今週は堂々の出張ウィークです。それにしてもやっぱり二戸日帰りは辛いよ、、、
まずはホウレンソウ!
岩手県の軽米町にて、有機JASを取得しての契約栽培をしている福田さんを訪ねた。
彼の経営は、ホウレンソウのハウスを数棟、面積にして4反歩程度。それを年に5回転して、かなりの収益を上げている。有機JAS取得ということと、取引先が決まっていて、かつ契約価格での安定した取引をできるから成り立っている。
と書けば簡単だが、最も難しいのはよいホウレンソウを栽培すること。
もちろんその場でいただく!
生で食べても全くといっていいほどシュウ酸を感じない。さっと茹でると、それすら抜けて、ホウレンソウのもつ旨味がぐっと引き出されてくる。実に美味しい。この品種はプリウス7というもので、葉の部分は非常に美味しいが、茎の部分は今ひとつということ。彼が得意とする品種で作ると、もっと旨くなるらしい。しかもこの日はまだ15センチ程度の草丈。ホウレンソウが一番美味しくなる30センチを超えたあたりのサイズにしたら、さぞかし素晴らしいものになるだろう。来月、それをいただく予定だ。
ゴボウの芽を観ながら次の圃場へ。
この作物、なんだかおわかりだろうか? 、、、時間がないので書いちゃうと、ニンニクです。
この圃場では、5haくらいの面積で、これまた有機JASのニンニクを栽培している。
生産者は、なんとさっきの福田さんのお兄さん。福田ブラザーズは超優秀な有機ブラザーズなのである!
このニンニクは、実は昨年中に短角牛のイベントをやったとき、いろんな料理人さんに使ってもらっていて、「このニンニクはスゴイ!もっと取引したい!」といわしめまくった定評あるニンニクなのである。もうしばらくしたら収穫・乾燥を経て出荷となる。
さて急いで二戸に戻って昼飯。もちろん短角亭。
今日はなんと、短角牛の生のギアラが出た!
これがもう最高。通常、短角の内臓はあまり入手できないので、今日は宝物に当たった気分だ。
さて午後の部では、ものすごい天才肌の酪農家・乳製品製造者と出会った。
三谷さん、というまだ三十代前半の若者。大阪出身の彼が岩手の奥中山に移り住んだのは、放牧酪農ができるからだという。
彼が取り組んでいるのは、ジャージー牛の放牧。12頭という少ない頭数で、搾乳した生乳はほぼ乳製品にして自前で製造・販売をしている。この乳製品がまた素晴らしかった!
フロマージュブランも、モッツァレッラも素晴らしかった!
が、僕が最も感動したのはヨーグルトだ。「金のヨーグルト」というネーミング。「金の」には意味がある。ご覧いただきたい。
スプーンですくったトロトロしたヨーグルト、色は、、、黄色に近いクリーム色の部分と、純白の部分が混ざっているのがわかるだろうか。
写真だとわかりにくいかもしれないが、、、
これ、クリーム部分と、ヨーグルトの部分が分離しているのである。クリーム部分はサワークリームと化していて、実に爽やかな酸味のあるクリームになっている。なぜクリーム部分が黄色というか金色になっているかというと、放牧で草を中心に食べているからだ。
実は僕はジャージー牛の乳製品が余り得意ではない。なぜかというと、配合飼料中心で育てたジャージーからは濃厚な生乳が搾られるが、濃厚を通り越して、しつこすぎるものが多いのだ。
しかし三谷君の酪農スタイルは「おさんぽジャージー牛」と本人がいうごとく、放牧で青草中心に食べさせているジャージー。さっぱりした味わいの生乳になるのだろう、だからそこからつくったヨーグルトも実にスッキリしている。これはね、マジで素晴らしい品質ですよ。フロマージュブランもいいし、モッツァレッラの絶妙な酸味・あっさりした塩っぽさも素晴らしい。しかも、「料理人さんのご要望にできるだけ応えられるように、味のイメージを具体的に教えてもらえれば、作り分けますよ」ということだ。いずれ彼の工房にお邪魔して、きちんと製法を見せてもらおうと思う。
さて、公的な仕事を終えて、一路山を登り、稲庭牧野へ。浄法寺支所までS藤ヨシヒコさんの車で送っていただき(ありがとうございました!)、支所で杉澤君にピックアップしてもらう。
何しに行ったかって?そりゃぁ、第二子である「国産丸」が山に上がったから、会いにいったのですよ。5月を過ぎて岩手の山でも牧草の新芽が出てくると、「山あげ」と言って、短角牛のメス牛と子牛を山に連れて行き、放牧するのだ。
50頭前後の群れの中から、国産丸を探す。
黒と褐色のブチのこの子は、短角のメスに黒毛和牛の精液をつけた、通称「タンクロ」。交雑種またはF1と呼ばれ、両方の特質を持つのだけども、あまり評価は高くない。
そのタンクロの後ろから、ひょっこりと49番の耳標をつけた国産丸が登場。
うわーーーーーーー
ほんの一ヶ月で骨格がガッシリしてきている!
国産丸は元気です。さすがにオス、成長が早い。しかも同時期に産まれた牛の中でも群を抜いてでかい。これは期待できるなぁ。でかく育てよ!
二戸までの帰り道、ちょっと寄り道をしてもらう。実はこの日、S藤氏おすすめのラーメン屋に行きたかったのだけど、時間の問題で寄れなかった。帰りの新幹線の時間に余裕があったので、杉ちゃんに頼んで寄ってもらったのだ。
支那そば 「幸道」 。
鶏ガラと煮干しでスープをとった、東北の豪雪地帯スタンダードな取り合わせのスープが旨い店だそうだ。
ラーメンをあまり好きでない僕だが、この店は佳い!
まずは醤油味のスタンダードな支那そば。
本当にスタンダードな味。煮干しが効いていないとこの辺では人気が出ないらしいが、ホッとする味だ。変わっているのは、チャーシューが鶏肉であるところ。豚より食べやすいぞ、ホント。
しかし、本当に「すげぇ旨い!」と思ったのは、杉ちゃんが頼んだ塩ラーメン。
すみません、レンズが曇っちゃってよくわかりませんが、、、なんとレモンの輪切りが入っている!
この塩ラーメンのスープを一口もらって、ビックリしてしまった。よくあるうま味成分を足しまくってイヤーな感じになってしまっているラーメンとは違って、シンプルにして豊か。そのスープにレモンの酸味と香りが縦方向の彩りを加えている。これは傑作だなぁ、、、
勢いでつけ麺も頼んじゃったけど、これはまあまあだな。
やっぱりこの店は塩または醤油がいい!
ご主人、こいつは今度ゆっくり塩だけ味わいに来ますわ、、、S藤さん、最高でした。今度いっしょにきませう。
と、こういう行程で先ほど東京駅着。
明日は、、、あ、もう日付が変わってしまった。今日はまたもや朝から京都府へとでかけます。二泊三日。この間、原稿〆切3本。皆様、お願いですから追い込まないでください~
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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