200セットしかないので、お早めに!
アドレスは下記です!
http://tenant.depart.livedoor.com/t/ldshop-anex/item_detail?id=472677
神足さんのblog(http://blog.livedoor.jp/kohtarin/archives/14881858.html)に、インデアンカレーを攻めた!という話が載っている!
彼自身書いているように、大阪阪急梅田地下街にあるインデアンカレーが旨い!山田チーフの盛るカレーが一番旨い!という話をしたら、関心を持って頂いたらしい。
しかし
この神足さんのエントリを読んで、非常に感銘を受けた。名コラムニストの名に違わぬ抑制の効いた中に、ブフッと吹き出してしまうような笑いとペーソスを感じる文章。美しい、、、インデアンカレーの、甘さの後にマシンガンのような辛さが炸裂するあたりの表現が、たった一言で劇的な表現化されているのが素晴らしい。シャッポを脱ぎます。
僕にはまだあんな文章はかけんな。「うおおおおお」とか書いているようじゃダメなんだろうな。でもまあ、「うおおおおお」と思うので仕方がないのであった。
小売業者向けのイベントであるリテールテック(RETAILTECH JAPAN 2005)というのが3月、開催される。
その中でセミナーが開催されるのだが、僕も講師としてお声がかかった。ま、聴衆は数人だろうとたかをくくっていたのだが、なんと15000円もとる高額なセミナーで、かついろんなところから「やまけん出るんだろ?」と訊かれる。ひえええ
しかも僕の後に農水省の参事官さんがお話しされる。まずいことを話さぬよう(笑)心がけねばなるまい。関心のある人(いないか!?)はどうぞ。
そういえば今発売中のSPA!に、神足さんと対談で載っている記事が、農水省内でけっこう回覧されているらしい。ひええええ
来週は3月2日にもTBSラジオで神足さんの番組に出るし、すごいなぁ。ま、なんにしても、本職は農産物流通コンサルタントです。
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3月3日(木) 10:00-13:00 申込番号:RT-7
食品トレーサビリティにおけるRFID活用の未来
会 場 会議棟6階会議室
受講料 15,000円(税込み)
主催など 主催:日本経済新聞社
協力:日経RFIDテクノロジ
頻発する偽装表示事件により、”食の安全”に対する消費者の不信感が高まっています。こうしたなか、食品メーカーや食材を扱う流通業は、消費者からの“安心、信頼”を獲得すべく、生産・流通工程における食品のトレーサビリティに関する実証実験に取り組んでいます。本セッションでは、食品トレーサビリティの実現に向けてバーコードやRFIDがどのように活用される可能性があるのか、議論を行います。
10時~10時40分
講演1)「進化する食品トレーサビリティ」
日経RFIDテクノロジ編集長 高田 隆氏
10時45分~11時30分
講演2)「食品トレーサビリティとRFIDの現状と今後」
慶応義塾大学SFC研究所 上席所員/グッドテーブルズ 代表取締役社長 山本 謙治氏
11時40分~13時
パネルディスカッション 「食品トレーサビリティにおけるRFID活用の未来」
パネリスト:
農林水産省 消費・安全局 参事官 須藤 徳之氏
慶応義塾大学SFC研究所 上席所員/グッドテーブルズ 代表取締役社長 山本 謙治氏
モデレータ:日経RFIDテクノロジ編集長 高田 隆氏
頭がボーっとする程に忙しいし、しかもシチリア行きで書けなかったいくつかのエントリに取りかからないといけないのに、ちょっと衝撃の店に出会ったので書かずには居られない。
久々に一本、二本、三本くらいとられた!という感じである。
「やまけんさーん、ちょっとPR頼まれてる店があるんだけど、一緒にたべにいかない?」
とチャーミングに誘ってくれたのは、フード関連のPR・プロデューサの小川女史である。女性一人で行くとあまり食べられないし、それだとPRのネタが収集できないから、ということだ。そんなの俺にマカセトケ!
「でね、そこは昔からの知り合いがオーナーをしてる店なんだけど、宮崎の地鶏が大好きで大好きで、研究して歩いて店を出したらしいのよ、、、」
ここでピクンときてしまった!
「宮崎」そして「地鶏」。この二つのキーワードを告げたら、僕はもう少しテンション上がってしまうのだ。折しもこの日午後に、宮崎の生産者をオフィスに迎え入れたばかりだし。
「ふぅううううううううん、、、宮崎の地鶏にはちょっとだけウルサイよ。」
宮崎に行ったことがない人は知らないだろうが、あの辺では地鶏といえば、長期間肥育して旨味が乗り、かつ肉質がみっちり堅く引き締まったものを炭火で「こ、焦げてるよ!」という手前まで焼いた「腿焼き」や、皮目だけ炙った腿をそぎ切りにした「地鶏のたたき」などが定番だ。特に僕はタタキは大好きで、宮崎に行った時には一日一回は食べるようにしていたものだ。
ということで、この店に行く前の僕のモードとしては、「どれどれ、ちょっと様子を見て上げようか」というくらいの、斜に構えた嫌な感じだったのである。
日本橋の僕のオフィスから自転車で4分くらい。新大橋通りを人形町に抜ける途中を間借り、ホテル法華インという渋いホテルの向かい側にある。この辺は、スリランカカレーの「カレー革命」もあり、なかなかにソソル通りであるが、この店のように中に入るとチョイスが少なく、目立たないので穴場である。
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■ぼんぼり
東京都中央区日本橋蛎殻町1-5-1 オイスター1-5ビル1F
03-3664-2777
実はここのオーナーさんは建築家・デザイナーであるそうで、この店構えは確かに無茶苦茶カッコイイ。一度来てみれば分かるが、外見は古い民家調、中はモダン民芸とかなり考えられた造りなのである。
この店のオーナーは小林さん。実は彼は、今をときめく某飲食店グループのデザイナーをずっと務めていた人だ。あの、紅い虎の鉄鍋の餃子とかが有名なところ。現在は独立して、すでに京橋に海鮮料理の店を出し、ヒットさせている。
「本当は建築家なんです。ビルのリフォームとかが本業なんですよ、、、」
と言うと、小川女史が
「小林さんって、デザイナーといっても、フライパン握るデザイナーなんですよ!まああのグループの人は全員料理もできる人だったからなぁ。」
という。そうか、ただのオーナーではなくて料理好きなら信頼がおけるな!
飲み物メニューはやはり芋焼酎中心ではあるが、とくに宮崎モノにこだわっているわけではないようで、芋・麦・米その他洋酒と、必須アイテムは全て揃っている。僕は「やまねこ」のお湯割りを所望。
食べ物メニューを観ると、一品料理に加えて豊富な串焼きメニューが並ぶ。
「宮崎ではモモ焼きが主体ですが、やっぱり東京だと串が沢山出ますね。」
うん、それはおそらく文化の違いなんだろうなぁ。小林さんは宮崎料理が大好きで、食材を求めてさんざん歩いたらしい。
「本当に美味しい地鶏はどれかな、と思って、養鶏農家さんのところをいろいろ廻ったんです。で、結局今取引させて頂いているのは、『○○○い』さんと同じ養鶏農家さんが主体で、量が足りなくなった場合はまた違う業者さんから補充しています。」
おおおおおおおおおお
伏せ字にしておいたけど、あそこの鶏なら信用して良いんじゃないの?というビッグネームである。
実は宮崎が誇るモモ焼きも、人気をあてこんで、肥育期間の長くした肉用の鶏ではなく、採卵鶏(卵を採るための鶏ね)の年取ったのを焼く店が多い。それだと、堅さはあるけど味は豊かでなく、一目瞭然なのだ。観光客はその堅さにびっくりして喜んで帰るけど、本当の宮崎のモモ焼きはそんなもんじゃないのだ。ということで、仕入れは重要なのであった。
「ただ、宮崎山地鶏は旨いんですが、煮たり親子丼にしたりするための肉質ではないように思いました。関東のお客さんだと特にそう思われるでしょう。ですから、用途によっては肉質の柔らかい、鳥取の地鶏を使い分けています。」
なるほど!それでか。
この店、宮崎山地鶏を食べさせると謳ってはいるものの、「宮崎料理」とは前面に出していない。小林さん自身が宮崎料理をリスペクトしているのは言葉の端々に出てくるが、それを関東流にアレンジしたものを提供しているわけだろう。
「さて、まずは食べて頂きましょう!」
■刺身三点盛り
ササミ、胸肉、砂肝が綺麗に盛り込まれている。この艶と色でだいたい鮮度がわかるものだが、砂肝がビチビチに新鮮そうな色合いだ!
「砂肝はショウガ醤油でどうぞ」と仲居の子が言ってくれたのでそうしてみる。新鮮な砂肝の生は、火を通さなくてもザクリとした食感だけど、焼いたそれで感じる独特の香りが押さえられて貝の刺身のような食感だ!ササミ、胸肉も当然ながら新鮮。これは言うこと無いね。
■ハツのニンニク醤油漬け
「これがねーけっこう自信作なんですよ!」
うん、初めて観る!ハツ(心臓)を割り、血抜きをしてからニンニク醤油につけ込んでいるのだろう。
とっても綺麗な断面。ニンニクの香りがブワッと来るのかな、と思いながら口に運ぶ。
うわ、ビックリした! まず最初に来るのは甘さだ!ハツの少しコリッとしながらフワッとした食感の次に、甘さがジュワッと感じられ、そして抑えの効いたニンニクの香りが追随するのだ!
「うおー これは初めて食べましたよ!旨いな!」
「ありがとうございます、、、」
これですでに一本。獲られました、、、内臓をこうして様々な方法で食べさせるというのは、あまり宮崎でも楽しんだことがなかった。来月の出張時には本場宮崎では内臓の取り扱いがいかなるものか楽しんでこよう!
「串、行きますか、、、」
串焼きは、腿肉の串が一本260円でその他は240~180円と、リーズナブルな価格に抑えられている。仕入れの話を訊いた後でこの価格をみるとちょっとビックリである。
■レバー
レバーは本当にわかりやすい食材だ。だれでも一目瞭然だもんね。
案の定というかなんというか、砂肝の時点で分かっていたことだけど、鮮度がいい。かつ、いい育て方をしている鶏のレバーの味がする。健全な肥育を受けているな。
「はい、鶏が歩き回るスペースが確保されている飼い方です。」
内臓系は特に鶏のストレスが味に出てしまうから、密集飼いをしない、など注意が必要なんである。
■ツナギ
あれぇ~ ツナギってなんですか???
「これはハツに連結した部位です。そこだけ切って串にしてみました。」
ああああああああ あれってツナギって言うんだ!?そう、昔から鶏の肝の時雨煮とか食べると必ずハツとレバーの横に旨い部分がくっついてきていたんだけど、これがそうなのか!
食べてみる。鶏とは思えない濃厚なトロトロ感。この串は甘辛いタレで焼かれており、その香りの濃厚さもよく、肉の旨さを引き立てている!
「旨いよ、旨い!」
一緒について来たからしにんにく味噌みたいなのをなすりつけて食べるとさらに味が複雑になって旨い!
■鶏皮キムチ
最初観た時には切り干し大根のキムチかと思った!でもこれは鶏皮なんである。
鶏皮のザクザクした食感がキムチ味に合っていてこれも旨い!
「食べた人は結構やみつきになる感じらしいですよ。この皿もよく出ますね。あ、そうだ、野菜も食べて下さい。」
と言って小林さんが「キャンディキャベツね」と店のコに言うと、山盛りの生キャベツが出てきた。これを先のニンニク味噌をつけて囓る。
甘いねぇ、、、甘い。しかし、300円でこの山盛り度合いはいいな。本当は野菜が一番好きな僕としては、こうやって生の野菜をそのままドンと出してくれるところは有り難いのである。
「小林さん、地鶏のたたきはないんですか?」と訊くともちろんあるとのこと。出てきたそれを見てびっくり!
■地鶏のたたき
なんか、宮崎バージョンと違う~
上に載っている白い物体は、もしや山芋でないの??
そう、山芋であった!ミョウガと山芋を薬味にポン酢で食わせるタタキ。
「これもアリですね!」
肉を噛みしめる。タタキの好みは色々あって、僕は噛み切れないほど堅いのも好きだが、ここのはやや優しい食感。これも東京を考慮して戦略的に練られた結果だろう。これもアリ!
「でも私には、普通に食べてる鶏肉にくらべて堅さを感じますよぉ」
と小川女史が言うのだから、おそらくそうなのだろう。関東の人には相当に驚きの味わいになるはずだ。
さて、二本目をとられる時間がやってきた。
「小林さん、チキン南蛮ないんすか???」
「あっあります。ただ、これも私流にアレンジしているんですが、、、」
そのアレンジたるものが、僕の想像を超えていたのである。まず、チキン南蛮という料理を知らない人は、こちらの記事をご参照の上で進まれたい。
■宮崎にいくならチキン南蛮と釜揚げうどんを食べよう
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000114.html
宮崎のチキン南蛮は面白い衣の付け方で、鶏肉→小麦粉→卵液という順番なのだ。最後に卵をつけるのがポイント。これが、南蛮酢によくからむ揚げ方なのである。しかし、それを全く違う文脈に置き換えたのがここの一皿であった!
■ぢどり南蛮タルタル添え
おわかりだろうか、衣がフワフワとしたフリッター衣なのである!
「おおおおおおおおおおお そうきましたぁああ???」
メレンゲを使っているのだろう、衣部分がさくさくフワッとした厚みのある仕上がりだ。しかしこの繊細な衣だと地鶏の堅さに合わないのではないか、、、と思っていたら、「この料理には宮崎山地鶏ではない、柔らかい肉質の鶏を使っています。」という。
食べてみてそれがわかった!もも肉だが無茶苦茶柔らかい。モロリと崩れる肉質だ!肉汁がじわっと来ているのが写真でもおわかりだろう。これをタルタル一杯のせて、ピーマンのピクルスを載せていただく。皮がサクリとし、その後は本当に柔らかいモロモロと崩れる食感。これに合わせているのだろう、タルタルは優しめの味だ。全体的に柔らかな味に仕上げる意図があるのだろう、もう少し線の太い味だとご飯のアテになるのだが、逆にこれは一品料理としてのラインを狙った結果だと思われる。ピーマンのピクルスを一緒に食べると、薄かった酸味が補強されて、ちょうど良い味になった!
「二本目、獲られましたよ!」
ニヤッとする小林さん。
「いやぁ 不安だったんですよ、美味しくないって言われたらどうしようかって、、、」
いやもうここまででかなり高得点です。
しかもこの料理にはチキン南蛮という名前は使われていない。そう、先に書いたように、彼の宮崎料理をリスペクトしている気持ちが、安易なネーミングを避けているのだろう。だからこういうのが一番ふさわしい。「この料理は、宮崎料理をリファレンスにした創作料理である」宮崎県人にとっても、「ふうん、こういうのもアリなんだ」と思えるだろう。それほどに宮崎のチキン南蛮とは違うモノに仕上がっているのである。
■玉子豆腐
「やまけんさん、これ自信ありなんですよ!」
というこの卵豆腐、なにが違うのかなぁ、と思ってスプーンをさすと、確かにビックリ!
中から湧き出てきたのは玉子の黄身である!どうやって作っているのかわからないが、生の黄身が下に仕込まれているのだ。卵豆腐の加減もふわふわトロリのプリン状で、これも文句なしに旨い。この一皿が450円は安いな!
「これ、絶対にオンナノコが好きな味!」
と小川さんがうなずく。いや、オレも好きだよこの味!
さて、では正統派地鶏のモモ焼きを食してみたい!
■地鶏モモ焼き
出た!黒々としたこの地鶏のハードな焼き加減。しかしこれはごく近火の炭火で焼いているから着く色で、コゲているわけではないのであるのでご注意。食べてみたらビックリするよ!
ジワッと染み出る肉汁に地鶏と炭の香り。バチバチという強い食感の皮。肉質は堅すぎない、しかし全く柔らかくはない、あの宮崎山地鶏の味である。
「いや、宮崎中の色んな店にいって焼き方を盗み見しましたよぉ~」
厨房にいるのはとても若い人たちばかりで、東京出身の人が多いそうだ。しかし実にきっちりと良い仕事をしている。これはオーナーであり料理レシピを考える主体でもある小林さんの目が行き届いているということだろう。この炭火焼きは、正統派の味である。この部分は汚さない、という小林さんの意志が現れているようだ。
そして、今回のクライマックス、三本目を獲られる時がやってきた。
「最近はいろんな親子丼がありますけど、うちのはおそらく業界初、炭火焼きを親子丼にしたんです。」
うーむ 宮崎地鶏を炭火焼きしたのを具材に親子にするのか。あんましうまそうじゃないな、、、けど、話題作りのためにはやむを得ないんだろうな、と思いながら皿を待った。
そして、驚愕の時間がやってきたのである。
■ぼんぼり親子丼
うおおおおおおおおおお
なんだこれ、マーボー丼?かと思うような漆黒&チャコールの丼が出てきた!なんだなんだなんだこれは?
よーく観ると写真のこちら側にあるのは、玉子だけを親子丼つゆでトロトロ半熟ににしたものに、さらに甘辛そうなタレがかかっているというものである。そして反対サイドには、炭火焼きの真っ黒肉が盛り込まれ、そこに白髪葱が盛られているという威容なのである!
こいつはもう食ってみるしかない!
「僕としては、地鶏の部分を食べて、玉子を食べて、という交互に食っていくのをお奨めします」
と小林さんがいう。まず地鶏部分を木さじですくって口に運ぶ。ガシッと堅い食感が来るかと思いきや、、、
「柔らかい!」
そう、この親子丼には宮崎山地鶏の堅さは合わないと小林さんは判断、肉質の柔らかい地鶏を炭火焼きにしているのである。これがかなり功を奏していて、白飯に合う味になっている!
そしてトロトロの玉子部分を口に運ぶと、一気にその鶏肉の旨味が増幅された!なるほど確かに交互に食べる方法だと、お互いが旨さを増強し合って佳い!ちなみにこの玉子部分にかかっているのは「鶏ダレ」だそうだ。これが適度に濃厚で旨い!
これはもうヤラレタ感が強い!いさぎよく三本目を進呈しよう!と思いながら一気呵成に掻っ込んでしまった。
実に旨い! ただし、この丼の中では、横に拡がる旨味部分は強いが、立ち上る対角の味覚があるともっといいだろう。具体的には酸味が欲しい。よく漬かった酸っぱいぬか漬けが脇に添えられているだけで、くどさがなくなって食後感が軽やかになると思う。
反対に、一緒に出てきたぢどり南蛮タルタル丼は今ひとつであった。さきのぢどり南蛮タルタル添えは、一皿料理としては完結しているが、丼で白飯を食べさせる原動力は持っていないように思う。けど、帰りながら考えたのだけど、白飯の部分に南蛮酢を少しかけて酢飯風にして、そこにチキンを載せたら味の補強ができていいのではないかと思ったのだけど、いかがでしょうか小林さん?
