京都府の宮津市・飯尾醸造の田んぼが綺麗です

2009年6月18日 from 出張,農村の現実

丹後にある、短角牛と黒毛和牛の交雑種(F1)を生産している牧場の視察があるのだが、それなら手前の宮津で一泊と思い、飯尾醸造さんを訪れています。

まずは恒例の「こんぴらうどん」にて食事。

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この店の超絶な出汁の美味しさを知るためにも、何も入れない「かけ」は食べておくべき。

キュッと冷水で締めて冷やした麺の弾力を楽しむために、冷やしものも頼むとベスト。その際に天ぷらものを頼んで、かけの方にも天ぷらを落とすと、バリエーションを楽しむことができる。写真は野菜天せいろ。丁寧に揚げられた野菜かき揚げと海苔揚げが美味しい。

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最初、飯尾醸造を訪れたときにも、飯尾君が「ぜひ連れて行きたい店が」という。けれども、せっかく海の近い宮津に来ているのに、しかもなんでさぬきうどん?と不思議だった。

けれども食べてみて疑問は氷解。香川でも滅多に食べられないうどんだ。つゆは昆布ベースなので讃岐とは全く違う。麺の食感も、最近多いとにかく弾力ぶりぶりというものではなく、はんなり・ぶりんっ という妙味。

ちなみにこの大将、飯尾醸造のお酢をたくさん使ってくれている。

「貿易の関係で粉のコンディションが悪いときとかは、お酢が助けてくれるんですわ。うどんを打つときに酢をよういれるんです。これが魔法なんですわ(笑)」

ちなみに卓上には、飯尾醸造の富士酢と紅芋酢をブレンドしたものが置かれている。これをうどんにかけると、びしっと合う!酢酸で味がめちゃくちゃになるかと思いきや、まったくそんなことはない。出汁と醤油のうま味の世界に、また違う線が一本入るのだ。

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ご主人には、出汁の話をいろいろ教わった。

「最近、ええ昆布があまり手にはいらんのですわ。関西では昆布はねかせます。打ちが使ってるのは5年くらい寝かせてますなぁ。うちの家にはもう100キロ以上寝かせてあります。そういう単位じゃないと問屋もええのを持ってきてくれんのでねぇ。

いま昆布の世界も後継者不足で、ええ仕事をしてくれる業者さんが減ってきてます。生産者の手取りが低いんでしょうねぇ。けど、問屋の仕事も重要で、やっぱりきちんとしたものを選別してくれる。漁師さんが飛び込みで昆布を売りたいと来ることがありますが、うちでpHを測ると、ちょっとこれはうどんには向かんねぇ、日本料理にはええでしょう、と言うような話になることが多い。やっぱり、漁師さんがいろんなレベルのものを持ち込んできたのを、整理・選別して、寝かせて持ってくるという問屋の機能は重要ですわ。

ただしね、何も知らないで買おうとすると、だまされる世界です。関東ではどうかしりませんが(笑) 何枚かに一枚、別の産地のもんをもぐりこまされるとかは、よくあることです。そういうのを見つけてきちんといえるくらいの眼を持たないと、買う方もあかんのです。僕もようだまされました、、、(笑)」

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うちには秘密はなんにもない、といいながら、つけ汁(辛汁)のあんばいを見せてくれるご主人。

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あるところでぴたっと止めて味見。

「かえしの量、これくらいでもいいか、と思うでしょう?」

うん、ちょうどいいと思う!

「でもね、これにもう少し足すんですわ」

と、けっこうどぼどぼと足していく! ええええちょっとしょっぱいんじゃ、、、

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けれど、その塩梅を強くした汁のほうが、びしっと全体がまとまった味になっている。

「水気をふくんだうどんをつけるんで、強い加減にしておいたほうがええんです。で、これに最後、魔法のお酢(笑)」

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飯尾醸造の玄米黒酢を、適量投入。

おおおっ お酢が入ることによって、輪郭がさらにハッキリくっきりと浮かび上がってきた!酸味は感じないレベルで、しかし味全体には明確に差が出たのである! うーむ 素晴らしい!

ご主人が、おみやげに真昆布と利尻昆布を持たせてくださった。

「真昆布のほうはうちで数年、寝かせてますから」

貴重なものをありがとうございました、、、(涙) 宮津を訪れるものは、かならずこの店で宮津風のうどんを食していくべきである。

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さて一路、飯尾醸造の棚田へ。

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飯尾醸造は、自分のところで仕込むお酢につかう米を契約農家に無農薬栽培してもらっている。しかし昨今、地域の高齢化で耕作放棄値が目立つようになり、蔵人の手でなんとかできないかということで、自分たちで田んぼを借りて栽培もするようになっているのである。

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右が飯尾彰浩君、左が稲作担当責任者の伊藤さん。若き日はぶいぶいいわせていたというナイスガイである。

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みての通り 手植えである。

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この地域はイノシシやヌートリアなどの獣害が激しいため、電柵が欠かせない。下の写真でポールが立っているのが電柵だ。

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(ニコンD700 AiAFニッコール 85mmF1.4 )

 

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日本の調味料メーカーで、自前で原料を栽培しているところはいくつかある。でも、お酢に関してここまでやっているところはそうないだろう。しかも、完全無農薬なのだ。 かなり大変ですよ。

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こちらは契約栽培の田圃。天橋立を望むことができる。

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田が黒っぽいと思われただろうか。これが、古紙を原料にした紙マルチ。田植え時に敷いていき、そこに苗を植えていく。黒い紙が水温を暖め、そして雑草が出てこないように抑制してくれる。稲がしっかり根を張って草負けしなくなったころには分解してくれるという、無農薬栽培には欠かせない優れものだ。

ただし 高い。飯尾醸造ではこの紙マルチは全額を蔵の負担で契約農家に配っている。そして、農家からの米の買い取り価格はびっくりするほどに高い。よくやっておられるなぁ、と思う。安いお酢を買ってる場合じゃないのである。こういう蔵を支えてこそ消費者ですよ。

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楽しみな夕ご飯は、飯尾家にお呼ばれ。

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超絶絶品な、焼き豆腐の煮たの。もうね、本当にこれがあれば他のは無くてもいいくらいに美味しい。

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するめいかの小さいやつ。名前、なんだっけなぁ、、、

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トビウオの旬。酢締めされたのがキュウリと合って美味しい。

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この辺でもハタハタが揚がり、よく食べるという。けど、ハタハタ寿司にはせず、煮るか焼くかだという。ほろほろした身が甘辛い汁に絡むと最高で、速効でメシをおかわり。

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かきチシャの炒め煮。かきチシャは日本に比較的昔からあったレタスの仲間。次々に出てくる葉をかいていくものだが、こうやって加熱して煮含めたのは初めて。とても美味しいものだ。もちろん隠し味に酢が使われているのだが、それがドンピシャ。

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あれだけ並んでいたのに、二人でほぼ食べてしまいました、、、

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飯尾家の心地よさに感謝。

さて本日は牧場へ移動します。