今年最後の出張は岩手。二戸から久慈市山形町へ雪中行軍! 「山藤 広尾店・西麻布店」が総力を挙げて作る、大地を守る会向けおせち料理造りに触れてきた! & 今年最後の二戸訪問から始まる旅 その1

2008年12月29日 from 出張

PC280468 とりあえずこの旅の発端となった「大地のおせち」について触れておこう。

大地を守る会の会員は幸せ者だ。会員向けのおせち料理作りを見学させてもらったが、中身はすべて「マジ?そこまでやるの?」といわんばかりの国産度合い。それも、ただ単に国産というだけではない。内容的にも凄まじくきっちりしたものなのだ。他の企業の高級おせちであれば「ここは既製品だろう」というものがすべて手作り。参った。

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「余りがあるなら僕んちも買おうかな」

と軽く言ってみたが、「うーん ありますけどちょっと高いですよ、、、」というので聴いてみたら58,000円ということで、あえなく撃沈(涙)。けど、「高すぎる!」とは全然思わない。全ての素材、調味料、そして箱(なんと群馬県産の桐材を米の糊で貼り合わせたもの)に理由があるものだった。120セット完売とのことだが、さすがは大地の会員と思ってしまった。俺もこんなの買えるようになりたいです。

さて、今年最後の出張は二戸から。
PC258964 ホンモノの雪を味わってしまった、、、

仕事の前に、超絶の蕎麦を楽しむことができる「米田工房 そばえ庵」に向かう。駅から10分程度だけど、車がないとイケマセンのでご注意を。
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店主の米田カヨさんに久しぶりにお会いすることができた。御年○○歳とは思えない、本当にお元気な様子、、、
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なにが超絶かっていうと、、、この店の蕎麦は十割。すべてそば粉は店主である米田カヨさんが育てたもの。それだけなら「自前の粉を使う店はあるよ」といわれるかも知れないが、、、
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なんとこの店のそばつゆに使う醤油まで、米田さんの手作りなのである!PC259000
PC259024 味噌造りは素人でもできるが、醤油を作るのは本当に難しい、手間と細心の注意が必要な仕事なのだ。しかし米田さんは

「昔はね、どこでも手作りだったのよ」

とこともなげだ。うーむ 現時点で醤油まで手作りしているそば屋さん、あるだろうか。あったとしても少ないに違いない。本当に驚異的だ。
PC259019 しかもですな、手作りだろうがなんだろうが、不味かったらしようがない。けどね、ここの蕎麦、つゆ、すべて極上に旨いのだ!

蕎麦は十割だけど、ビシッと角が立っている。風味も上々!つゆの濃度、香り、旨味も十二分!とにかく美味しい蕎麦である。二戸で数カ所の蕎麦を食べたけれども、最も印象に残るのがカヨさんの蕎麦なのだ。

もちろん、サイドディッシュもことごとく自家製の素材をつかったものばかりだ。
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白菜にかかっているのは、なんとニラ醤油。ブワッとユリ科植物の香りがして旨い、、、
PC259031 カヨさんのへっちょこ団子はタカキビの団子が柔らかめだ。これもまた美味しいし、フォトジェニックだ、、、

一方、二戸市は一つの重要な店を失ってしまった。それは、駅前ロータリー内という絶好の場所にあった雑穀茶屋「つぶっこまんま」だ。

残念ながら12月23日にて店をクローズ。主人の安藤直美さんにはいろいろなご苦労があったことと思う。PC258974
店の片付けをしているところに顔を出すと、「アピオスが茹だってるから」と持たせてくれた。

でも、安藤さんは次のステップに踏み出す。雑穀料理研究家として、 もっと羽ばたいていくことになるわけだ。実は、2月に都内の某イタリアンレストランにて、安藤さんを招いての雑穀・やまぶどうイベントを開催する。詳しくは年明けに告知するので楽しみにしていただきたい!雑穀料理研究家という肩書きのひとは多数居るが、彼女は雑穀の本拠地にてずっと生活の中で雑穀を使ってきた、いわばはえぬきなのだ。このまま埋まってしまうのは早すぎるのである。