あー しかし喰った食った。
「いや ホントに喜んでいただけてよかったですよ!」
いやまじでビックリしました。訊けば開店して1年経つということだったが、灯台もと暗し。自分のテリトリーなのに全くこの店のことを知りませんでした。グルメガイドのWebにもいろいろ載っているようだけど、的を射たコメントはついぞ観られない。ここは面白い店である。とにかく
「宮崎料理を最高にリスペクトし、リファレンスした創作料理」
である。この言葉の意味を理解してくれた人は、必ずここで満足を得られるだろう。宮崎料理が食べたい人は、渋谷か赤坂の「魚山亭」に直行すべき。安定した火力の郷土料理が楽しめる。そしてここ「ぼんぼり」は、マタ違うニューウェーブ東京風の地鶏料理が楽しめる店なのである。
そうそう言い忘れた。この日3人でさんざん食べまくって(ほとんど僕が食べてたけど)、会計は一人5千円を少し出るくらいだった。通常なら4人で割るボリュームだ。非常に戦略的にリーズナブルさを出している。ランチもやっていて、親子丼を出しているらしいので、試してみて欲しい。僕も近く、自腹で行って確認するつもりである。
前日夜から京都に泊まり、米と野菜の出荷団体にヒアリングを行った。午後になると卸売市場は業務を終え、閑散としてくるので寂しい。ヒアリングを終えて大急ぎで京都駅に戻り、のぞみに乗って一路東京へ。今回は残念ながら大阪で途中下車→インデアンカレーというコースは成らなかった!
なんで帰りを急ぐかというと、ライブドアの堀江君から「バードコート行きたいッスよ!」というラブコールを受けていたので、この日の予約を取っているのである。アスキー元編集長のF岡さんも一緒だ。
北千住に着き、バードコートのカウンターでギネスのドラフトを飲んでいたら、堀江君が間もなくやってきた。こんなにいろいろと騒がれているのに時間通りくるとは、感心なやっちゃ!
ほどなくしてF岡さんも到着!豪華な布陣だなぁ。
酒を飲み、地鶏に舌鼓を打ちながら、話はやっぱりいろいろとライブドア社の動向などに踏み込んでいった。ちなみに僕は堀江君のことは食い倒れ友達と思っているので、はっきり言ってライブドア社の行く末やメディア戦略には関心がない。唯一、オンラインショッピング部門であるライブドアデパートでは、なんばんの粕漬けやウェザーバケットを販売してもらっているので、それに関しては大感謝だし、できることは支援していきたい!
あ、そうそう 堀江君の社長日記でも僕のページと同じく気象情報が配信されているが、これを実現している仕組みである「ウェザーバケット」が、ライブドアデパートで購入できるようになった。個人が買うということは難しいだろうが、実は食品製造業者さんからの引き合いが強かったりする。関心のある人は観て下さい。
さてこの日もバードコート野島さんマジック炸裂!数週間まえから「肉、一杯残しておいて!」とお願いしていたので、奥久慈シャモのかなりの部位をたべることができた。
■ペタ
ペタとは、鶏のお尻の「ボンボチ」の少し上の部分だそうだ。ボンボチは脂がギッシリ詰まっているのだが、ペタは皮と脂のバランスがとれていて、こちらの方が旨いかもしれないと思える。
■燻製シャモの手羽揚げ
おお、野島さんの静岡ツアーの成果が出ている!スモークした手羽元と手羽先は、控えめな塩加減が絶妙、燻煙も程よくて旨い!燻製を揚げていることで皮目がパリッとして、食感までも旨くなる。しかも熱を通すことで燻煙香と旨味がバランス佳くなるかんじである。
「スモーカー、買っちゃいましたよ!」
と野島さんが指さす方向を観ると、燻製用のスモーカーが二基並んでいた!
「教えて下さった関さんにも食べて頂きたいんですけどねぇ、、、」
大丈夫、次回オフ会でそれが成りますよ!
「いや旨いな、旨いなぁ~」
と串をばくつく堀江君とF岡さん。F岡さんはそれほど量を食べない人なのだが、その彼がかなりの本数を食べている!
出版大手の幹部であるF岡さんと堀江君の会話は、やはり刺激的だ。農産物の業界以外はまったく疎い僕には、二人の間に座って話がスルーしていく感じなのだが、上の方に行けば行くほど、面白い人脈、魑魅魍魎のような人脈に触れざるを得ない状況になっていくのだな。うーむ 俺は近づかないでおこう。
と、厨房を観ると、先日の「チューボーですよ!」で未来の巨匠として出演したリキちゃんが、旨そうなものを作っている!
「なにそれ?」
「鶏茶漬けです!」
お、それじゃ親子丼の後にそれも食うよ!と言って確保してもらった。それがこいつだ!
なんと旨そうだぁあああああああああ
鯛茶漬けをイメージして作っているそうだが、ササミをゴマやクルミなどのペーストに和えてご飯の上にのせ、地鶏のスープを注いでいる!
いやぁ なんで俺はいままでこれを食べなかったんだろう!? と強い後悔の念が襲うほどに旨い!このゴマベースのタレが濃厚で、鶏スープと合わさって無茶苦茶に旨いのだ!ふおーーー F岡さんと堀江君も悶絶中。
結局、一品料理数皿と串を7本くらい、親子丼大盛りと茶漬けを1.5人前(堀江&F岡さんは食いきれなかったのだ)食べて満腹である。店内にはもう僕らだけ。野島さんたちとお話しをする。
さてここで面白いことが起こった。実は堀江君が入店後、バードコートの外からカメラで彼を狙う男二人がいた。パパラッチである。
「なんかそんなのまで出てきちゃったのかぁ、、、 あんなコソコソしてないで、飯でも食いに入ればいいのに。」
と言っていたのだが、本当に堀江君、ドアを開けて二人を招き入れる。
「寒いでしょ?中にはいってプリンでも食べたら?」
その二人は週刊ポストの編集者とカメラマンであった(と名乗っていた)。恐縮しながら店に入る二人。
「写真撮っても良いですよ」
と堀江君。編集者がいろいろと質問をし出し、予期せぬインタビューになった。こうなったらパパラッチなんて成立しないな。完全に堀江君のペースであった。カメラマンが「あの、こちらのお二人は、写真が雑誌に載ったりするとまずいですか?」と訊く。まずくないよ、とF岡さんと僕とで言っておいたので、次号の週刊ポストは買うことにしよう(笑)
この日の様子、堀江君も自分の日記に書いている。
■ライブドア 社長日記
http://blog.livedoor.jp/takapon_jp/archives/14907135.html
僕は堀江君が、食べ物や農業関係でさえなければ、何を買おうと関心がない。もし食べ物、農業関連の事業に手を出そうとするならば、僕から観て現実性がなければ指摘をしようと思うが、それくらいだ。で、一言だけ彼の人物評をするならば、これだけは言える。
「堀江君は、俺ほどではないけど、沢山メシを食べられる人間である。」
よく食うヤツはバイタリティがある。従って堀江君は生命力の強い、食べることが僕と同じかそれ以上に好きな人間だと言える。その一点で、僕は彼を友達だと思っているのである。
僕の弟分である宮崎県の西都市の農協職員、沼口君が上京しているという連絡があった。
「アニキ、生産者さんの販促イベントがあって、明日(24日)イトーヨーカドーの木場店の売り場に立つんですよ!」
なんだよそんなのもっと前に教えろョ!と、移動中の沼と生産者さんにお越しいただいた。
青果物に限らないが、売り場にマネキンとよばれる販促担当者がつくと、売上げは確実に伸びる。そしてそのマネキンさんが生産者だった場合の販促効果は計り知れなく高い。
明日イトーヨーカドー木場店で行われるのは、僕も関わったイトーヨーカドーのPBブランド「顔が見える野菜。」の販促イベントだ。コーナーができて、西都のキュウリとピーマンを販売するそうだ。沼口君も並ぶので、193センチの巨体をみかけたら、「やまけんWebで観たよ!」と声をかけて上げて欲しい。
で、色々話をしていたら、西都のピーマンにも面白い品種があるらしい。
「パプリカピーマンくらいの大きさなんだけどグリーンの品種で、生でもさくさく食べられて美味しいのよ!私たちはこれをオーブンとかで丸焼きにして、丸ごとのまま食べるのが一番おいしいわね。あと、『豚ピー丼』っていってね、豚とピーマンを味噌味で炒めたのをご飯にのせたのが、最高に美味しいのよ!」
それは旨そうだぁあああああああああ
彼女が作っている「ちぐさ」という大品種がそれだそうで、今度送ってくれるという。楽しみだ!とどいたら恒例の食べ比べイベントを開催したいと思う!
ということで明日、10:00~16:30くらいのあいだにイトーヨーカドー木場店にいける人はぜひぜひ顔を出して上げて下さいね!
扶桑鶴の桑原酒造の大畑専務が船橋東武に来ている、ということをお伝えしたが、日程を間違えてしまった!23日までではなく22日(つまり昨日)までだった!ゴメンナサイ。本日いっても大畑さんはいらっしゃいません、、、でもお酒は売っていると思うョ!
コラムニストの神足さんからのお願いを受け、対談をした。その内容が昨日22日発売のSPA!に掲載されている。
■扶桑社 SPA!
http://spa.fusosha.co.jp/
対談内容はもちろん食い倒れ!、、、ではなくて、日本の農業を今後どうする?の話しだ。
面白いかどうかはわからないけど、関心のある人はどうぞ読んでみてください。
で、ちなみに神足さんが出ているラジオ番組にも、ゲストとして出ることになってしまった!
■3月2日 TBSラジオ アクセス 夜10時~
ラジオなんてここ数年聴いていないけど、実は未だに熱い双方向メディアらしい!面白そうだ!声を磨いていきます。こちらの番組では食い倒れの話が沢山出てくると思いまーす!
ちなみに神足さんって本当に面白い方だ!「恨みしゅらん」の印象通りってかんじ。週間アスキーの元編集長・F岡さんと門仲フルコースにいって、きっちり晴弘のつけ麺までも完食したというのは、素晴らしい胃袋の持ち主であることを証明している。
3月2日、ぜひラジオ聴いてみてくださいね。最近のラジオだと、リスナーからのメールとか紹介されるんじゃないだろうか。誰か、ぜひメッセージ下さいな。
新宿小田急での北海道展の会期は21日(月)までだ。日曜日はさぞかし混むだろうと思ったのだが、やはり食べておかないといかんなと思い、行ってきた!
実は富良野に行った時に食べたカレーは、マスターではなく店の若い衆が作ったものである。その時D黒さんは、
「やはりマスターが作るのとは少し違うような気がします」
と言っていた。やはりその日使うルーを伸ばす時の加減、気象条件等で変わる人間の味覚に対応するための微調整は人により差が出てくるはずだ。
で、はっきり言って今回の唯我独尊の出店ブースでのカレーは、富良野で食べたものよりも完成度が高く、文句なしの旨さだった!
「ただ、小田急の環境や水で作っていますから、同じ味にはどうしたってなりません。米も数回は私が研ぎましたから、その辺の差もでてくるでしょう。ですから、富良野でマスターが作ったのを食べるのがベストなのですが。」
とD黒さんが言う。確かにホームグラウンド富良野で食べるのが一番だろうなあ。けど、D黒さんは謙遜するが、学生時代から唯我独尊でバイトをし、20年近く付き合いを続けているD黒さんの塩梅加減は俺は信用するぞ。
「はいよぉお やまけんさん仕様のカレー!」
と出てきたのはこれだ!
「豆カレーをかけたからねっ!」
おお、マスターの大得意、豆カレーがかかったソーセージカレーである!こいつぁ素晴らしい!ちなみに今回、ソーセージと豆カレーの組み合わせはメニューになかったのだが、マスターが気を利かせて作ってくれたらしい。
前のエントリのコメントにも「人によって出すものが違う、、、」という人がいたが、誠に申し訳ない。けどこればっかりはどうしようもない。僕はこのblogで書くことについて、どの店からも何らの見返りも求めないから、マスターとしてはこういうところでお返しをしてくれているのだろう。ご勘弁を。
ちなみにマスターの豆好きは徹底している。富良野で収穫されたウズラ豆、大正金時、白インゲン、小豆、大豆、虎豆などなどなど6~7種類は入っている。水煮缶などは一切使わない!
「この豆ってのが手がかかるんだよぉ!水を吸わせすぎると割れちまうしな、一つ一つに癖があるから、それに合わせて煮てやらないといけないんだよ!」
えっ マスターこの豆類、全部べつべつに煮上げてるわけ?よく考えてみたら粒の大きさが違うからそれが当然なのかもしれないけど、すんげぇ手間だ、、、そこまでこだわり抜いているのである!この豆カレー、豆類が実に主役を張っているのだ。スカスカの豆ではなく、適度な澱粉質、味と香りの豊かな豆類であった!
そして、僕のblogにトラックバックをくれている、すでにこの会期中に訪れた人たちも一様に書いているように、今回は唯我独尊のソーセージの旨さが際だっていた!併設されている販売コーナーで売られている燻製類が、サラミのようにしわしわになっているのをみて「なんだなんだ」と思った人も多いだろう。
唯我独尊の燻製肉類は、かなりの長時間燻される。最後のタイミングで温度を強めにかけ、脱水と燻煙香をつけているので、冷めるとしわしわになるのだ。しかしそれを湯煎でじっくりと戻すと、ガシッとした歯応え、ブワッと立ち上る燻煙香と肉の強い香りがたちまち蘇ってくるのだ!今回は本当にマジックを観た思いだ。
もちろんルー追加の荒技「ルールールールー」をやって、一通り食って大満足!三日間きてよかったぁ!
「8時頃に上がるからさぁ、飲みに行こう!」
やった!そうしましょう!
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時間を潰して小田急の下で待ち合わせ、一行と合流。とはいっても、実は今回富良野から来ているのは宮田マスター、唯我独尊の若衆、そしてラーメン富川の富川マスター、その従兄弟のショウタ君だけである。そう、その他の人たちはなんと首都圏にちらばる、唯我独尊門下生達!学生時代に富良野でバイトをしていたり、そういう人たちが駆けつけて手伝っていたと言うことなのだ!これも一重に、マスターの人徳だろう。
「よしっ じゃあ歌舞伎町の面白い中華料理の店に行こう!」
と入った店は「北京」という店で、日暮里のラーメン「馬賊」のように手打ちというか手延ばし麺を供する店だ。
「ここの麺延ばしが凄いんだよ!お、今奥から出てきた姉ちゃんが伸ばすんだよ!」
と宮田マスターが言うと、富川マスターが「俺、勉強してきますよ!」とダッシュで厨房前に。明るくデカイ声で「こんにちわ!」と叫んで、女麺点師の手元を凝視する。
いや、この二人のバイタリティー、そして向学心には本当に驚いた!素晴らしい!
ちなみに富川のマスターは、もとフェザー級のプロボクサーだ。
「いやぁ、2ヶ月に一回しか試合が無くて、ファイトマネーが3万8千円くらいだから、人生ってなんなんだろうって思ってましたよぉ。だから、料理の世界に入ったら、皿洗いでも何でも、キツイはきついけど10数万もらえて、なんか凄いな社会って、って思いましたよ!」
実はこの富川さんの話がすげぇ面白かった。
「俺はね、旨いラーメンが食べたいな、家族にも食べさせてやりてぇな、って思ってね。それだったら俺がつくりゃいいじゃんかってラーメン屋始めたんですよ。最初の頃はヒドイの作ってましたよぉ、、、」
「けどね、どうせ作るなら仕事しようって思ったんですよ。人が作った麺を茹でたんじゃ、そりゃ仕事量としては半分じゃないですか。だったら俺が麺も作ってみようってね。人から教わって石臼も買って、色々試行錯誤してるんですよ。まだ極めたなんて全っ然思ってないですよ!まだまだですよ、、、どんどん旨いの作っていきたいんですよ!」
富川マスター、死ぬほど熱い!
これは確かに極陽性のほとばしるパワーだ!眉間が完全に開いている感じで、周りの人たちを強制的に陽に変換してしまうパワーを持っている!
そして、宮田マスターも同じくらい熱いのだ!
「いやぁ、 時間をみつけて百貨店を廻ってるんだけどさ、今、和菓子が凄いんだよなぁ!ハス粉を練ったプルンプルンの皮で黒蜜を挟んだのをクマザサで包んで300円とかだよ。俺だったらさぁ、豆でなんかやりたいね!俺が使ってる富良野の沢山ある豆をぜーんぶつかってさぁ!」
こっから先のアイデアは宮田マスターのものだからマル秘にしておくけど、もう口からアイデアが滾々と湧き出続けるのだ。本当にこの二人には脱帽した。
、、、そして、、、まあどんな会のなんばん粕漬けに続く第二の食い倒れプロデュース品の計画が、始動したのである!
「よし、じゃあやまけんちゃん、○○○○○○○創ろうよ!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
それは欲しいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
なるほど、あれをカレーで創るのか!そいつぁ絶対に旨いし、嫌いな人は居ないはずだ!
決まった! 今年中に、唯我独尊&食い倒れ日記のコラボ商品を世に出すぞ!期待していて欲しい!
最初からそんなことを考えていたのではなく、まあどんな会のことを宮田さんに話をしたら、その商品のアイデアの話がふっと出てきたのだ。
「それ、絶対にやりましょう!」
うーむ このままだと僕は商品プランナーになるのかもしれない、、、ま、それもいいな。俺は旨いもんが食べられればそれでいいんダ。
ビールをグビグビ、紹興酒をカパカパと空け、店を後にする。両マスターのとてつもない熱気に押されて、僕も頭がボーっとするほどに熱い。
いいじゃないか。人間、つきつめれば熱だ!人が熱を発しなくなった時、それを死と呼ぶのだ!このほとばしる熱にしばらく頭を灼かれていよう、と、そう思いながら歩く、新宿の夜だった。
宮田さん、富川さん、D黒さん、そしてスタッフの皆さん。本当にお疲れ様でした!
「まずは前菜盛りからどうぞ。」
前田さんが言うと、厨房から綺麗な皿が運ばれてきた。
大地の和食というと、結構ドカンとしたのを思い浮かべていたのだが全然違った!
■くわいのきんとん
■自家製カラスミと大根
■天蕪千枚漬け
妙なる美しい取り合わせではないか。
「やまけん、酒は何を飲みたい?」
「あ、そりゃ日本酒ですよ純米酒。おおっ 『春鹿』があるじゃないですかぁ!じゃあそれを、、、」と続けようとしたら、前田さんが先回りして「お燗にしますか?」と言ってくれる。ビンゴだ!
旨い酒はこの他にもあって、大地オリジナルの「種蒔人(たねまきびと)」というのがイケル。たしか大地の生産者さんの米を使ったものだと思ったのだが、骨太な米の味がブワッと香ってくる秀逸な酒なのだ。
■鯛のお造り
大地は実は驚いたことに水産部門も持っていて(本当に第一次産業を支える会、といって良いと思う)、漁場にしてもなんにしても情報開示型の食材を提供している。
で、素材ももちろんだけど、板前さんの腕もいいな。この鯛のお造り、スパンと細胞が断ち割られた断面はあくまで滑らかで、ムッチンプリプリというふくよかな鯛の食感が官能的なのだ。
■ヒラメのしんじょの椀
お椀はもちろん和食の華なんだけど、この店の椀も非常に素直な味がする!一流の料理店になればなるほど、化学物質の入ったものを作らなくなるから、素直な味の出汁にありつけることが多いが、ここでもあの後を引かない仄かな昆布と鰹の風味が立ち上った!
ヒラメのしんじょはフワフワとしていながら、白身の上品かつ地味ながら強い旨味が閉じこめられていて、本当にご馳走だと思ったんであった。
椀の彫りをみてみれば、これも高いんだろうなぁ、と思う美しい細工である。んー この店、こんなお金かけて大丈夫?っつう感じもするが、これが大地のセンスっていうか藤田会長のセンスなんだろう。
思えば大地のイベントには必ずジャズや太鼓などの音楽パフォーマンスが付き物だった。それもいい加減なものではなく、例えば梅津和時のサックスと板橋文夫のピアノのカルテットとか、そういう一流どころが吹きまくりにくるのである。それも、藤田さんが「やっぱお祭りには音楽だよね」という、その感覚に基づくものなんだろう。六本木の御膳房もそういえばピカピカにカッコイイ高級な店である。洒落もの・藤田会長の面目躍如といったところだろうか。
そういえばこの日は、広報担当のOちゃんと、企画・ライターをしているカワゴエさんが同席しての飲みなのであった。どーでもいい馬鹿話をして盛り上がる。こういうのも悪くない。
■アンコウの唐揚げ
うわーもう言うことはない、、、
レモンを垂らして塩をチョイと付け足して頬張ると、ふわっともっちりした肉質で、汁がジュワッとわき出してくる。
■聖護院大根のふろふき
抑制のきいた白味噌ベースのふろふき味噌で、ほどよい堅さを残しながら煮上げられた聖護院大根の持ち味が引き出されて旨い。
上品な蕪か?と思うほどの肉のみっちり度だが、大根なのであった。青首ではこの煮上がりにはならないんだよね。
さて、いよいよ短角牛のおでました!
