鳥取日帰り往還 出張と買い食いの日々なのだ

2006年3月12日 from 出張

就職してからというものの、3月という月は、もう本当に大変なのである。未熟ながらコンサルタント稼業をやっていると、どうしても年度末に納期がある案件が多数となる。しかも、講演の依頼も、予算が余っちゃってる年度末に集中するのだ。もう、ひえええという感じである。

本日は鳥取県の米子に日帰り出張。米子に降りるのは初めてだが、あまりゆっくりと楽しんでいるわけにもいかない。午後イチに空港につき、タクシーを走らせ調査先に入る。2時間ほどの実査後、対応してくださった方とお別れする。

さて帰り便まで4時間ある。米子は15時の羽田行きの後、19時までないのである。そうなればやることは一つしかない。まずは目に付いたスーパーマーケットである「ホープタウン」に入り調味料、総菜類を観ていく。さすが海の国・鳥取、鮮魚の種類と鮮度、安さは素晴らしい!のどぐろ、カレイ、ドロ海老、バイ貝などの刺身をみて思わず買い込みたくなるが、この後居酒屋にでも行こうと思っていたのでググッとこらえる。

惣菜や刺身といったものの他に僕がよく地方で買うのが豆腐だ。

このホープタウンで一番高かった豆腐を買って、店の裏にある無人駅「後藤駅」のホームでパクついた。
醤油を買ってきたかったのだが、鳥取のメーカのものが1リットル入りしかなかったので残念だがあきらめた。ミニサイズの醤油は他県のものだったので意味がない。お弁当用の醤油ミニパックなどはなんと僕の起居する東京都江東区のメーカのものであった(笑)

さてこの豆腐が実に旨かったのだ!
結果的に醤油がなくても十分に一丁を食べられる、大豆の風味濃く、適切な硬度の秀逸な逸品であった。

調査補助のコに撮影してもらったが「駅のホームで豆腐を食べる人って初めてみました」と言われた。まあそうだよね。

さて米子駅に着いて出ようとする前に、立ち食い店舗の「大山そば」があるのを観て、これは看過できんなと思ってしまった。行ったこと無い地域の立ち食いそばは腹がいっぱいでも食べとけ、が僕のひとつの信条である。立ち食いそばは食事とはカウントされないのだ。

天玉そばを作ってもらう間、おばちゃんと色々話した。実に気持ちよくお話しをしてくれるおばちゃんで、とても楽しく立ち食いできたのだ。

「大山そばってのは有名なのよぉ。ちょっと黒っぽいでしょ。おつゆも黒いけどね、これはそばだから。うどんの時は汁を薄目のにするのよ。」

といいながら、麺のゆで汁をつゆの保温機の中に少し足していた。

「ずっとそのままだと煮詰まっちゃうから、ゆで汁で伸ばすのよ」

というその大山そば(天玉)は、無茶苦茶に見目麗しいつくりであった。

なんとこの海苔が載っているというのが実に関東からの出張者には珍しいと思ってしまう。

「そうねぇ、関東からの人はみんな驚くわねぇ、美味しいのよ、これが」

というその大山そばは、これがまたとぉーっても味わい深いものであった。

黒みの強い、しかしそれほど塩分濃度の濃くない汁と、黒々としたそば麺の相性、惜しげなくはりこまれた葱の小口切り、ふんわり揚げられたかき揚げ天、そして最後に割り入れるのではなく、最初に丼に割り入れられて、急激な温度低下をしないように配慮された卵の全てがしっくりと馴染みあった秀逸な立ち食いそばであった。思わず併売されていた鯖寿司の折り詰めも買ってしまった。買うと言ってから値段を聞いたら1770円でちょっとひるんだが、勢いで買っちゃったのである。

さて米子駅を出て、ある人から教えてもらった駅前の魚の美味しい居酒屋を探しながらぶらぶらとする。

しかし、、、

土曜日ということもあるのだろうけど、実に寂しい通りであった。

日本各地の商店街がうらさびれてきているわけだけれども、10軒に1軒くらいしか店の開いていない商店街はほんとうに寂しい。日本の明日が不安になってきてしまった。これが平日にはぶああっと開いているということを願う。

