2007年10月15日 from オフ会
いやー本当にお疲れ様でした。
昨日開催された静岡オフ会、東京から幼児含めて53名、静岡組が40名弱、東京の料理人スタッフ15名近くと、結局100人超の会となったが、滞りなく開催することが出来た。これも関係者皆さんのおかげ。心からの感謝を捧げたいと思います。
東京のシェフ軍団は朝の5:30に出発。まだ陽が昇りきっていない、寝ぼけまなこでの出発だ。
けど、東京のシェフ連中はおそらくほとんど眠っていないのではないだろうか。木曜日に豚2頭分の肉、内臓、ガラが届いてから、バルバリとアルキメーデ、井のなかで分配して仕込みを始め、土曜日も作業におわれていたはずだ。僕はいつもの通り、工藤ちゃんの車に便乗して一路浜松を目指す。
富士川サービスエリアで眠気ざましのコーヒーを楽しんでいると、なんとアルキメーデの重一家が到着。
富士川SAには小さなスターバックス店舗があって、ここのテラス席から富士山をのぞむことができる。が
この時、僕の大好きなジョニ・ミッチェルの新譜「シャイン」がかかっていて、気分的には最高。天気も曇り気味だけど、雨は降らなさそうだと言うことで、いい一日になる予感がしたのだ!
一服しているうちに、なんと東京バルバリ軍団も到着。だいたい同じペースで浜松に向かっているのであった。ちなみに浜松までは4時間弱。これまでのオフ会開催距離としては最長ということになった。
さて浜松。
オフ会会場は浜松西インターから15分程度の「ミートレストランとんきい」。
とんきいでは養豚から小売・飲食まで一貫して行っている。全国的な豚肉の食味コンクールで最優秀賞を獲得した鈴木さんの養豚の世界を味わうことが出来るのである。バードコート軍団も全員集結して、いよいよ東京組は仕込みの開始である。
静岡側スタッフは会場設営。ちなみに「スタッフ」といっても、今回扱わせていただく食材の生産者、農業関連の職員さん、そして全くそういうのとも関係ないけど集まってくれた人たちという混成軍団だ。にもかかわらず、身を粉にして働いてくださった。なんといっても静岡のスタッフは、みんな参加費を払ってボランティアしてくださるのだ。頭が下がります。
そうこうしているうちにバスが着いた!
今回は浜松駅からとんきいまでのバスを仕立てた。
さすがに東京から浜松までバスにすると道中が大変なので、駅集合である。往復運賃もばかにならないのに、よくぞ53名あつまっていただいたものだ。
定刻10時に開会。
料理人、生産車、静岡スタッフの皆さんを紹介。
昨年度に開催されたオフ会では200人を超える会になってしまったので、伝えるべき情報をきちんと伝えられていなかったという反省がある。今回は、食材、料理、そして運営に関わっているみなさんをきちんと紹介していくことが重要と思って、思い切って時間をとったのだ。
まずは、とんきいの鈴木さん、そして我らがハム・マスターである関師匠による、手作りソーセージ体験。
その間、前菜の準備がドドドドドッと進む。
今回はきちんと素材の解説と料理の内容解説をやろう!ということを主眼としていたので、ここで生産者と料理人の解説。
小池君、料理ガンガンやってる最中だったので、汗が額を伝う。
井のなかの佐久間さんは静岡県産のサンマを使った、店の名物になりつつあるサンマの肝醤油漬け炙りの刺身を出してくれる。
これらの料理についての話しを、もう空腹でしょうがない!という状態の参加者がじっと聴いてくれる。忍耐力を発揮してくれた参加者にも御礼をいいたい。
ということで会食スタートである!
前菜の提供が始まってすぐ、厨房ではバードコート軍団が親子丼の調理にとりかかる。
野島さんには、静岡の駿河シャモで親子丼を造っていただいたわけだが、これは単純なものではない。
普段野島さんが仕入れをしている奥久慈シャモと駿河シャモでは全く肉の性質が違う。今回は醤油とみりんも浜松近辺のものを使ったのだけど、その味も店のとは違うわけだ(ちなみにみりんはもう少し熟成させた方がいいという感想だったけれども、浅羽醤油についてはなかなか、ということだった)。
また、コンロの火口が、口径が大きすぎて内火が弱く、4口あるコンロのうち、実質的に3口しか使えないという制約の中で格闘していただいた。でも、結果的に非常に美味しい親子丼が出来たと思う!なんといっても僕が写真を撮り忘れてしまっているくらいだから、、、(笑)
さて
親子丼の後は、どどどっとメイン料理だ。
金華豚とフジロックを掛け合わせた、「ジンフォアフジロック」という豚品種の内臓肉たっぷりのスパイシーなカレー。バルバリの小池君得意の、タイ風の味付けだ。
モツ自体の臭みが少ないので、後は柔らかな旨みが残る。美味しかった!
