2006年3月27日 from 首都圏
最近、最も使用率の高い店といえば間違いなく「日本橋ぼんぼり京橋店」である。某有名ホテルの調理場、本場イタリアの名店のシェフをしていた お料理ジャイアン こと小池君が創り出す料理は非常に面白い。先日も料理雑誌の世界では著名な出版社の方々と会食したのだが、皆さん唸って居られた。フレンチや北イタリア料理の正統なベースに、お料理ジャイアンとしてのセンスが付加され、とてつもなく面白い皿が出てくるのだ。
そんなぼんぼり京橋店だが、最近、料理はともかくサービスのレベルが若干さがり気味だ。それはそうだ人が足りないのである。
「やまけんさん、募集広告をブログで出して頂けませんか???」
とオーナーである小林さんから打診があったので、載せましょう!
ぼんぼり京橋店で働きたいアナタ。今すぐ電話を!
日本橋ぼんぼり京橋店
03-5524-1338 店長の池田氏に連絡のこと。
勤務条件は直接訊いてください。まかない飯が旨いことは保証しておきます。
さて昨晩は遠方からの客をもてなす。年度末の忙しい中だが、事務所からあるいて8分くらいで到達できるので、ここに来てしまうという特性もあるのだ。
相変わらず、地鶏炭火焼きなどのグランドメニューよりも多いんじゃないか?と思ってしまうような本日のお薦めアラカルトメニューが充実している。毎週変わるこのメニュー、本当に一度として同じ料理が出てきたことが無いという感じなのである。
本日の突き出しはサツマイモのスープにシロインゲンの煮込みだ。
相変わらずこの突き出しが旨い!シロインゲンはしっかりと味が染みていて、これだけ丼で食べたいくらいだ。
次に、鯖とウドのサラダが出てきた。
鯖がキッチリしめられているが、鮮度のいい鯖で実に旨い。ウドのフェットチーネ状薄切りとの相性抜群である。
次に帆立貝の串焼きが出てきた、、、と思ったら!
「ホワイトアスパラです!」
豪華な串みたて、である。
そういえばホワイトアスパラの季節だ、、、
今年は北海道産の出回りが遅くなりそうなので、フランスからの輸入物が大半を占めることになるだろう。それにしても旨い。帆立も実が分厚くて最高。
次の一品がまたイカしている。
ゴボウと桜海老のタルト、である。
ゴボウのタルトはここ最近、小池ちゃんが取り組んでいた料理だ。フォンとクリームで煮た薄切りゴボウを具にパイ生地で包み焼き上げている。この上に、これも旬の桜海老をまぶしてある。実に色鮮やかで旨そうだ!
ゴボウの土をまとった香りとダシの旨味、生地のふんわりした香りに桜海老のバリッとした食感と、上品で新鮮な桜海老の香りが交わって実に素晴らしい。
そして本日の出色の出来映えがこれだ。
江戸前穴子をクワイにまいてフリットにし、蕎麦の実を具にした山菜スープに載せた一品だ。これを何料理といえばいいんだろう?和の食材を使っているが、コンソメの見事な一本筋の通った味、穴子はカリッと、そして中のクワイは適度に脱水され、甘みが引き出されホコホコに仕上がっている。
スープには蕎麦の実とタラの芽とタケノコ、そら豆が軽く煮込まれており、春の香り満載である。
ジャイアン、お前はどんな料理人なんだ!?
あまりに旨くて感動してしまったのである。
そしてメニューをみて「こいつは食いたい」と唸ったのが、リド・ヴォーと海老のクロケットだ。
どでーんと大ぶりなこのクロケット、実に手がこんでいる!
箸でつまんでいるのがリド・ヴォーである。その周りにオレンジ色のソース状のものがみえるだろうが、これが海老の香りと味が溶け込んだクリームだ。つまりこれ、簡易的だがソースアメリケーヌコロッケではないか!実際、リド・ヴォーの、適度に弾力がありながらとろけるような食感と、アメリケーヌの旨さをまとったクリームとの相性は抜群に旨い!もう言うこと無いのである。
「はい、あぐーのトンカツです!」
最近やたらと豚を食べる機会が多いが、この店のアグーかつは実際に旨い。
これほど厚みのある肉をカツに仕上げるにはかなり時間がかかるのだが、ジャイアン小池はここでもイタリアンテクニックを使っている。
「うちでは油を肉が完全にかぶらないくらいにしか使いません。油で揚げていると、ブクブク泡が立ちますよね?あれは実は水分と旨味が抜けている泡なんですよ!もったいないんです。でも油から少しでも肉が空気中に触れていれば、そこから水分だけが抜けていきます。そうすると旨味は残るんですよ!ただしむちゃくちゃ時間がかかります。実はあぐーのカツに関しては、お客さんからオーダーが入ったらすぐにしかけて、揚げるのに20分くらいは余裕でかかります。オーダーが時間差でふたつ入ったらもうパニックですよ!」
これがジャイアン小池シェフの技術論なのだ。とにかく聴くより食って感じてみて欲しい。
ただしあぐーは脂が無茶苦茶に厚い。それは、沖縄の在来種豚とバークシャーの混合であるため、仕方がないのである。ていうか脂が旨いのだ。だからゆめゆめ「脂ばっかりジャン!」というような的を外した文句を言わないようにしていただきたい。
さてこの日のパスタは、海老の味を練り込んだキターラだ。この頃になると酔っぱらっていたのでよく覚えていないんだが、これがマタ旨かった。
もう一つパスタが、ホロホロ鳥のラグーで和えたパッパルデッレだ。
ホロホロ鳥のラグーは見た目よりくどくなく、あっさりとしている。そこへパルミジャーノが塩分と強さを補い、パッパルデッレに互するラグーに仕上げている。
ちなみに僕はこのパッパルデッレという手打ちパスタが大好きだ!
なんてったって、名前が佳い。
「パッパルデッレ」
こんな名前、日本人では絶対に考えつかないよね!
だって
「デ」と「レ」の間に「ッ」が入るんだよ!「デッレ」なんて発音、想像もつかない!
ということでパッパルデッレ、大好きである。
さて最後に、凄まじい一品が出てきた。
「これは新潟出身のテッペイの郷里の料理をアレンジしたものです!名付けて『こころ丼』」
なんじゃこら?
テッペイとは、ぼんぼり京橋店の1Fカウンター内でいつも帽子をかぶっている男前の彼である。新潟出身ということだが、彼の郷里ではカツ丼といえばソースカツ丼であったらしい。しかもそのタレがソースだけではない、もっと深みのあるタレにじゃぶりと漬けて飯にのせるスタイルであるらしいのだ。
いままでソースカツ丼は福井県福井市と群馬県桐生市、そして長野県の駒ヶ根という3カ所のみがオリジナルと言えると思っていた。しかし、新潟もソースカツ丼文化圏があったのか!?今年はぜひ新潟に遠征してみたい!
さてこの「こころ丼」というネーミング、びったり。だってこのカツ、中身がハツなんだもの。
ハツの濃厚な香りと衣、そしてソースだれがマッチして実に旨い!
ランチにもあるそうなので食べてみてはいかがだろうか。
仕上げのドルチェ盛りあわせにはなんと桜の枝が、、、
グレープフルーツの中には、レモンクリームにたゆたう葛きりが入っていた、、、
もう言うこと無しである。
どうだろう。こんな店で働いてみませんか?きっとまかないは旨いですよ。
ということで、暇をもてあましている方、料理の勉強をしたい方、ぜひ行って上げて下さい。
僕の希望としては女性に入って欲しい、、、男臭い店だからね、、、
ではでは
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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