「今日は、通常と違う料理をお出ししようと思って。」
と前田さんが運んできてくださったのは、ゴマだれをかけたしゃぶしゃぶ風のサラダだ。
「これに、自家製のトウガラシたれをつけていただいても結構です。」
と、カンズリのようなペーストを出してきてくれる。トウガラシを講じと一緒に発酵させたような感じの香りとテクスチャーだ。
はたしてこのタレが、脂ぎってはいないが、本来的な赤身のコクを十二分に内包した短角牛にビチッと合う。適度な塩気と酸味が味わいを重層的にしてくれたのであった!
さあそしてこれがまた最高な一品だ!短角牛のヒレ肉に旨そうな焼き目をつけた炭火焼きだ!
■短角牛ヒレ肉炭火焼き
くおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
この串を25本食べてぇえええええええええええええええ
と叫び出したくなるプレゼンテーションではないか!
しかも短角牛のヒレだけを食べるなんて、これまで体験したことがないゾ!
肉片にガシッとかぶりつくと、短角のもつ濃い旨味成分を含んだ細胞カプセルが弾けて、炭火で炙られた醤油ダレの香りと肉の香気が重って旨い!
うがああああ 白飯が食いたい! この強力な短角牛肉片の香りが口中に充満してるところにコメを口を一杯になるまで頬張って、顎がはずれそうになるくらいに噛みしめてコメの甘さと肉の旨味が混ざったところで名残惜しいけど食道方面に飲み込んでやりたい!
どあああああああああ
と思っていたらメシがでてきた!
ていうか「コメ下さい!」って所望してしまったんだけどね。
「ん、これは稲田のコシヒカリだな!」
と藤田会長がズバリ言い当てる。福島県の、僕も大好きな生産者団体のことだ。もちろん大地の消費者会員が買うことのできるコメである。
まあ、言わずとしれたことだが旨い!みるからに端整な粒立ちのコメは、ほとんど有機肥料で栽培されているから、味に関しては一般米の追随を許すわけがないのである。
「やまもとさん、ご飯の友も欲しいでしょう?」
と前田さんがジャコを甘辛く炊いたのを持ってきてくれる。
前田さんあなたはもしかして、僕が全日本ご飯の友追求友の会事務局長兼皇帝であることをご存じなんですか?人の心を読みすぎである!
それでも食い足りないのでさらに追加。
■里芋の揚げ出し
軽く粉をはたいて揚げられた里芋に甘辛い醤油餡をまとわせてかぶりつくと、里芋特有の香りがフワッと鼻を抜けた!そう、良い里芋は香りが佳いのだ!
■下仁田葱のスープ仕立
下仁田葱の甘さがギリギリの薄味に仕立てたスープに溶け出し、これはまた優しい味だ。たかが葱、されど主役の葱なんであった。土の味、土の味。
「お口直しに、、、」
と言って出てきたのが、苺だ!品種はなんだったっけかワスレタ。けど、いちごってこの世で最も肥料の味が出る作物だと思う。昔、あるオンラインショップの仕事で、数種の苺を食べ比べたことがあるのだが、やはり有機資材のみを使用した苺がダントツに旨かった。香り成分に一つか二つ、別次元が加わるのである。
何度も書いてきているが、作物の味を左右するのは農薬を使うか使わないかではなくて、肥料。餌なのである。
あー喰った食った、、、、
「相変わらずよく食べるねヤマケン。この店、まだできたばかりだし、店も少し広尾から入り込んだところにあるから、まあ宣伝しておいてよ。」
了解、了解!
ご馳走になったから書くのではない。意図的にこれまで書かなかったけど、今日でてきた料理の食材はほぼすべてが大地の生産者により、一定の基準に基づいて作られた、正真正銘・顔の見える関係の産物なのである!
実は最後にこれを言いたかったのだ。このように出てくる料理の素材の一角だけではなく、すべてに神経を行き渡らせることは、流通とは関係のない飲食業者にはとても難しい。大地は、農林水畜産業すべてに積極的に関わり、生産と流通を創り上げてきた団体だ。その大地が満を持して出している店だ。これほどに「信頼できる素材で美味しい料理が食べられる店」というのを体現している店は、そうないだろう。そして、言うまでもないが、、、料理のレベルは高い。だれが来店しても楽しめるだろう。
その代わりと言ってはなんだが、一通り食べたいなら5000円以上、1万円程度までのレンジで考えておいた方が良い。何度も言うが、「信頼できて」「野菜が美味しくて」「料理も美味しい」というように要望があるなら、相応の価値を認めなければならない。
ただし、日頃化学調味料に慣らされた舌には、こうした料理は「ん?ものたりないかも」と思ってしまうかもしれない。ただ、舌の感覚にまっとうな部分が残っていれば、導入部の皿だけできちんと本来の味覚にチューニングされるはずだ。それが自己調整能力というものだ。
ということで、僕に難しいお題目を出してきたみなさん、ここが一つの回答です。美味しい和食を、信頼できる材料を使ってレベルの高い料理技術で提供しているお店。これで一つ肩の荷が下りたな。
食い倒れシチリア編を読んでくれた長島農園の勝美君から、
「僕もヨーロッパ、ドイツで研修をしていたのだけど、いろいろ考えるところがあるのはヤマケンと同じ。今度まとめてメールするよ!」
といってくれていたのが届いた。兄弟blogである「俺と畑とインターネット」にアップしておきました。
■長島農園からの手紙
http://www.yamaken.org/mt/oreto/
その一つ前のエントリには、
■身体を強める方法はいくつもある。そしてヨガというのもその一つ。
というエントリも書いてます。そう、僕は健康増進のために、ジムでのウェイトトレに加えてヨガをやってるんですねぇ。ていうお話し。
テーマ毎にblogを変えるのはめんどいんだけど、こうした方が考え方も分けられていいかな。てことで。
かねての予告通り、新宿小田急百貨店の11階催事場に大北海道展が開催されている。本日月曜日21日が最終日だ(6時までらしいが、きっと早あがりするだろうから急いで)。まだ行ってない人はぜひ駆けつけて欲しい。イートインコーナーが多数あるが、なんといっても大注目は唯我独尊のカレーと、富川のラーメンだ。唯我独尊は僕のblogでもさんざん採り上げてきたわけだが、富川のラーメンも実に注目株だ。なんてったって富良野で獲れる食材だけで構成されている。麺の小麦は富良野産のハルユタカ、それを石臼引きにして自家製麺する。スープのダシもメンマもチャーシューも、すべて富良野の食材で創っているのだ。
で、結果的に僕はこの会期中に3回、足を運んだ。その感想が、表題にあるようなことなのだ。
エレベータで11階に降り立つと、イカめしやらなにやらの雑多な匂いがブンブンと漂っている。その中を、すぐにそれとわかるカレーの香りが漂ってくる!
おおお 久しぶりの唯我独尊、マスターの宮田さんだ!
「おおっ やまけんさーん! なんだよ土曜日に来るっていってたのに、今日も来ちゃったの!?」
と久方ぶりにお会いできたのである。
唯我独尊もかなり長いことこうした物産展に協力出展してきているが、売りはカレーとソーセージなどの燻製類、そしてパンである。
実はこのパンがまた旨い!マスターが気を利かせてくれて、チーズパンをいただいてしまったのだが、天然酵母系なんだろう、粉も気を遣っているのだろう、ホロホロとした食感に甘い酵母の香りが漂い、そしてしっかりとした食感のある逸品だ!
で、この特設ブースで、マスターと2-3人の助っ人スタッフで、カレーが切り盛りされていた。
このようにアクリル板で仕切られた中でデカイ寸胴に漆黒のカレールーがなみなみとあり、それをご飯に盛りつける。その一連を、なんとマスターが自らやっているのである!
ご飯を盛り、野菜類をのっけ、ソーセージを切って載せる。マスター手ずから行うこのカレー盛り、実に貴重だ!
食券を買い(ソーセージカレー1050円)、特設ブース内の席に座り、食券をウェイトレスさんに渡す。
「やまけんさん用ね、わかったわかった!」と叫ぶマスターの声が聞こえてくる、、、程なく出てきたのがこのカレーだ!!
おおおおおおおおお
旨そうじゃないかあああああああああああ
今回は、富良野で食べたバージョンよりも芸が何段階も細かい!まず、ご飯にルーをかけた上に、ゴマがちりばめられかつ生クリームがかけられている。
ルーはあの漆黒の一歩手前の深い褐色。滑らかであり、口に運ばずとも濃さを感じさせる色だ!とりあえずルーをタップリ浸したカレーを喰う!瞬間的に香りの洪水が僕を巻き込んだ!とろみのあるルーからは想像もつかない、練られたスパイス群の香気と、たとえようもなく深いコクがブワッと炸裂した!そして一瞬後に来る辛さ。富良野で食べた時よりも辛みが上だ!そうしておいて香りとコクの余韻が、後を引いて残る、、、
「うまああああああああああああああああい! 旨いっすよ昨年食べた時よりも!」
満を持してソーセージにもかぶりつく。
唯我独尊のもう一つのウリである燻製。とくにこのフランクなどのソーセージは、肉をかなり細かめに引いているのにも関わらず肉自体の香りが強く、そして燻製香もストロング。個性が極まりまくったガツン系のストロングスタイルソーセージなのだ。
それと、もう一つ気づいたのはライスだ。白米ではなく、うっすらとベージュがかっている。
「ああ、富良野のビール館(唯我独尊の地ビールレストラン)で出しているバージョンなんだけど、ガラムマサラをいっしょに炊き込んでるんだよ!」
そうか!強いスパイス香はこのライスからも立ち上っていたのだ!二重三重の味・香り空間が構築されていたのだ、、、シャッポを脱ぎますよ。
そんな風に食べながら、宮田マスターのでかいこえがブース内を炸裂する。
「お客さーん ルーが足りなくなったら『ルールールールー』って叫んでくださーい!足しますよ!!!」
なんてことを言いながら、きちんと催事へのお客さんにもコミュニケーションをはかるマスターだったのだ!
さて
その2日後、今度は富川のラーメンを食わねば、と思いまたもや登場。唯我独尊のカレーはオペレーションがご飯をよそってルーをかけるだけなので、お客さんからみえるところで作業ができる。しかしラーメンだけは、茹で上げたりしないといけないのでどうしても厨房内になってしまう。ということでブースの中の調理場に引っ込んでしまっているのだ。
ちなみに食券売り場には、通常の麺と全粒粉の麺を並べた鉢があり。これはわかりやすくていいね!
「ちょっと富川のマスターに顔出したいんだ」
と中に入らせてもらう。マスターに声をかけると、一瞬後に
「やまけんさんっすか!」
と目を大きく見開き、握手をしてくれた!
僕がD黒さんと富良野に富川を訪ねた時は風邪で調子が悪いということだったが、この日は万全!額の間から光が出ているようなエネルギーを感じまくった!
「気合いいれて創りますから!」
という言葉に支えられて出てきたのがこの「石臼挽きラーメン」だ!
みよ、この自家製麺・全粒粉で打たれた、これまたストロングスタイルの麺を!全粒粉だから、所々に茶色い点がみられるだろう。こんなラーメン、みたことない!
すすってみてビックリ。富川のラーメンもまた進化している!前の富良野エントリをよく読んでいただければ分かるのだが、実はあの段階での麺とスープとの相性には、まだ発展の余地があると思っていた。それほどに癖のある強い麺なのだ。その癖の部分をきっちり把握し、寄り添うスープになって東京にきてくれた、と今回は思った!ダシは非常にあっさり目、けど全粒粉の麺をヨイショッと包み、奥行きを出すようなスープである。
「いやマスター、前よりウマいっすよ!」
「いつも変わってるんですよ!今年はねぇ、麺がいいコンディションなんでガンガンやろうと思って!」
そう言いながらマスター、面白いものを見せてくれた。
「持ち帰り用、通販用にこういう商品も創りました。さすがに自家製麺ではないけど、粉の配合とかはきっちりやってます。」
おお、ラーメン博物館とかでよくみかける生麺付きセットである!これ、旨いなら買いたいなぁ。
さてそんで今日日曜日にも喰ってきたのである。
(続く)
訂正! 船橋東武での出店は23日ではなく22日まででした!
読んで字のごとく、である。以前のエントリで書いた島根県の素晴らしい純米酒「扶桑鶴」を醸す桑原酒造の大畑専務が上京している。
実は本日、富良野の唯我独尊とラーメン富川のマスターと痛飲した後、弟分の日本酒マスター・工藤ちゃんのお母さんの店にいる大畑さんに会いに行ったのである。
「23日まで、千葉県の船橋東武にお酒を持ってきているんですよ。」
おおおおおおおおおお
なんだか百貨店の催事が続いているなぁ。
扶桑鶴は、数ある純米酒の中でも飛び抜けて上品で気品があり、かつどっしりした骨格も持っている酒だ。個性の強い肉に合わせるなら広島の竹鶴酒造の酒だが、繊細な魚に合わせるにはこの扶桑鶴も非常にイケル!
久しぶりにお会いした大畑専務をみると、昨年のエントリにある、長野のイタバシ師匠宅で痛飲痛食をした際にみかけた時と比べ、頬の肉が削げてハンサム顔になっている!
「痩せました?蔵に入ってるからですかねぇ、、、?」
と仰るが、やはり蔵の仕事は力と頭と心を使う繊細な仕事。相当に摩耗し疲弊するのだろうと思う。ん~ 酒仕込みダイエットか!?
弟分の工藤ちゃんは、先週に桑原酒造に足を運び、扶桑鶴の今年度産をすべて利いてきたらしい。その彼が力強く言う。
「今年の扶桑鶴のポテンシャルはすご~い!!絶対に買いです!」
当然のことだが、日本酒もワインのように当たり年というのが存在する。原料となる酒米の質は年ごとに大きく変わるわけだし、その年の気候により大きく酒質が左右されるからだ。工藤ちゃんいわく当たり年ということだが、その前の「ポテンシャル」という言葉がまたニクイ。
彼はきっとこう言いたいのだ。
「この扶桑鶴は、いますぐ飲むよりも、冷蔵庫などできちんと熟成させて秋以降に飲むと、絶対に旨いですよ!」 と。
そう、日本酒とくに純米酒は「秋あがり」といって、できたてよりも熟成を経てからの方が味に奥行きがでることが多い。ただし、熟成に耐えうる酒、そもそも熟成してみたいと思う酒自体がそんなに無いという状況だ。今年の扶桑鶴は、ぜひとも熟成させたいと彼がいっていることだと思う。うー 飲みたいゼ! けど、23日までに行くの、おいらは難しいかも!
ということで船橋方面にお住まいのラッキーな皆さんは東武百貨店のお酒売り場(どこかは知らないんだけど、、、)に行って、ぜひこの大畑専務を捜し出し、味見をし、そして自分の熟成用に一本買い求めて帰って頂きたい。そしたらぜひ感想書いて下さいね。
野菜の仕事をしていると、良く訊かれる質問がある。
「美味しくて安全な野菜が食べられる店を教えて!」
というものだ。そしてこの質問ほど僕を困らせるものはない。美味しい野菜、そして安全な野菜を入手する方法を教えるのは難しいことではない。しかし、それらを使用していて、かつ料理が美味しいといえる店は、東京にもそうそうは無いのだ。これは非常に悲しいことで、プロとしては恥ずかしいことなのだが、無いものは無いので「う~ん」と唸って沈黙するしかなかった。
で、一つみつけたのである。
まず「大地を守る会」という組織をご存じだろうか。7万人以上の消費者会員を擁する専門流通業者だ。そして、大方の宅配業者とは違い、その取り扱う商品はすべて厳密な基準に従って生産されたものである。有機農産物を規定する有機JAS法という法律があるのだが、その成立する遥か昔から活動を続けてきた、この世界のトップランナーである。あ、そういうこと以外にも、例えば昨年話題を呼んだ、電気を消してろうそくに灯を灯すという「100万人のキャンドルナイト」というイベントがあったが、あの事務局をつとめたのが大地なのだ。キョンキョンとかが出たんだよな、みたかったなぁ。
■大地を守る会
http://www.daichi.or.jp/
彼らの素晴らしいところは、消費者も会員だが、生産者も同じ会員である、ということだ。どういうことかというと、大地を守る会とは生産者・流通業者・消費者が同じ高さにいる、とする組織なのだ。会員相互にあるべき食の在り方を考え、そして流通を実現していくというスタイルを確率したパイオニアなのである。
大地が生産者や加工業者に課している基準はこの国の有機・特栽(特別栽培)農産物のスタンダードと言ってよいものだ。長年の取組によって研ぎ澄まされてきた各基準を読むと、その合理性や知恵に感心してしまう。そしてスバラシイのは、この大地では第一次産品だけではなく、数多くの加工食品も産み出しているのだ。大地は卸売も大きく展開しいて、一時期は多くの自然食品屋さんや、中小規模の有機野菜宅配業者などが大地からの供給を受けていたものだ。現在も大手百貨店や有名な自然食品店チェーンに卸を続けている。そう、大地とは、生産・流通・消費のすべての立場をもった運動体なのだ。
ちなみに消費者が生産者と直接結びつく、という発想は美しいが、すべての食をそうした点と点で結ぶことは難しい。だから流通という機能が介在している。その流通の在り方は多様で、形や見た目を気にする流通もあれば、味を追求している流通もあり、そして安全であることを第一義にしている流通もあるわけだ。実は、「何を食べるか」という問いかけの底には「どんな流通を選ぶか」という問いが隠れている。それは通常はみえてこないのだが、、、
で、なんでこんなに大地を守る会のことを書くかというと、僕にとって一番信頼が置け、そして関係が深いのは此処を置いてないからだ。
学生時代、僕は情報系のキャンパスの一角を耕し、畑を創るサークルを興していた。学校に1期生、2期生しかいなかった牧歌的な時代だった。毎日休み時間と放課後に農作業をしていたので体重は今より5キロ少なかった(笑)。3期生が入ってきてようやく後輩ができた。その中で一人、藤田 葉(よう)という、綺麗な名前の女の子が僕のところにやってきて、「やまけんさん、そんなに農業が好きなら、私のお父さんを紹介してあげるよ」と言う。ああ、お父さんが農家なのかと思い、訊いてビックリした。
「私のお父さん、大地を守る会の会長なんです。」
ふおおおおおおおおおおおおおお これにはビックリした!
