2006年4月25日 from
なにも今頃みかんだなんて、と思う方もいるかも知れない。温州みかんは早生品種以降、熊本や愛媛、和歌山といった西日本の産地から、年を越して東の産地に移っていく。愛知、静岡などが後から出てくるのはそうした遷移なのだ。
さて先日、東陽町の凄腕八百屋「八百周」のおやっさんに、ある市場業者の会で講演をしてもらった。その翌日に御礼ついでに店に寄ったところ、
「あんなに謝礼もらっちゃ悪いからさ」
と温室みかんを2箱(!)持たせてくれたのだ。
愛知県蒲郡市の温室みかん部会の宮川早生という品種。なんと末端で一玉が300円くらいの価格になる高級品だ。
一つ剥いてみよう。
みかんのオレンジ色の果肉を包む薄い白い皮を「じょうのう」というが、温室みかんの上物になるとじょうのうがやたらと薄く、実を割ると一緒に剥けてしまうくらいだ。こういうみかんは舌触りがよくて旨い。
この時期のみかんはじょうのうがごわっと堅く、みずみずしくないものが多いが、この温室みかんは加温されて贅沢な環境で育っているだけに、お姫様のような舌触りと、モロモロと舌の上で崩れる果肉、そして柔らかに濃い甘みと酸味が素晴らしい。
加温というのはボイラーで火を焚くということだ。農業用のボイラーというのはかなりでかくて、昨今の原油高の影響を受けまくっている。ボイラーメーカーが慌てて省エネタイプの製品を出したり、バイオマスタイプのものを出したりしている。今後、こうした加温して贅沢にものを作っていくという方向性も少し変わるかも知れない。
しかしこのみかん、旨い。贅沢な気分を味わいつつ6玉くらい連続して食べてしまった。
本の原稿、やっと3章まで終わった。あと2章分だ。これから編集者に会ってきます。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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