2009年6月22日 from 出張,常夏の楽園・沖縄を食べ尽くす
沖縄に居る人達は、地元新聞「沖縄タイムス」などですでにご存じと思う。県外の人達に対しては、「告知よろしく頼みます」ということなのでここに告知します。(クリックで拡大します)
あの「琉球料理乃山本彩香」が、今年8月末で閉店する。僕は「ホンモノの琉球料理」がなんたるかをあまりわかっていない人間だけれども、僕の信頼する沖縄の人々が「彩香さんはホンモノです」と教えてくれる。そして彩香さんの料理を、僕は大好きである。その「山本彩香」が閉店するという。沖縄にとって、これは一大損失といえるだろう。
最初に僕がこの店を訪れたのは2004年(!)。こうして写真でみるとなんとも若い日々であった、、、この頃はIXY Digital Lというコンパクトデジカメで写真を撮っていたのであった。
前列真ん中が彩香さん、右側が、彩香さんの後見人とも言える川端パパ。ちなみに、川端パパこそが、このブログのタイトル題字を書いてくださった方である。先に揚げた、閉店の告知広告も、川端パパが直筆されたものだ。
彩香さんは琉球文化の粋ともいえる琉球舞踊の家元だったのだけれども、このままだと自分が育った環境の側に自然にあった琉球料理の文化が無くなってしまう!ということを危惧され、なんと料理の道に歩む。
その後、業態を少しずつ変えつつ「琉球料理乃山本彩香」を営まれてきた。
僕がこの店を訪れるとき、料理の指定はまったくなにもしないでお任せするので、他の場合がよくわからないのだけれども、基本的にはコース料理一本だ。そして、だいたいにおいて出てくる料理は決まっている。それはバリエーションがないということではなく、きっちりと様式が決まっているということ。その折々に、魚や野菜が少しずつ変わるので全く飽きることがないし、常に新鮮だ。
必ず出てくるもの。その筆頭が、テーブルに前菜としてまず置かれているとうふよう。
お土産屋さんで売っているような匂いのきついものとは全くもって別物。薫り高いチーズのような、でもチーズよりもコクのある、素晴らしきキューブ。彩香さんがひとつひとつをつけ込んでいるものだ。
ほんの一切れしかないのを、いとおしみながら楊枝でねぶり、泡盛をいただく幸せ。
島の、かた~い、そして味わいの深~い豆腐をつかったゆしどうふ。
その折々の地魚が酢味噌にて供される。一体だれだ、沖縄の魚は大味だと言ったやつは。ということ請け合いだ。
そしてこれはある意味、ここのメイン料理。どぅるわかしーという、田芋(たーんむ)を潰してと様々な具材をあわせたもの。絶品中の絶品だ。
そしてこれも、沖縄料理のメイン料理、らふてー。
「ラフティーって呼ぶひとがいるみたいだけど、それは正しい名前ではない。「らふてー」が本当のこの料理の名前よ」
と彩香さんは言った。彼女のラフテーは味噌仕立て。おそらく初めて食べる人は、この料理のあまりの上品さに心から驚いてしまうことだろう。
豚の角煮、とは全く違う。豚肉の滑らかさ、皮付きの豚脂のねっちりした旨味はいささかもそこなうことなく、くどいものだけを抜き、上質な味噌であくまで優雅に仕上げている。
もちろん出てくる料理は、その時々によって変動があるようなので、御了承いただきたい。
と、いうことだ。
僕はすでに、近い某日を予約した。もう、荷物がどんなに大きくなろうが、オリンパスとニコンの両方のカメラとストロボ機材を持って、きちんと写真を撮ってこようと思っている。
ちなみに山本彩香は、たしか水曜日と日曜日(だったかな?電話で確認してください)がお休みだ。席数には超・限りがある。そして予約は必須!カレンダーとすぐににらめっこした方がいい。
で、彩香さんの今後は?ご隠居? いやいやご安心いただきたい。閉店後は、彼女がずっと集めてきた沖縄の工芸品・美術品を中心としたギャラリーカフェを営まれる予定だ。店を訪れた人ならご存じの通り、彼女の美術眼はもの凄いものがあって、店内に素晴らしい皿、装飾品、布、着物などが飾られている。僕には全くわからないけれども、呉服屋の娘である嫁と一緒にいくと、彼女は眼をキラキラとさせる。そうした品々を飾りつつ、軽食くらいは供する店になるらしい。
だけども、琉球料理をきっちりとコースで出す店を営むのは、これが最後になる可能性が高い。この宝物を味わいに行っておくことを、お薦めする。
以上、告知でした。ふたたび、閉店のご挨拶広告を掲示します。(クリックで拡大します)
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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