は時により雨ということだったが、我々が外にいる間はかなり保ってくれた。そして道の駅オドデ館での休憩中、虹が!
旅の成功を予兆しているかのような綺麗な瞬間だった。
さて久慈市は海の町、でもある。久慈で有名なのが野田の海塩。さきの昼食時の短角のタンソテーに野田塩を使った眞貝シェフが「あの塩、旨いッスね!」と漏らした塩だ。その工房を訪ねた。
なんとこの小さな工房で一人で製塩しているという。
塩の作り方は単純といえば単純。沖合の綺麗な海水を取水して、釜で煮詰めていく。
結晶ができるくらいに煮詰まってきたら完成。脱水機で水分を抜けばできあがりだ。ちなみに水分はニガリ。舐めると苦い!
佳い郷土食には良い塩が必要だ。野田塩はしょっぱさよりも先にミネラル分の旨味が感じられる、とても美味しい塩だ。
しかし野田塩の意義はそれだけじゃない。実は短角牛と塩は密接な関係にあるのだ。
短角牛は、岩手県に在来していた「南部牛」を、明治時代に米国のショートホーンという肉牛と交配してできた品種だ。ルーツとなる南部牛は、農耕用など荷役に利用されていた。その使途として重要なのが、この野田の塩を山間部へ運ぶという役務だったのだ! それが証拠に、道の駅 のだ の駐車場入り口にででーんとあるのがこの彫刻!
このように、塩ベコという名前で呼ばれる南部牛が、塩を運んでいたのである。これが短角牛のルーツ。だから今回は野田を訪ねたのである。
それにしても野田、なかなか侮れない。こんなゆるいキャラを造っているのである。
野田村の「のんちゃん」。
「これ、おそらく「ユルキャラ」ってことばが生まれる前からありますよね」と眞貝シェフ。ふふ、そうだろうなぁ。
さてここから30分程度で久慈市内へ到着。自己紹介などをしながら社内で楽しく交流。宿泊は久慈グランドホテル。非常に綺麗なホテルでみんな嬉しげ。
夕食は、「ビストロくんのこ」。くんのことは岩手の言葉で琥珀(こはく)のこと。実は久慈市は琥珀の大産地。その琥珀を加工・販売する会社が運営するレストランだ。特別に短角やヤマブドウをつかったディナーを供してくれるのである。
ウェルカムドリンクはヤマブドウジュースと白ワインのカクテル。
この特別コースがとても佳かったのだ。いつも僕のイベントでやる「カルパッチョの食べ比べ」。
短角の深みのある赤身の味がよくわかる。
野田の名産であるホタテ貝も実にふっくら肉厚でよろしゅうございました。
そしてメインはローストビーフ。
レアめの火加減で、また短角らしい赤身の味わいがよくわかった。一頭丸買い焼肉で有名な大阪「牛心」の伊藤社長が「最近食った肉のなかでピカイチの味やね」と言ってくれてホッとする。
いや、実に素晴らしい食卓でした。この後、2Fに飾られていた琥珀のインテリアをみんなで見せていただく。下世話にも価格をきいてぶっとんだ。琥珀がいっぱいぶら下がったシャンデリアが2000万円!ひえええええええええええ
ホテルに戻り、深夜にも空いている唯一の居酒屋であるつぼ八にて二次会。ほぼ全員参加。みなうち解けて、実にいいメンツの集まりになった。
こうして一日目は過ぎていったのである。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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