イタリアに来て切望していたのは、家庭での食事をいただくことである。キーコ(重シェフ)はすでにそんなのは関心がないだろうけど、毎日リストランテやトラットリアにいくよりも、地元の人が食べているものを味わってみたい。
「まぁ はっきり言ってシチリア料理ってのはいい加減だよ。そのいい加減さがまた良くもあり悪くもあるんだけどね。素材に味があって旨いから、切って焼くか煮るかして、塩振るだけで旨いんだもん。そこに大粒ケッパーの塩漬けやオリーブ塩漬けを合わせればシチリアの味になるから、もう反則だろって感じなんだよねぇ。
でも、それを日本でやっても全然お客さんには受け入れられないんだ。一回くらいはいいけど、日本のレストランで毎回食べたい味か?というと難しい。だから、俺が作る料理はシチリア料理がベースになってるけど、もっと複雑なことをしてるんだよ。だいたいシチリアではあまり羊とか食べないしね。」
キーコのこの言葉は夜ごとに立証されるのだが、そのいい加減さというか、通常の食卓がどうなっているかというのには非常に興味がある。で、パスクワリーノは料理人だから通常の食卓というにはあてはまらないのだけど、彼の家で食事をお呼ばれすることになったのだ!
「今、パスクワリーノはマンマと二人暮らしなんだよ。マンマは90歳くらいになるから、元気かどうか心配だなぁ。」(byキーコ)
イタリアの男はみんなマザコンだと云うが、ほんとなんだろうか、楽しみである。
さてアパートというのかマンションというのか、シラクーサの町中の一角にある二階の部屋に通された。
ドアを開けると90歳とは思えぬかくしゃくとした足取りのマンマが「おお、キーコ!」と出迎え、抱きしめ、両の頬にキスをしてくれる。
パスクワリーノが昼食の準備をしてくれている間に部屋でくつろぐ。マンマが「寒いのよ、今年は」を連発。本当にイタリアの冬は寒い!日本で何かのサイトを調べたら18度くらいあるということだったのでジャケット一枚で来たが、洒落にならない寒さだ。今年は特別に寒いらしい。こんなところにも超異常気象が影を落としている。
食事を待つ間、キーコが家族の写真をマンマに見せている。ちなみにキーコの娘さん二人は非常に可愛い!この写真をみたパスクワリーノは、
「キーコの嫁さんはヴェッラ(綺麗)!子供達はヴェリッシモ(←綺麗の最上級)!でもろくに連絡よ寄越さないキーコはブルット(←最低)!」
と叫んでいたという(笑)
さて今日の食事は豚料理だ。有名な豚料理の店にいくと昨晩告げたら、パスクワリーノとロベルトが「そんなとこ行くな行くな」と言っていたのだが、自分で作ってくれたというわけだ。
厨房を覗くと、ドロリと赤暗い肉の煮込み(スーゴ)が鍋に入っている。
「スーゴ・デ・マンマ!」(マンマの煮込みだぞ!)
とパスクワリーノがニヤッとする。こちらではお馴染みのサルシッチャ(豚の腸詰め)と豚の塊肉が入っている。
赤く色づいたオイルの層が1センチ近くある。すでに4時間くらいは煮込んでいる感じだ。
「これをマカロニにかけるのよ!」とマンマがニッコリする。
その横では、パスクワリーノが小麦粉を豚肉の薄切りにまぶして、オイルを敷いたフライパンに投入している。
ちなみに当然ながらこちらの小麦粉はセモリナ粉だ。硬質の粉なのでバリッと焼き上がり、味が強くて旨い!
さて、完成!「ボナペティート!」と声をあげてしまう。
シチリア名物のねじりマカロニにスーゴの煮汁だけをまぶして吸わせたのがこれだ。これを皿に取り、鍋の中の煮汁をまた上から少しかけ、ペコリーノチーズの粉末をひとつまみかける。
これが伝統的家庭料理だ!
「こうやって煮込みのソースをパスタにまぶして、肉そのものはセコンドとして食べるってのがスタンダードな食事だね。理に適ってるよ。セコンドはちょっとで済むようにパスタを先に腹一杯食べておくって感じかな。」byキーコ
どうだこの旨そうなパスタ!
