2008年5月14日 from 出張
出張の合間に原稿を書きながら、参考文献を読むということをしていると、本当に時間がない。そんな中でもいろいろ食べて廻っていると、自分が一体何をしているのかわからなくなってしまう。
JA職員さん向けの講演終了後、名古屋市内で某氏とミーティングする前に、時間があったのであんかけスパのまだ行ってない店をチェック。名古屋駅からすぐの「あんかけ亭」。 エビフライタルタルがのっかったミラカンという感じ。あまりビリッと辛みがこないという評判だった。食べてみたが、確かに胡椒の辛みは抑えられていて、きっと初心者にも食べやすい味だ。悪くない。、、、悪くはないけれども、やっぱり僕は正統派ヨコイの味がいちばん好きかなぁ。
そして本日は大阪。 たまにはインデアン以外のカレーを攻めようと、親友の西垣内に聴いて、肥後橋の「わすれな草」。小さなスタンド居酒屋で、昼はカレーのみ。水を使わずヨーグルトとトマト主体のチキンカレー。スパイシーさがあまりなく、インド的でありかつオフクロ的優しさもありという、昼飯にちょうどよいあんばいのカレーだった。並580円、大盛り680円。写真は当然大盛り。
今池方面に歩くと、またカレー屋発見。「上等カレー」という。カレーを食べた直後だが、思わず入ってしまう。 インデアンカレー風の楕円形皿。卵の黄身もデフォルトで着いてくる。野菜スペシャル1000円は、ジャガイモ、ほうれん草、人参のソテーがたっぷり載ってくる。なかなかこのプレゼンテーションは佳い。
と思ったのだけど、ルーは見た目ほど濃厚ではない。悪くはないが、全体的なうま味にかける。他にはカツカレー、エビフライカレーがあり、おそらくそちらを食べると、油脂と肉・魚介のうま味がプラスされて十分になるのかもしれない。
厨房は清潔感があって、年配のお父ちゃんお母ちゃんが立ち働く。いい感じだなぁと思ってティッシュに手を伸ばそうとして驚いた。「得正」と書いてある!カレーうどんで有名な得正が出しているカレー店の業態であったか!なるほど。でも、得正のカレーうどんはもっとこくがあって美味かったけどなぁ。野菜スペシャルのトッピングは佳いので、あとはルーのコクが欲しいかな、と思った。
その後、某社とミーティング後、リーガロイヤルホテルのラウンジで遅めの食事をとるということで、僕はおやつとして(笑)お供することにした。
ここで、かなり衝撃的な一皿と出会う。それは
「蕎麦サラダ」。
いやー子供の頃からいつもここにくると、蕎麦サラダ食べるんですよ、というOさんに釣られてオーダーしたのだったが、これは確かに美味い!見ての通りの茶そば に様々な魚介とハム、野菜が盛られていて、これにゴマベースのドレッシングというかつゆをかけていただく。これが侮れないほどに美味い!
シーフードがしっかり入ったピラフとこの蕎麦サラダをハーフ&ハーフで頼むというのがポイントらしい。ピラフも旨かったが、この蕎麦サラダは逸品であった。
さて本題。
ここのところ、ようやく各種雑誌で「食の危機」をテーマにした特集が組まれている。
■岩波書店の「世界」5月号
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2008/05/directory.html
ちなみに今週発売されている号のエコノミストに、僕のインタビューが4ページ掲載されている。
■ナショナル・ジオグラフィック社の、これは昨年の号だが
そして、、、
■中央公論6月号
これは買う価値のある号だった。ちょうど今出ているからぜひ買って読んでいただきたいものだ。丸紅の柴田さんはいろんなところで引っ張りだこだが、数字をきちんと提示して、世界的な食料争奪の現状をレポート&考察しておられる。
かなり個人的に溜飲が下がったのが、自民党の中川昭一氏が「日本の農業は再建できるか~消費者よ、コメに還れ~」という記事を書いている(のか、聞き書きかはわからないが)。日本の政治家が農業を語る言説で、聴くべきことがある人って結構少ないが、そのうちの一人が中川氏だ。超タカ派だとは思うが、、、この記事の中では数点腑に落ちない部分があるけれども(ちゃっかり民主党批判したりしているしね)、論旨は明快であり、僕の著書と同じく、消費者や行政も食に責任をもつべきということも言っている。
民主党の篠原孝さん、ツルネンマルテイさんは信頼が置ける、第一次産業に関して素晴らしい知見をもった議員さんだ。この二人が農政にしっかり絡んで欲しいなぁと思う一方で、農政にがっちり強みを持つ中川さんにもう一度農政大臣に復帰してほしいものだとも思う。
それと、この中央公論の記事で、素晴らしい!と思ったのが、生物学者である福岡伸一さんの記事だ。「生物にとって「食べる」とはどういうことなのか」というこの論考では、「食べ物なんて、何を食べても同じ」というような言われ方が大間違いであり、何を食べるかで人間の組成が大きく変わったり、負担がかかったりするのだ、ということを述べておられる。そして、食を吟味しなければならない理由が、説得力がある形で述べられている。
いちばん素晴らしいのは
「食べるという行為は、私たちの生命や健康にダイレクトに関わってくる。そこにお金をかけずして何にお金をかけるのか。食費を切り詰め、携帯電話やファッションを優先するというのは、やはりおかしな話ではないだろうか」
という一説の前後だ。とても共感する。
ちなみに、ニューズウィーク誌も「世界食糧危機」を特集。
日本の状況より世界の状況に詳しい。28Pに掲載されている、「世界の農業は補助金まみれ」という図解入りページが、価値が高いと思う。
「日本農業は補助金まみれで、、、」という声をよくきくが、カロリーベース自給率100%を超えている国だって補助金まみれである。日本は自給率39%と惨憺たる有様なのだから、補助金をつけてでも生産したほうがいいという局面にさしかかっている。
値上げで食品の価格が上がったり、補助金を拠出することに眉をしかめる人が大勢いる。けれども、それは未来の食を正常に保つための「投資」なんだと考えることができるのではないだろうか。「投資」と考えると、「値上げ」とは違ういろんな何かが見えてくる気がする。そして、納得感が得られるのではないだろうか。
そんなことを考えながら、出張は続く。明日は出雲です。 東京駅から歩いて日銀の通りを歩く。ツツジが綺麗。E-420でシャッタースピード15秒で撮影したみた。クリックして少し拡大した画像みてもらえればわかるとおもうけど、結構ノイズ少ない。さて、帰るか。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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