2008年11月 5日 from 食材
山形県の須藤さんから、大好きな薄皮丸茄子の漬物が届いた。ご馳走になります!
その丸茄子の漬物の瓶 二本をいれた箱に、クッション材と一緒に食用菊が一杯に詰められていた。漬物を出荷している佐藤さんのサービスらしい。
嬉しい、、、
食用菊は、山形県内では日常的に食べられているけれども、関東ではよほどのことがない限り手に取る人がいない。和食の料理教室にでも行かなければ、若い女性が買い求めることは少ないだろう。
しかしこれほど美味しいものもそう無いのではないか、と思う。食用菊には黄色と紫があるが、今回は紫(というよりピンクか)。おそらく、山形で「もってのほか」と呼ばれる品種だと思う。
なんで「もってのほか」なのか、、、あまりに有名な逸話だが、山形では昔から菊が好まれていた。しかし、菊と言えば、、、菊の御紋! それを食べるとはもってのほかである、という話しだ。
すぐにシナッとなってしまうので、大量の菊をすぐに茹でる。軸を持ち、ガクの部分から花びらをむしる。全部の花から花びらをとるのは結構時間がかかるのだけど、ここは根気強くやりきる。
花びらがザル一杯になったら、鍋に湯を沸かし、お酢を軽く一ふりまぜて菊を入れる。茹でるというより湯通しするという感じで、サッサッサと湯に全体をつけて、冷水にとってすすぐ。
キュッと水気を絞って、甘酢などで和える。それだけだ。
世にも美しい食べ物ではないか!
だって花だよ!? サフランや紅花も、こんなふうに花びらを主役として食べるワケじゃない。こんなに素晴らしい食べ物って、そうそう無いと思う。
口に入れて歯を立てると、サックリという食感と、クンナリという食感が混ざり合ったような、絶妙な色気のある歯触りがする。そして、ほのかに立ち上る菊の香り。ガクをとっているからか、菊の花から漂うあの強い芳香は感じない。ただただ、ほのかに美しい薫りが感じられるだけだ。そして、その薫りが味覚を誘導しているのかもしれないが、気品のある甘さが続く。甘酢のように酸味が少し足されていると、菊が持っている薫りと甘さにちょうどマッチする。
そういえば、山形・庄内のアル・ケッチァーノの奥田シェフは、山形在来作物研究会の懇親会で、この食用菊を鯖の切り身をソテー(またはグリル)したものに乗せていた。
これも旨かったなぁ、、、
まだ、食用菊を食べたことがないという人には、ぜひお勧めしたい。たべぬは一生の後悔ですぞ、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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