フォークに三本突き刺して頬張ると、モチモチとした感触と、マカロニによく染みこんだスーゴの深い旨味、ペコリーノの香りと塩気があふれ出して旨い!
「うわああああ すっげえ旨いじゃん!」
と声をあげるとマンマが嬉しそうに笑う。まじでこの一皿は最高だった!
次に、スーゴの中身が皿にあけられる。
豚もサルシッチャもコテコテに煮込まれているけど、美味しい!一緒に入っているパタータ(じゃがいも)も味がしっかりしていて香りがあって旨い。
「お前達が豚を食べたいって言うから、もう一品作ったぞ!」
とパスクワリーノが鍋を持ってきてくれる。
豚にセモリナ粉をはたいてソテーしたものに、フンギ(キノコ)と白ワインを合わせて軽く煮たものだそうだ。
タマネギとフンギのまったりした旨さが豚にからんでいる。リストランテで食べるようなものではないと思うけど、イタリア版・豚のショウガ焼きみたいな感じで、とっても美味しい。付け合わせはラディッキオ。日本ではみな食べずに残してしまうが、この赤くて苦い葉物野菜は、熱を通すと本当に旨いのだ!
「旨いよパスクワリーノ!」
を連発すると「まあな、当たり前だ」というように頷いてくれる。
そうそう マンマは時折「手が冷たいのよ」といってパスクワリーノの分厚い手に自分の手を重ねて暖を取っていた。その時マンマをいたわるように見つめたパスクワリーノの眼をみて、イタリアの男は全員マザコンかもしれないが、それはマンマが息子を愛するからではないだろうか、と思ったのであった。
シチリアの家庭の昼餉は愛おしく過ぎていったのだ。
(続く)
シラクーサの中心部にはいくつかのメルカートがあるのだが、その内の賑わっている方へパスクワリーノが連れて行ってくれる。ここでも知り合いの店に入っていき、僕らのためにいろいろと世話を焼いてくれるパスクワリーノだった。
「ケンズィ!(←なぜか彼は「ケンジ」と発音できない) ここは生け簀のある魚屋でな、最高なんだぞ!」
生け簀の中には海老、鰻、貝類がミッシリと詰まっている。
驚いたのは貝類の豊富さだ。アサリとハマグリだけではなく、マテ貝や名前の分からない貝類がいっぱいある。パスクワリーノはそれをつまみ上げてはナイフで口を切り開け、「ケンズィ、食え!」と差し出すのだ。
これはマテ貝。ご覧の通り砂がたくさんついているが「ノンチャ・プロブレマ!(大丈夫だって)」というのでそのまま啜りこむ。
「旨い!」
海水の塩分でほどよい塩味のついた生貝は甘くて旨くて素晴らしいものだった!僕は旨かった場合は顔に出るので、パスクワリーノもつぎつぎと貝をこじ開け出す。おいおいいいのかよ、そんなに、、、という感じだ。
重ちゃんも「知らないぞ、生の貝なんて腹壊しても、、、」などと怖いことをいうが、結局腹は大丈夫だった。
魚屋を出てシラクーサの中心街に車を止める。港からみるイオニア海は青く美しかった!
しかしパスクワリーノは名優というかなんというか、僕がデジカメを取り出すとすぐにこちらに目線を合わせる(笑)
それだけならいいが、撮ろうとすると「ちょっとまて!」と制して「こっちから撮れ!」とアングルを指示したり、被写体に手を加えたりして大変だ!まさしくシラクーサはパスクワリーノの世界である。
「俺がよく菓子を食べに来ていたバールにいこう」
と重ちゃんがいう。
ところで、重シェフは名をヤスヒコというが、イタリア人には発音が難しいらしい。そこで短縮して「ヒコ」と言わせるが、Hは発音しないので、なぜか「キーコ」になってしまう。ということで、重シェフは「キーコ」という名称で通ることになっているのであった。「おお、キーコ!」と色んなところで迎えられる重ちゃんであった。
「このバールのアランチーナ(イタリア風のライスコロッケ)が旨いんだよ!」
というとパスクワリーノが店主に、僕たちを紹介してくれる。カウンターに中に入って写真を撮れ!という感じで、もうフリーパスである。
そういえば僕のことは「ジョルナリスタ(ジャーナリスト)」と紹介してくれたので、かなり待遇がよかった。そう、取材には丁重にもてなすのが彼らの流儀なのだ。週刊アスキーの僕が書いた号を持っていったので助かった(笑)
さてこの店のアランチーナ、実に旨い!割ると中にはチーズとミートソースが入っているのだが、それを包んでいる、スープで炊いたリゾ(米)が最高!
