2007年7月30日 from 日常つれづれ
うーん
感慨深い夜だった、、、
まず、食い倒れには関係ないけど、夕暮れ時に東スポの見出しで「カール・ゴッチ逝く」を見たときに、一つの時代が終わっちゃったんだなぁ、と悲しみにくれてしまった。
カール・ゴッチはプロレスの神様と言われた人で、ジャーマン・スープレックスの創始者だ。
小学校時代、柔道の道場から帰るとすぐに新日本プロレスの中継にチャンネルを合わせていた頃、僕や友達が最も熱心に読んでいた漫画は梶原一騎「プロレススーパースター列伝」であった。当時は初代タイガーマスクである佐山タイガーの全盛期であったが、佐山はゴッチの弟子であり、その美しいジャーマンを体現できる存在だった。猪木のジャーマンも当時はまだまだ説得力があり、彼らの背後にいるゴッチの存在が偉大なる山脈のように思えたものだ。
ちなみに誰との対戦かはっきり思い出せないが(おそらく猪木だ)、ゴッチがジャーマンをしている映像の記憶がある。投げるというよりも、相手をホールドしたままブリッジをしたら、相手がストンとマットに逆さまに落ちていった、という感じで、相手をモロに投げるジャーマンとは全く別の印象を受けたことを思い出す。これを再現しようと、高校時代に友人を体育館のマットで投げた際、自分の頭頂部でブリッジすべきところを一瞬の躊躇で後頭部がマットに着いてしまい、結果、相手の全体重が顔面にブシャッとかかり、自分の歯で唇が裂傷を負ってしまったことがある。悔しくてそれから毎日ブリッジの練習をしたことを思い出す。アホだったなぁ、、、
しかしゴッチを本当の意味で神格化したのはなんといってもUWF系の選手達だろう。U系が盛り上がるにつれ、その精神的支柱であるゴッチは本当に神様と化していった。この国の総合格闘技の前段階、非常に血湧き肉躍る時代である。
そして、日本が世界から選手を集めて開催していた総合格闘技イベントPRIDEが一頓挫し、アメリカのUFCにお株を奪われ、格闘技ファンがこれからどうなるんだろうという不安を抱えているこのタイミングで、ゴッチが逝った。なんともやりきれない。ともあれ、カール・ゴッチ氏のご冥福をお祈りいたします。日本の格闘技界を見捨てないでくださいね。
そして、「バンビーノ!」を愛読しているビッグコミックスピリッツを手にしてまたビックリ。「美味しんぼ」に無農薬リンゴの木村さんが登場しているでないの。
木村さんについては、テレビでも採りあげられ、最近では各所で講演会が開催されているので、知っている人も多いだろう。日本ではほぼ不可能といわれた無農薬でのリンゴ栽培を成し遂げた人だ。また無農薬だけではなくほぼ無肥料という栽培方法のため、長らく理解されなかった人だ。ちなみに、飯尾醸造の果実酢ラインナップにはこの木村さんのリンゴを原料にしたりんご酢がある。木村さんがこんなに有名になる前から飯尾醸造は良好な関係を築いていたわけである。さすが、、、
テレビもきっかけになっているとはいえ、この木村さん人気はスゴイ。しかしこの文脈は面白いなあ時代は変わっているのかなぁ、と思ったのだ。
僕が農業との関わりを持ち始めた高校時代後半の頃、まだまだ世の中は「有機農業なんてできやしない」という偏見に充ち満ちていた。すでに市民運動としての有機農業・産直運動や、大地を守る会・らでぃっしゅぼーやといった団体が設立されていた頃にもかかわらず、である。その頃の有機農業は畜糞ベースの堆肥中心で、まだまだ有機の質として植物性か動物性かというところまで問われることはなかったように記憶している。
でも、いまでは有機農法であったとしても、その「有機」の質が動物性の畜糞なのか、植物性か、植物性でもその中身がなんなのか、というようなところまで細分化されて評価されるようになってきている(まだまだその世界はマニアックではあるが)。つい先日もその評価軸で生きる人と出会い、ちょっとした衝撃を受けた。
おりしも昨年、有機農業推進法が成立したばかりだ。これからまた、有機農業の新しい時代が拡がるのかも知れない。そういえば昨日の参院選で、比例代表で僕が投票したのは、この有機農業推進法を推し進めたリーダーであるツルネンマルテイ氏である。受かって佳かったよツルネンさん、これからも頑張ってください。
さてそんなことをつらつらと考えながら、新宿駅近くのカフェハイチ本店へと向かう。この日最大の衝撃がここで僕を襲おうとは思いも寄らなかった。カフェハイチについては今更いうまでもなく、名物のドライカレーが麻薬的旨さを醸し、ファンを離さない名店である。最近は色んなところに出店しているようだけど、僕は一貫して新宿西口の本店が好きだ。何と言ってもドライカレーのルーが旨いのは当然として、常に品質が一定したあの旨い白飯が素晴らしい!大学2年生の時から、新宿のヨガ教室に通い続けて今日まで14年、すくなくとも一ヶ月以上このドライカレーを食べないと言うことはなかったと思う。
今日もいつもと同じように「ドライカレー大盛り、コーヒーはホット」とオーダー。
運ばれてきたドライカレーを一口食べてから、ホットソースをまんべんなくルーの上にかけ、スプーンの背でならしてから福神漬けをその上に拡げ、ルー、白飯、福神漬けが均等にスプーンに乗るように配分しながら口に運ぶ。ああ、至福の時。
ちなみに僕は大盛りを食べてもちょっと不足を感じてしまう。もう少し盛りがよければなぁ、、、
(↑これ、伏線です)
あらかたたいらげるとハイチコーヒーが来る。このハイチコーヒーが絶品な訳だが、アイスコーヒーにしてしまうと香りと味が立たなくなるので、どんなに暑い日でもホットが望ましい。これについてくるブランデーを正確に12滴垂らす。僕が長年かけて辿り着いた黄金律だ。ホットソースでビリッとなっている舌に、熱いコーヒーが追い打ちをかける。うーん堪らない。
といういつものパターンを味わいながら、お冷やをついでくれた女の子に、何気なく聴いてみた。
「あのさ、ドライカレーって大盛りよりもっと盛りをよくしてもらうことってできるの?」
「ええ、『特盛り』っていっていただければ、200円増しでもっと大盛りになりますよ」
なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
訊くんじゃなかった!
どうしてくれるんだ この空白の14年間を!特盛りなるものができるなんて全く知らなかった!
おもえばこの店、店員さんと仲良くなるような雰囲気ではないから、そんな柔軟なオプションがあるなんてつゆほどにも思わなかったんだよなぁ。もうね、本当にビックリしましたよ。もっと早く訊けばよかった、、、
でもいいさ。まだ俺には明日がある。これからは迷わず特盛りでオーダーするしかない。
そんな風に心に衝撃を受けながら店外に出ると、激しい雨が降っていた。
とまあ、色んなことが夜に集中した一日だったのである。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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