さて、会議終了後は、僕の子牛「さち」に会いにいく。

「もうここからは俺が運転する車に乗った方がいいから」と、杉澤君が迎えに来てくれた。雪がものすごいのだ。 PC259042 PC259046 短角の子牛は牛舎に入ったばかりで慣れていないから、人に近づいてくれない。しかし、奇跡的なことに、入り口付近にさちがいてくれた!写真の左から二番目の牛がさちだ。
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「あら、皮膚病に罹っちゃってるな」

おおおお 本当だ、目の周りがちょっと脱毛している。これは普通、群れになっている短角牛にはほとんど感染するものなのだそうだ。 少し経てば直るというのでホッとする。
PC259058 むちゃくちゃ寒いけど、もともと牛は寒さに強い生き物だ。どんどん育って欲しいと願う。
PC259062 PC259071 こちらがさちを育ててくれている漆原さんだ。身体に気をつけてくださいね、、、

さて
この夜は民宿「天台荘」にて宿泊。杉澤君のご同僚のM浦さんと、上司であるS口課長とご一緒させていただく。
PC259086 このS口課長、いつもは役場の職員だが、冬になると、、、マタギになるのである!

そのマタギが用意してくれているのがこれ!
PC259083 PC259085 何の肉だかおわかりだろうか、、、

熊肉である!
食べたことがない人は「えええ 硬くて、臭そう」と言うだろうが、大いなる誤解だ。こんなにも嫌なクセが無く、えもいわれぬ食感の肉なんてそうそう無い。
PC259133 PC259138 PC259150 熊鍋は、まず鉄鍋の底に薄く切ったリンゴを少し敷いて、ぶつ切りにした熊肉を載せ、日本酒のみでまずグラグラと柔らかくなるまで煮る。柔らかくなったら味噌をぶちこみ、味が染みてきた頃にネギを入れていただく!
PC259164 PC259167 もう、トロケルほどに旨~いのだ!

熊が臭いなんていうのは、歳をとった熊肉か、撃ったあとの処理が悪い熊肉だ。今回の肉は実に若い熊だったらしく、臭みの一片もない!柔らかく、脂肪分もトロトロにとけるような甘さ。熊肉に比べれば、牛肉はいやなクセがある肉だ。そして、熊肉には圧倒的・全方位的な旨味がある。
PC259170 中盤、「凍み豆腐」をもどしたものを投入。これに汁が染みて、、、
PC259176 こうなるのだ!実に最高!

S口課長様、マタギ様、どうもありがとうございました。本当に旨かった!
翌日から課長は、北海道の白糠にて鹿猟にでかけるという。うーん 鹿肉も旨そうですな、、、

ちなみに

もちろん熊肉と合わせるのは、この二戸市浄法寺に製造免許をもった業者が2軒もいる、名物どぶろくだ。
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最高の熊肉、漬物、煮染めをいただいているうちに、夜が更けていく。
さいごは「行けバット」だ。
PC259208 PC259210 「はっと」とは、「御法度」の意味を持つ蕎麦。昔、飢饉が多かった時代に贅沢品として禁制になった蕎麦やうどんを、こっそり農家が食べるために、麺状にせずに三角形にして食べていた(と、うろ覚えの記憶から引っ張り出したので、細部は間違っているかも知れない)。御法度だから「はっと」。「行けバット」とは、「もうこれが最後の料理だから、食ったら行け(帰れ)」という意味のものだそうだ(笑)

翌朝、一面銀世界となっていた。
PC269221 PC269225 PC269216  PC269237 PC269248 二戸市には宿泊施設がいっぱいあるけど、ぜひこの天台荘には飯つきで泊まっていただきたい。達者なおばあちゃんのおもてなしに間違いなく感動できるゾ。
PC269257 この日も雪の中、杉澤君がオーナー牛舎まで連れて行ってくれる。
PC269288 さちを産んでから、ぐっとたくましくなった彼女は、すでに次の子を身ごもっている。次はオスだろうか、またもやメスだろうか。
PC269330 それにしても雪の二戸は美しい!
PC269365 PC269355 PC269377 まだ行ったことがなかった天台寺にも参拝。
PC269467 PC269473 PC269412 PC269393  PC269453 ありがたい気持ちを胸に、杉澤君に年末の挨拶をして、一路 久慈市山形村に向かうのであった。

(つづく)