さてブルーベリーをふんだんに食べた後に向かったのは、、、「わたなべ牧場」である。ここの製品として一部マニアに有名なのが「わたなべ牧場の手造りプリン」だ。
米子空港の売店に売っているほか、安来周辺のスーパーにて置いてある、とっても小さいメーカーの手造り感漂う一品。実は数年前、隣の軒である鳥取県米子市の青果市場に調査に訪れた際に、帰りの空港で何気なく手に取ったこのプリンに、僕はノックアウトされたのである。
■2006年03月12日 鳥取日帰り往還 出張と買い食いの日々なのだ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/03/post_763.html
このエントリ後半に書いているように、最低限にしか手の加わっていない、素材感を活かしたプリンなのだ。米子空港で買い求めたけれども、このメーカーが島根県にあるということがわかり、その後は事務所の近くにある島根県のアンテナショップ「島根館」に置いてあるのを発見し、よく買い求めている。ちなみに島根館では同じ島根県にある木次乳業のプリンも置いてある。
■2007年09月02日 木次乳業のプリンは滋味!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/09/post_1058.html
どっちも美味しいが仕上げ方は違う。是非食べ比べて欲しいが、どちらもカラメルが別添になっているところがポイントである。
さてこのわたなべ牧場に行けるとなって、僕はもう有頂天なのであった!
それほど大きくない街道沿いにある工場兼販売店。社長ご夫妻が待っていてくださった。
店内でもアイスクリームやプリン、ヨーグルトなどの乳製品を食べることができるようになっている。
「いやもう僕、大ファンなんですよ!」と、先の過去ログをノートPCでお見せすると、社長さんが「あ、そうなんですか、いや、嬉しいな、、、」とモゴモゴと仰る。あとで安来の役場の人が言うには「やまけんさん、わたなべ牧場さんのように、あまり喜怒哀楽を表に出さないのが典型的出雲人なんですよ!」と言っていたのだが(笑)本当に引っ込み思案な印象の社長さんである。
この日は時間が無く、牧場までは見学できなかったが、ジャージーとホルスタインを14頭飼育し、とった生乳で加工品を造っておられる。こうした小規模の生乳生産&乳加工品製造販売という業態は全国にあるが、大手メーカーではとうて造れない個性的な商品が多いので要注目だ。
「やまけんさんのお好きなプリンをいま作っているところです」
ということだったが、ガラスの向こうの奥なのでよくわからん。次回はぜひ製造工程を見せていただきたいと思ったのである。
さてわがまま言って試食をさせていただく。というか、僕にとってはわたなべ牧場のプロダクトといえばプリンなのだが、どうやら同社ではヨーグルトに力を入れておられるのである。
「え、ヨーグルト食べていただいてないんですか?うちはヨーグルトこそ、なんですよ!」と、社長とはうって変わってよくお話しになる奥様が教えてくださる。(いいカップルである)
ズラリと並んだこの製品群!
まあ、まずはこの二大巨頭、プリンとヨーグルトである。
このプリン をプリンたらしめている別添のカラメルソース。これについて尋ねると、
「これはですね、市内の授産施設に造ってもらっているんです。三温糖を使っています」とのこと。なるほど、そういう感じの、まじめな味がします。
原材料の少なさをみていただきたい。その後、コンビニ店頭に並ぶ大メーカーのプリンの表示と見比べていただきたい。これこそがプリンなのである。
封を開ける。うっすらと色むらができているのも手作り感満載。「うちのは蒸しプリンです。」と仰るので、ああそうか、昔、母が卵液を溶いて型に入れて造ってくれた家のプリンのような味がするのはそのせいか、と思い至る。
スプーンをいれればポツポツと気泡があいたこのテクスチャー。うん、素晴らしい。特製のカラメルをこの日はかけずに、プレーンの状態で食べてしまった。
プワンと立ちのぼる玉子の香り。この玉子も契約養鶏農家。
奥様が「ネッカ玉子なんですよ!」と仰る。ほほーう、ネッカリッチですか。ネッカリッチは植物性の炭素系飼料で、給餌すると家畜の体調がよくなり、肉や玉子、乳の臭みが無くなっていくという効果があるというものだ。まあこの手の資材は色々あるけれども、ネッカリッチについては複数の畜産農家から効果のほどを直接聞いているので、実質的な効果があるようだ。
わたなべ牧場ではこのネッカリッチを搾乳牛にも与えているようだ。なるほど、だからだろうか嫌みな味はまったくない。
さて、驚いたのがヨーグルトだ!