そのとなりではアルキメーデの重がパスタを仕込み中。
シチリアの名・ショートパスタである「スパッカレッラ」を使って、駿河シャモのモツ、胸、もも肉のミンチを使った軽めのラグーを。
小池君の肉焼き技術が凄まじく光ったのが、ロース肉を柔らかく火入れした一品だ。
ジンフォアフジロックは、中国系の血がメインとなった豚であるため、脂身が極めて多い。ここを塩漬けにしたラルドをつくり、このラルドの薄皮でロースの棒を巻いて、強火で火を入れる。
でもこの段階ではラルドに直接火があたっているだけで、肉には間接的に柔らかく火が入っている状態た。これを小一時間程度寝かせて、じんわりと余熱で内部にギリギリの火を通す。
この写真の断面をみれば、桃色の肉が見えるだろう。この状態から、周りをカリッと焼き付ける。
この技法を野島さんが「すごい火入れだよ、、、」とじっとみていたのが印象的だ。
これが完成形。ロース肉に載っているのはラルドだ。
実は今回、唯一残念だった点がある。それはジンフォアフジロックの熟成が今ひとつの段階で東京におくられたことだ。豚肉もと畜・解体したてより、熟成をかけた方が美味しくなる。とはいっても牛肉と同じような長い期間ではないが。で、今回のジンフォアフジロックはと畜後2日で東京に届いてしまった。だからまだタンパク質のアミノ酸分解がされていない、旨みの少ない堅い肉の段階で料理をすることになってしまったのだ。それもあって、実は今回、豚の旨さを前面に出すというよりは、いろいろ技巧を使って美味しくする方向性をとった。その中で、小池君が造ってくれたこの一品は、ストレートにジンフォアの端麗な美しい味を象徴的に引き出していたと思う。
このとおり(笑)子供達も美味しく食べてくれていたようだ。
ちなみにさすがシェフ軍団、デザートまできっちり仕上げてくれた。
これは何だと思いますか?
答えはティラミス。けど普通のティラミスではない!
「どんどこ浅羽」の丸ごと大豆豆腐を使ったティラミスなのだ!
コレが実に旨くて、僕は一鉢全部食べてしまった。
重は、地元の牛乳である引佐牛乳を使ったヨーグルトのジェラート仕立て。
女性陣によってすぐさま無くなってしまった!
と、こんな感じで料理が全て提供された。
この時点で15時。バスに乗って帰るのが16時だから、慌ただしく片付けをしながら、残った食材のオークションなどをてっとりばやく行う。今回は持ち帰りようのタッパーなどを持ってきてくれるよう伝えたので、料理はほぼ残らず皆さんに持って帰っていただくことができた!
ということで閉会!
東京からの参加者はみな浜松駅に帰っていったのであった。
その後、静岡スタッフ、東京の料理人たちで一服。
皆さんの顔に、やりきったという満足感が残っていた。
おそらくここまでの内容のオフ会は、今後そうそうは出来ないと思う。
それほどこちらも消耗したが、僕自身も満足だ。参加者の皆さんの感想をお待ちしたいと思う。
本当に静岡の皆さんには感謝の一言。
そして、東京から駆けつけてくれた料理人・スタッフの皆さん、ありがとうございました。
あまりに圧倒的だったので、もうしばらくオフ会はいいやぁ、という気分だけど、きっとまたやりたくなるだろう。そう思いながら、東名高速で帰途についたのであった、、、
最後に今回の食材等を下記に掲示しておきます。
↓
<乾 杯>
国香純米吟醸古酒
<飲み物>
国香(国香酒造) 日本酒2種(特選純米吟醸、特別純米)
ビール(浜名湖地ビール)、ワイン(国産有機ワイン)、牛乳(引佐牛乳)、静岡茶(べにふうき等)
<食 事>
(1)重シェフ<イタリアン>
茄子カポナータ
茄子ペースト&トマト&リコッタサラダ&クレープ
駿河シャモの内臓と肉のラグー
ヨーグルトのレモンバーベナの呑むシャーベット
(2)小池シェフ<フレンチ>
ジンフォアロックのアンドウイエット(モツの腸詰め)
その他 前菜多数
ジンフォアフジロックのモツ煮込みカレー
ロース肉の小池風ロースト
どんどこ浅羽豆腐のティラミス
(3)工藤料理人<和食>
冷やし鶏
バラ肉の角煮
静岡産サンマの肝醤油つけ炙り刺身
(4)野島料理人<焼き鳥>
駿河シャモの親子丼
・野菜
永田野菜研究所の茄子、青唐辛子
佐野ファームの有機ルッコラ、ほうれん草、らでぃっしゅなど
<デザート> キウイフルーツ、引佐酪農ヨーグルト・アイスクリーム
<お土産> 手作りハム、静岡茶、天竜油揚げ
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