2007年2月19日 from 出張
まあどんな会の佐藤洋子さんがお世話になったという、山形県は置賜の農業改良普及員であられるS先生にお招きいただいて、生産者さんへの講演を行う。あ、そういえばまあどんな会の「なんばんの粕漬け」ニューテイストが出るんだけど、俺がコンテンツ書いてる暇がない!もう少し待ってね!100セット限定で新なんばん&漬物セットをやります。
高畠駅を降りると雪! 雪、雪、雪!
「まずは先生、蕎麦を」
ということで、同行のT林さんが連れて行ってくれたのが、街道をスッと入ったところに民家ようなたたずまいで在る「清壽庵」だ。
「これも一種の隠れ蕎麦ですね、、、私的にはイチオシの店なんです」
”隠れ蕎麦”とは、山形特有の言葉で「農家などが、農閑期に自慢の蕎麦を期間限定で提供するタイプの店」だ。山形には蕎麦を栽培する農家が自分で粉を挽いて麺を打ち、期間限定で客に供するということをよくやるのである。それがバカにならない旨さだというから面白い。
店内に入ると、これも山形のそば屋の特徴だが、まるでおばあちゃんの家の座敷のような感覚だ。
品書きには盛り、ざる、鴨汁、鴨つけ、釜揚げなどが並んでいる。
「釜揚げ?出雲蕎麦みたいに、蕎麦をゆで汁ごと提供するアレかな?」
と気になった。でも期間限定の鴨も気になる。そして初めてのそば屋で盛りを注文しないのは道理に合わない! ということで
「鴨汁と釜揚げと盛り蕎麦ください!」
と元気よく言ったら、おかみさんが「はぁ? ええと、大丈夫ですか?」
「大丈夫だいじょうぶです!」
「うーん じゃあ鴨汁と釜揚げをお食べいただいてから、足りなければご注文ください」
と警戒されてしまった、、、
さて結果からいっちゃうと、この店すばらしい!
鴨汁はデカイどんぶりになみなみと熱いのが注がれている。濃い汁なので蕎麦の風味をよく味わえないけど、これはこれで旨い!
むろん、まずは鴨汁に浸さずに蕎麦のみですすってみる。中細の手打ち麺を噛みしめると香りがズワッと拡がる!かなり弾力に富んでいたので、S先生とT林さんは「これ十割かなぁ、、、」と首をひねるが、勢いよく啜ろうとしても、表面がざらざらしていて啜り混みにくいので、おそらくこれは十割だろう。
何にしても非常にレベル高く旨い!
釜揚げはやはり出雲蕎麦とおなじスタイルで、ゆで汁といっしょにどんぶりに入った麺に、もりづゆをかけ回してあたたかく食べる方式だ。
なかなか佳し。
麺がやわくなって、その分さいしょから香り全開で噛まなくとも蕎麦の香りがブワンと口中を満たしてくれる。麺量が多いので結構腹にたまるが、蕎麦だからまだまだ行けるのである。
「大丈夫ですか?」
「もちろん! 盛り、お願いします!」
最後まで信用されなかった、、、
しかしここで出てきた盛りそばに、山形の美学の骨頂を感じだ!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
こいつぁ 旨い!
以前にも書いたかも知れないが、江戸前の辛汁と違って、山形蕎麦のつゆは非常に上品かつ適度な濃度であり、蕎麦を100%美味しく食べさせてくれるキリッと清冽な味である。
いやぁ~ 麺佳し、汁佳し、総合得点は限りなく5点満点に近い!
唯一残念なのは、このときは北海道産の粉がメインだったこと。地元の粉でこの味だったらもっと素晴らしかったのだが、でもそれはそれ。異様に高いレベルの蕎麦であった。
ちなみに今回、デジカメを持参できなかった。そう言うときに限って旨いものに出会うのが常なのだ。で、今回はT林さんの私物のデジカメをお借りした。
「IXYですけど、、、」
おお!
懐かしやIXYシリーズ。彼の愛機はIXY600。十分に高性能・高画質なモデルである。
使ってみると、非常~に懐かしい!これこれ この感覚だよな、IXYは!
長らくこのブログではIXY Digital Lを使っていたので、この操作感に35mmの画角、4:3フォーマットの絵作りが懐かしいのだ。T林さんどうもありがとうございました、、、
さて講演終了後は、講演を聴いてくれた生産者グループの皆さんと赤湯温泉に泊まって懇親会。
「先生!」
と皆さん呼んでくださるのだが、、、私が一番若造なのである。
なにせそのグループの会長さんとお話しをしていたら、
「なに、35歳? ワシの孫と同じじゃないか!」
えええ??
