二戸の週末 全日本どぶろく研究会の夕べ

2008年1月29日 from 出張

大分の佐伯市から夜に帰京し、翌日の朝一番の電車で岩手県二戸へ。もう、何が何だかわからない状況だ。今回は全日本どぶろく研究会というイベントでの講演。

当然のごとく岩手は雪。新幹線で東京から福島あたりで雪になり、その積雪量がだんだんと多くなって二戸に至る。でも、「今年はぜんぜん少ない」のだそうだ。

もうすっかり定宿となったパークホテルから市街の中心に歩く途中、民家や商店の軒先にこんな者がぶら下がっている。

凍み大根である。大根をなた切りにしたものに紐を通して干しておくと、夜間に凍って、昼には溶けて、を繰り返して脱水され、カラカラになるのだ。

さて
昼飯はかねてからいってみたかった「金次屋」へ。この辺一帯のひとにとってのスタンダードラーメンはこれなのだそうだ。

「中高生のころはラーメンって言ったらここだったなぁ」

と、浄法寺の役場の杉澤君が言っていたのである。

店内に入ると、広い土間にテーブル多数。間口は小さく中が広い大衆食堂的な作りだ。
調理場にはお母さんたちが湯気をたたせながら働いている。

品書きをみると中華そばと日本蕎麦、そしてご飯ものという感じ。

まあ、スタンダードな中華を食べてみないと始まらない。
嫁さんが中華を食べ、僕は味噌ラーメンと天ぷら蕎麦を頼む。腹が減っていたのだ(笑)

この店の中華の特徴はなんといっても麺。

中太で色白の麺は、強い香りはあまりしないが実に素直な味だ。スープも、芯はあるがあっさりしているので、全体的に優しめの味。かといって薄いわけではなくしっかりした濃度を保っている。北国のラーメンは油たっぷりというイメージがあったのだけど、ここはそうではなかった。味噌ラーメンと天ぷら蕎麦はまずまずという感じ。やはりほかの客がみな入店するなり「中華」とオーダーしているように、ここでは中華を頼むのが吉だ。

さて全国どぶろく研究大会は、かなりの盛会となった。

なんと47種のどぶろくが全国から集まってコンテストを行うのだ。現在、酒税法の関係でどぶろくは自家用にも造ってはならない。ただしどぶろく特区という制度があり、免許を取得すると製造することが可能になる。その免許取得者が集まってのイベントなのだ。だから内閣府の担当参事官さんも来賓として来ていて、なかなかにきちんとしたイベントだったのだ。

これは開催地・浄法寺のどぶろく。浄法寺には「天台の湯」と「天台荘」という二つの宿泊施設が免許を持っており、どちらも実に旨い!

で、47種のどぶろくの品評会があったのだけど、濃い味とさっぱり味の二系統で品評され、山形県のどぶろくと、地元岩手県のどぶろくが最優秀賞に輝いていた。受賞どぶろくはあっというまになくなってしまい、飲めなかった。残念!

この日はなんと、僕の短角牛との出会いとなった山形村(現在は山県町なんだけどあえてこう表記)の智ちゃん一行が来てくれていて、みんなを連れて夜はいつものごとく短角亭。大分では魚ばかり食べていたので、なんだかやたらと肉が旨く感じるのである(笑)

さて翌日は一応オフとして、前回あわただしく回った浄法寺をゆっくり楽しもうということに。
まずは、有名な浄法寺漆器を見にいく。二戸市浄法寺は、漆の産地として名高いのだ。

ここ「滴生舎」では、職人を抱えて自前の漆器の販売もしながら、岩手県内の作家さんの漆器も並べている施設だ。

この漆器類が実に佳い! むちゃくちゃイイ!
漆器なんてぜーんぜん興味なかったんだけど、この辺で飯を食うと、気軽な感じで漆器に盛り込まれてくることが多い。それをみているとだんだんと佳さがわかってきたのだ!

しかも製造直売だからか、とても安いと感じる。

デパートなどで買う感覚の3~4割安くらいで買える感覚なのだ。
たとえば、この二段の角重箱が5万円弱。

これは作家さんの作品で、下塗りは中国産の漆をつかったもので、仕上げに浄法寺産の漆を使っているため、価格的にこなれているらしいのだけど、中国産漆だけのものをデパートで買うより遙かに安いと思われた!
ということで、これは速攻で買ってしまった!かねてから重箱、欲しかったのだ、、、

この方が、ここで生産している職人・小田島さんだ。

ここでは漆器の直しもしてくれるそうで、買った商品の色が変色したりしたばあいも、すぐに安価に対応してくれる。極めて安心!これは楽しみが増えた!

ということでお椀も買ってしまいました。
こちらのお椀は滴生舎で造っているもので、下塗りからすべて浄法寺産の漆を造っている。その分ちょっと高め(一椀で一万円程度)だけども、持った感じの吸い付くような、なんとも魅惑的な手触りがたまらないのだ!

うーむ満足。
僕は食べることに関係するアイテムにはお金を惜しまないのである。その代わり、身につける洋服類にはほぼお金を使わないのだ!

さて昼飯は、先日のエントリでも書いた、堀口ばあちゃんの「田舎の家」である。
(つづく)