僕の人生、素晴らしい人たちとの出会いに恵まれ続けているのだが、この時もビックリした。有機農業を志すもの達でその名を知らぬ者はない、大地を守る会だ。もちろん紹介してくれ!と拝み倒し、塩浜にある事務所を訪ねた。
長身でスーツの似合う、温厚そうな人がそこにいた。大地を守る会の会長、藤田和芳さんだ。有機農業の世界は昔、かなり破天荒な人が多いときいていたのでちょっとビックリした。彼は一介の学生である僕を歓迎してくれ、なんと2時間も時間を割いて、色んなことを話してくれた。以来、非常に目をかけてくれ、「はやく大地に入れよ」といって頂きながら僕は勝手なことばかりしている。
で、色々とお付き合いしているからよく分かるのだが、この国で良い食材を入手するということを考えた時、大地を守る会はお奨めできる選択肢の一つである。友人から「どこで買えば安心できるの?」と訊かれた場合には、僕は基本的には大地の名前を出している。「でも、高いからなぁ~」という答えが返ってくる場合には「じゃあ、安い野菜をスーパーで買えば?」と返す。そういうことだ。世の中の主流とは違う流通を実現しているのだから、価格が割高になってしまうのは仕方がない。その代わりに違う価値を提供しているのだから、、、
で、前置きが長くなったが、この大地、あまり知られていないが実は、レストランも経営しているのだ!有名なところでいうと、六本木の芋洗坂を下りたところにある「御膳房」という雲南料理の店だ。本格的な雲南料理が楽しめる店は日本にそうないが、ここは超お奨め。科挙米線(かきょめいせん)という名物料理を食べたら、絶対に忘れられないこと請け合いだ。
もう一つ最近、中国で国賓クラスの客をもてなす時に使われる北京ダックの名店が新宿に開店した。ここのことは後ほどエントリに書こう。
そしてもう一つが、おそらく唯一の和食。今回紹介する広尾の「山藤(やまふじ)」だ。
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僕はここ数年、藤田会長に年に数回、飯をご馳走になっている。たまには顔を出せということで、いつも旨いものを食べさせて頂いているのだ。
「やまけん、今度は和食の美味しい店を出したから食べにおいで。」
地図をみると、なんとなんと!広尾にある大学同期の友人の寺田の店、CICADAのすぐ近くではないか!
広尾駅から日赤病院下の信号を渡り、小さな通りを歩いてすぐに山藤の看板がみつかった。
藤田さんがいつもの温厚な顔で笑う。男は笑顔で語るもんだ、と本当に思う。有機農業や食の在り方、社会問題にガツンと四つ相撲で取り組んでいる人なのに、そのアタリはとても柔らかい。そう言うのがホンモノなんだよな、と思い、我が身を振り返ってしまうのであった!
「まあ今日は、いつも通りやまけんをつまみにしながら飲もう!」
そう言って会長、グイグイとビールを空ける。希代のビール好きなのだ、この人は、、、
「やまけん、この店は本当にこだわり抜いてるんだゾ!その箸の木材も、テーブルの木も、全部岩手県の山形村っていうところのを使ってるんだ。」
そういえば出てきた箸は割り箸ではなく、しっかりとした木材を削りだしたものだ。テーブルも、綺麗で剛健な一枚板を使ったものではないか!
ちなみに岩手県山形村というのは、実は日本の食を語る上ではずせない土地である。短角牛という牛を村ぐるみで生産している希有な存在なのだ。
短角牛は、放牧で飼うことができる牛だ。放牧で、ということは、つまり主に草を食べて育つということでもある。日本の牛肉生産の主流となっている黒毛和牛やそれに準ずる牛は、ほぼケージの中で、濃厚飼料とよばれるコーンなどを食べて育っている。人間でいえば毎日ステーキを食べて育っているようなものだ。そのため、脂肪が筋繊維にまで入り、いわゆる「サシ」の濃い状態になるのだ。対して短角牛は、乳用牛と同じように粗飼料(牧草など)を中心に食べさせている。だからサシの入り具合はそれほどではない。しかしその赤身中心の肉には旨味がグワッと凝縮されていて、霜降り和牛とは全く違う旨さを持っているのだ。噛み応えもあり、和牛の「わぁ~箸で切れちゃう!」なんていうようなことはあり得ない。柔らかい肉も旨いが、顎を使ってダイナミックに噛み応えを感じられる短角牛の肉は、ヒトに野生を思い出させる肉なのだ!
ちなみに大地の社員食堂では、たまにこの短角牛の焼き肉がメニューに上ることがある。僕は仕事でお付き合いしていた時、担当のOちゃんに食堂の週間メニューを訊いて、焼き肉が出る時は絶対に打ち合わせを入れるゾ!という姑息な手段を用いていた!
で山形村は、その短角牛を日本で唯一と言っていいほど本格的に村ぐるみで生産している土地なのである。その山形村の特産品を盛り込み、山形村の木などを調度に使い、そして大地を守る会の生産者の食材を使った(←これが一番重要)和食やさん、それが「山藤」なのである!
「実はしばらく板前を山形村に送り込んで修行させました。」
と仰るのは大地からこの山藤担当者として送り込まれている前田さんである。
「とにかく和の味をキーに、食材は調味料の一つ一つにまでこだわっています。ただ、それを前面に出すといやらしいので、お客さんに訊かれるまでは言いませんが、、、」
と、大地らしく奥ゆかしいのであった。
さてさて能書きはいいから飯だ!腹が減ってるんだョ!
とここから、実に滋味深い、素晴らしい食卓の彩りが心を弾ませてくれることになったのである、、、
(続く)
なんばんの粕漬け、もう販売終了してしまった!?
昨晩からアップしたのに、24時間以内に売り切ってしまったか、、、買えた人、おめでとうございます。
、、、では、極秘情報です。
まあどんな会より、「あと200セットくらいは追加で作れそうです!」という連絡あり、、、
近日中に発売できると思います。また告知するのでどうぞ!
そうそう箱詰め等が大変なので、発送は3月に入ってからになると思いますのでご了承下さい。楽しみにsしていてネ!
いやスミマセン、実は昨日、代々木に用事があったついでに唯我独尊に行ってきちゃいました。
すっげぇ旨かった、、、必食ですよ。時間ができたら詳細レポします。
でも告知通り週末も行きます。土曜日なんですが、ちと時間は寸前まで未定ですね。
それより、日曜日の午後4時くらいとかのほうが絶対に行けるので、変更としましょうかね。
唯我独尊カレーと富川のラーメンが同じ場所で食べられるので、週末は両方食べたいと思います。
では、もし会えたら嬉しいですね。僕を見かけたら遠慮無くお声がけくださいね。
今朝にこのblog見てる人、なんばんの粕漬け、販売開始してますよ。まだ買えると思いますが、堀江君の社長日記にも出ているので、早めにしないと売り切れる可能性大。
買うことができた皆さん、おめでとうございます。
で、その記事の中にギンダラさんという方が、「もともとは1ビン300g入りで350円の商品じゃなかったっけ?それが150g x 3種類で販売価格2,730円とは・・・。」というコメントをしています。
こういうコメントがあることは当然予想してましたので、説明しましょう。
(続きは↓をクリック)
まず過去の「なんばん」関連の記事を全部子細に読んで頂ければおわかりになるとおもうのですが、私が一番最初になんばんを譲って頂いた時の価格350円はまあどんな会の仕入原価。まったくそのほかの人件費も入っていない価格です。「まあ、趣味で作ってるようなもんだし、東京から買ってくれるんだから」ということで出してくれた金額です。
でもそれをしていたら、まあどんな会は、再生産ができる循環を作れないわけです。ですから、まあどんな会の人たちが正統な利益を得られるような金額を足し、ライブドア社が告知・決済をし、物流業者が発送業務を行い、僕が諸般の業務を行う手数料を足したのがこの価格です。
で、そう考ると、今回の価格は「非常に安い」ということを認識して欲しい。原価率で単純計算すると、30%程度ですよね。加工食品では通常、もっと利益をとるものです。むしろライブドアさんの販売・決済手数料・事務処理費用等が入ると本当はもっと高くなってしかるべきなのです。
本当のことをいうと、ライブドアさんかはら「なんでこんなに安くしてしまうんですか?」と言われています。しかし、まあどんな会としても僕としても、これ以上になると一般の人が買いにくいと判断。そこで、ライブドア社さんが折れてくださり、手数料等を引いてました。つまり、この価格は「かなり無理して出している」価格です。今後、また商品を出すときはもう少し値上げするかもしれません。それくらいの金額です。
一つだけ言えるのは、僕は自信と誇りを持ってこの価格を提示しています。なので、それでも高いと思う人は買い控えて下さい。それだけの話です。
で、、、
どんなものなのか、味わってもいない段階で、こういった根拠のないネガティブコメントを、しかも架空のメールアドレスを記載して書き込むようなやり方を僕は好きではない。今後こういうことは控えて下さい。もしメールアドレスをさらすのが嫌だと言う方のために、僕のメールアドレスを公開しているわけです。今後何か言いたいことがあればメールを下さいね。
、、、ということを書いていたら、コメントに「さよこ」さんという方が、上記説明を書いて下さっている、、、うう、どうもありがとう! ホントに守って下さる方が多いことを実感します。
ということで。やっぱりあんましこういうのは書きたくないなぁ。ご理解と共感のほどを!
さておまたせしました!!!
なんばんの粕漬けセット、いよいよ開始します。販売協力は、、、ライブドアさんです!きっと皆さん予想通りだよね。
で、食い倒れ日記の読者さんだけに、先行販売をライブドアさんが了承してくださったので、皆さんこの機械を逃さないよう。50名を超えると、ライブドアのトップにも掲載されてしまうので、早急に購入ボタンをクリックしてくださいね。購買ページは最下段に記載しています。
では、静岡オフ会に続き、幸運を祈ります、、、
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この商品を皆さんにお届けできることを心から嬉しく思う。長い道のりを経てここまでやってきた。「まあどんな会」は、山形県の白鷹町という農村で加工場と農家レストランを営む婦人の会だ。冗談のような名前だが、本人達もコロコロと笑い転げながら寄り合い、自慢の漬け物を作っている。
「この辺にはせっかく美味しい漬け物とかがあるんだから、みんなで作ってみて、販売してみようよ」という佐藤代表の声がけで始まったこの会では、地元の直売所やデパートでの物産展への出展など、細々とした製造直売活動を続けてきた。儲けなどほとんど無いのだけど「楽しいから」というだけでやってきたと言う。
そして僕は、2年前に出張で立ち寄った山形県内のデパートの物産展で、このまあどんな会が産み出した超絶のご飯の友「なんばんの粕漬け」に衝撃の出会いを果たすのである!まあどんな会が出していた他の山菜とかを眺めていたら、佐藤代表が菜ばしになんばんの粕漬けをチョンとつけて差し出し、ニッコリ笑って言うのだ。
「お客さん、これ舐めてみな。口ン中が退屈しねから。」
ニンニク味噌みたいなものかな?と思って人差し指にチョイと受け取り、舐める。口に入れた途端にプンと酒粕の香気が香り、胡麻とニンニクの風味が心地よく感じたその瞬間、まさに激烈な辛さが僕を襲った!か、辛いぃいいいいいいいいい!
「おわっっ 辛い、辛いよこれぇ!!!!!」
「あれまあ、顔が真っ赤になってるよこの人。」
と、まあどんな会の皆さん大笑いしている。これは衝撃の味だ。もう、爆発的な辛さである。日本の唐辛子もこんなに瞬間的爆発力があったか!しかも辛味の嵐の後には、粕の甘い香りが残り、非常に旨い!ここまで上品で、ここまで辛いものには出会ったことがなかった。早速一瓶買い求めて、出張から帰ったのだ。
帰ってから熱々のご飯になんばんの粕漬けを合わせてみる。
ご飯と合わせると、より激烈な辛みと、その後に残る酒粕とにんにく、胡麻の旨味がたまらない。ラベルをみると、クルミを磨り潰したものも入っているそうで、それがコクを与えているのだろう。この商品の最大のポイントは、見た目は味噌っぽいが味噌は入っておらず「粕漬け」であることだ。酒粕が苦手な人も居るだろうが(実は僕もそうだった)、従来の粕漬けの感覚とまったく違う次元の食べ物になっている。
それにしても涙が出るほど辛い!
けど旨い! もう一口
けど辛い!
けど旨い! もう一口
けど (以下略)
となってしまうほと絶品に旨いのであった!
辛みそは結構あるけど、粕との組み合わせはあまりみたことがない。粕の麹香と甘味、塩の旨味、そしてなんばんの辛さが絶妙の塩梅なのだ。
さて後日僕はこれを10本くらい求めたいと思うが、他にも欲しい人がいるかと思い、自分のブログで「一緒に買う人居る?」と訊いた。すると、会ったこともない人まで「欲しい欲しい」と申し込みが相次ぎ、数日で68本の共同購入が決まった。まだ一日500アクセスくらいしか無かった時代の話だ。購入した人たちは一様に「こんな味、初めてだぁ!」「辛い!!」という絶賛の声を寄せてくれた。
それからというもの、このなんばんの粕漬けを世に出したい、とずっと思っていた。彼女たちも「68本も買うお客さんは初めてだわ」と喜んでくれていたのだ。
そして昨年、僕はライブドア社長の堀江君にこのなんばんを一本プレゼントした。そして激烈な反応が返ってきた。
「ぬおおおおお 旨い! けど辛い! けど旨い! けど(後略)」
あまりの衝撃に彼は自分のブログ「社長日記」に二度もこのなんばんを登場させることになる。そして、僕がこのなんばんをライブドアで販売しようか、ともちかけると、「ぜひぜひやろうよ!」ということになったのだ!
さて、なんばんの粕漬けセット、申し訳ないことに500セット限定だ。本当は3000セットくらいお届けしたかった。しかし佐藤代表に打診したところ、衝撃の事実が発覚!
「あらぁ 原料のなんばん(トウガラシ)は自分の畑で作ったのを塩漬けしているだけしかないから、500本しか作れないわよぉ。」
なにぃいいいいいいいいいい?
それだけしか作っていなかったのかぁ、、、でも500本では瞬く間に販売終了してしまうではないか。例えばもう一つ新しい、オリジナルのなんばんの粕漬けをつくって一緒に販売できないだろうか?
「そうねぇ、じゃあ違う材料で、何かできないか考えてみましょうね!」
そして生まれたのが新商品「つぶあぶら入り甘辛粕漬」だ。
つぶあぶらとは、健康によいことで知られるエゴマのことだ。エゴマを煎って磨り潰したものをなんばん粕漬けに混ぜ込んだのがこれだ。エゴマの油分と香ばしさ、コクがプラスされるので、辛みは抑えめに作ってある。早速届いたサンプルを食べてみた。
おおおおおおおおおおおおおおお こっちも旨いぃいいいいいいいい!!!
ていうか全然違う味だ!むしろこっちの方が好き、ていう人も絶対でてくるぞ!
「そうでしょう?このつぶあぶらの方はね、ナスを炒めて味付けに使ったり、ラーメンのタレに少し加えたりすると、ものすごく美味しいんですよぉ!」
いや これは本当に新商品とは思えない素晴らしい完成度だ!僕のオファーがあってから考え出したそうだが、まるで100年前からあったような、それだけすごい味のキマリ方なのだ!感動した!
今回は、「なんばんの粕漬け」に「つぶあぶら入り甘辛粕漬け」をつけ、そしてまあどんな会のおばちゃん達が丹精した野菜や山菜を刻んでつけた「まあどんな漬け」をセットにして販売をしたいと思う。ちなみに、これに先立って僕はまあどんな会を訪問し、その作業風景を見せて頂いた。
驚いたのは、まったく化学的な保存料や添加物を使っていないのだ。
「作ったモノを、私たちも毎日食べるからねぇ。身体に良いものしか入れませんよ。つぶあぶら入り甘粕漬けなんか、エゴマ、クルミ、ニンニク、ゴマ、なんばんに酒粕。美味しくて身体にいいものばかりだよ!」
全くその通りだ!本当に頭が下がる。これが食の基本だろう。
この、まあどんな会を訪ねた時の記録がこちらにあるので、ぜひ参考までにご覧いただきたい。
山形・白鷹町に「まあどんな会」を訪ねに行った!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000595.html
ちなみに今年、「やまけんの出張食い倒れ日記」では、まあどんな会の人たちが経営する白鷹町の農家レストラン&宿泊にバスツアーを開催する予定である。これもまた楽しみにされたい。
では、500セットしかないので、今すぐ購入ボタンを押して頂きたい!
購入ページは下記です。
静岡オフ会の申し込み、受付終了しました。
人数カウントしてみました、、、
なんとちょうど160人です!
定員60名の2.6倍ですね。それほど狭き門ではありませんでしたかね。とはいっても2.6分の1の確率ということで、、、
当たることをお祈り下さいネ。抽選は来週中頃までいただきたいです。
あ、でも、抽選にするので、4人で申し込んでいる方とかは、一挙に4人が落ちちゃうな。そうすると2.6分の1ではないな、、、うーん まいいや。どうやったら公正な抽選になるか考えます。
それにしても忙しくて首が回りません。今日は何時に寝られるのでしょうか。そしてシチリア編はいつになったら書き終わるのでしょうか。さらに、この間たまる一方の新ネタはいつになったら披露できるのでしょう???
ん~
そうだ、コメントにもレスつけられず申し訳ないです。メールいただいても返事がなかったりするかもしれません。ゴメンナサイ。友達との飲みもほとんど出来ず悔しい!いま俺は最高に付き合いの悪いヤツと化しています。
このblogを書き始めて以来、「ネタがない」ということは一度も体験したことがありません。逆です、、、ネタがありすぎて大変です、、、
今度の静岡オフ会に、日本酒のお燗番(おかんばん)として参加してくれるのは、僕の弟分でこれまでにも数回このblogに登場している工藤ちゃんだ。
彼は純米酒の世界では有名なある居酒屋のマネージャとしてキャリアを積んだ後、自分の道を行くために退店し、独自の活動を続けている。その彼が、とうとう自分の伝家の宝刀を抜く。ぜひ楽しみにされたい。
で、その工藤ちゃんに、僕が協力している芋焼酎メーカ「京屋酒造」のblogに登場してもらった。
■こだわり居酒屋仕掛け人が語る「焼酎の飲み方」に注目!
http://blog.e-shouchu.com/archives/2005/02/post_7.html
ここでは焼酎の話だけど、ぜひご覧いただきたい。また、僕の後輩でありワインエキスパートでもある利き酒師ちえちゃんのエントリもアップされているので、併せてご覧いただきたい。
ところで、シチリア編を書いているのが長くて、それ以外のネタが溜まりまくっている。でも、いずれ書くからね!特に、山形出張の翌日にすぐさま北海道入りしたのですが、名人の10割蕎麦打ち、その夜のタラ鍋、そのまた翌日のジンギスカンのハシゴ、そしてスープカレーハシゴと続きます。忘れてないからちっと待っててねん!