おいくつなんですか???
「ふふふ ワシは戦争から生還した男だよ。大正15年産まれの82歳だ。」
ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
こんな人相手に農産物のことを講演するのは本当に恥ずかしい、、、
しかもこの会長さん、山形で大規模に山地酪農(放牧の酪農ね)を実践しているパイオニアだった!
次回山形来訪時には放牧場を見せていただくことをお願いした。
夜、部屋で何気なしに点けたテレビで音楽番組を観た。
Polysics(ポリシックス)というバンドが出ていた。PVとかライブ映像とか流れていた。
ヤラレタ! なんて素晴らしい音楽なんだ!?
こんなバンド知らなかったぞ、最近デビューしたのか、、、って、もう長いキャリアがあるバンドじゃないか!
30分で完全にファンになった。泊まったホテルには高速インターネット回線などなかったので、ウィルコムのW-OAM通信カードを使って256Kのデータ通信でYoutubeの動画をチェック。お、十分にブロードバンド通信として使えるのう、、、 てかんじでライブ演奏とかPVを10曲くらいチェック!
超・カックイイ!
ひさびさに日本のバンドに惚れた!
「ピーーーーーチパイ! ピッピキピッピピ! ピッピキピッピッピ!」
とか、異様にナンセンスでパンキッシュである。
いろいろ調べたら、ディーボの影響を受けたバンドらしい。
ディーボ、、、 高校時代に一瞬ダチになったヤツが、家で聴かせてくれた。
「この帽子をかぶるのがニューウェーブだったんだよ」
「ふぅーむ、、、」
そのときは佳さがわからなかったけど、今はわかる!
Polysics最高ですな。
ライブ情報を観たら、な、なんと俺の36歳の誕生日である3月4日に渋谷でライブ???
でもこの日は週刊アスキー取材で南の島に行ってるんだヨ、、、超残念。
そんなこんなで就寝は3:00AM。なにやってんのか、俺。
さて
赤湯温泉の朝飯はなぜか普通に餅を食べるらしい。納豆・からみ餅おいしゅうございました。
で、
赤湯といえばラーメンが有名らしい。最も有名な店は、東北のラーメン店ランキングでみごと一位に輝く「龍上海(りゅうしゃんはい)」という店だ。
「こってりしたスープ、赤湯では標準的な極太のちじれ麺、そして辛味噌(唐辛子ニンニク味噌)が乗っているのを溶いて食べるんです」
というのを聴いてるだけで食いたくなる。この食い倒れ日記にはラーメンが掲載されることが少ないが、ラーメンが嫌いなわけではなくて、美味しいと思うラーメンが少ないだけなのだ。
10時40分くらいに店に着くが、すでに数人が並んでいた。11時半に店に突入。初めて食べた赤湯ラーメン、それも辛味噌ラーメン大盛りは、超絶品なものであった。3mm程度の脂の膜がコッテリ浮かび、その下に薄茶色に展開するスープの味は、臭みナシ、旨みたっぷりの秀逸なもの。それににんにくたっぷりの辛味噌を溶かすと、唐辛子によって異様にキレがよくなる! 噂通りのストロング極太麺は、木場の至宝・来来軒のタンメンの麺よりさらに太い特別バージョンである。おそらく生であろうニンニクがたっぷり投入された辛味噌風味に対抗するにはこれくらいの麺じゃないとダメだ。
一気呵成に食った。
久しぶりにラーメンを旨い、と感じた幸せな瞬間だったのである。
その後、調子に乗って俺だけもう一軒ラーメン。これも人気店の「来来軒」のワンタン麺にも辛味噌を投入して食う。龍上海にくらべたらあっさり目だが、これも太めのちじれ麺に程よいスープがからみ、そして辛味噌の酸と辛みが食欲をダレさせない。
その後、「お茶でも」とおっしゃるS先生と佐藤洋子さんと、創業50年以上になる喫茶店「田園」にて、「ここのカレーは美味しいのよ」といわれてしまったのでやっぱり食ってしまう。 この辺のラーメン二杯・カレー一杯の流れは10時のおやつ、昼ご飯、そしてデザートという流れとしてご理解いただきたい。
「田園」のカレー、喫茶店カレーとしては実に辛さが強く、スパイスに懲りすぎておらず、家庭的な味とプロの味のちょうど中間より若干右傾化というポイントで秀逸だった。
いやー
まだまだ知らないものがある!
これだから出張は辞められないのである。次は絶対にカメラを持ってくゾ!
ということで、久々に文字中心エントリでありました。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。