長島農園の勝美君から大量のトマトが届いた。
大量な上に多種、である。大玉トマト、中玉2種、イタリアントマト系品種、ミニトマト3種である。一農家がこれだけ作って出荷しているのも珍しい。
勝美君が作る中で最も味が乗るのが、オレンジ色のミニトマト「オレンジパルチェ」で、糖度が無茶苦茶高くなる品種なのだが、今回送られてきた中玉もそれに負けず個性が強く旨かった。
生で食べるのももちろん最高なのだが、しかし勝美君みずからがお勧めするのが、
「ぜーんぶ 混ぜてトマトソースにしちゃって!うちのトマトは加熱すると旨くなるようにしてあるから!」
そうなのである。トマトソースはトマトを2種以上入れて作ると、お互いの長所が引き立ち、味と香りの穴がふさがって旨くなる。さっそく大量にトマトソースを作ることにした。
僕は湯むきして皮をとるとかそういうのは面倒なのでほとんどやらない。種もとらない。
ニンニクとタマネギを、「うおっ」と思う位の量のオリーブオイルで少し色づくまで炒め煮して、バジルを放り込んで香りを移す。そこにトマトを投入。
あまり煮込みすぎると香りが飛ぶので、火が入ってクツクツするくらいで、塩胡椒のみで仕上げる。
無二路の重シェフによれば、「トマトソースは一度冷ました方が、味が落ち着いて旨いよ」ということなのだが、できたてをスパゲティーニに絡めて食べると、落ち着いては居ないものの太陽の味がする。
今年の長島農園トマトは、酸味も甘みも強い、実に際だったトマト香のする逸品だった!
ジップロックに2人前ずつわけて冷凍。さていつまで保つだろうか。ああ、もうそろそろバジルペーストを作る時期にもなる。夏は夏で、やることが多いのであった。
ちょっとだけ閑話休題。
琉球料理の正統伝承者である山本彩香さんが、新宿伊勢丹の沖縄物産展にいらっしゃっている。本日月曜日の18時で終了するそうなので、まだ行ってない人はぜひ遊びに行ってみるベシだ。
出張週間でフラフラになりながらの土曜日に顔を出してみると、まずこの6Fの盛況ぶりはものすごかった。ブースを探すのも難儀するほどのひといきれだ。「とうふよう」をキーワードになんとか彩香さんのブースを発見すると、彩香さんご本人と、沖縄の店でも彩香さんの片腕として采配をしている早苗さん、そして彩香さんのご親族の皆さんが一緒に店に立っている。
「あらぁ!この子達、やっと来た!」
と彩香さん、会うなり裏の楽屋(?)に引き入れてくれた。
「今回はねぇ、お店を休んで私が来てるのよぉ!やっぱりね、年に一回か二回しかないことなんだから、主が来ないとよくないでしょ?だからあたしもきたのよ!」
そりゃそうだよな、彩香さんと早苗さんが来たら店はお休みするしかないだろうな。しかし大サービスだよな、、、彩香さんの顔を見られた人、幸せでしたね。
さてブースでは、スペシャルな彩香さんのとうふようを試食できるようになっている。豆腐ようを潰してペースト状にしたのを、クラッカーに載せて食べさせてもらえるのだ。一緒に行った漬け物屋さんの石川さんも「これは旨い!」とビックリしていた。
しかしあれだな、とうふようも最高なのだが、今度はぜひ「どぅるわかしー」などの料理を食べたいと思ってしまう。どうやら数ヶ月後にまたイベントで上京するかもしれないということだが、その時はぜひ、そのイベント側も趣向を凝らして頂きたいなと思うのである。
ちなみに今回の豆腐よう、壺のような容器にたっぷり入って2700円だ。味が実に深く濃いので、ひとかけらの豆腐ようで一晩はハッピーになれる。最終日、ぜひ足を運んで頂きたい。
JR帯広駅に向かう
途中、昨晩ノムさんと岡坂さんが口々に話していたパン屋のことが頭をよぎった。
「満寿屋(ますや)っていうパンやが、この辺じゃ老舗で有名なのよ。どのパンも旨いんだけど、そのサンドイッチが旨いんだよなぁ、、、俺たちがガキの頃からおやつだったよ。」
「そうそう、あそこのシロスパサンドは、はずせないチョイスだよなぁ!」
ほほう、、、そのシロスパサンドって何だろう?居合わせた面々が皆一様に頷くのだ。帯広一円に店があるらしい。まあ、ひなびた地方のベーカリーって感じなんだろうな、と思って帯広駅内にある土産屋や飲食店が軒を連ねる一角に入る。六花亭などもあるその中に、あったあった、一角にパン屋がある。しかも無茶苦茶人だか
りがしている。主婦や中学生がどんどん入って買っているではないか!しかもひなびたベーカリーではなく、綺麗で非常によく、品揃えも豊富な充実したパン屋である。一隅にはまだ陳列していない、焼きたてのパンがケースに入ったまま積まれており、女子中学生が「餡ドーナッツとっていいですか?」と聴いてそのままケースからドーナツを取り出している。僕も負けじとシロスパサンドとクリームドーナツをお盆に載っけてレジに運んだ。シロスパサンドは何と125円という安さだった。
帯広発滝川行きの電車にはなんど2時間以上乗らないと富良野に着かないのであった。満寿屋のパン買って正解。1時間経過後にパッケージを開けるに至ったのである。
クリームドーナツをパクついたが、これがマジで旨い!パンはカリッと仕上がり、染みこんだ油の旨味の中、たっぷり充填されたクリームの上品な甘さと、柔らかいカスタードの香りが口中にタップリ拡がる。最高!そして満を持して開けた白スパサンド、なるほど白スパである。
グリーンピース、ニンジン、角切りハムなどの具と共に、細かくカットされたスパに、ネットリ白ソース(内容不明)が和えられている。
かぶりつく。強い刺激がある味ではない。マヨネーズのようなはっきりとした個性のある味でもない。しかし少しだけ胡椒の効いた、まろやかな旨さである。
これは本当に何味っていうのかまったくわからん。油脂とアミノ酸をどのような形で絡めているのかわからないのだが、、、しかしまちがいなく旨い!125円でこの味の完成度は素晴らしい!ケチャップ味のナポリタンサンドもあったが、たしかにこれなら白スパサンドの方がそそられる!しかも125円!まだまだ帯広は奥が深いな、と思った。
そうそう、その満寿屋の奥に飲食店街があるのだが、10割蕎麦と豚丼を出す店があった。10割というのに惹かれて店に入った。なんと600~700円くらいで士幌など道内産の蕎麦粉10割の蕎麦が食べられるというのは素晴らしい!ついつい、インデアンカレー2杯食った後なのにフラッと入ってしまった。
さすがに豚丼は食べられないので蕎麦を頼む。と、そこでこね始めるという。おそらく東京・京橋のめぐみ屋と同じく、押し出し製麺機を使ったの10割蕎麦なんだろうが、それにしても捏ねたて打ち立てを食べられるというのは素晴らしい。
果たして運ばれてきたのは端整な蕎麦であった。ボリュームもなかなかのもんである。
一口何もつけずに啜ってみるが、惜しいことに香りは飛んでしまっている。これは時期的にも仕方のないことだろう、すでに1年経っているんだからなぁ、、、しかし麺のコシはググッと強く、700円の内容ではない。非常に楽しめた。
ノムさん、岡さんがいうように、十勝は食のポテンシャルが非常に高いなぁということを実感するのである。
など考えている内に、富良野に着いた。さて、唯我独尊に歩いていくか。