さて昼を食べた後は、ホテルで休憩。この「少し休憩」が非常に効く。キーコの言うとおり、イタリア時間である「昼飯食べたら休んで、5時くらいからまた動き始める」というパターンがとても動きやすい。日本の観光気分で日中はずっと歩きづめ、という感じになると、きっと3日と持たないだろう。各自ベッドで眠りにつく。1時間くらいで目覚めると、メインストリートに繰り出してウインドウショッピング。僕は、COINというデパートで念願のイタリア製ジャケットをキーコに見立ててもらい買ってしまった。サルディ(セール)だったので4万円のものが1万2千円で買えた。モノも非常によい。
それにしてもイタリアの建築物と、それで構成された町並みはとても美しい。写真は、ビア・エトナという名前の通りで、その彼方に小さく雪を冠したエトナ山をうかがうことができる。
その後、僕だけインターネットポイントに行く。日本ではインターネットカフェとか漫画喫茶でやるが、イタリアでは本当にインターネットに接続可能なPCが並んでいるだけのインターネットポイントが多い。一時間2ユーロくらいの低価格で使うことができる。シチリア編の数回、ローマ字だけで打ち込んだのは主にこのカターニャでのものである。1時間ほどWebメールを閲覧。帰ったら仕事が大変だなぁと冷や汗をかいていた。
「さってと、メシはどうしようか?馬肉を食べさせる店があるんだけどそこにする?それとも、俺がホテルの厨房に務めてた時によく行ってた、すっごい安くてボリューム満点のパニーニ屋台に行く?」
正直言って連日の大食いでそんなに腹は減っていないのだが、、、んー 馬肉レストランっていかにも重そうだ。パニーニで軽くというのがよさそうだな、ということでパニーニを選択することとなった。
「じゃあ、バスでいくよ!」
カターニャではバス停に並んでいても、ほぼ時刻表というのが無いので、ひたすら待つしかない。314系統というバスが来るのを待っているのだけど、15分以上こない。身体はキンキンに冷えてくる。この間、コバと僕とでひたすらシチリア美人のチェックをし、寒さをやり過ごしていた。
「やっぱこっちは眼鏡美人がどう考えても多いよな!」
「サイコーっすよ!」
黒髪に特徴的な高い鼻に眼鏡をかけているシチリアーナは知的で美しい。しかしその向こうに、眼鏡を外した時に拡がるであろう官能的で蠱惑的な微笑のようなものが透けてみえてしまうのは何故だろう!?いやぁ 女性って本当に素晴らしいですね。
さて待つこと20分でようやくバスが到着。荒っぽい運転に揺られて15分、海岸沿いの通りに出る。
「えーとそろそろあるはずなんだけど、、、お、あった!あれだよあれ!みんな降りるぞ!」
とキーコが懐かしそうな声をあげてバスを降りる。もうすっかり暗くなった、海へりの車だまりの横に、屋台が2つ立っていた。
屋台は二つともパニーニを供するものらしい。屋台と言ってもなんだかトレーラーハウスなみに横に長く、屋根のついた立派なものだ。営業許可を取って、ここで据え置きで営業している店なのだろう。
ショーケースの中にはずらりと惣菜が並んでいる。ドライトマトやフンギのマリネ、揚げナスのマリネやカポナータなど、野菜系の惣菜が中心だ。
その横に肉類が並んでいる。ハンバーグパテもあるが、サルシッチャ(生ソーセージ)に鶏の胸肉、そして写真の中央上部にみえる赤肉は、なんと馬肉である。
「こっちではけっこう馬肉をよく食べるんだよ!しかもすごく安い。」
ふううううん。 馬肉、旨いもんな! 日本では馬肉と言えばまず馬刺が出てくるけど、こちらでは違うらしい。
「馬肉を鉄板でジューって焼いて、暖めたパニーニに載せて、それに好きな惣菜をのっけて挟んでできあがり、だよ。」
うおおおおおおお こいつぁ いい!
自分の好きな具を選んで挟める、お好みタイプのパニーニなのだ。僕は今までパニーニというと、お上品にハムとかチーズ、トマトなんかを挟んでホットプレッサーで挟んで焼き目をつけてハイできあがり、といった綺麗でお上品なスナックの感覚だった。しかしここのは全然そういうのとは違うお好み感である!
「よし、それならおれは馬肉を食べるぞ!あとメランザーネ(ナス)が大好きだからナスマリネを載せて、オリーブオイルをかけてもらおう!」
キーコがそれを伝えると、早速傍らで馬肉をジューと焼き始める。飲み物にバカルディのレモンカクテルを頼んでいると、すぐに出てきた!
おおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これぞ僕が望んでいた食べ物ではないか!?
なんだかんだ言ってどうせおいらはこんなB級っぽいのが好きなのさ!
でもマジで旨そう! さっそくかぶりつく。
馬肉はこちらでは安肉だというが、まったくクセがなく噛みごたえとコクがあって美味しい!それにメランザーネのマリネの酸っぱさ、オリーブオイルの香り、そしてパニーニのきもちパリッとした香ばしいパンの香りが、もうたまらん!
激烈に旨い!
「やまけん、フリット・パタータ(ポテトフライだ)は?」
「もちろんいるいる! ケチャップとマヨネーズたっぷりかけろって言って!」
というと、本当にデロッとかかってきた!
ぐおおおおおおお
もう悶絶である。こちらのポテトフライはどこかのハンバーガーチェーンのようなポテトにいろんなのを加えたまがい品ではなく、本当に芋を割って揚げただけのものだ。こんな簡単な料理でも旨い、、、
パタータとパニーニ、そしてバカルディだ。キーコはもうみるだけで食欲を無くして、ポテトを数本つまんだだけだった。コバはまた何か違う組み合わせで旨そうなのを食べていた。
「よーしもう一個たべるぞ!」
「え、まじ?まだ食えるの???」
という声を尻目にまた具を頼む。こんどはサルシッチャを焼いたのをメインに、フンギのマリネ、ドライトマト、カポナータを欲張って載せてもらう。それがこんなになって出てきたのだ!
うおおおおおおおおおおおおおおお
なんて殺人的な光線を放つ旨そうなプレゼンテーションなんだ!
もちろんすぐさまかぶりつく。滑らかなフンギの食感と風味、ドライトマトの塩気と酸味、そしてサルシッチャの旨味。
旨い~~~
シチリア上陸後の中でこれがベストだ!
しかも会計をして本当に驚いた。なんと最初に頼んだのが2ユーロ、後のてんこもりが3ユーロ程度だ!500円前後である。昼間のアンティカ・マリーナの3人で120ユーロと比べたらいけないのだが、、、いやぁ、これはノックアウトだ!実に最高ではないか!
屋台の兄ちゃん達も相当にノリが良い。僕が喜んで喰いまくって写真を撮っていると、ポーズを撮ってくれるし、遊んでくれた。
「ホテルで働いていた時、月末になると金が尽きてくるから、ここでパニーニ食べて夕飯にしたもんだよ。でも、旨いでしょ?こういう勢いがあってオペレーションが可能なのを日本でもやりたいんだけどね!」
僕はパニーニという食べ物を見誤っていた!上品なホットサンドイッチかと思ったら、違うじゃないか!これは労働者向けの激ウマなんでも挟みサンドである。日本で言えば、どんぶりご飯の上にいろんな惣菜をのっけて「何とか丼」と言ってしまう類のものではないか!
カターニャの屋台で食べるパニーニは、食い倒れ仕様の逸品なのであった!
いや大満足。寒空を忘れるほどに興奮してしまったのであった。
注意!マスターが日程間違えてました!正確には16日~21日の間違いでした!
注意その2! やまけんはとりあえず19日(土)の午後にでも行ってみようと思っています。なんと、ラーメン富川も来ているそうだ!詳しくは過去ログ検索してみて!これはいくっきゃない!
ふと自分のPHS(僕はずっとエッジを使っている)をみると、留守電が入っている。確認してみると、あのパワフルでせわしない、懐かしい声! 北海道の富良野にある絶品カレー&ソーセージの「唯我独尊」の宮田マスターであった。
「あぁ~ やまけんさん! 唯我独尊の宮田でーす! 16日から21日まで、新宿小田急に行ってます!よろしくお願いしまぁーす!!」
なに!今度はようやく東京にやってくるのかぁ!15~20日か、、、小田急新宿店のWebをみても何も載っていないなぁ。まあいい。
おいら、絶対にこのうちのどこかで食べに行くゾ!食い倒ラーは新宿小田急に集結なのだ!もし行く時間とか決まったら告知しますね。みんなで唯我独尊を食い倒れ襲撃だ!
月曜日にこのblogを開いた皆さんどうもです!
一気にいくつか更新しています。
このトップページをずっと読んでいってもらえば良いんですが、下記3記事アップです。
※下記のリンクから読むと、トップページとはレイアウトが変わります。このままトップページから読んでいった方が良いかも。
■静岡オフ会の申し込み始めました!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000636.html
必ず参加の要項をきちんと読んで申し込みしてくださいね。今週水曜日の23:59で締め切ります。
そして大作になりつつあるシチリア編。
で、シチリア編ばっかり書いていて少し他のも読みたい人もいるでしょうから、並行して通常バージョンのエントリも。まずはこれ!
書きたいことが日々溜まる一方。そして、書く時間はない。悩ましいです、、、
食い倒れ帯広編が世に出たのは、JA幕別町という農協の岡坂さんとノムさんがいたおかげであることは、過去ログをみていただければ分かるとおりだ。
で、十勝平野の中でも重要な生産拠点である幕別町では、大根、ジャガイモ、そして長いもが多く作付けをされている。
彼らに連れられ管内のだだっぴろい畑を見せてもらうと、地平線まで続くかと思われる柵(さく)と、それに緑のツル性作物がからみついている様に圧倒される。
「やまちゃん、これが長いも畑だよ。」
長いもは、いうまでもなくとろろなどに使われる芋だが、こんなに組織的に巨大な面積で作られているのを観たことはない。帯広の他には青森が大産地として知られるが、市場での評価は、僕がきく限りでは帯広産の品質が圧倒的に良いと言うことだ。
「あったりめぇだよ、土が違うし、俺たち農協職員が日夜研究して生産者さんと一緒につくってるからな!」
とノムさんが吠える。
ところでナガイモとヤマイモ、ヤマノイモ、ヤマトイモ、ジネンジョ、これらはすべて別のものであるということはご存じだろうか?一番ネットリしているのはジネンジョ(自然薯)だ。山に自生する自然薯は細く長く、折れやすいために高価である。これを摺り下ろすと粘質度が高く、割り箸一本で摺り下ろしたとろろが全部持ち上がってしまうくらいだ。その代わり、こうした自然薯を畑で栽培すると、収穫後には肥料分がすっからかんになってしまうため、土地を休ませる必要がある。
ナガイモはそこまでハードな芋ではない。スパッと包丁を入れると切り口は瑞々しく、摺り下ろすと適度なトロ味と水分量で食べやすい。ただし、あまり良くない品になると水っぽいだけで味もなにもないものになる。
このナガイモにも色んな品種があるらしいのだが、なんと数万本に一本の割合で見つかる、不思議なナガイモがあるのだ!僕はそれをJA幕別の選果場で見せてもらったことがある。
洗浄された芋がラインに流れてくるのを、女性が選別している。それを観ていた岡坂さんがふっと動き、一本のナガイモをとり上げたのだ。まじまじとそれを眺めた後に僕にそれを差し出す。
「やまちゃん、これ、他の芋と違うんだよ。何が違うか分かる?」
僕はじーっとそれを見つめた。色が淡いのか?形が妙なのか?違う、、、目線をすこし引いて全体を観た時にそれが分かった。
「ああああああああああ ○がないじゃないですか!」
「そうなんだよ、こいつには○がないんだよ、、、3万本に一本くらいの割合で混ざってるのに気づいてね。もしかすっと新しい品種かと思って集めて、これを培養しているんだ。」
野菜も自然の中で交配・交雑を繰り返しているから、時にこのような新品種が産まれることがあるのだ。そうした場合、培養が可能なように、とにかくその個体を集める。幸いなことに、芋類はその芋本体があれば、そこから芽を出して繁殖させることが可能だ。しかも分割して植え付けができるので増やすことができる。ちなみにこれが、その新品種を繁殖している実験圃場だ。もちろん場所は極秘である。
「一昨年は100本くらいしか取れなかったんだけど、今年は3000本くらいには成るかなぁと思ってるんだ。」
3000本とは言っても、5キロ箱にしてみれば500箱程度にしかならない量である。なんと貴重な芋なんだろう!
「やまちゃん、この芋をどう売るかっていう企画を考えてみてくれよ。パッケージとかさ、いろいろ考えてるんだけど俺たちじゃ良いアイデアでなくてさ。」
もちろんだ!ということで、実は昨年、自腹で帯広に飛んで、いろいろと企画を提案してきた。それが来年以降実を結ぶかどうか、楽しみなところである。
で、昨年末、嬉しいことにこの貴重な数百ケース分の1箱が僕のオフィスに届いたのである!
農林水産省からも新品種として認められ、見事に品種登録が成った!これはJA幕別が産んだ新しいナガイモなのである!
名前は「和稔じょ」(わねんじょ)。幕別一号とあるが、てことは二号以降も発見されているんだろうか。気になるところである。
さて先ほどから伏せ字にしてある、この品種の特徴である「○」とは何だか想像が付くだろうか、、、ではその本体を観てみよう。
箱には白いおがくずが敷き詰められ、その中に三本の和ねんじょが横たわっている。この綺麗なおがくずを手に入れるために、彼らはさんざん木工所を探したそうだ。
そしてこれがその本体表面である。ちなみに下の方についているのがおがくず。ではこれをみて、「○がない」がおわかりにならないかな、、、
そう、この和稔じょには毛がないのである。毛というか、ヒゲ根といわれる細い根がまったく出ていないのである!
そのため、昨年の段階では岡坂さんノムさんはこれを「毛無し」と呼んでいた。考えてみれば、ヤマイモ類は、主に株の上部にある吸収根で土中の栄養分を摂取するので、ひょろりと生えているヒゲ根の存在は二次的な栄養摂取手段であるはずだ。そう考えると、この和稔じょは、「あたしの吸収根は肥料吸収能力が高いから、ひげ根なんて美しくないモノは必要無いのヨ、プン!」というような誇りを持った新品種なのではないかと思われるのである!なーんて 専門的見地からはきっと違うでしょうが、、、
で、この和稔じょに毛がないということはいかなる付加価値を生むのか。
「なぜかこの和稔じょは、皮にも渋みとかが無くて、洗ってそのまま摺り下ろしていいんだよ!味にえぐみも全く出ないし、摺り下ろしたとろろも綺麗なんだよ。」
そうか、ひげ根がないから、綺麗に摺り下ろせるのである!
「それとなヤマちゃん、味は普通の芋と全然違うんだよ!なんていうのかなぁ、、、糖度が高いんだ。で、少し梨っぽいフルーツ系の味を感じるんだよ!」
うおおおおおおおおお
それは興味深い!
おそらくいままでこれをお読みの方も、「ナガイモが堪まらなく好き!」というようなナガイモマニアもしくはナガイモフェチはそう居ないだろう。ナガイモ産地あてクイズをしても答えられるひとはそういるまい。しかし、この和稔じょは味がまったく違うというのだ!
さっそく僕も食べてみた。菜切り包丁でスパンと両断し切り口を観ると、果肉がみっちりと詰まっている。水分がジワッと滲み出てくる。
この画像だと表面にシミがついているようにみえるだろうが、送られてきてからすぐに撮影せず保存して3週間後くらいに撮影したので、ちょっとシミが出てしまったというわけだ。届いた瞬間のは、先のように美しい染みひとつない外観だ!で、こうして染みが少し出たものでも、皮付きで摺り下ろしているのに、とろろはこんな純白度になるのだ!不思議!!
醤油も何も入れずに啜ってみる。おおおお確かに甘みを感じる!これははっきりとわかる甘みだ!そして岡坂さんの梨のような風味とは言い得て妙である。本当にフルーティ、上品な味わいである!
調味料として少し醤油を垂らして掻き混ぜる。
よく見られるとろろの風貌になるが、その味、フルーティな香りは変わらない!これは素晴らしい品種の誕生である。
僕だけ食べて感想を言ってもしょうがない。プロにも食べてもらおうと思い、まずは家の近くにある、このblogでも数回登場している八百屋「八百周」のおっちゃんに4分の1に切ったモノをもっていった。実は僕たちはこういう物々交換をよくしているのだ。
「ヤマちゃん、こいつぁ旨いね!芋のキメの細かさが全然違うんだよ!うちのは青森産を扱ってるけど、これはモノが違うねぇ、、、」
やっぱりそうか!
そしてもう一人プロに味見してもらうことにした。ナガイモの食べ方といえばとろろが一番だろうが、千切りにして酢みそをかけ、ぬた和えにしたりもいい。しかし、このシャクシャクとした食感を味わうのに一番いいのは、大ぶりの角切りにして醤油と酒の割り下に漬け、片栗粉をまぶして竜田揚げにしたりすることだ。そして、これに匹敵する旨い食べ方が、たまり醤油漬けである。
「いやぁ ナガイモって漬け物にすると旨いんですよ!」
というのを教えてくれたのは、規模は小さいながらも非常に素晴らしい漬け物を作るメーカ、「べにふじ」の石川専務である。
石川さんは、前の会社で取引でお世話になって以来のダチである。
「石川さん、あの旨いヤマイモのたまり漬けに、新品種を使ってみない?」
「え、毛がないの?面白そうですね、やりますよぜひ!」
こういう実験はプロに頼むに限る。彼のところでも通常は青森産を使うようだが、これで試していただこう。年末に芋を一本送り、年明けに試食しようということになった。
「ナガイモの漬け物はね、まず酢漬けにしてから調味液に漬けるんです。」
「べにふじ」は、いまどきまっとうな漬け物を目指すメーカである。これまで漬け物とは、本来的には日持ちしない野菜を発酵の力で長持ちさせ、あまつさえ栄養価まで高めてしまうという保存食であった。発酵が進むにつれ芳香を漂わせ飴色に変化していくその様態から、「古漬け」、「本漬け」と呼ばれた。これがタクワンや奈良漬け、野沢菜、高菜漬けなどである。
しかし食生活の変化から、時代は浅漬け一辺倒になっていく。野菜を発酵させず、短期間調味液に漬けて出すそれは、野菜の副次的な商品だ。発酵した漬け物よりフレッシュ感はあるわけで、それを好むのもわかるけれども、浅漬け一辺倒の現状は僕から観れば「味覚の幼児化」に繋がっていると思う。発酵で生成されるアミノ酸類の複雑な旨味と香りは、美味しいと感じるまでに経験を要する味だ。その経験をすっ飛ばして敬遠し、野菜の塩まぶしといった浅漬けに偏重してしまうのは問題だ。
「本当は僕たち漬け物屋も浅漬けじゃなくて本漬けを食べてもらいたいんですけどね、、、美味しい商品を地道に作っていくしかないですね!」
さてそんなべにふじさんのラインナップでも「ヤマイモの溜まり漬け」は最高峰の旨さである。その調味液にぜひ和稔じょを使ってもらおうではないか。ということで彼がじっこんにしている新宿の居酒屋にて、試食会を開催したのである。
「たまり醤油漬けの調味液を変えたの2つ、それに梅酢漬け、そして米ぬか液漬けを作ってみました。」
おおおおおおおお
おもしろいじゃん!
米ぬか液というのは、最近できた新技術で作られた米ぬか成分の抽出物で、この液体に漬けると、通常より発酵が進み、ぬかの香りと風味がきっちりつくのだそうである。つまり短時間で旨いぬか漬けができるということだ。
まずは溜まり漬けをいただく。
いったん酢漬けにしたヤマイモをたまり醤油の調味液に漬け、何日で引き上げるかで食感が変わってくる。今回は初めての芋なので、二種つくってもらったのだ。綺麗なきめの細かい肌。歯を立てるとシャクリと割れ、たまり醤油の芳香が立つ中から酸味がつんと立ち上ってくる。果肉がとろりとしながらジューシーで、シャクシャクといいながらとろけていく感じだ!
「旨い!旨いじゃないのこれ!」
「うん、あきらかに通常のナガイモと違いますよ!たしかに甘いし、食感も普通のより軽くていい。風味もあって、実に美味しいですよ。」
そう、特有の風味はたまり醤油の香りに消されることなく、むしろ引き立っているのである!
「梅酢も旨いと思いますよ!」
美しいピンク色に染まった梅酢漬けをシャクリとやると、酸味と綺麗な香りが立つ!予想できる味だが実に上品!これはお茶うけにしたいと思う味である。
そして期待のぬか液漬けだ!これだと芋の美しい白い肌が視覚的にも楽しめる。歯を立てると、口の中で炸裂しジュルリととろけ出すなか、あのぬか漬けの風味が立ち上る!