さてメルカートに入っていく。冬であまり野菜が豊富でないと言うが、僕には十分だ。
ブロッコリやホウレンソウ、人参が中心で、日本の冬野菜と同じようなラインナップだ。南イタリアといっても、今は冬で寒い。ていうか日本より寒い感じがする。キーコによれば「こっちは路面や家が全部石だからさ。下から冷えるんだよ。」と言うが本当だ。ヘタをすると日本より寒いかもしれないのだ。
さてメルカートを歩くと、パスクワリーノの顔を知っている売り子がやたらと声をかけてくる。長くオーナーシェフで店を営んでいたわけだから、顔になっているのも当然だ。こちらはポモドーロ・セッコ(ドライトマト)売りの爺さん。
朝にもみたアランチャ(オレンジ)だ。2月の後半になったほうがもっと旨くなるらしい。1キロで0.5ユーロは無茶苦茶に安いな。
シチリア料理で重要な役割を果たすペペローニ(ピーマン)はおしなべてデカイ。色もまだらになっているが、買う側にとっては全然関係ないらしいので、生産者は楽だろう。「こっちのペペローニは甘くない品種だから、料理に使える。日本で手にはいるのはだいたいが甘いのばっかりだから使いにくいんだよ。」とのことだ。
これはフィノッキオ(ウイキョウ)のセルバティコ(野生種)だ。フィノッキオ自体日本ではあまり観られないが、その野生種を売っているのをみられるのは嬉しい!
「普通のフィノッキオは根本をパリパリと食べるけど、セルバティコは葉の部分だけを使うんだよ。イワシのパスタやる時に使うと最高なんだよね。」(byキーコ)
ちなみにパスクワリーノは野菜は嫌いで肉大好きなヤツなのだが、フィノッキオだけは例外的に大好きらしく、弟のロベルトがやっているリストランテ「ヨニコ」でもいつもポリポリと食べていた。
さてイタリアの野菜といえばポモドーロ(トマト)だ。
メルカート中を見たところ、ざっと10品種くらいのポモドーロが並んでいた。日本でもみられる大玉、房つきの中玉、ミニ、そのそれぞれに縦長の品種、そしてクシャクシャしわの寄った品種などがある。写真を見てお分かりの通り、すべて完熟してはいない。
野菜を巡る誤解がこの世には多々あるのだが、完熟トマトが旨いというのも一つの神話だろう。僕は、まだ青みが残ったトマトの方が香りが強くて旨いと思う。完熟すると酸味などの甘さ以外の特性が後退し、アタックの弱い味と香りになりがちなのだ。その点、イタリアのメルカートは「さすがイタリア、分かってるじゃん!」という感じである。総じて酸が強く僕好みの味で旨かった。
ホウレンソウは冬らしく縮み上がっている。
日本のように大きくしないで雑に切っている。これなら収穫するの楽だな、、、葉物は収穫作業が大変なのだ。しかし、ホウレンソウは実は30センチ以上の長さになったほうが味が乗るので、これだとなぁ、という感じ。
後日、キーコが働いていたホテルの厨房で目にするのだが、こちらではホウレンソウはクタクタに茹で上げてしまう。日本のようにシャクシャク感が微妙に残るデリケートな茹で方など眼中にないのだ。はっきり言って旨くはない。だからまあ関係ないんだろうな。
さて パスクワリーノが仲良くしているらしいこのおっちゃんの露店では、オリーブのマリネを味見する。こっちに来て一番驚いたのは、オリーブの味だ。フレッシュで香りが強く、オイリーで旨い!日本ではオリーブが出ても、なんだかくにゃくにゃした食感で旨いと思わないが、こちらのは明らかに「生!」という感じなのだ。
「輸出用のオリーブの多くは加熱処理されてしまうんだよ、何でか知らないけどね。だからフレッシュとは別物と思った方が良いね、、、うちの店(無二路)では良いオリーブ使ってるんだけど、お客さんは残しちゃうんだよね。何でだろ。知らないんだよねみんな、、、旨いのに、、、」
そう、旨いんです。みんな残さぬように!
