2006年4月 3日 from 食材
いつものように、三浦半島の長島農園から野菜が届いた。
「やまけん、そろそろ春ですよ。働きすぎてないで野菜たくさん食べて、リフレッシュしたら?」
いや全くそうしたいもんです、、、
この時期になると冬野菜が終わりを告げ、全く特性の違う春野菜に切り替わる。写真の葱は、冬葱のラストだ。品種はホワイトスター、勝美君がお気に入りの品種で、僕も美味いと思う。この葱は、長島農園のホワイトスターの中でも最高クラスの仕上がりで、肉がパンパンに詰まって丸まっているのが分かると思う。鋭い包丁で根を切ると、切り口から白濁した葱液がツーと滴るという、素晴らしい品質だった。
幹の繊維がまっすぐに伸びていて、生育が良好だったことが伺える。
これから春になると、葱は段々とゆるい巻きになって、味も少しずつぼやけてくる。そう、葱は圧倒的に冬の野菜なのだ。惜しみながら食べることとした。
代わりにドカンと獲れるようになるのがハーブ類だ。
これ、なんだかおわかりだろうか。
実は香菜(コリアンダー)である。香菜は根の株がかなり大きく肥大する。根を捨てる人をよくみかけるが、実はこの根っこに香菜特有の香りが堆積している。これを磨り潰してスープなどに加えるとエキスが溶け出してくるのだ。
香菜の香りを嫌う人が居るが、これだけ個性的な香りならそれも仕方がない。しかし春のこの季節、柔らかな陽光で育った香菜は(ハウスで育ったとしても)香りも柔らかく、苦手な人でも食べられるのではないかと思う。
色んな料理のトッピングに葉をのせればいいのだが、単純に愉しむなら冷や奴にタップリ刻んで載せることだろう。一気に中華の香りがしてくるのだ。
そしてこれがまた美味い。フェンネルである。
イタリアではフィノッキオ、日本語ではウイキョウと呼ぶが、日本ではあまりこれをバリバリと食べる人は居ない。僕もそんなのみたことなかった。昨年の2月、パスクワリーノを訪ねてシチリアに行った際に、野菜嫌いのパスクワリーノが唯一これだけは生でバリバリ食べるのだということをみて、僕も真似をしてみた。実に美味かった!
最後、もう出回ってはいるけど、春キャベツだ。
キャベツには大別して寒玉(かんだま)と呼ばれる冬品種と、春玉と呼ばれる春品種がある。はっきり言えば寒玉の方が旨いと思う。春キャベツはこの時期だけ出てくる、柔らかさを特色としたキャベツだ。
しかし長島農園の春玉は、どうしてなかなか美味い。糖度が高く、巻きもしっかりしている。
「んー 今年は寒かったですからね、春品種も寒玉と似た生育環境で育ったから、甘みも載ったんでしょう」
しかしそろそろ温かくなってきたので、この甘いキャベツはお預けになるだろう。
代わって、春らしい野菜がどんどん出てくることになる。いまの時期食べておいて欲しいのは、そろそろ関東でも終わりにさしかかっている菜の花(ナバナ)、山ウド、フキといったところだ。
これから八百屋の店頭はどんどん彩りがよくなってくる。ぜひ毎食、なにか一品そういったものを載せて春を愉しんで頂きたいと思う。野菜、食べましょうね!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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