「うおっ これ旨いじゃん! すっごい乙な味だよ。」
「そうですね、これだと綺麗だし、味も染みるし、ご飯にあう良い漬け物になりますよ!」
本当だ!このぬか液漬け、実に最高な味である。
いやしかし恐れ入った! 「和稔じょ」は、とろろにしても千切りにしても旨いが、漬け物にするとその風味ときめ細かい食感が凄まじく引き立つ!
「年間3000本かぁ、、、これが一般的に手に入るようになればいいんですけどね、、、」
それまではかなり時間がかかりそうだ。JA幕別ではこの和稔じょを正式にはまだ出荷していない。サンプル出荷ということで、限られた関係者にしか出していないのである。あるスーパーのお歳暮商品としては限定で出したのだが。このような新品種は、安売りできるものではない。産地としては売り方を慎重にせざるを得ないのである。
それでもいつか、和稔じょをつかった加工食品、とくに漬け物を世に出してみたいな、そんな風に思うのであった。
「石川君さ、和稔じょはまあちょっと待つとして、ホンモノ志向の漬け物を商品開発してみようよ!」
「おっいいですね!スーパーにはなかなか新しい商品の提案が通りませんから。僕はこれからは消費者の方に直接、面白いオリジナル漬け物商品を提案していきたいんですよ!」
素晴らしいではないか!
よし、なんばんの粕漬けの次は、本格漬け物もやってみようではないか。原料となる青果物もこだわって、漬け方にもこだわって、最高のご飯の友となる漬け物を作る!よし、これは年内にやろう。
そんな意欲をかき立てるにふさわしい、実に逸品なナガイモ「和稔じょ」であった。みなさんも食べたいでしょ?スーパーにいって「和稔じょが欲しい!」って言ってみてください。目を白黒されるだけかもしれないけどね、、、
朝、パスクワリーノの別荘に別れを告げる。楽しい三日間だった!
「ちっきしょー! シラクーサを去る日に晴れるなんて、どうかしてるぜ!」
とキーコが舌打ちするように、イタリアに来て初めてと言っていいくらいの綺麗な綺麗な、青い空が拡がっている。
「夏になると、この辺の草が全部枯れちまって、荒涼とした風景になるんだよ。だから今から数ヶ月が一番綺麗な時期だよな。」
なんと!暑すぎて草も生えないとは凄まじい!
ちなみに僕らが立っているのは、実はこれバス停である。
「パスクワリーノの別荘に住み始めた時、シラクーサまではバスで15分くらいかかるんだけど、『朝ここで待ってろ』としか言われなかったんだ。待てっていったって、バス停の看板があるわけでもないし、すっげぇ不安なんだよ。しかもバスの時刻表なんてこっちにはなくてね。『9時に始発の駅を発車する』てことだけが決まってるだけなんだ。だからこのバス停に来る時間がいつも違うんだよ。一度、あと200メートルくらいでバス停ってところでバスが去って行ってしまったことがあるよ、、、」
そんなときは一体どうするんだ?と訊くと、
「ぼーっとしてると、バイクに乗った人とかが停まってくれて『どうした?』て訊いてくるんだ。事情を話すと乗っけてくれて、シラクーサ市街まで送ってくれるんだ。」
そんな、牧歌的な土地なのだ、シチリア・シラクーサは。
さてこの日バスはあまり遅れずにやってきて、暴走と言えるスピードですっとばした。このバスの前の方に15歳くらいの少女が立っていたのだが、この娘が実に美しい造形であった!僕とコバがしげしげと眺める。と、コバが確信に満ちた声で「やまけんさんオレ、ウルトラマン顔が好きなんすよ。鼻が高いのが最高っす!」とのたまっていた。
初日にバスが停まったのと同じところからカターニャ行きの長距離バスが出ている。1時間半揺られてカターニャ到着。インフォメーションに行ってパンフをもらい、ホテルをその時点で決める。キーコが昔停まったことがあるホテルにし、市内行きのバスに乗る。
通りを10分ほど歩いて着いたホテルは3つ星ランクで、中の上といったところだ。でも、これでも十分。
キーコが停まった時には着いていなかったエアコンがついていたため、寒さにやられるということもない。
一服した後、「さあそれじゃあ メルカート(市場)に繰り出すか!」となる。そう、ここカターニャは活気のある市場があるのだ。それも目当てだったので、実はホテルから150メートルほどの距離にメルカートがあるという絶好のロケーションである。
「とにかくスリとかに気をつけて!」
とキーコが繰り返す。結局この旅の中でスリやひったくりといった盗難に遭うことは一度もなかったのだが、それはこの頻繁にキーコからかけられる警戒の声があったからかもしれない。
ともあれ、メルカートはシラクーサのそれよりも一段活気のあるものだった。シラクーサのメルカートは野菜が中心だったのに対して、ここのは肉や魚が中心になっていたからだろうか。
羊肉なんかは、一頭を半身に割ったのがそのまま吊されている。この他、ウサギなどもあり、肉の種類は本当に豊富だった!
圧倒されたのはチーズの種類だ。おびただしい乳白色の塊がショーケースの中にずらずらと雑然と並んでいる。イタリアの人たちはこの一つ一つをきちんと峻別して買っているのかと思うと頭が下がる。
さてこの日は、実はメルカートではなく、ペシェ(魚)を食べさせるオステリアに行くのが目当てであった。
「昔入って、すっごく店に勢いがあって旨い店だったんだ。結婚してからも嫁さんと来たことがあるけど、やっぱり嫁さんも喜んじゃってさ。あそこにいってみよう。」
そう思い出にふけるキーコが足を向けたのがこの店だ。
■オステリア アンティカ・マリーナ
メルカートの魚売り場のすぐ横に位置するこの店は、いってみれば築地の場外市場みたいなものだ。
観ているとひっきりなしに客がその扉の向こうに吸い込まれていく。
「前に行った時は、昼飯を食べようと思ったら一杯で、予約を取りたいって言ったら、なんとその日の23時にならないと入れないって!仕方がないから23時から飯を食べに行ったよ。そして、あまりの新鮮さ、勢いの良さ、キップの良いサービスに参っちゃったんだよね!」
店内はほどよく狭く、外の光が入ってきて明るい。注目すべきはカメリエーレの数で、40数席ほどの小さな店なのに5人くらいのカメリエーレが居る。全員男で、ジーンズにワイシャツ、そしてベストを着ているのがトレードマークとなっている。全員にプロ意識がしっかりと行き渡っているようで、このカメリエーレ達のきびきびした態度、客への適切な距離感が実にいい。
前菜は氷蔵ケースにある大皿からカメリエーレが盛って客席に運ぶ。また、パスタも厨房から大皿できたものを人数分、彼らが取り分けてテーブルに持っていく。魚を頼むと、皮がバリバリに焦げるまで焼いたのを、彼らがこうして綺麗に取り分けるのだ。
ちなみに写真の彼はディカプリオ的ハンサムなカメリエーレだったゾ。
さて僕らの食卓にもパンが並べられ、料理の準備が整った。
前菜は小皿に7種類盛られて運ばれてきた。どれもこれも旨そうだ!
タコなどのマリネ、鰻のフリットを甘酢に漬けた、南蛮漬けみたいなの、小さな貝のマリネ、野菜、小イカのフリットなど、すべて酢が効いたものばかりで嬉しい。
再三言うが、料理で絶対的に重要なのは前菜アンティパストだ。これが旨ければ、後が満足行かなくてもなんとか我慢できる。前菜にケチケチしていて、しかもその後が今ひとつだと、目も当てられない。
7種を全部こんもりと載せるとこんな感じだ。
「相変わらず喰うなぁ」
と言われながらも、好きなんだからしょうがない!
この前菜、どれもこれも旨かった。特に好きだったのが、例の「魚屋の息子が剥いている」海老のマリネだ。小指の第一関節くらいの小さな海老だが、トロリとして、甘くて濃い海老の味がする。
前菜とセモリナ粉のパンをむしって食べていると、パスタが上がってきた。
これを、客にあまり愛想をまかないカメリエーレの渋いおっちゃんが取り分けてくれる。これがまたカッコイイのだ。
「こっちはカメリエーレはプロ意識がビシッとしていてかっこいいんだよ!イタリアでは厨房よりサービスにお金をかける。この店だっておそらく厨房には2人くらいで、カメリエーレは5人。その方が店の活気が出るし、お客さんだって楽しいでしょ?」
そう言えば、満員のテーブルを見回すと、男ども、女性の母子、家族といった雑多な集まりの各テーブルでは皆が楽しげに皿をつついている。確かに心地よい空気が流れているのだ!
「日本にもこういう店があればいいのにね。」といっていると、パスタが運ばれてきた!
一皿目は白魚のパスタだ。これは昨年、木場のイ・ビスケッロで食べたシラスのパスタにも似ているが、もっとトマトを淡くしたものだ。こちらで食べるパスタはあまりトマトがタップリとは使われていない。オイルでペシェを香ばしく炒め、プチトマト少しみたいな感じで風味付けに使っているようだ。そしてその方が逆にトマトの存在感がでるような気もする。
二皿目はトンノ(まぐろ)のブカティーニ。
ブカティーニはこの写真を見れば分かるように、真ん中に穴の空いた太めのロングバスタだ。噛みごたえがあるので、濃いめの味付けがよく合うと言われている。このパスタのサルサは、シチリアの基本である、オリーブとケイパーと一緒にトンノを炒め、ペシェのブロードを少し加えたのにやはり少量のトマトを加えたという感じのアッサリ度だ。しかし、ブカティーニの強さに真っ向から対決できる強い味が付いている。
「なんてことはないんだけど、旨いよね!」
そう、なんてことはないんだが、実に旨い!本当はボッタルガ(マグロの卵巣を干したカラスミみたいなの)のパスタを頼んでいたんだが、違うモノが出てきた。それでも満足、満足!
「カラマリ!」と出てきたのは、巨大な甲イカのフリットだ。こんなに大皿で出てくるとは思わなかった!
リモーネを絞って食べると、フカフカの柔らかなカラマリが引き締まって、それでも柔らかくて甘くて、もう言うことなしだ!
そして、かちゃかちゃと音をさせながらスズキのグリルの皮を外したものがやってきた!そう、今回は一匹の魚をオーダーしたのだ!
みればお分かりの通り、単にスズキ一匹にハーブを噛ませてグリルし、皮目が焦げるまで火を通しただけのものだ。日本の焼き魚と何ら変わりはない。これにテーブルに置かれたエクストラ・バージンのオリーブオイルをどっぷりとかけて、リモーネと塩をかけて食べるだけ。
こいつが実に旨い!まずオリーブオイルのフレッシュさ、まさにオリーブのジュースのような豊かな香りと焼き魚の汁が混ざり、無愛想な塩がリモーネの果汁と合わさることで豊穣に変身してしまう。超満足である!
勢いよく食べ、ご満悦の僕たち。気持ちよく勘定を頼むと、、、なんと123ユーロ(17200円くらい)もしてしまった!ワインは一切飲んでいないから、かなり高い!
「ん~ そうかスズキ一匹で60ユーロくらいしてるね。魚はねぇ、こっちでは高いんだよ!けどそれにしても高いな、、、ユーロが高くなって、イタリアの人でも外食を控えているってきいたけど、これは酷いね!」
ちょっとビックリしたが、それでもまあこの店の旨さと勢いの良さは特筆に値する。そういえば食い倒れ仲間となった築地王様の名著「築地で食べる」にも書いてあるとおり、築地は安い、ということではなく、「良いものが、高級店よりは安く食べられるのだ」という捉え方をした方が良いというのと似ている。確かにこの満足感は得がたいものだ。実はこの後の数日間よりも高い満足度をこの店では感じた。もし訪れるひとがいるなら、魚一匹の値段に気をつけるならば満足度の高い食事ができること請け合いだ。
いやー高かったけど、旨かった!かなり気持ちよくなってホテルに戻るのであった。
大変にお待たせ致しました!
プロコムジャパンの合原さんのご協力で、静岡バスツアーの申し込みフォームが完成!
皆さん下記フォームから登録お願い致します。〆切は来週水曜日の23:59までとさせてください。その中から厳正に抽選させて頂きます。何名かはスタッフ枠に入れざるを得ませんが、後は抽選!幸運を祈ります!
■静岡オフ会申し込みフォーム
http://www.yamaken.org/subs/index.html
また、今回バスの見積もりを取るお手伝いをたくさんの方々にして頂きました。佐藤君、某大TLO氏、yanaちゃん、Kappaちゃん、その他皆さんありがとう!
いい旅にしましょう! では申し込みよろしくです、、、
いやぁ~ 死にそうに忙しいよう。
でも、本日1件の仕事のヤマを超え、おまけに2件の重要な事項が決まりました。
さて表題の件。大反響を呼んでいる静岡オフ会について、下記のように確定します!募集は今、CGIフォームを作っているところなので本日夜以降になります。先着順にはしないで抽選にするので、落ち着いてくださいね!
申し込みは専用のCGIフォームを作りますのでお待ち下さい。コメントに「行きたいでーす」と書いても申し込みにはなりませんよぉ
まず、東京から静岡へ行く組の人数は60名限定 とします。実は静岡県の人たちも50人以上来るので、キャパシティが60人になってしまいました。残念!抽選にせざるを得ないな。
参加費用ですが、大人8,000円とします。静岡での参加費用は5,000円ですが、バス代およびスタッフの事務局費用を含ませていただきます。
お子様の扱いですが、乳幼児でもバスの座席をとる必要があるらしいので、子供は5500円とします。
交通手段ですが、東京駅八重洲口から発車のバスをご利用いただきます。6時半集合とかなり早朝になりますが、皆さん頑張って!
で、現地集合等の希望もあると思いますが、その場合も参加費用の金額は変わりません。それでもという方はご自分の車やJRの利用でも結構です。
そうそう、旅行代理店のツアーではないので、保険等が必要と思われる方はご自分でご手配くださいね。
費用は全額先払いで、銀行振り込みしていただきます。私が一人で処理しないといけないので、キャンセルはできるだけご遠慮くださいね。ていうかほぼ一週間前のキャンセルには対応できないとお考え下さい。
ハム・ベーコンは静岡の方で準備をしてくれています。が、どうしても自分で塩漬けしたハムまたはベーコンを持ちこみたいという人がいるかもしれません。その希望を、登録フォームで受け付けるようにします。ただし、ハムかベーコンどちらかを500gのみとさせてください。スモーカーに入りきらないとマズイので、これは厳守していただきます。どちらにせよ、お土産のハムは人数分準備しているそうなので、お持ち帰り頂けます。
それと、参加にあたっての大前提をお伝えします。
これはツアーではなく、参加者はお客様ではありません。ですから、受け入れてくださる静岡の方々、参加者相互にコミュニケーションをとることができる人だけ、お申し込みください。
静岡の人たちの好意があって実現するイベントです。「お金払っているんだから」という気持ちで来られると迷惑です。参加者ひとりひとりが、場を気持ちよく楽しめるように配慮をできる、そういう気持ちで来てくださいね。
ちなみにニュースです。なんとバードコート軍団が、若シャモを焼きにきてくれます!
そして、私の弟分である日本酒マスターの工藤卓也君が、静岡の銘酒のお燗番をしに来てくれます!
こうした方々も、わざわざ車を仕立てて駆けつけてくれます。参加される方々は、ぜひ「楽しい場を創り出すことに貢献するんだ!」という気持ちでお願い致します。
当日の要項の改訂版を下記に置いておきますのでご確認ください。
(要項は下記↓をクリック)
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「やまけんの出張食い倒れ日記オフ会IN静岡」
<駿河の国・食の交流会>
<目 的>
ヤマケンのHPファンの方々に、「駿河若シャモ」と静岡の銘酒「開運」を味わってもらう。併せて静岡のホンモノの味を楽しんでもらいつつ、食を通じての交流を図る。
<概 要>
日 時:2005年3月13日(日)
東京駅八重洲口に朝6時30分集合
会場着 9時
イベント 9~17時
東京へ帰着 20時予定(道路状態によります)
場 所:静岡県掛川市「キューイフルーツカントリー」
主 催:(株)グッドテーブルズ(山本謙治)、静岡県駿河若シャモ振興会(鈴木恵美子)
協 賛:土井酒造、しずおか地酒研究会、工房炭俵、ネクト、味のトンキー、永田農業研究所、キューイフルーツカントリー、柴田牧場
募集人数:60名
参加費:8,000円 子供は乳幼児以外は5.500円(要相談)
お土産付き(静岡銘柄豚生ハム、本山熟成茶、その他)
持ち物:エプロン、シート、ビニール袋(手提げ)
内 容
(1部)ハム・ソーセージ・マヨネーズ作り体験
指導:関マイスター 他
(2部)大昼食会(飲めや歌えの大宴会)
「食の集い」 静岡の酒で食す静岡の味 司会:岩澤
(1) ヤマケン挨拶(東京代表)
(2) 駿河若シャモ振興会会長挨拶(静岡代表)
(3) 乾杯(土井酒造)
<主な食材>
日本酒(開運)、駿河若シャモ、若シャモ卵、浜名湖そだち(ハム)、静岡茶豆腐、野菜、イチゴ、キューイフルーツ、浜名湖の幸(ウナギ、のり)、牛乳(ジャージー牛乳)、黒米、もち米、 その他
(3部)ハムができるまでのお楽しみ会
●お茶の美味しい入れ方教室 ●美味い熱燗作り方教室 ●鶏のさばき方教室
●ヤマケンを囲んで食に関する意見交換会
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シチリア編ちょっとお休み。
本日、食い倒れ的に嬉しいことが立て続けに二件。
blogやってて面白いのは、掲載させていただいたお店の人は、このblogの存在を知らないことが多いと言うことだったりする。けどたまに、僕のblogの読者さんが店の人に話したり、ということで存在を知ることが多いようだ。
それで、かどうかはわからないが、本日奇しくも2軒の店の方から、掲載に対する御礼のメールをいただいた。それは下記の二軒である。
「秋田・竿灯祭りの夜! 塩鯨鍋も旨かった! 川反「ふきのとう」」
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000398.html
「レタス巻きの元祖は宮崎にあるのを知ってますか!? 宮崎市「一平」」
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000375.html
どちらも丁寧に御礼を書いてくださった。どちらも近く再訪したいと思っている。特に宮崎の一平寿司には、近々に参上するかもしれない。その時はぜひ、店主さんにインタビューなどしてみたいと思う。
山蕗(ふきのとう)さん、そして一平寿司さん、どうもありがとうございました!
イタリアの冬は寒い!
南国シチリアであってもとにかく寒い!
それはそうだ、道路は石畳だし、家の中も大理石などの石での建築が基本になっているので、身体の芯からものすごく冷えるのだ。ジワジワと足下から冷えていくので、現代人に多い冷え性の女性は特に要注意だ。
「シチリアでは2時に昼飯を食べたら仕事を休んで昼寝したりして、5時くらいからまた働き出す。夜のご飯は20時以降だね。最初はこいつらなんでこんなにさぼるんだと思ったけど、そうしないと寒さが足下から上がってきて疲れてしまうんだね。昼寝したりバールでカフェーを飲んで休むと、また元気が復活するんだ。その国の生活のリズムには、それなりの意味があるんだと思ったよ。」
とキーコが云うのが納得できる。
ちなみに夏は夏で暑すぎるので、上記文章の「寒さ」を「暑さ」に変えればいいのであった。
日本もこういうリズムにすべきだー ていうか昼寝制度はぜひとも導入したいもんだ。
というのもまあ問題が多いわけだが、、、
とにかくイタリアの冬はどこにいっても寒いので要注意!
