昨日、大イベントをやったので、月曜日の朝は三浦半島の長島農園で迎えた。先日ラ・グラディスカを離れた堀江純一郎シェフと相部屋で、12時まであれこれ語り合い、朝はやめに起きて長島君の作業を見せてもらう。
ルッコラの野生種と言われている、ルッコラ・セルバチコ ドイツではサルヴァティカ。この野菜も、僕が学生の頃はまだまだ造る人がいなかったものだが、ここ10年でかなり出回るようになってきた。とはいえ、一般のスーパーではまず売れないので、直売やレストラン需要が中心だ。
このサルヴァティカに、「蜂蜜の香りがする花が咲いてるのよ!」とお母さんが教えてくれた。ちなみに長島農園との出会いは、勝美君よりもお母さんとのほうが早い。平成7年に横須賀で開催された、農業情報ネットワーク全国大会というイベントで、僕がインターネット産直フォーラムという分科会をコーディネートした時だ。まだ僕は大学院生だったけれども、大入り満員のフォーラムになった。その時の実行委員が長島・母だったのである。その頃、勝美君はドイツでの農業修行のまっただ中だった。
その後、全中という農協組織の友人宅に遊びに行ったとき、帰国し野菜の栽培品目数を増加しつつあった勝美君が、野菜を送ってくれていた。その、パワフルで多彩な野菜を味わって、この人に会ってみたいと思って足を運んだのが、彼との出会いである。いまや各方面からひっぱりだこの彼だが、全く変わらない、佳いやつである。
で、サルヴァティカの花だ。
これが、本当に素敵な香りがするのである!
蜂蜜というのは確かによく言い当てている。かなり濃厚な甘い香り。堀江君は花びらを食べて「うん、やっぱり花びらも甘い」といっていたが、口にすると本当に香りとおなじ甘い味がした。
ルッコラは大根やキャベツと同じアブラナ科作物だ。アブラナ科の花は綺麗だけれども、ここまで香るのも珍しいな、と思った。
勝美君は、サルヴァティカは出始めの頃よりも、数回葉をむしったあとの、とう立ちまぎわの方が香りとコクが強くなり好きだそうだ。もちろん、それをわかってくれるところにしか出荷はしない。
あ、とう立ちっておわかりだろうか? 植物の花芽が出て伸びてくることを「薹が立つ」という。薹が立つと、それまで柔らかかった葉や根茎が硬くなり筋張ってしまい、食用に適さなくなることをいう。よく女性に向けて放たれる悪い言葉に「トウが立ってるけどね」というのがあるが、それである。菜の花なんかは、薹が立ったのを食べるのだけどもね。
例えばこれは、ほうれん草が薹立ちしてきている図。
これはディルの花。
さて勝美君に別れを告げて、三浦の高梨農場へ。海岸沿いの気持ちよい空の下を駆け抜ける。
高梨農園は、三浦半島で年間150品目以上を作付けする、超絶マニアック農家である。しかも、ほぼ全てを家の前の直売所で売り切る。こんな農家、観たことがない。
「今頃は一番何もない季節なんでねぇ、、、」
と言いながら、畑で抜いたルタバガ。堀江君は食べたことがないということで、持ち帰らせてもらっていた。
金色の草原がある、、、と思ったら、これもアブラナ科の花。でもここまで細かくわーっと黄色くなる花ってなんだろう、と思ったら、、、
「これはスティックセニョールですね!」
あ、なるほどね、スティックセニョールならこうなるわな。花として観たときに、とっても綺麗。
大根の花は、農家にとっては「穫り遅れたってことで、ちょっと恥ずかしい」ものだったりするけど、これも綺麗。
いろんなアブラナ科植物群生。
ジャーマン・カモミール。これがまた、小さな可愛らしい花なのに、香りの強さは天下一品である。
という、野菜というより花三昧な朝を送って、京急線三崎口駅より堀江君と別れ、日本橋に到着す。さて仕事しよう。
ちなみに今朝、長島農園の農家の食事にて。
すでに割れている卵の殻、青っぽい。アローカナ種という鶏の卵かと思ったら、、、
「なんかね、烏骨鶏なんだけど、アローカナと混じっちゃったのよ!」
という! アローカナと烏骨鶏のF1! それは珍しい、、、
もちろん健全な卵の味。ご馳走様でした!昨日の大イベントの模様は、また後日アップします、、、
■撮影データ
ボディ:ニコンD700
レンズ:60mmMicro、24-70mmF2.8、70-200mmVR
70-200の望遠の描写、かなり佳い!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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