露天ではなく店を構えて乾物類を売っている店では、ポモドーロのエストラッド(濃縮ペースト)を舐めさせてもらう。旨いトマトが採れるということでつとに著名なパッキーノ産のトマトを、しかも天日で濃縮したものだという。
これが深みとコクのある味で実に旨い!キーコとコバも驚いている。
「こいつをラグーに入れるだけで、全然違う深い味になるんだよ!これは何キロか買っていこう!」
店のおっちゃんが「味噌じゃないよ」と笑いながら言うのを3キロほど購入したキーコであった。皆さん、無二路にこのエストラッドがあるうちに、ラグーの料理を食べに行くことをお奨めする。すぐに終わっちゃうよ3キロなんて、、、
しかし市場のおっさんどもの顔というのは、どの国も一緒だな。これはペシェ(魚)を商うおっちゃんだが、絶対に築地にも居そうである。
そういえば築地の青果市場で有名なタカハシさんという方がいらっしゃるのだが、彼が中国の市場を見学に行った時の逸話が振るっている。向こうの市場のオッサンと、言葉が通じないはずなのにすぐに仲良くなってしまい、肩を組んで市場内をうろついて談笑いたというのだ。まあ、同じ空気・匂いがあるんだろうな。実は僕もかなりメルカートの人たちと仲良くなった。キーコやコバは「クッチーナ・ポコ?(料理人か?)」と訊かれていたのに、僕の姿を見ると例外なくニヤっと笑って「こいつはよく食べそうだな」と言うようなことを言われるらしい。キーコが「料理のジョルナリスト(記者)だ」と言うと「やっぱりな」と喜んで色んなものを食べさせてくれた。そういう空気が常に出続けるように頑張ろうと思った。
メルカートで最後にみたのはチーズ屋だ。
彼は有名なリコッタチーズの職人だそうで、自分のリコッタの立派なパンフレットまで作っていた。シチリア名物のカッチョカバロというチーズとオリーブをパニーニに挟んだものを食べさせてくれたが、クセがあまりない割に濃厚な味で、かなり旨かった。
「うーん今度来た時はぜひリコッタを作ってるところを観たいなぁ、、、日本ではシチリアみたいなリコッタができないんだもん。自分で作っても良いくらいだけどなぁ、、、」
キーコには課題がたくさんできたようである。いやしかしメルカートはやはりいい!僕には最高な場所だ、、、
「よーしじゃあ昼飯に行こうか!」
イタリアの昼飯は2時くらいからゆっくりととられる。そしてこの日はなんと、パスクワリーノの自宅にて、シェフが作る家庭料理という贅沢な昼なのである。
(続く)
イタリアにいるのでまだ実物をみていないのだけど、Yahoo! Internet Guideの3月号でblog特集があり、僕のblogも採り上げられているらしい。
■Yahoo! Internet Guide
http://www.sbpnet.jp/yig/url/art.asp?newsid=192
上記のWebをみてみたら、「野田社長の巨乳ビジネス概論」、「真鍋かをりのここだけの話」の次に僕のがあるではないか!んー 楽しみだなぁ早く読んでみたいぞ、、、
という、海外からの心躍った報告でした。
今回の旅で、前半の最大のキーポイントは間違いなくパスクワリーノという人にあると言える!今年65歳くらいになるはずの彼は、凄まじいパワーとテンションで喋りまくり、人をからかい、無茶苦茶な運転をし、そして抱擁するのだ。僕からみたら太ったMr.ビーンという感じなのだけど、一方で愛さずにはいられないチャーミングなオッサンだ。
「大変なんだよ、彼と付き合うのは、、、」