生命の危険を感じたモディカ行からの生還を果たし、シラクーサに着くと、雪ではなく雨になっていた。さっきまでの状況が嘘のようだ、、、すっかり喋らなくなったパスクワリーノが、弟のロベルトの店であるヨニコに車を停める。ここで夕食である。一昨日の到着日はピッツァだけだったので、本日が初めてのきちんとした食事である。
席に着き、ふぅーっと息をつくパスクワリーノ。この写真の顔を見てもお分かりの通り、疲労困憊である。無理もない、この日5時間近く車を走らせ、しかもシチリアで初といっていいほどの吹雪の中をチェーンも無しに走ったのだから、、、
「いや、パスクワリーノはタフネスで鳴らした男だったんだけどね。さすがに体力落ちたなぁ」
とキーコが言うが、もういい年なんだから当たり前と言えば当たり前である。おそらく60過ぎてるハズだもんな。
さてヨニコでは無二路で見慣れている前菜が並んでいる。自分で好きなものを取っていくと、やっぱり前菜盛り合わせだけでこんなことになってしまった!
味は無二路で慣れ親しんだ系統。ワシワシと食べる。
さてヨニコにはカメリエーレ(給仕)としてキュートなシチリア女性が一人いた。
初日はちょっと無愛想というか、あまりフレンドリーではなかったのだが、あれはキーコによれば「パスクワリーノやロベルトが僕たちを紹介してなかったからかな。シチリア人は一声かけて仲良くなるとすごくいいんだけど、顔見知りになるまでは堅いんだよ。」ということだった。
この日はかなり仲良しモードに近くなっていたのだが、同行の無二路のパスタ&ドルチェ番であるコバこと小林君は、「あのコと写真取りたいッス」と、目線を送りまくりである。果たして彼はイタリア語で「写真を一緒にとって良いですか?」を言えるのだろうか!?
さてそれはともかく、このあと運ばれてきたパスタが、キーコこと重シェフにとって今回シチリア行のベストディッシュとなったのだ!
麺は手打ちのタリオリーニ。ビアンコ(白)で仕上げてあり、具材は何かの貝のような小さなかけらとイタリアンパセリが絡んでいるだけにみえる。
「なんだろうな、これ」と言いながら一口食べるキーコ。
「うおっ! これは美味しい!」
これは「コッツェ(ムール貝)のタリオリーニ」であった。盛り蕎麦じゃないかと思うくらい素っ気ない外観に反して、一巻き口に入れると、芳醇な海の香りがブワッと花開く。コッツェを白ワインで蒸したものがベースになっているのかと思うけど、その濃厚さ、麺への旨味の辛み方が絶妙だ!
「これはどうやってるんだろう、、、ワインは使ってないかもしれないな、塩茹でしたブロード(スープ)だけかもしれない、、、」
など、キーコとコバが分析に余念がない。
確かにこのパスタ、非常に旨い!僕もマシーンを使った手打ちパスタに凝っていた時期があるのだけど、やはりアルデンテが楽しめる乾麺を使いがち。久しぶりに食べる手打ちのタリオリーニだったが、タリオリーニは手打ちの中では細い麺なので、どういうサルサ(ソース)を絡ませるかはいつも悩むところだ。
しかし今回のコッツェのタリオリーニは確かにこれまで食べた中で一番旨い手打ちパスタと言えるかも知れない。これまでは、数年前に銀座の「エノテカ・ピンキオーリ」で食べたフンギのクリームソースのタリオリーニがNo.1だったが、今回のコッツェでそれは塗り替えられた!
ロベルトが他の席に皿を運んでいるのを呼び止めて、キーコが「どうやって作ってるの???」と質問を飛ばすと、ロベルトがにんまりと笑ってナニゴトかをささやいてチョンと肩口を突いた。
「ははは、『お前はまた盗むのか?』って言われたよ。この店で働いている時、俺のイタリア語も日常的な話題を話すのは辛かったから、プライベートの時もロベルトと二人になったら『あの料理でああするのは何故なんだ?』と訊いてばかりだったんだ。だから、『何で?のキーコ』って呼ばれてたんだよね(笑)」
それでもロベルトは椅子を持ってきて、キーコにこのコッツェのタリオリーニの作り方を伝授していた。
横で訊いていたが、このコッツェのサルサにはかなりの知恵が凝縮されていた。例えば蒸し煮したコッツェを半分ずつにして、半分は煮汁とともにミキサーにかけてクレマ(クリーム)状にして絡めるのだという。そして、肝心の味を決めるあるモノが介在するのだが、それはここでは秘密ということにしておこう。kurakiさん、気になります??
さて キーコがあまり食べないので僕がいつもパスタの半分を食べている。コッツェもそうだったのでもう腹がけっこう一杯なんだけど、こんなのが出てきてしまった!
リコッタチーズをベースにした、小海老のショートパスタだ。パスタは、チョウチョ型をしたアレ(名前しらん)である。
これがまた、例の海老のダシがよーく染み出ていて実に旨い!海老の味がしなければ単調でつまらない味になるところだろうが、全く飽きない。見た目は淡泊だけど、実にコッテリしたペシェ(海の幸)の風味がするのである。
旨いな、と思っていたらパスクワリーノと目が合う。「お前、俺の分も食え」と半分も皿に盛られた!もう腹一杯だー と思っていたら、
「今日はペシェを用意したぞ!」(←想像)
と、いかにもシチリア風の魚の煮込みが出てきた!
どうだろうこの、日本人からするとセンスのない筒切りにした魚。これをトマトとオリーブと大粒ケイパーで煮込んでいる。
「ああ、これがシチリアの普通の魚料理だよ。」byキーコ
ということだ。食べてみるがみたとおりの味である。シチリア料理はやはり基本的には田舎料理なんだよな、と思った。これは悪い意味ではない。日本で煮魚を食べて、「うわっびっくりした!」という体験は、あまりないだろう。だいたい想像がつくというか、冒険ではないはずだ。それと同じで、見た目で味が想像できるという意味で、オリーブとケイパーの風味とトマトの合わさり方が実にシチリアっぽい。郷土の味、と言っていいのだろうと思う。
さて、実はパスクワリーノはペシェを好かない。
「やっぱカルネ(肉)だろカルネ!」(←想像意訳)
といつも肉を食べている。この日も彼はシチリア風の仔牛ステーキを食べている。
子牛肉の上にタマネギのソテー、トマト、チーズなどがかかっていてグリルされている。少し食べさせてもらったが、美味しい。美味しいが、これも郷土料理の範疇だろうな。
「どう、わかった?シチリア料理っていうのは、色んな意味で地味なものなんだよ。だから日本のイタリア料理店でシチリアそのままを出すというのも、けっこう難しいんだ。これをベースにしながら、別の要素を加えていくのがいいんだと思うんだよ。」byキーコ
よーく分かった。
たしかにこれは日本のレストランで一品料理として出すものではない。例えば日本料理の店で「豚のショウガ焼き」とか「野菜炒め」とかは余程の趣向を加えない限り出さないだろう。それと同じようなことだと思う。ヨニコは地元では高い部類のリストランテだが、今回僕らには意識してシチリア料理を出している。おかげで、無二路がシチリア料理を標榜していながら、また違う次元の料理世界を拓いているということがよく分かった。
「これも食べろ!」
うわー また出てきてしまった!さすがの僕でももうはいらんぞ!
でも実はこいつが激ウマ!
茄子のかさねグラタンみたいなやつだけど、茄子とトマト、そしてなんと卵が間にはいっていて、それが実に旨い!
「最初にこれを持ってきてくれぇ~」
という感じだ!
今夜は、あのリコッタと小エビのショートパスタに負けた、、、
いやしかし 堪能した!ヨニコはやっぱり良い店だ。
「ユーロになってみんな景気が悪くなって、外食を手控えるイタリア人が多いから、ヨニコにも一時の活気がないなぁ、、、」
とキーコは心配をしていた。ぜひシチリア・シラクーサを訪れた人は、このヨニコに寄って頂きたい。今回のシチリア編の終わりの記事に、各所の住所等を載せるつもりなのでそれを参考にされたい。もし行ったら、「ヤマケンのWebでみたんだぞ」と言えばいいし、プリントアウトを持参すれば美味しいモノを出してくれるだろう。自分の店に少しでも関係があると思うと、こっちの人は一挙に心を開いてくれること間違いなしなのである。
さて
超満腹になった!
残るはコバの「いっしょに写真撮ってくれますか」の成否である。
結果から言えば見事成功!これがその成果である↓
「おれ、マジ嬉しいッス!」
と喜ぶコバである。
しかしコバ、君はまだまだ甘い、、、
キーコも僕も、お世話になった人にあげるためのお土産を日本から大量に用意してきた。僕は和風の手ぬぐいを持参。ロベルトやパスクワリーノにはもちろんだが、彼女にもあげようと思い、厨房に引っ込んだ時に手渡しに行った。
どちらかと言えば無愛想だった彼女に「プレゼント」と言ってお土産を手渡した瞬間、みるみるうちに彼女の顔が光り輝き、この3日間観たことがなかった最上級の美しい笑顔で僕の手を引き寄せ、イタリア人がよくやる両頬への音だけキス(チュッチュッと音をさせながら頬をつけて、親しみを表すやつ)をしてくれた。
「私に!?本当???とっても嬉しい!貴方は英語話せるの?そう、よかった!ねえ、次はいつ来るの?来年?本当に?本当にまた来てね!」
(↑英語だから想像意訳ではないよ(笑))
思わず「俺も明日からヨニコで働くゾ!」と言ってその身体を抱きしめてしまいそうだったが懸命にこらえた。こらえるのに数十トンの圧力で歯を食いしばりつつロベルトや店に別れを告げた。
そう、実は明日の朝にはシラクーサを発ち、カターニャへ移るのである。パスクワリーノともこれでお別れだ。この3日間、パスクワリーノには本当にお世話になってしまった。彼なしでは、このあまりに濃い3日間は体験できなかったことは間違いない。なんといっても生命の危険まで共有しあったのだから、、、
「ケンズィ!俺が日本にいったらよろしく頼むぞ!」
もちろんだパスクワリーノ!全力で接待申し上げるよ!
そうそうなぜかパスクワリーノは「4月に日本にいくからな!」と勝手に決めてしまっていた。ほんとか?もし本当に4月に来日する場合は、もしかするとどこかの店でフェアをすることになるかもしれない。その場合は告知するので、ぜひパスクワリーノの世界を堪能しにきて頂きたいと思う。
パスクワリーノとも、両頬への音だけキスをして別れる。
「さて、明日はカターニャだ!一気に治安も悪くなると思うから、気を引き締めよう!」byキーコ
シラクーサ最後の夜は、モディカからの疲れで泥のようにぐっすりと眠りについたのであった。
やまけんです。
バスツアーの貸し切りバスについてみつもりを下さった佐藤君、
ezwebのアドレスに返信を返しましたが、エラーで届きません。
携帯メール以外のアドレスで再度メールをいただけませんか。
今のところ最安値です!
よろしくです。
さてボナユートを辞した後、レイコちゃんもパスクワリーノの車に同乗し、スクワリーノの友人のリストランテへと向かう。
空はどんよりと曇っている、、、だけかと思ったら、あられが降ったり雨になったりと、非常に不安定な様相を呈している。んー大丈夫なんだろうか、、、
パスクワリーノの友人の店はモディカから1時間程度さらに内陸に走ったところにある。パスクワリーノが鼻歌を歌い、レイコちゃんと一同が歓談しながら旅は進む。向かう店のオーナーはバールを数軒にリストランテを一軒経営している、地元の名士らしい。これがそのバールだ。
バールでのカフェー(エスプレッソ)が日本と段違いに旨い、と言う話はしたんだっけ?水の硬度が違うし、エスプレッソマシンの圧も違うのだろう、トロリと粘度のある液体がデミタスカップにほんの少し、注がれて出てくる。これを一口か二口で飲んでしまう。
「こうやってカフェーを何かの合間に一気に飲んで、店に入ってから3分くらいで出て行く。そういうのを一日に5回くらい繰り返すんだよね。」byキーコ
すっかり僕もはまってしまった。ただしイタリアの人(含キーコ)は例外なくこの粘度の高いエスプレッソに砂糖をタップリ入れて飲むが、僕はブラックの方が好きだった、、、
さてリストランテに到着した。予想以上にシックな構えの店だった!
店にはいると、オーナーは留守で、その妹さんが迎えてくださる。この女性が知的な眼鏡美人で、振る舞いも親しみ深く、非常にエクセレントな方だったのだ。
我々には入ってすぐ目の前にあるテーブルがキープされていた。
「料理人同士だと、メシを振る舞うのは当たり前のことなんだよ。だから、パスクワリーノと一緒だとこういう風にシチリア中のリストランテでメシを食べさせてもらえるんだよなぁ。」
ということだ。押しと個性の強いパスクワリーノだが、それだけに人望も豊かなのだろう。おかげでスゴくいい思いをさせてもらった。そのありがたみは後にもっとよくわかるのだが。
さて、17歳のヤングなで肩カメリエーレ君が、前菜を運んできてくれた。
シチリアでは標準的なアンティパストだ。カポナータ、サラミ、プロシュート、そしてチーズをフリットしたものなど。
いつも無二路の前菜ではカポナータが一番旨いと思うのだが、シチリアではやはりこれが定番というかなんというか、きんぴらゴボウ的な存在なのではないか、と思う。メランザーネ(茄子)がクタクタになるまで揚げてあり、トマトと馴染んで甘く、最高に旨い。
パスタはラビオリのクリームソースと、手で撚ったようなショートパスタだ。
こちらにもメランザーネが入っている。この旅行を通じて、何種類もパスタを食べたけど、結局のところ一番ぼくが何度も頼んでしまったのは、ポモドーロとメランザーネのこのソースなのだ。やっぱりこいつが一番だ。
パスクワリーノはレイコちゃんがすっかり気に入ったようなので、安心して僕らは食事を楽しんだ(笑)レイコちゃんはまだイタリアに来て4ヶ月だということなのだが、イタリア語べらべらでかっこよいのであった。んー すげえなあ。
さてセコンドが出てくる。
薄切りのメランザーネとサルシッチャ(生ソーセージ)のグリル、そして豚肉のフリットだ。軽めにみえるだろうが、キーコ曰く
「こういうもんなんだよ。セコンドは肉をちょっと。それで満足できるように、パスタをタップリ食うもんなの。うちの店(無二路)では肉をガツっと出すけど、本当はこういう感じでいいのかもしれないね。」
まさしくその通りで、これだけで十分に満足だった。だってキーコとレイコちゃんが「もう食えない」と僕に回してくるんだもの、、、
このサルシッチャ、ウイキョウ(フェンネル)の種がはっきりとみえるだろう。非常に香りが強く、旨かった。サルシッチャの味付けは、もうシンプルに塩と胡椒だけだそうだ。
「本当にこっちは反則だよ。塩と胡椒だけで深い味がでちゃうんだよね、、、」
まさしく!物足りなければリモーネ(レモン)をかけたりすれば、それだけで味の次元が加わってしまう!うーん いやこれがイタリアンなのだ。それはそれで素晴らしい!
さてドルチェはこの辺の名物と言われる、コーンスターチを使ったういろうのようなお菓子だ。
梅肉の色のやつがそれで、オレンジの方は、同じようなものを使ってゼリーのように固めたものだ。感想は、、、んー ういろうと羊羹という感じか!日本でういろうを食べたくなるタイミングがあるかというとそんなにないのだが、それと同じような感覚かな、、、
お隣のレイコちゃんが食べてるのがティラミスとアイスクリーム。うー やっぱこっちの方が旨いと思ってしまうのであった。ティラミスに含まれる豊富な油脂と砂糖、そしてチョコレートの油分がダイレクトに快楽に突き刺さるのだ。
でも、伝統的なドルチェを食べることには意味がある。おそらく油脂が簡単に手にはいるようになるまでは甘味の要素が限られていたのではないだろうか。そう思って食べると、非常に地味ながら暖かい舌触りのするドルチェだった。
いや実にシックでエレガントな昼食だった!みんなで一枚。
お腹も満腹、気分も非常にエレガント、素晴らしい一日であった! ここまでは、、、
さて店を辞すると、想像を絶する事態が発生していたのだ。それは、、、まさかシチリアで眼にすることがないだろうと思っていた「吹雪」だ!
1時間かけて来た山道が、視界10メートル程度になってしまっている!
「パスクワリーノ、チェーンとかってあるの?」
「そんなもん、したこともないから持ってきてないぞ!」(←想像意訳)
なぬぅ???
でもそれはそうだ、シチリアの住民が、路面がみえなくなるほどの雪など想像できるはずもない。
来る時は鼻歌混じりだったパスクワリーノの顔から笑みが消える。ちなみに時速はいいとこ10kmくらいしか出ていない。大渋滞である。じれったくなるが、どの車もスタッドレスでもないし、のろのろ運転になるのは仕方がない。
しかしここで第二の恐ろしい事態が判明する。
「おいおい、なんだかガソリンメーターがエンプティになりそうじゃないか!」
キーコの声に皆がフロントパネルを注視する。確かにガソリンメーターの針はEに限りなく近づいている。そして道は上り坂で、ギアはさっきからずっと1stに入っている!イタリアに来た人はご存じと思うが、ここの国民性としてオートマという選択はないらしく、ほぼマニュアルだ。従って、上り坂の渋滞だと1stにいれたままふかしまくっていることになるのである。
このままだとガス欠は近い!
でももう歩いて引き返すなんて絶望的な山道である!
会話が止まり、皆が生命の危機を感じる、、、
「ガソリンスタンドってあったっけ?」
「ん~ たしか山頂を超えるとあったようななかったような、、、」
「まだ山頂まで結構あるぞ!」
などなど不安に苛まれながらのろのろ運転が続く。
前の車が動かないなぁと思っていると、実はタイヤがスリップして空転しまくっている。おおおと思って居たら次はこの車の後輪が空転しまくって前に進まない!そんな焦る事態が数十分続き、緊迫度合いが高まる、、、
「あ、ガソリンスタンドだぞ!」
あれほどスタンドがオアシスにみえたことはない。しかし!パスクワリーノは何もみていないかのごとくそこを超えようとする!
「なにやってるんだよパスクワリーノ!スタンド、スタンドぉおおおお!!!」
みんなが騒ぐので「ん?」という顔をしながらパスクワリーノがスタンドに車を入れる。
ところがなんとこのスタンド、誰もいない、機械も動いていない、、、
「もしかしてスタンドの従業員も、身の危険を感じて逃げたのか??」
一層の不安がよぎる、、、俺たちはどうなってしまうんだろう、、、
もう雪は路面を覆い尽くしている。
来る時に飛ばしていたのにモディカまで1時間、シラクーサまで1時間かかるはずだ。雪道だとどれくらいかかるのだろう、いや、その前に生還できるのだろうか???
顔は笑っているがかなりこわばった形相の一同、車に乗ってしばらく進むと、神の光が見えた。
「スタンドだ!今度は営業してるぞ!」
やった、、、今度こそガスが入れられる!
なんとかたどり着いたスタンドでパスクワリーノが店員に叫んだのがまた振るっている。
「20!」(←20リットルってことね)
満タン!と言わないところが非常に笑えるではないか、、、と思ったら、キーコいわく「満タンにすると重くなるからだよ」とのこと。あ、失礼しました、、、
ともあれ、この雪の中でガス欠になって凍死するという事態だけは避けられそうだ!
この後、あの陽気なパスクワリーノが一言も発せずに1時間以上運転を続け、モディカに到着。その頃には雪ではなく半分雨に変わっていたのだが、、、
「お疲れ様でした。怖かったけど超楽しかった!」
ケラケラと笑うレイコちゃんとお別れ。どうもありがとう!
