2006年9月14日 from 食材
先日はまだ熟し切っていなかった日本カボチャ「鹿ヶ谷カボチャ」だったが、茶色が全体に回ってきて、次第に追熟されてきた。
威風堂々たる姿形だ。ちなみに前回、収穫直後でまだ熟していなかった時に撮影したのがこちら。
2週間くらいでだいぶ変わってくるということだ。
この鹿ヶ谷カボチャは、甘くポクポクした西洋種ではないため、料理での使い方も違うということに注意する必要がある。どちらかと言えば純日本料理として、出汁などを煮含めるような感じで扱うことが望ましい。他の日本カボチャである菊座カボチャといわれるものも同じだ。
しかし種としては日本カボチャでありながら、全く違う味わいのものもある。その代表格といっていいのが、「バターナッツ」というカボチャだ。
この写真は、縦に半分切ってしまったものを皿にのせて撮影しているのでご注意願いたい。断面はこんな感じである。
鹿ヶ谷カボチャもそうなのだが、ひょうたん型になっている場合は、下の部屋に種が集中している。また、研究者に訊いたところ、味は下の種のある部位の方がよいという。
このバターナッツ、食べ物の図鑑の一部では「ペポカボチャである」とされているのを見かけたことがあるが、僕は育種の先生から「日本カボチャ(東洋カボチャ)」であると教わったので、日本カボチャということで書かせていただく。
バターナッツは、その名の通りバターのようなネットリとした果肉に油分のような滑かさ、そしてナッツのごとき濃い旨みと香りを有している。これを美味しく食べるための料理法はずばりポタージュだ。造り方は簡単。まず味のベースとしてタマネギを軽くオイルで炒める。茶色になるまでやらなくてもいい(甘くなりすぎる)。
そこへ、小口に切ったバターナッツを投入。皮付きでいい。
バターナッツの表面に油が回ったら、ひたひたくらいの少なめの水を加えて煮る。スープキューブを一つ落としてもいいが、できれば野菜のみでとったブイヨンキューブがいい。5~7分くらいでバターナッツが柔らかくなってくるので、それをミキサーにかけて滑らかにする。
滑らかになったら鍋に戻し、牛乳を入れて伸ばす。濃さは味を見ながら自分の好みで調整して欲しい。塩分が足りなければ塩、こしょうを。これで完成だ!
このバターナッツポタージュ、簡単にできるわりに、味はかなり複雑だ。バターナッツの旨みと香りが強いのに、タマネギもプラスしているからだ。もっとシンプルなのがいいならばタマネギすら抜いてもいいが、僕はストイックではないのでタマネギを使う。
ちょうど、稲作農家にして経営コンサルタントである友人・ひろっきいが、山形は置賜の名物・ニンニク風味のラスクを持ってきてくれたので、これに掬って食べる。むむむ、最高ではないか!
カボチャはポクポクとしていて好きじゃない、という同輩はたくさんいると思う。
しかし!
カボチャはポクポク甘いものばかりではないのだ。
品種によって楽しみ方が違う。
スーパーでも、最近は地方の産直産地から他種多様な作物を仕入れているところも多い。そうしたところには観たこともないようなカボチャが転がっていることがある。先日は東急東横店地下の林フルーツで、ヘチマのようなカボチャが売られていた。御徒町のアメ横側の出口を出たところにある「吉池」の地下では、新潟の直売所から農家の名前入りの色とりどりのカボチャが販売されていた。
とにかく変なカボチャを見かけたら、とりあえず買って試してみてはどうだろうか。包丁を入れなければカボチャは数週間は保つ。煮て食べる。味噌汁の具にする。カレーの具にもうまい。最後の手段でポタージュにして食べる。と、いろいろと遊べるのである。
昨今スーパーではカボチャの1/4カットやスライスで販売されているのが主流だが、たまには一個丸ごとフンパツしてみようではないか。その存在感、満足度たるや一級品の作物なのだ。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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