と苦笑いをしながら重シェフが言う。
「だけど、人脈だけがものを言うシチリアで、彼のネットワークはとにかくすごいんだ。どこに行っても彼の友達がいる。僕なんか、ビザを獲るのが難しいこの国で、一時シチリア人だったんだよ!彼が奔走して、市民証をとってくれたんだ。それをみて、イタリア人の友人が驚いてたくらいだよ。」
このように、超世話好きで、人を自分の世界に引きずり込まなければ気が済まないパスクワリーノの世界は、存分に発揮され続けるのだ。
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パスクワリーノの別荘はイオニア海に面した別荘地にある。
「イタリア人は夏のバカンスが3ヶ月もあるからね、そうなったらこっちに来て、海で泳いで飯を食って騒ぐって生活をずーっとしてるんだよ。俺なんか気が狂っちゃうけどね。彼らはそれが大好きなんだなぁ。」
と、エスプレッソを煎れながら重ちゃんが言う。
エスプレッソといえば、イタリアのエスプレッソは反則だ!バールとよばれる店でのめるエスプレッソは、マシンの蒸気圧が違うのか、日本で飲むそれとは全くの別物なのだ。デミタスにほんの少し入った泡だった液体を口に含むと、トロリと芳醇な香りの玉が弾ける!コーヒーのそのまたエッセンスを飲んでいるようで、一瞬にして気分がリセットされる。
「一日に5~6回くらいは飲んじゃうよね。さっとバールに入って『ウン・カッフェー!』といって、友達と喋りながらグイッと飲んで、それで出る。1ユーロに満たない金額で飲めるから、一日にそれを何回も繰り返すんだよ。」
無論、家庭ではマシンを買えないから、簡易版のエスプレッソマシンになるけど、それでも旨いことにはかわりがない。
パスクワリーノの別荘のテーブルに束ねてあった写真に、重ちゃんがシチリアで修行している頃の一枚があった。若い!
一息入れていると、ヒュー、、、ドンっ!と車が止まる音がし、庭先でけたたましく叫びながら、パスクワリーノが登場した。
「どうだお前達、いい夜だったか!」(←想像)
ちなみにパスクワリーノが首にかけている赤い眼鏡は、なぜか郵便貯金のマークの入った老眼鏡だ。どうやって手に入れたんだろう、、、?
「お前らとにかく用意しろ!行くぞ!」(←想像)
車に乗ると、コバに対しちょっかいを出しまくっているパスクワリーノ。実は以前、パスクワリーノを日本で呼んで、無二路でコバはフェアをやったことがあるらしいのだが、その時に彼の飯を作っていたのがコバだったのだ。なんとパスクワリーノの好みは「カルボナーラ!」だそうで、「今日はパンチェッタを少しスモークしたのをいれてくれ!」などと注文をつけて毎日毎日食べていたらしい。そしてパスタを食べ終わった後に、小さな声で少しだけ恥ずかしそうに「クレームカラメル、、、(←プリンのことだ)」と申告し、コバが持ってくると、嬉しそうにウインクをしていたそうだ。ということで、パスクワリーノ担当はコバに決まっているのである。
今回、シチリアの畑をみたいと重ちゃんにお願いをしていた。シラクーサは、トマトで有名なパッキーノがあったりと、農業の盛んな地域だ。アランチャ(オレンジ)やリモーネ(レモン)の果樹園は道沿いに延々と連なっていて、たわわに実がついている。
リモーネ!と叫ぶと、パスクワリーノが車を止め、果樹園に勝手に入っていった。「おいおい、いいのかよ、、、」
全然お構いなく中に入っていき、リモーネをもぎ取ると、持っていたナイフで刃を入れる。それだけで果汁がジュルっと出てきた!