レイコちゃんはこの恐怖の中、逆に楽しんでいたようにみえた。生命力の強い、魅力的な女性である。イタリア男に引っかかるんじゃないぞ!日本に生還してこいよな!
さて鉄の男・パスクワリーノもさすがに「疲れた、、、」とつぶやいている。大事を取ってバールでお茶をする。バールでつまみを食べているうちに、いつもの調子が戻ってきて「ケンズィ、これを食べろあれを食べろ!」と口を出しまくるパスクワリーノであった。
この後、1時間20分かけてシラクーサに到着。これが今回の旅行で生命の危険を感じた夜の出来事だった。これに比べたら、空港で荷物が届かなかったことや、別荘が停電になった夜のことなど遊びであった、、、
あとでテレビニュースなどで確認したとこと、モディカで雪がふったというのは本当に珍しいことだったそうだ。帰国して日本でも大寒波だったことを知ったが、イタリアも相似状態であったのだ、、、
誰だ、シチリアは冬でも暖かいなんていったヤツは???
(続く)
成田に到着しました。
帰りの機内は長かったぁ、、、「ターミナル」と「キャットウーマン」を観て、原稿を書いて、飯を食って、隣に座ってた女子大生(可愛い)とのお話しで過ぎていった、、、
機内朝食は抜いた。だってもっと旨いものが食べたい!
今食べたいもの、それは、、、
純日本風のカレーである。
ああ、インデアンを食べに大阪に行きたい! 帯広インデアンでもいいな。
シチリア編、まだまだ続きます。
そうそう静岡バスツアーの詳細決定と、山形まあどんな会のなんばん粕漬けの販売の詳細も決まる頃だし、話題豊富すぎ。
ということで帰国の報告でした!
パスクワリーノの家で昼食後、ゆっくりと市内観光を終えて戻ると、別荘が大変なことになっていた。
「電気がつかないよ、、、」
この日は断続的に雨が降っていたのだが、水漏れで電気の配線がどこかでショートしてしまったらしい。ブレーカーがすぐに落ちてしまうのだ。原因はどうやら、久しぶりにブレーカーを上げた後に、その電気ボックスの蓋を開け放したまま出てしまったからのようだ。
「フゥム、、、」
パスクワリーノも困った顔をして、申し訳なさそうにしている。家中を探し回ってろうそくを見つけ、さらに別荘地内の他の家からろうそくを分けてもらってきた。ろうそくの灯りでなんとか移動ができるようになると、
「まあ、ロマンティコだろ!」
とパスクワリーノが言う。以降、「ロマンティコ」は僕らのキーワードになってしまった。
「まったく、こういうハプニングまでパスクワリーノらしいよ。」
キーコが苦笑いをする。実はこの日はキーコとコバがメルカートで買った食材で料理をしてくれるということになっていたのだ。ガスはプロパンなので何とか使えるが、暗闇の中での調理に「火が通ってるかどうかみえません!」というコバに大笑いしながらのディナーとなった。これはこれで忘れがたい。すでにメルカートでの大量撮影(240枚撮っていた!)でデジカメの電池は無くなっていたので、この時の写真はない。残念だ!
本当にパスクワリーノは、何から何までエピソードに困らない人だ。しかし、最大のエピソードは実はこれから始まるのだ、、、
ろうそくの火で暖をとった夜が明けると、ようやく乾いたのか通電するようになった。
「ケンズィ、どうだった!?眠れたか!?」
「すっごくロマンティコだったよ、、、」
とパスクワリーノに伝えると、ニコッとあのパスクワリーノスマイルが炸裂した。
この日は、シラクーサからちょっと内陸にあるモディカという街に行き、ボナユートという伝統的なチョコレートを作っているパスティチェリアに行くことになっている。実はこのボナユートに、日本からスタージュ(研修)で一人の女性が入っているのだ。その佐藤れいこちゃんは、blog仲間でもある、料理ジャーナリストのカマタスエコさんから紹介してもらった。
「わたしの友人がちょうどシチリアにいるから、会ってくれば?」
そう、カマタさんはイタリア紀行を著している、いわば先輩であり、今回の旅に必要になる電気プラグのアダプターや電子辞書を貸してくれたのだ。この場を借りて御礼を述べたい。アリガトねアネゴ。
さてモディカはシラクーサから1時間少しかかる距離にある。シチリアに来てから無茶苦茶寒いのだが、それ以上に天候が不順でくるくると変わる。曇り空になぜか虹が架かっていたのをみて歓声が上がるのだけど、今から思うとこれは凄まじい展開への予兆だったと思われるのだ。
前日の昼、モディカの佐藤さんに電話をかけ、到着時間を告げる際にパスクワリーノは「10時半に着くよ!」と明言していたのだが、途中車を停めていろんなものを解説しまくる。まあそれがイタリアってやつなんだが!
「ケンズィ、これはアーモンドだぞ!」
おお、これがアーモンドの木なのか!ちょうど花が咲いていて、これがなんだか櫻のように綺麗で甘い香りがする花なのだ。
こちらのバックに写っているのは、モディカ特産であるモディカ牛だ。
ちなみに僕はマフラーなどしないのだが、パスクワリーノがくれたのでしてみた。以来、マフラーっていいもんだな、と思って愛用している。
そんなこんなで寄り道しながらモディカの市街に着く。
シラクーサは海の街というイメージだったが、モディカは峡谷の街という感じだ。街は山間に密集しているので、「上側」と「下側」で街が分かれている。
ちょうど昼時で渋滞するのをすり抜け、ようやくボナユートの店前に到着した。
そういえば昨日、今回行きたい店の件でパスクワリーノと弟のロベルトにさんざん「あんなとこに行っても旨くないぞ」などと水を差されていたのだが、ボナユートに関しては二人とも「ん、あそこはイイね!」と意見が一致していた。
正直言って僕はそんなにチョコレートが好きではない。従ってバレンタインにはチョコレート以外のものが欲しいのだが(笑)、このボナユートという店のチョコレートはかなり特別なものらしい。今時のチョコはカカオを精製しまくり、色んなものを添加しているわけなのだが、ここボナユートでは古くから伝わるシンプルなチョコ作りを継承しているという。つまりカカオを磨り潰し、糖分や伝統的な香料を加えるということに徹しているそうだ。それ故、「チョコレートが持つ本来的な催淫効果がある」という逸話もある。うーんそれならたくさん買って帰らなきゃなぁ。
店内はとても小さく、売り場と小さな工房に分かれている。チョコレートはここではなく独立した工房を持っているということだった。
大幅に遅刻してしまったので、店の女性に佐藤れいこちゃんに連絡をしてもらう。その間に、パスクワリーノが店の若旦那といった呈の若者に僕らのことを紹介してくれる。
彼はパウロという名前なのだが、聖書の登場人物に出てきそうな顔立ちである。
「こいつはクッチーナ(料理)のジョルナリスタ(記者)なんだ」
とパスクワリーノが紹介してくれたおかげもあってか、非常に好意的に迎えてもらう。さっそく件のチョコレートがずらっと並ぶ。
赤い包み紙がシナモンを加えたもの、ピンクがバニラを加えたものだ。食べてみると、慣れ親しんだチョコレートのトロリとした溶け加減は全くない。ザラリとした食感で、砂糖の小さな塊がジョリッとくる、実に粗い舌触りなのだ。しかしこれは非常にイケル!
「本物の味、だねこれは!」
そう、一切へんな混ぜものをしていないという話が納得できるナチュラルな味だ。媚びることのない、本来的なカカオのパワーを感じさせる骨太な剛球といえる味だ。
「これが、この店で有名なペペロンチーノのチョコレートだよ。」
と出してくれたのが、トウガラシ入りチョコだ。噂には聞いていたのだが、、、
一粒を食べてみると、口の中にある時点ではそれほど辛さというのを感じない。しかし、喉下してみてビックリした!喉にチリチリと刺激が来る!
「おーっ こうチューニングされてるのかぁ!」
こいつぁ 乙だ! これ、女性には非常に受けると思うのだが、、、ちなみに日本でも輸入されているらしいゾ。
とそこに、このボナユートにスタージュに来ている日本人、佐藤れいこちゃんが登場した。
実はカマタスエコさんからメールで紹介してもらって数回やりとりをしているのだが、相手がどんな事情でスタージュにくるようになったのか、そしてこの人が何歳くらいの女性なのか全く知らんかった。どんな人が来るんだろうか、と思っていたら、実に素敵にチャーミングで明朗快活、イタリア語堪能で、生命力の強さを感じさせる女性であった!
「どーもどーも、ドルチェ好きが高じて仕事を全部辞めて、イタリアに来てしまった佐藤です。」
彼女が開設しているWebサイト「ドルチェマニア」もかなりの情報を伝える良いサイトだ。
★イタリア留学日記--イタリア・シチリアより生情報を実況中継中!
http://dolcemania.exblog.jp/
★Dolce Mania---イタリア菓子の情報サイト
http://dolcemania.cside.com
彼女が来てくれたことで、工場の中の人たちとの仲介役になってくれて、素晴らしい取材をすることができるようになった。
「今日はカンノーリを集中的に作っている日なんですよぉ。」
とれいこちゃんが言うとおり、工房ではカンノーリの皮がスゴイ勢いで作られていた。カンノーリとはこのお菓子である。
そう、シラクーサの空港のバールで早速食べたお菓子だ。パリパリに揚がった筒状の皮の中に超濃厚なリコッタクリームが詰められている。映画「ゴッドファーザー」にも出てきたらしい、由緒あるシチリア名物だ。
「コバ!きっちりと勉強しておけよ!」
とキーコの激が飛ぶ。そう、無二路のドルチェ番はコバこと小林君なのである。
これがカンノーリの皮生地だ。ほんのりピンク色なのは、こういう色の豆だったか何かの色素を練り込んでいるらしい。それを薄く伸ばし、切り揃えていく。
これが一枚分のカンノーリ生地だ。
これを耐熱性の筒に巻いていく。
筒に巻かれた生地は、フライヤーでじっくりと揚げられる。みたところ低温で時間をかけて揚げているようだ。揚げ上がると斜めに置いて油を切る。
「この揚げ油、ラード(豚の脂)かヘット(牛の脂)を使っているらしいんだよ。だからコクのある風味がつくし、パリッとした食感になるんだな。」
とキーコが言う。これが揚げ上がった皮だ。
これをすぽんと筒から外し、皮の完成。筒の部分にリコッタクリームをタップリ詰めて、ピスタチオの飾り物をまぶせば完成である。
ちなみに、通常店頭ではクリームを詰めたものが並べられているが、家で大量に、しかもできたてを楽しみたい人には、リコッタクリームをチューブに入れ、皮を別にして販売もしている。つまり家でリコッタクリームを詰めて、皮がパリパリの状態で楽しめるということなのだ。
このカンノーリ、色んなところで食べたけど、ボナユートのそれは非常に上品な出来だった。リコッタクリームはすごく濃い油脂なので、ともすれば一口で飽きてしまうのだが、、、
ちなみにカンノーリ以外のお菓子もたくさんある。例えばこれもボナユートの名物らしいのだが、超絶なお菓子なのである。
「この菓子は小麦の生地でチョコレートの詰め物をしたものですが、チョコレートには様々なナッツなどとともに、肉のミンチも入っているんです。滋養強壮の為に最高なお菓子なんですよ。」
なんと肉入りのチョコである!うおおおお こわごわ食べてみるが、その餡の部分はとても複雑な味のする、かといって別に変な味ではない、なんともいえない高度な味だった。毎日食べたい味かというとそうでもないが、これはこれで、非常に歴史の重さを感じてしまう。いや素晴らしい逸品だった。
キーコは先述のチョコレートに加えてこの肉入りチョコ菓子を3キロくらい買っていた。運がいい人の口には入ることだろう。
しかしこの工房で感じいったのは、イタリアの粉食文化である。下記写真は、粉屋さんみたいな屈強な人が、小麦粉の保存容器に粉を詰めているところだ。
無茶苦茶に腕の太い男が恥ずかしそうに「ボンジョルノ」というのはナカナカに素敵な光景だ。しかもその分量が半端じゃない!改めて、小麦文化大国・イタリアを感じたのだ。
しかし、パスクワリーノは僕が写真を撮っている間にもいろんな注文をつけまくり、しかも店を辞する時にもまたパウロ君にいろいろと話をしていた。ものすごいバイタリティである。
「メシに行こうよぉ!」
と車に引っ張り、パスクワリーノの知り合いのリストランテに向かうことになったのだ。この時すでにどんよりと曇った空ではあったが、まさかこれが大変な事態になっていくとは思っても居なかったのだ、、、
(続く)
あと数時間でミラノ空港から帰国します。残りのエントリは機内および日本で。
ミラノではあまりアクティブに食い倒れせず、日々本業のことなど含め内観していました。
ていうかね、デジカメが動かなくなってしまったのよ。出国前に買った1GBのSDメモリカードが原因だったのがわかったのだけど、後の祭り。なので、ミラノでお世話になった3人の友人には申し訳ないのだが文字で簡単な日記になっちまうな。
では、旅の無事を皆さんで祈っててくださいね。
あともう一つ。
こちらのスーパーではよくサラダのパックをみかける。いわゆるカット野菜だ。
ロメインレタス、ルッコラセルバチコ、アンディーブなどが小さくカットされて入っており、1ユーロ未満で買える。
すでに洗浄されているのでこれをサラダボウルにあけ、好みのアチェート(酢)とオリーブオイル、塩をかけて混ぜるだけでビックリするほどに旨い。
思わず、ホテルの近くにあるスーパーで野菜類を買い込み、部屋でむさぼり食べてしまった。外のリストランテで食べると軽く日本円で5000円程度になってしまうが、スーパーで食材を買うと、500円程度で済んでしまう。
日本ではカット野菜の販売量の伸びがこのところスゴイのだが、それにしてもあまりこうしたサラダようパックに対する感覚は低い。日本人特有の清潔感にそぐわないのだろうかとも思うが、かといって生野菜が売れているかというと、売れていない。料理自体をする人が減っているから、サラダ自体を食べていないと考える方がいいのかな。
あと、日本でサラダにする野菜とイタリアでのそれは少し違うと思った。レタス、ルッコラをカット野菜にして売り場に並べると、日本ではかなり高くなってしまう。日本型のサラダ、例えば春菊やシイタケのスライスなどを使った、新しいサラダのスタイルを考えた方が良いのかもしれないな、と思ったのであった。
シチリア編が続いているけどここで一息。ミラノに来て、カフェなど廻っている。
こちらに来て、うーんと考え込むことが多い。それはイタリアの食の豊かさということへの感動なのだけど、最初の興奮が過ぎ去って、少しだけ冷静に観られるようになり、考え方がまとまってきたので、書いておきたい。
11時頃、コーヒーを飲もうとバールに入る。「ウン・カッフェー」で一杯のエスプレッソが飲めるわけだけど、どのバールでもその脇には、様々なハムやチーズを挟んだパニーニなどがぎっしりと並べられている。
観ていると、ビニールに入った巨大なハムの塊をどすんとカウンターにおいて、スライサーで薄切りにし始めた。そのハムの巨大さと、精肉店で使うようなスライサーが、何の変哲もないバールのカウンターに鎮座し、あたりまえのようにスライスしている風景にびっくりした。上記画像を拡大したのがこちらだ。このハム、お腹にかかえるくらいの大きさなのだ。
スライスしたハムを、暖めたビタパンの上に置き、チーズ二片をのせてくるくる巻いてできあがり。ケースに並べる。このように、バールで食べられる軽食も、だいたいは店で完成させるのがイタリアのバールでの日常のようだ。日本のように、既製品のサンドイッチが並んでいる風景はみられない。そして客は、「あそこのカフェーは旨い」「あそこのパニーニのパンが旨い」という感じで、名指しで食べに行くのだ。
こうしたサンドイッチ類だけではなく、アランチーニ(ライスコロッケ)やショートパスタなどもカフェの奥で作り、店に並べているというのが多いように見受けられる。こうした風景に、非常に豊かさを感じてしまった。
一言で言えば、どの店も個人も、オリジナルであることを求めていて、それを具現しているようにみえるのだ。
日本のカフェでも、店頭でサンドイッチを作っている店はかなりある。しかし、日本ではFCチェーン展開が進んでいるのが普通だろう。その場合、大量生産された具材やバンズが並ぶのが普通だ。だからオリジナリティがない。イタリアでは、バールはあまり派手にFC展開されていないようにみえる。一軒一軒が独立していて、洒落ている。日本の個人経営の喫茶店のようだ。それが、メルカートなどに溢れている多種多様なメーカのチーズ、パン、加工肉などを選んで仕入れ、独自の組み合わせで出しているのだ。
このように、簡単な料理でも自分の店で調理するバール文化に感動したわけだが、じゃあ日本ではどうなの?ということだ。
先に出したように日本のカフェはだいたいがFCだから今ひとつ楽しくないが、カフェという業態自体が日本のものではない。イタリアのカフェを日本のカフェを比べてもしょうがないのだ。カフェは、コーヒーなどの飲み物が飲めて、軽食も食べられる。さっと立ち飲みもできて、座ってゆっくりすることもできる場所だ。日本では同じようなところは少ない。昔ながらの喫茶店という存在といえるだろう。
ただ、喫茶店の食事というのはあまり比較にならない。日本で先述のようなパニーニなどの豊かさに匹敵するものはなんだろうな、と考えた。
なんのことはない。日本にもある!それはご飯だ。白飯とみそ汁と漬け物、そして干物でも卵焼きでも一品つけば、それだけで十分な食事だ。そして、だいたいどこでの家でも店でもオリジナルな味付け(米を選べる、みそ汁のダシや味噌を選べる、漬け物のバリエーションも豊富)を追求できるではないか。
そう考えた途端にすっきりした。
そのすぐ後に問題につきあたった。では、そうしたご飯文化がきちんとイタリアにおけるカフェー文化なみに行き届いているだろうか。そう言われるとなんだかはっきりしないな、というのが感想だ。
日本には、いろいろとご飯を食べさせる店があるが、オリジナリティを発揮しているのはやはり個人経営の定食屋であったりラーメン屋である。コンビニやファミレスの食事は、すべて画一化されている。
そう思ってミラノの町並みを眺めると、たまにマクドナルドがあるが、飲食チェーンというのがあまりないことに気づいた。欧州ではスーパーマーケットはチェーンの寡占化が進んでいるのだが、こと飲食店については、個人経営的な店が圧倒的に多いようにみえる。
この辺に日本の食とイタリアの食を比べた時に、少し後ろめたさを感じるという問題の根があるように思った。
もうすこし考えを進めていくと、キーワードは「家庭料理の消失」ではないか、と思うに至った。もう少し歩きながら考えてみたいと思う。
全くの余談だが、、、
シチリアの女性は美しい度がかなり高い。
「イタリアの中でもシチリアはアラブ系との接点だから、色んな顔がいるよ。」
とキーコが言うのだが、たしかに顔の系統がいくつかあるようだ。ちなみに眼鏡っ子が多いのが非常に目につく。そしてその眼鏡顔がとても美しい。
「綺麗だなって思ったら『ケ・ヴェッラ!』」って言えばいいんだよ」(byキーコ)
この言葉、同行のコバちゃんが胸に刻んでいたことは云うまでもない。
僕?僕はそんなの眼中にありませんよぉ、、、
なーんちゃって 日々眼球運動が活発になっていました。
「夏に来たらもう大変だよぉ!みんなスゴイ格好してるからね、、、しかもね、こっちの女性は観られることに慣れてるから、ジーッとみてても怒られないよ。」(byキーコ)
マジ?
今度は夏に来よう!