2008年2月22日 from 日常つれづれ
農業情報ネットワーク、というのが僕の大学・大学院時代の研究テーマだった。
まだインターネットが一部研究機関にしか敷設されていなくて、接続している端末もUNIXや漢字トーク7を搭載したバカ高いMacが中心だった頃だった。Web自体が新しい技術としてもてはやされていた中、Webというこの新しいメディアの上で、農業関連の情報にアクセスすることができる仕組みを作っていこう----と、燃えた学生生活を送っていたのだ。
その頃から比べると今は本当にインターネットは一般的なメディアとなった。特に農業情報ネットワークなどと名乗らずとも、ググればいろんな情報が検索されてくる。僕の大学院時代からは想像もつかない変化だ。
大学院に入った頃から「農耕と園芸」という、農業雑誌の中では文藝春秋のような渋い位置づけの雑誌(ちなみに「現代農業」は農業界の少年ジャンプといわれていた)に「俺と畑とインターネット」という連載を書いていたのも、常時接続のインターネット環境に居た学生で、一日中各国の農業情報システムの整備状況をウォッチすることができたからだ。
その頃の連載の初期の回を読み返してみると、モデムを使ってどのようにプロバイダに接続するか、ということを延々と解説していた。10年続いたこの連載は、農業者であってもぜんぜん普通にインターネットを利用する環境になったところで、終了させていただいた。もはや公開情報ベースであれば誰でも、農業の有用な情報を得ることができる。
しかし!
今はどちらかというと、情報過多の時代だ。逆にどの情報をみればいいのか、どういう検索キーを使えば求める情報が出てくるのか、ということがわからない人も多いだろう。種苗会社がどういう品種を出しているのかということを調べたくても、種苗会社なんて山のようにあるから、Web検索なんて逆に効率が悪かったりするのだ。
だから、実はいまこそ、コンテンツをまとめるポータル的なサイトを立ち上げる意味があったりする。
んで、実はしばらく前に、新しい農業情報関連のポータルサイトを立ち上げるお手伝いをさせていただいたのだ。コンテンツ企画の根幹に関わらせてもらったので、個人的にも必要な情報群をすべて網羅したサイト構成が実現した。
■みんなの農業広場
http://www.jeinou.com/
農業機械のKUBOTAと、全国農業改良普及支援協会というところが共同で運営しているこのサイト、いろんな人が農業関連のコラムを書いたり、新しい栽培技術の情報や品種の情報、それに農業関連のイベント情報がきちんと網羅されている。実はこういうのを網羅的にリストする仕組みを作るだけでも大変(情報システムの話ではなくて、原情報をどうやって集めるかとかそういうの)だ。でも、改良普及支援協会という、公の立場があるので情報が集まってくるのだ。
それだけではなく、実はこのサイトには、新規に農業を行いたい人向けにものすごいサービスがある。
「営農相談コーナー」というところがあって、所定の書式で質問をすると、きちんとプロの農業関係者・研究者が回答してくれるのである!
もちろん、ちゃんと作物を指定して、具体的な質問をしないとダメなのでご注意。「儲かる農業教えて」とかそんなのは質問として受けられない。技術に関わる情報であればきちんと回答が来るので、もし懸念がある人がいたら試して欲しい。立場上、回答する方たちを知っているけれども、すばらしい布陣である。
で、そういうガチンコ系農業ネタばかりだと読む人が疲れるので、かなり多彩な人たちにコラムを執筆してもらっている。これがけっこうな量になっている。
そこに、とうとう僕までが執筆にかり出されることになってしまった。
■食の「ものさし」を捨てるときが来た
http://www.jeinou.com/column/2008/02/22/155219.html
僕が撮影した写真付きで、3回くらいの連載になる。3月に出版される本(新書です)の中身をちょっとかいつまんで書いたような感じだが、時間のある人はぜひお読みいただきたい。
それにも関係するけど、最近、他業界から農業関係のビジネスをしたいという相談を受けることが非常に多いのだけど、その多くが、農業の生産や流通についてほとんど正確な知識を持っていない。それも仕方のないことで、農の世界はあまりにも裾野が広いのである。生産された大根がどのように販売されているのか、ということをきちんと書いた教科書などどこにもない。だから、農業関係の世界が、巨大な金脈のように見えるのだろう。
残念ながらそんなに金脈と呼べるものはないのだが(正確に言えば、もうかなり押さえられてる)、まずはこういうところの情報をくまなく見て、使われている用語とかを頭に入れてから考えてみることをおすすめしたい。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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