「喰ってみろ!」(←想像)
というので囓ってみると、、、なんだよこれは、香りが芳醇!
カリフォルニアから入ってくるレモンとは全く違う!
まあ要するに、樹の上で熟しているか、輸送途中に色だけ熟させているかの違いだ。はっきり言って次元が違う、、、
周りの畑の土壌をみると、どちらかというと日本の黒ボクに近い性質にみえる。ご覧の通り有機物や石がゴロゴロと入っている。日本の農家さんでは嫌われる光景だが、実はこの石の混入が、ミネラルを補給する役割を果たしているという話がある。
「なんだかパスクワリーノが、親戚の果樹園に連れてってくれるみたいだぜ。」
おお!それはすごく嬉しい!
イタリアに行ったことがある人は必ずといっていいほど、「野菜が美味しい!」と言う。ヨーロッパは土が日本より全般的に痩せているはずなので、その分野菜の個性が強く出るはずだ。けれどもホントにそんなに旨いの?という疑問があったので、とにかく確かめたかったのである。先ほどのリモーネの一事をみると、確かに日本で食べられるものと比べると段違いに旨い!樹上で完熟しているということに加えて、先に述べたような土質の要件があるのではないか。確認してみたい、、、
パスクワリーノが車を90度旋回させて、金網で囲われた大きな敷地に入るゲートにつける。インターホンのようなものを押すと、ゲートが開いた。その中は大型のビニールハウスが数棟建ち並び、奥に選果場が2棟と事務棟が建つ、JAのような出荷組合があった。
パスクワリーノが作業員に話しかけている間、僕らもにこやかに「ボンジョルノ!」と挨拶をまき散らす。重ちゃんに習った重要なことがあって、それは「イタリアでは、挨拶をしない人は変な眼で見られる」ということだ。
「店に入った時でも、ちゃんと挨拶をすること。誰に対してもそうしないと、礼儀違反だからね。こちらが客でも、何かしてもらったらグラッチェと御礼をいうのも重要。大人の社会なんだよ!」
とのことだ。確かに「ボンジョルノ」「ボナセーラ」と声をかけると、いかめしい顔をしたオッサンでも何でも、返事を返してくれる。これは気持ちが良いものだ!
さて選果場の中では、アランチャ(オレンジ)とリモーネの選果ラインが廻っていた。
オレンジはタロッコという品種らしく、割ると果肉の所々に赤いまだら模様が入っている。最盛期はもう少し後らしいが、そうなるとほぼ真っ赤になるらしい。
おっさんが「これ食いな」という感じで持ってきてくれたオレンジにかぶりつく。
ぐおおおおおおおおおおおおお 旨い!
やられた、、、脳天にアドレナリンが噴出する旨さである、、、
日本で食べている輸入オレンジには含有されていない、第三の成分があるとしか思えない素晴らしい味だ!香りとコクの奥行きが深く、味の世界にもう一つの次元が増えてしまったかのような味である!レモンとオレンジに関しては完全に屈するほか無い。
「モルト・ヴォーノ!」
と叫ぶとオッサンがニヤッと笑う。
「日本から来たって?」(←想像)と、背の高い、町中であったらあまり友達になりたくないなというようなヤツが現れる。パスクワリーノの親戚で、この農場の経営者の息子らしい。パスクワリーノが、ぼくがトマトに関心があるということを伝えてくれ、農場を見せてくれるという。本当にこっちではコネだけがものをいう世界だ。知ってるヤツの頼みは訊く、という姿勢が徹底している。
さて車で少し走ったところにトマトのハウスがあった。規模的には日本より少し大きいくらいだが、まとまって建っているところをみると、こちらでは零細農家が小さな畑を持っているという日本式ではなく、富裕な生産者が土地を大きく所有していて、労働者を雇用して生産を管理するというスタイルなのではないかと推測した。今後日本でも増えてくるべきスタイルだ。
ハウスに入ると、見慣れたトマト栽培の光景が広がっている。生っているのはいわゆる大玉トマトだ。
