僕が短角牛のオーナーになった日

2007年10月 9日 from 日本の畜産を考える


ちょっと間が空いてしまったが短角牛のこと。
某日、二戸市浄法寺総合支所の短角牛担当である杉澤さんから、嬉しい連絡が届いたのである!

「やまけんさん、組合内で正式に、やまけんさんに牛のオーナーになって貰っていいだろう、という合意がとれましたよ!正式な手続きはこれからしますが、とりあえず大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿にはやまけんさんの名前で牛を登録しておきますので!」


やったぁああああああああああああ!

まだ雪の降る2月に初めて短角のオーナー制度に出会って以来、そう簡単にはオーナーにはなれないだろうと、なかば諦めていた短角牛のオーナーになることができるのである!

ちなみに少し間が空いてしまったので復習をしておくと、短角牛のオーナーになるというのは、短角牛のメス牛の所有者になるということである。まだ正式な金額がこちらに届いてないのだけど、購入にかかる費用がおそらく20数万円。

そのメス牛は二戸市浄法寺町の大清水牧野という広大な牧草地帯に放され、生まれた仔牛と共に夏を過ごし、冬はオーナー牛舎で2月下旬から始まる出産ピークに向け体調管理されるのである。料金は、夏の放牧料が親子で1日240円程度で、冬は餌代も含めた牛舎での管理費用が一日500円程度。これを年ごとに決済していくわけだ。

牧野に居る間、短角牛のメスの群れの中に一匹の勇壮な種雄牛が放たれる。
つまり完全なるハーレム。雄牛はじゅんぐりに、発情期を迎えたメス牛に種を付けて回る。余程のことがなければ、晩秋の雪が降る前に種が付くわけだ。
で、子牛が生まれたら、秋まで育成して、家畜市場に出荷する。いい値段が付けば、母牛の購入代金や餌・管理代と相殺でき、母牛が数回お産をする中で損益分岐点を超えるということになる。


もちろん、子牛を市場に出荷するだけではなく、子牛を信頼置ける肥育農家に預けて、肉牛として太らせてもらうこともできる。その場合は預託料金を肥育農家に支払うことになる。そして、市場での買参権を持つ肉屋さんに頼んで、自分の牛として買い入れてもいいわけだ。

むろん、僕は最初に生まれてくる子牛はこの形式で、最後まで自分の牛として、肉にするところまでを見届けたいと思っている。1頭の牛を肉にすると、250Kgくらいになるから、とてもじゃないが数人で食べ尽くすことは出来ない。その時には、大オフ会を開催する予定なので、ぜひ色んな人に集まっていただきたいと思う。

で、
牛の所有とは別に、この国には牛を飼う場合の制度がある。日本で生まれ育つ牛が全て登録されている個体識別データベースに申請・登録しなければならないということと、あとこれは農業者の任意ではあるが、共済制度に加入するといったことだ。ただしこの辺は、実際に牛の管理をしてくれる大清水牧野農業協同組合が登録を肩代わりしてくれる。

僕の牛の個体識別番号は1231175826だ。
この番号を、全国の牛を管理している家畜改良事業団という団体の検索システムに入力すると、牛の出生・移動履歴を観ることが出来る。

■家畜改良事業団の個体識別情報検索ページ
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html

ここで僕の牛ちゃんの番号を入力してみると、大清水牧野農業協同組合の組合員である二戸市浄法寺町の堀口さんという繁殖農家さんのところで産まれ、そして現在は大清水牧野にいるということになっているのがわかるだろう。そして草が枯れ、雪が降る時期になるとまた大清水牧野オーナー牛舎というところに入ることになる。そうした移動の履歴がいちいち記録されるのである。

「オーナー制度では、牛の管理を全面的に大清水牧野農業協同組合が行っているためヤマケンさんの名前は出ないんですけど、大清水牧野農業協同組合のオーナー名簿上はやまけんさんの名前で登録していますからね。」


ということである。
ちなみにこの娘が僕の雌牛ちゃんである。
角がキュッと外に伸びた、清廉なイメージの若娘なのである。
これで、晴れて彼女は僕の牛ちゃんになったということなのだ。
そうなってみると本当にこの娘牛に対する、なんともいえない感情が芽生えてきた!
あまり頑張りすぎ無くていいから、健やかに育ってくれよな、、、
という気持ちになってしまう!

これから可能なかぎり、牧野に通いたいと思う僕なのであった。