さて

さる人が教えてくれたのがこの「まつだ家」という店だ。

周りを観るとこの店だけが異様にシズル感のある店のつくりで、浮き上がっている。
開店と同時に店にはいると仲居さんが「予約ですか?」ときくので「いいえ」というと、なんと「一時間くらいだけなら、、、」という。そんなに予約一杯の店なのか!それでもいいので通してもらう。

室内のつくりは綺麗。面積もかなり広いのに予約満杯とはスゴイものだ。
早速刺身盛りに、春を呼ぶ鰆(さわら)の切り身も加えてもらう。

この鰆のお造りがトロッととろけるようで実に美味しいものだった。

また、イカもさすがに鮮度よく美味しい。河岸は休みだろうに、なかなかの味だった。

鰻のメニューが多かったので鰻の押し寿司を頼むと、どうやらここは関西風の焼き方だ。蒸さないので、ゼラチン質が多くネットリした味わいを酢飯が程よく切って具合がいい。地酒の「八郷」特別純米酒とチビチビやっていたら酔っぱらってしまった。

そうこうしているうちに時間になり空港へ。ANAの帰り便の搭乗待ちの間に売店にいくと、また気になるものがいくつかあったので買い込んでしまった。それを家に帰ってから開けて、嫁さんと食べる。

ひとつはこの「ののこ飯」。油揚げで三角に包んだおいなりさんのようなものだが、中の飯は酢飯ではなく炊き込みご飯だ。ゴボウが必ず入るらしい。

これがとても美味しい。郷土食なんだろうが、日本人であれば誰でも好む味だ。気に入りました。
また、ホープタウンで販売されていた農家がつけた蕪(かぶ)の漬物も美味しくいただいた。

メインイベントは、大山そばの店舗で買い求めた鯖寿司だ。

昆布でくるりと巻き込まれたそれは、鯖寿司のいづうとかと比べると2分の1の値段だからまあ安い。

しかし、味的には今ひとつ。ひとつは昆布を加熱しすぎているのか、柔らかすぎる。ということは、昆布の旨味も抜けている。あ、でもこれは昆布をとって食べてくださいということなのか?でも僕は鯖寿司を巻いている昆布はそのまま切って食べる派なので(邪道かもしれんが)、仕方がない。もう一つは酢飯に甘さが効き過ぎている。でもこれは好みだから、好きな人にはイイかもしれない。

それよりなにより大ヒットだったのがこれ。空港の売店で買い求めた無添加プリン110円だ。

なんといってもカラメルソースが別添えになっている風情がよろしい。

しかも目をこらせば分かるように、プリン地に気泡が入りまくり。洋菓子店ならば確実にこうはならないだろうというプリンなのである。

ちなみに僕は以前も書いたかも知れないが、プリンの表面の、空気に触れて少し乾燥した皮の部分が大好きである。出来ることなら、このちょっと堅くなって味の凝縮した皮の部分だけ2メートル四方分食べたい。と思いながら一匙たべる。瞬間、卵のふんわりした素直な香りが立ち上る。ほんとうに余分な香料などを加えていない好ましい味だ。

しかし、このプリン、真価を発揮したのはここからだ。

別添えのカラメルソースを数滴たらして一匙食べてみる。

「!」

「!!」

瞬間、嫁と僕のカラメルソース争奪戦が始まった!

実に旨い!

カラメルをかけて初めて完成するのかこのプリンはぁっ!
カラメル自体も、質の良さそうな砂糖をお手製でカラメリゼしましたという感じの癖のない味だ。こがしすぎていないのか、品のよい味。これは秀逸だ。今度米子空港に行ったらある分ぜんぶ買い占めてこよう。

ああ それにしても疲れた。あまりゆっくり出来ない内に、今度は愛媛出張なのである。
頑張るかぁ、、、