もいで食べさせてもらうと、これもまた味が濃い。トマトについては一応本業として取り扱いをしていたのできっちりとみたのだが、あまり雨が降らないためか水分含有量が低く、瑞々しさよりも濃縮された旨味が強い。雨が降らないというのは農産物の味を濃くするためには非常に重要なことなのだが、その観点からすると非常に恵まれた土地だということだ。
肥料には何を使っているかと訊いてもらうと、なんと「オルガニコ(オーガニック)」という返事が返ってきた!ほんとかよ!ぜひ見せて欲しいと頼むと、先ほどの選果場の裏にある資材置き場に連れて行ってくれた。
積み上げられた資材にはConcime Organicoと書かれていて、各種成分比率が記載されている。堆肥資材を購入して生産しているということか。
オーガニックの表示がないのでおそらく100%有機ではないのだろうが、ちょっと感動してしまった。味が良いはずである。
野菜の選果場に入ると、ズッキーニ、房つきトマトなどの選果をしていた。
そういえばこれら野菜やオレンジはすべて通い箱というプラスチックコンテナに入れて出荷されている。段ボールと違い、小売店からまたこのコンテナが帰ってくるという循環型のリサイクル容器なのだが、日本ではこの普及が1割に満たない程度である。
コンテナの中に入れられた出荷カードにはロットナンバーなどが記載されている。
日本の農協の選果場をみているような感じなのだが、実に面白い!パスクワリーノのいとこが、「今度はビジネスの話をしにこいよな!オレンジ、レモン、野菜、なんでも売るぜ!」と笑いながら去っていった。
この味の濃いオレンジを食べたら一発でノックアウトだ。しかし、コスト的にカリフォルニア産のものに敵わないので、残念ながら日本には入ってこない。イタリア国内でもボンボンと生産されているので、大半が果汁になってジュースに回る。なんとイタリアではファンタオレンジには果汁12%が含まれているのだ!しかも日本で飲むファンタとは段違いに旨く、リストランテでもアランチャータ(オレンジジュース)というとファンタが出てくる(笑)
それだけオレンジに関しては豊富で旨いのだ。ああ、日本から出ないでいると損をするな、と痛切に感じてしまった。食い倒れネットワークをさらに各国に拡げる必要を感じてしまったのだ。
果樹園を辞すると、パスクワリーノが近くのにんじん畑を見せてくれる。といっても、勝手に人の畑に入って行ってしまっただけなんだが、、、(笑)
「イタリアのにんじんは日本みたいにふとくないんだけど、これは何でなの?」
と重ちゃんが訊く。まさにそこがポイントで、どちらかといえば痩せた土壌なので、日本のようにぶっとくはならないのだ。しかし、こっちのほうが味が濃いことは間違いない。日本で味の濃い野菜が作りたければ、肥料を少なめにすると、近いものができる。しかし、写真のような細く見た目の違う人参になり、まとまらず小さいため、売れない。ヨーロッパでは「にんじんてのはこんなものだ」というのが当たり前になっているからこれで行けるのだろう。
僕は日本の農産物に誇りを持っているので、海外から帰ってきてやたらと「むこうの野菜は日本より断然美味しいんだよ!」という輩を好きではない。日本の農産物にも、大したことのない規格品と素晴らしいレベルのものがあり、後者を食べればムムムと唸ることは間違いないのだ。しかしながらそれは一般には出回らない。イタリアの事情を見る限り、基本的に出回っている食材が旨いというレベルは日本より高いと認めざるを得ない。んー 悔しいけどしょうがないね。
しかし農場では、外国とは思えぬなんともくつろいだ気持ちを取り戻した。やっぱり俺のホームグラウンドは農場なのであった。
「さあ、メルカート(市場)を観に行くぞ!」
パスクワリーノの強烈な運転がまた始まった!
