2009年5月13日 from 出張
淡路島に行くのは結構大変で、新神戸で下車した後、地下鉄で三宮に移動、そして長距離バスで淡路島へと渡る。三宮からのバスの発着は30分間隔。夜、時間があれば、自前の冷蔵庫で長期間熟成した肉を炭火焼きステーキにしてくれる「みやす」か、大好きな中華「楽園」にいきたいところだが、時間はそんなに無い。
こういうときに頼りになるのが、関西の食についての水先案内人であるニシガイチ君である。しんのすけの嫁さんであるあやちゃんのダチという繋がりだが、しりあって以降は素で通じ合う仲になっている。
「おー 三宮にきとんのか。じゃあ、関東にはなさそうな餃子くってってよ!」
教えてくれたのは「ひょうたん」という店。言われたとおりに5分ほど歩き、ガード下の雑然とした飲食店街のなかに、その店はあった。
「この店はな、ご飯すらなくて、ひたすら餃子しかないから。二人やったら3人前とか頼んで食ってみてくれ。特製味噌ダレをつけてたべるんやけど、これが美味しいのよ!」
ということ。その道の「専門店」は、よほど旨くないと成り立たないわけだから、期待してしまうではないか!
店内は期待通り、むちゃくちゃ無愛想な造り(店員さんが無愛想なわけじゃない)。席を見繕って座ると、すぐにカウンター内のあんちゃんから「何個焼きますか?」と声をかけられる。餃子しかないから、「何個」なのである。とりあえず3人前頼んでビール。
これがそのあまりに限定的なメニュー(笑)
餃子以外はのみもの。ビールは瓶。五加皮ってなに?と思ったが、おそらく漢方薬草の酒だろう。
ちなみにこれがニシガイチの言っていた「味噌ダレ」だ。
実は僕が高校時代に通っていた埼玉県飯能市の繁華街(でもないけど)「飯能銀座」に「らんしゅう」というラーメン店がありここの名物が餃子だった。その餃子にもピリ辛でニンニクの香りのする味噌をつけて食べるのが旨くてよく通った。社会人になってから同じようなのが東京にはあるかとおもいきや、なかなか出会えずに飯能に帰ったときには移転した同店でよく食べている。
しかしこの「ひょうたん」の味噌ダレはまた独特! 八丁味噌のような、非常に奥行きのあるパンチのきいた味噌がベースになっている。しかし、八丁味噌のあの強すぎるコクは抜けていて、あっさりともいえる仕上がり。
「あれはよほど熟成させてると思う」
とニシガイチが分析したのは的を得ているように思う。それとこれ、肉味噌なのだ!つぶつぶの挽肉がはいっていて、これが旨味を醸成している。ご馳走的な肉味噌である。
さてしばし待っていると餃子が運ばれてきた!
皮は厚め、しかしノソノソとはしていない、実に滑らかふんわりとした焼き上がりだ。これを味噌ダレにドブッとつけてまみれさせていただく。
うん、美味し~い!
具材が全くしつこくなく(肉含量が低い?)、フッカリした皮の食感が楽しく、そして何より熱々過ぎないのでぺろりといけてしまう。肉味噌も、濃い色味に反してそれほどくどさがないので、餃子とはベストマッチ。
醤油や酢、ラー油といった基本セットもあるので店の女の子に聴いてみたところ、
「肉味噌に混ぜていただいても美味しいです」
ということでトライ。
醤油は必要ないかもしれんが、酢がはいると引き締まった味になって佳し。自家製らしくトウガラシ沈殿物の多いラー油も、奥深く重たい風味があって佳い。
いやー
さすがに餃子味わいマイスターのニシガイチ。素晴らしい店でした。この後、淡路島で夕食だったので一人1.5人前だったが、これなら僕一人で4人前は頼みたかった。次回はぜひそうしたいところだ。
どうもありがとう、ガイチ!
■撮影データ
ボディ:D700
レンズ:AF-S 24-70mmf2.8 タムロン90mmマクロDif2.8
餃子写真はタムロンの90mmマクロ。花などのマクロ写真用の名玉といわれているのを、バルク品が25000円で売っているのをみて買ってしまった。90mmだと、テーブルの上の一点ものを全部いれて撮影するにはちょっと長い焦点距離。ニコン純正の60mmマイクロは手放さない方がいいな。タムロンマクロの描写はとてもいい。けど、僕のように料理については被写界深度を深めにする場合は、ちょっとぼけすぎるかも知れない、と思ったのだった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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