桃にもいろいろあるが、日本で一般的に人気が高いのは白桃だ。この白桃、もともと日本にあったものではなく、中国から持ち込まれた上海水蜜桃という品種がベースになって、様々な品種に発展したものだと言われているる。昔話の桃太郎に出てくるような桃は日本にあった在来種と考えられているけれども、こんにちでは栽培されておらず、野生化したものがどこかに残っているかどうか、といわれている。
美味しい産地で、グッドコンディションに育った白桃は旨い。それは当然だ。しかし、桃は白桃だけにあらず。僕の人生の中で、思い出しただけでじゅるじゅると涎が口中に満ちてくるような、ものすごく美味しい桃がある。それがこの蟠桃(ばんとう)だ。
ご覧の通りの変な形。でこぼことした愛嬌のある形状から、「アンパン桃」と呼ばれることもある。日本でも割と桃を栽培する農家さんなら知っており、栽培しているひとも多い。僕も数回食べている。
けれども、決定版といえる蟠桃に昨年出会った。それが小澤農場という、和歌山の小さな農園だ。
http://homepage1.nifty.com/busyukan/
しかし、、、申し訳ないことだが、すでに今年の収穫は全て終了してしまった。ただでさえ樹の本数が少なく、今年は曇天で収穫量も減ってしまったらしいので、ブログに書いたりしたら大変だという思いから、自分の分だけ確保して楽しませて貰った。申し訳ないッス。
ちなみにこれが小澤さんから送られてきた、今年の樹上でのばんとう。
この小澤農場のものは、樹上で完熟を目指すというものだ。これは非常に大変なこと。一般的に桃は入手してから硬さをたしかめながら、柔らかく追熟したものを食べるだろう。けれども、この小澤農場では木の上でできるだけ完熟させて出荷する。当然、鳥や虫の餌食になる可能性が大で、リスクの高いとりくみだ。しかし、樹上で完熟したものと追熟させたものでは、小結と横綱くらいに力が違う。ぎりぎりまで樹の養分を供給されて熟した果実にまさるものはないのだ。
だから小澤農場からとどいたばんとうは、すぐさま食べられる。指でぴーっと皮を剥けば、きれいにつるりんと剥けるのである。
僕がかぶりついたきたない画像で申し訳ない。でもね、この曇天で他の産地の桃が壊滅的にもかかわらず、こいつぁ最高級の味ですよ。
「でも、例年の味がでないんです、、、」
と奥様の小澤フミちゃんが恐縮されていたが、そんなこたぁない。十分旨い。これに日照と十分な気温が乗れば、比肩しうるモノはない。
ということで、気になる人は来年の予約をいまからしておいた方がいい。その代わり、発送等は小澤農場の都合に合わせること。わがままな消費者は買ってはいけません。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。