2006年10月16日 from 出張
講演は無事に終了。居眠り率が非常に少ない、佳い反応の聴衆さん達だった。途中、やたらとデカイレスラー体系の人が入場。目の輝きが他の人と違う。最後の質疑のところで水産の人だとわかる。講演後に挨拶をしたら、なんと明日お世話になる漁師はこの方だとわかったのである。
さて夜の部までに一件イベントがあったのだ。
ごまだしうどんとぜんごの鰺寿司を堪能した「つね三」のすぐ斜めの小径に入り、洋食カナールというレストランに入店。
「やまけんさんに、宗麟カボチャを食べていただこうと思って、、、シェフにデザートををお願いして居るんです。」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これは素晴らしい!
宗麟カボチャとは、なんと日本に最初に伝来したカボチャである!!!
キリシタン大名と言われた大友宗麟(そうりん)が、難破したポルトガル船団から献上されたのがこのカボチャなのだ。その船はカンボジアにてカボチャを仕入れていたので、船員が「カンボジア」と言ったことで「カボチャ」と呼ばれるようになったという逸話があるけど、ホントかどうかはしらん。しかし、「宗麟カボチャ
」と呼ばれた種が結実したのをこの目で見ようとは思いもよらなかった。
「すでに大分では栽培されていなかったんですが、他県で育成されてきた種を分けてくださったんですよ。いま大分県内でも採種中です。」
その貴重な採種用の実がここにあるのだ。うーむ歴史ロマンである。
テーブルのうえに載っているいるカボチャはすでに熟して茶色とオレンジの中間色に染まっていた。なるほど、日本カボチャの形質に多い菊座型だ。
「味はですね、外皮が青いうちは粘質なんですけど、粉をふいてオレンジに変わることになると、繊維質で水っぽくなります。実は熟さない方が美味しいですね。どちらにせよ全般的に甘さは低いです。カットするといきなり、細胞から水分がしたたってくるんですよ!」
と送ってくれた写真には、本当に水分がしたたっている!
「大分では「カボチャ」のことや「役に立たない人」のことを、年配者は「ぼーぶら」と揶揄するのですが、
実はこれ、ポルトガル語の「アボブラ(かぼちゃ)」が語源なんだそうです。」
ほおおお
ぼーぶらと呼ばれないように頑張らねば!
さてカナールのご主人が用意してくださっていたカボチャデザートはプリンだ。
西洋カボチャないので、ホクホクしてないし甘くもないので、かなり難しかったのではないだろうか。
しっとり水分の多い身質に合わせてか、プリンも西洋種っぽい粉質系の食感はない。香り強めのカラメルソースと合わせるととっても美味しい。しかし、宗麟カボチャの特性をストレートに表現しているとは言い難い。シェフも大変だったろうな。
個人的にはこのカボチャはやはり日本料理に合うと思う。どのような料理法が合うだろうか、大分県内でケンケンがくがくの議論が起こるだろうが、サンプル配布できるようになったらぜひ東京にも送っていただきたいものだ。いろんなお店に使って貰おうではないですか。
「ごちそうさまでした!」
悠久の歴史を生き抜いてきたカボチャに出会って、いざ出陣である。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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