先日来、いいヨーグルトに出会っているのだけれども、このヨーグルトもいい。まず、僕が好きなヨーグルトの要件の第一であるパスチャライズ(低温殺菌)乳を使用している。そして、ノンホモジナイズ(脂肪球の均質化をしていない)である。
ノンホモにするとどうなるかというと、牛乳では脂肪が分離して表面にクリームが浮くように、ヨーグルトの場合も、脂肪分が表層に浮いてくる。そして乳酸菌の働きで、サワークリームになるのである!
それは、下記エントリで出てくる「金のヨーグルト」も同じだ。
■2009年06月17日 岩手日帰り出張顛末
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/post_1339.html
そして、僕が大好きな高知県のひまわり乳業の大ヒット商品「宇宙を旅したヨーグルト」もノンホモであり、脂肪分がデロッと分離しているのがウリだ。
さてわたなべ牧場のヨーグルトにスプーンを入れると、、、
おわかりだろうか!?
表面から数ミリの層が分離してサワークリームになった層だ。その下に、ヨーグルトの層ができている。この二層が分離した状態でいただき、味の違いを楽しむのが最高である!
それにしてもこのヨーグルト、素晴らしい。何が素晴らしいかというと、本当に生乳とヨーグルト菌と砂糖しか使っていない味なのだ。
「奥さんこれ、寒天使ってないですよね」
「あ、全く使ってません」
うーんやっぱり。こうした加糖のカップヨーグルトは、寒天で軽く固めるのが常だ。食感を出すためと、輸送途上でドロドロになって蓋にくっついちゃうからというのもあるからだ。けどわたなべ牧場の場合はまったくその辺も無添加。素敵である。いやー 盲点だった。ヨーグルト実に旨いです!
そして同社の新製品が「まめすぼりアイス」。
豆乳で造ったアイスだそうだ。このキャラクターのおかげでスーパーなどでは人気上々とのこと。しかし僕にはもっと豆乳の香りがあったほうがいい。数点、思うところを述べてきた。
いやーしかし、空港やアンテナショップではわからないいい商品があるなぁ。
冷蔵ケースの中を見ると、意外にアイテムが多いのに驚く。アイスは冷凍ケースだからここにはないからね。
おっと、ヨーグルトとプリンの箱買いもできるのか!
これ、贈答用にいいね。ということで買いました(笑)
ご夫婦を撮影させていただくが、、、たいていの人を笑わせることができると思っていた僕だが、このお二人はなかなか笑っていただけない。んー 出雲人気質なのだろうか、、、
それにしても素晴らしきメーカー。ぜひこの方向のまま歩んでいただきたいと思う。
ちなみに、この日買い求め、後日送っていただいた箱入りプリンとヨーグルトを受け取り、さっそくヨーグルトを開けた。しかし、寒天がないせいだろう、輸送途上の振動を受けたのか、クリーム層とヨーグルト層がトロトロと混ざってしまう感じだ。こればっかりは島根県~鳥取県の産地周辺で買い求めるのがベストなのかも知れない。
しかし、昨日来社してくれたとある婦人雑誌の編集部の皆さんに食べて貰ったら「美味しい~!」と声が上がった。やっぱりコレだ。
またぜひ再訪したいと思う。ご馳走様でした!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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