2008年3月 5日 from
先般、週アスの取材で大分県の臼杵市を訪ね、その食の豊かさにびっくりしまくったのだけど、なんとこの臼杵の味が東京で楽しめるところがあった。
銀座には各地方のアンテナショップが集まっている。なんで銀座なの?と思わぬでもないけれども、一カ所に集まってると楽だというのもまた事実ではある。
で、ロメスパのジャポネが入る銀座インズ3の対面、沖縄のわしたショップの道を挟んで向かいの、ウェンディーズが1Fにあるビルに、大分県のアンテナレストラン(といえばいいのかな)「坐来」がある。
■「坐来」(ざらい)
http://www.zarai.jp/menu.php?menu_no=1
実はスーパーマーケットトレードショーの日、臼杵市長である後藤さんから「ヤマケン、食べにおいで」と誘われていたのだ。ちょっと遅れて駆けつけると、なんと映画監督の大林さんや塩屋俊さんがスピーチをされている。げげ、こういう着座パーティーだったとは!
この坐来には一度、別のイベントで来たことがあったのだけど、料理長の手による食事はしたことがなかった。実は大分出身の若き料理長が実にすばらしい料理を供してくれたのである!
飲み物もとうぜん、大分にちなんだもの。こちらはたしかカボスのドリンクだ。
このほか、熊笹の葉を水につけて抽出した、くま笹の露というのが実にまろやかで旨い。
美しい先付け。右側のご飯ものが、茶台寿司という臼杵の郷土料理だ。
飯の上だけではなく下にも具があり、具がご飯を挟むといった形態。この料理は臼杵編でもいただいたものだが、アジや卵焼き、椎茸などいろんな具があって綺麗に美味しかった!その下にはなんといっても大分名産の椎茸。
ふくわらび、というらしいが、ふぐの皮と山菜の和え物。ワラビが美しい。
さて、ここですばらしい一品が。
なずなの会という循環型農法を実践する農業者・赤峰さんのにんじんをつかったすり流しだ。
この赤峰さんのにんじんは、僕の乏しい全国行脚の経験のなかではトップクラスのすばらしい美味しさを発揮するにんじんなのだ!
この、身体全体から陽の気を放出しているような御仁が赤峰さんだ。
彼の畑では、なんと純粋な和種のホウレンソウを育てていた。
和種のホウレンソウは、病気に弱かったりしてつくりにくいため、西洋種と交配したものが多く、今日ではあまり商業的には造られていない。しかし味に関していえば段違いの美味しさなのである!
赤峰さんの農場では循環型農法と名乗っているが、有機肥料を投入しながら、雑草群と作物を共生させていく農法を採っている。「なずなの会」という会の名称は、「なずなが生えてくる畑は非常にバランスがいいんですよ。」というところから採ったというお話だった。
みよこの尻の赤さ!
さてその赤峰さんのにんじんがすばらしかったのだ。
彼のにんじんは、味が非常に濃いのにもかかわらず、全体のバランスが非常に良く、突出した刺激成分がないため、非常に柔らかなまろやかな味だ。にんじんで刺激的な味のものを造ることはそれほど難しくない。何かが欠乏していると、どこかが突出するのだ。けれども赤峰にんじんは実にすべてのバランスがとれて、なおかつ一つ一つの要素がクッキリしている。これは一般のにんじんと比較しないとわからないだろう。
そんな赤峰さんの野菜が、この店では使われている。
「必ず入荷しているとは限りませんが、入荷している時にはお出しするようにしています」
ということなので、赤峰野菜を食べたい人は予約時に確認して欲しい。
この日届いていたのは、すり流しにも使っているにんじん。
写真の遠近法トリックではなく、非常にでかいのである!大根と同じくらいの大きさか。
でも、なぜか彼のにんじんはさっくり柔らかい。それに皆おどろくのだ。
このにんじんを使ったすりながしはレギュラーのディナーコースで楽しめるそうだ。
くだんのホウレンソウも入荷していた。
無理を言って生で運んできてもらい、そのままばりばり食べる。すさまじく甘い!
同席していた人たちも「信じられないほど甘い!」と言っていたので、確かだろう。
この辺は、季節によって入荷も変わるだろうから、もし行って無かったとしてもごめんなさい。繰り返しになるが電話で確認してから行ってみてください。
さて、臼杵といえばふぐ。
これは臼杵のフェアだったから出たもので、おそらくレギュラーコースでは別にお願いすることになると思うが、やはり旨い!
焼き物類。
それと、臼杵にこんな旨い酒があったのか!と驚いたのがこの酒。
「一の井手」というこの酒、当然ながら純米で、食中にびったし合う酒だ!
なんと同じテーブルに、この酒蔵である久家(くげ、と読むそうだ)本店の社長さんがいらっしゃった。
この酒を醸す杜氏さんはまだ若い関東出身の人だそうで、ここにもドラマがありそうな予感だ。なんにせよ、大分の純米酒はマークしていなかったが、これ実にすばらしい酒でした。また飲みに行かないとイカンな。
さて、〆は黄飯(おうはん)だ!
この料理こそ臼杵の独自性を表したものだと思う。その名の通り、クチナシで黄色く染めた飯。
これに、「かやく」とよばれる具だくさんの汁をかける。挽肉そぼろのようにみえるのは、魚のすり身だ。
これがもう、実に滋味深い、優しく温かな旨さなのである。ぜひこの黄飯を試して欲しい。大分の海と山の幸、そしておしゃれな城下町文化が融合された逸品だと思う。
〆のデザートは抹茶の氷菓子
練乳がかかった下には、なんとショコラが仕込まれていた。
うーむ満足。この店、いいな。
ただ、くれぐれもレギュラーで出るコースの中身は写真に掲載したものとは違う可能性が高いので、そこはご理解くださいませ。なんにしても、赤峰にんじんのすりながしと黄飯はマストアイテムだ。
臼杵市長様、呼んでくださってありがとうございました。きっちり臼杵の味でしたぜ!
またぜひご一緒しましょう!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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