2006年11月15日 from 首都圏
新蕎麦の季節はやはり佳いものだ。例年ならばもう少し早い段階で信州の蕎麦も出てくるけど、やはり今年は前半の低温期が響いているのか、ようやく信州ものが出回るようになってきたらしい。
僕のオフィスのある日本橋周辺は、新橋・虎ノ門界隈ほどではないけど、足を伸ばせば蕎麦天国だ。自転車でツーッと京橋・恵み屋に走って、石臼引き蕎麦大盛り750円をすすりこめば、なんでこの価格で10割でこの味と香りなんだ! と驚嘆することができるし、ちょっとかしこまって食べたければ茅場町方面に少し歩いて藪伊豆の本店で食べることも出来る。
しかし、超絶技巧による旨い蕎麦をいただくならば文句なしに銀座の「流石」にいくのだ。
■流石
東京都中央区銀座1-19-12 理研ビルB1階
03-3567-0012
■過去ログ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/06/post_817.html
地下にあるし、看板等も控えめなのでちょっとわかりにくい。地上にこんなのが出ているのを見逃さないように。
実は新蕎麦がまだかまだかと思いながら10月前半からぽつぽつ行ってたのだが、今年はいいコンディションの蕎麦がくるまで時間がかかっていた。北海道士幌産の蕎麦粉は僕にはあまり感動が感じられない。その前は「福島産のを使ってみたんですけど、いかがでしょう?」と調理場のヒラさんに言われたが、まあまあ、という感じだった。
「やまけんさん、今日は信州の新蕎麦ですよ!」
おおおおおおおおおおおおおおっと
やった! ようやくである。
よくみると、メニューにも新蕎麦の字が躍っている!
よしゃ、ちょうどバイトの学生君と一緒だったので、昼食だけどはり込んで食べようと決意。
通常のせいろと、この店のスペシャルである玄挽き(くろびき)蕎麦、そしてひやかけ蕎麦をオーダー。
最初に運ばれてきたせいろがつやつやと輝いている。
比較対象がなくて残念だが、この店の蕎麦はとにかく針金のごとき細さ、角はビシッと立っている!
何もつけずに3本ほどつまんですすり混む。
ひとかみした瞬間、漫画でいう「!」という無言の驚きの後、バイト君と顔を見合わせる。
「う、、、、、、、、、 旨い! なんだこの香りは!」
新蕎麦であることをさっ引いても、ひとかみ目からブワッとほどけ出る香りの束!
生粉打ち(十割)の魅力を十二分に引き出した、凄まじい味である!
ようやくこの味が出たかぁ、、、と一気に放心。
その後、玄挽き蕎麦が。ひきぐるみ全てを用いた蕎麦で、ワイルドに味覚を刺激する蕎麦だ。
せいろであれだったのだから、こちらはもっとブワッと薫るだろう!と思っていたのだが、、、
意外や意外、いつもなら感動してしまうこちらの蕎麦が、色あせてしまった。ということは、せいろの蕎麦とこの玄挽き蕎麦は違う産地のものなのだろうか。店主の藤田さんに訊いてみると、
「あ、そうなんですよ、それぞれ種類が違うんです。」
ということだった。そうだよな、ひきぐるみの蕎麦とはまた性格が違うに違いないのである。それにしても旨い旨い旨い旨い旨いとすすり込み、一気に蕎麦は消え果てた。
「これ、サービス。食べてみてくださいね」
と差し入れられた蕎麦寿司、これがまた美味である。
焼き穴子と、しっとり煮上がったかんぴょうの味わいが素晴らしい。この店、調味料もきちんと吟味しているので、それがモロに反映されている味だ。
「一流店ていわれてるところに行っても、よく大メーカの醤油とか使っちゃってるのよねぇ~」
と豪快に笑う藤田さんだけに、この店の蕎麦つゆや料理の味付けはかなり繊細に気が遣われているのだ。
さて、このところはまっている冷やかけだ!
キンキンに冷やされているつゆの中で、蕎麦がギリッと引き締まっている。せいろでたぐるのとまた全然違う食感だ。冷やされているため、味覚が鈍ってしまい、蕎麦の香り等はあまり感じなくなってしまうけど、でもこれはこれで一ジャンル。とても粋な蕎麦だ。手前にある、梅風味の大根おろしを溶かし込むとまた味の風景が変わって清涼感溢れるものになる。
いやー旨かった!
「実は金曜日(←先週の)から新しい蕎麦が入るんですけどね。それが、業者さんが『これ、最高ですよ!』って言ってるものなんですよ。だから、ぜひ食べに来てくださいね」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
さらにスゴイ蕎麦なの?それは絶対に行きたいのである。
とにかくこれから週に3回は蕎麦を食べたい、そう思うこの頃なのであった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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