なぜかウィルコムの仕事で、山形県新庄市へ向かう。
山形県は歴史的にウィルコムと深く関わってきた地域だ。人口密度の薄い山間部が多く、携帯電話キャリア各社も採算性の悪い地域で、アンテナの整備が進んでいない地域が多かった。そういうところへ、導入コストが携帯各社にくらべ非常に安いPHSのシステムが上手くはまり、ウィルコムだけが通信インフラとして機能してきた地域が多いのだ。庄内地方もそう。鶴岡ではウィルコム端末のアンテナが山の中でバシバシ立つので感動したことがある。新庄市もその一つだ。
なんと新庄市の中学校では高速なインターネット接続がまったくできないそうだ。「光ファイバをひけないエアポケットの地域」だという。そこでウィルコムが、次世代型高速通信システムであるXGPのアンテナを中学校の裏に立て、XGPカードをプレゼントするという。XGPは20Mbpsという、リアルタイムでHD映像を転送できるくらいの超高速回線なので、中学生が何人接続しても大丈夫だ。
で、市町村の情報関係者に、中学生も加わったメンバーに、新庄市の基幹産業でもある農業における情報化とネットワークの大切さについて講演をしてくれと言うご依頼を受けたのである。はい、やりましょう!
まずはウィルコムの役員さんから市長へのXGP端末を渡すの儀。
市長は山尾順紀さん。いま、限定された人しか使えないXGPを手にしてるんだからもっと嬉しそうにすればいいのに、と思うが、ノリが悪い。うーんと思ったのだが、新庄市の上手いモノの話題になった瞬間に、表情が全く変わった!
「新庄にはですねぇ、鶏モツラーメンという独特な料理があるんですよ。それとやっぱり蕎麦ですね!新庄市は県内で最も蕎麦の生産量が多い市でもあります。」
なんとこの市長さん、ものすごく食べることがお好きだそうで、自分で造った新庄市グルメマップがあるという!
これ、なんと親切なことに、駅を中心に「ここで100m」とか、駅からの距離を示したマップだ。そういうの大切だよね。
それにしてもこれをみると新庄市にはけっこうそそられるものが多い。
「ラーメンも蕎麦もイタリアンも、どんなジャンルでもお薦めがありますよ!最近は庄内が有名だけどね、新庄にも面白くて美味しいモノが沢山あるんですよ!」
と熱い! しかも聴けば、ご自身が蕎麦打ちをするという。実はこの後、各所で「市長さんは蕎麦打ち名人ですよ」と耳にした。うーん 次回はぜひ蕎麦を打ってください市長さん!
で、昼食に向かったのだ。
鶏モツラーメンを出す店は多々あるのだけど、ここは若い店主が営むニューウェーブ。かなり研究熱心な店だそうだ。
注文してほどなく運ばれてきたのは、お薦めの鶏モツワンタンラーメン。おお、本当に鶏モツが乗っている!
汁は透明感の強いあっさり醤油系、これにエビが包まれたワンタンと共に、別鍋で煮込まれた鶏モツが乗っている。
あれ、しかしチラシやメニューの写真に載っているようなキンカン玉子が載っていない!うーん残念。玉子喰いたかった、、、
鶏モツときくとちょっとくどそうなイメージがあるかも知れないが、別に煮てくるからか、スープに臭みとかは皆無。あっさりとしたスープだ。ラーメンを運んでくれた女性が「お酢をかけると合うんですよ!」というので試してみたら、まったく味が変わり、引き締まった美味しいものに返信!じつにいいですな。鶏モツラーメン、気に入りました。
で、恒例のもう一軒ハシゴで「手打ちそば庄司」へ。
正しき山形のそば屋の呈である。
「今田舎」と「昔田舎」。要するに田舎蕎麦しか無くて、昔田舎はすんげー太い。今田舎はそれほど太くないけど細くはない。三番目の板に書いてある「かいもづ」ってなんだかおわかりだろうか?これは「かいもち」のことで、つまりはそばがきのことなのだ。
二件目だけど頑張って板蕎麦あいもりの大をお願いする。
ありがたいことに、新そばだそうだ!
おそらく最上早生だろうか、今田舎を啜り込むと、ブワッと蕎麦の香りが満ちた!
昔田舎のストロングな太さ、そして表面のざらざら感がすごい。
とても、ズルズルと啜り込むことができない!
つゆにズブリと全部浸して食べるのが吉。だって、江戸前のようにやたら辛いつゆではなく、ほどよい濃さのつゆだから。それが山形蕎麦のいいところだ。
中学校での講演終了、みなさん楽しかったですか?
学校裏の、ウィルコムのアンテナを見学。
ウィルコムにしてはどでかいアンテナ。これが、かなりの広さをカバーするXGP対応アンテナだ。俺も使ってみたいゾXGP。
さて、帰途に着きつつ、駅前の青果市場を覗いてみる。
からとり芋はとっても美味しい、山形の在来野菜だ。アル・ケッチァーノの奥田さんがこれをグラタンにしてたのが最高にうまかった。
とっても立派に育った原木ナメコ。これ、買ってくるの忘れた、、、残念!
山形人には欠かせない食用菊「もってのほか」。美しく美味しい。
さて、かなり早めだけど夕食だ。新庄市の美味しいもの第三弾!
地元のそば屋「一茶庵」の駅前分店。ここで新庄の味を座敷で楽しませてもらった。
まずはなんと馬モツ(ばもつ)の煮込み!実は新庄では馬をよく食べるのだそうだ。昔、と畜場があって、農耕馬の動けなくなったのをと畜して食べていた名残で、馬刺しや馬モツを食べさせる店がけっこうあるのだという。しらんかった、、、
このモツ、臭みも少なく、しっかりしっとり煮込まれている。煮汁でビタビタになっている状態ではなく、このように煮含めたのがしっかり食感も残った形で供される。しみじみ旨いですよぉ。
そして、でたぁ!
これが、「かいもづ」ですよ!ぽってりとそば粉を練り上げて、表面を焼いて焦げ目をつけている。
これを挽き割り納豆で食べさせるという寸法だ。そう、新庄市の名物は納豆なのである。
みよ、このかいもづのトロリ感を!
このまま食べると、ムースのようなフワトロな生地が溶け、蕎麦の香りが拡がる。実に素晴らしい、最上のかいもづである。
納豆の海に漬けて食べるとこれまた最高。納豆って、複雑なアミノ酸を湛えているから、本当に美味しいソースなのだ。
お次は、東北部のすばらしき汁もの、納豆汁!
納豆をすり鉢で当たってペースト状にして、味噌汁に溶き入れたものに山菜や豆腐、こんにゃくなどを入れるものだ。納豆が嫌いな人でもまったく違和感なく食べられる味で、納豆の匂いはあまり目立たず、味噌汁の旨味がブワンと増幅される。旨かった!
でました馬刺し。
そりゃあなた、美味しいに決まってますよ、こんな肉。
〆はまたもや蕎麦。しかしあたたかなつけ汁に入っている具は、鶏肉と原木ナメコ!これがまた佳いダシをにじみ出させていて、美味しい一品だったのである。
これを猛スピードで平らげて、速攻で17時14分の新幹線へ。いまさっき戻ってきたのでありました。
明日はまた早朝から岡山に飛ぶので、ここらで帰ります。
新庄の皆様、今日は本当にありがとうございました!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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