シラクーサのバスターミナルは、噴水を中心にしたただの広場で、人気もほとんど無く寂しいところだ。最も、これは夜だからで、朝は大渋滞になるらしいのだが、、、
「とにかくスリとかにだけは気をつけてくれ、本当にやばいから」
といわれていたので、たまに通りかかる人たちすべてが怪しくみえてしまう、、、
シラクーサでは、重シェフが修行していたレストランの長であるパスクワリーノ氏が世話をしてくれることになっている。パスクワリーノの写真は、無二路の壁にたくさん貼ってあるのでよく見ていたのだが、話し始めたら停まらない、相当に面白い人らしい。彼に電話をして迎えに来てもらう。
15分ほどしてライトを明滅させながら車が停まる。運転席から、意志の強そうな目をした体格のいいおっちゃんが出てくる。両手を拡げ、「アー!!」と叫び、嬉しそうに重シェフと抱擁を交わす!この人がパスクワリーノ氏かあ!
パスクワリーノは現在は自分の店はやっていないそうだが、兄弟がリストランテをしているので、相変わらず料理への情熱は濃い。重ちゃんと車のハンドルをたまに放しながら喋りまくっていると、街道沿いのとある店に到着する。ここが、彼の弟ロベルトが経営している店だ。
■ヨニコ
店にはいると、彼の弟であるロベルト夫妻、その息子のアンジェロ達が迎えてくれた。ロベルト夫妻とアンジェロが重ちゃんを懐かしそうに「よく帰ってきたなぁ」(←想像)と抱擁し歓待する。
ヨニコは、本来的には「イオニコ」と発音すべき店らしいんだが、「シチリア訛りだと『ヨニコ』なんだよね」ということだ。この店はシラクーサ中でも一番か二番に素晴らしい景勝地に建っている店だ。
夜だと分からないけど、店のテラスからは昔の石切場だった断崖絶壁が目の前にみえる。
その断崖と店の間に小さな宝石のような入り江があり、夏にはそこで海水浴ができるようにもするという。
店の屋上からは海がパノラマにみえるのだ!
ちなみにこれが翌日の昼間に来た時に撮影した風景だが、どうだろう?本当に美しい、、、
重ちゃんによれば、ここまでの良い立地を持った店もあまりないらしい。
ヨニコはリストランテなのだが、最近ではピッツェリアも併設し、リストランテ/ピッツェリアというような店になったらしい。
「やっぱりシチリアも景気が悪いんだよね。この店はリストランテだから、値段も高めで、地元の人か来にくかったんだよね。だけどピッツェリアだったら結構、大人数でやってくる客が多いと思うよ。」(重シェフ)
さすがにヨニコは格のある店らしく、シチリア中のワインがセラーに収まっている。
僕の大好きな白の「ラ・セグレタ」も発見!これは「秘密」という、ちょっと罪悪感をくすぐるいいネーミングの、すっきりしたワインなんだよね。
ドルチェ担当のコバには、みるからにコテコテのシチリア名物ドルチェ「カッサータ」を。死にそうに甘いらしい、、、
リコッタクリームと砂糖をふんだんに使ったクリームが表面に塗り込まれているんだが、ちょっとこれは一口だけでいいやという外見だ。
テーブルでここ数日間の旅程を打ち合わせる。シラクーサにいる3日間はパスクワリーノの海沿いの別荘に泊めてもらうのだが、その行程で行きたい店を話すと、にわかにパスクワリーノとロベルトが重シェフに説得モードである。例えば豚料理で有名な「マヨーレ」という店に行きたいというと、
「確かに悪い店じゃないけど、お前らが絶対にいかないと行けない店だってワケじゃないぞ!俺が豚料理作って喰わせてやるよ!」
「あの店はもう進歩が停まっていて、同じものをずーっと出し続けてるんだから、やめとけやめとけ」
という感じで、要するに俺のところに来たんだから、俺に任せろモードに突入しているのだった。
「いやぁ、シチリアってところは完全にコネの世界で、知ってる人がいるとなんでもすんなり話が通るんだけど、その分こっちに合わせないと行けないんだよねぇ。」
と重シェフが苦笑いする、まあ、行程はもうすこし考えようということになった。
「じゃあ、飯だ飯!」
テーブルに通されると、厨房で先ほど見学したビッツァが運ばれてくる!
一片はゆで卵が乗ったもの、もう一片はハムやサルシッチャなどの肉が乗ったもので、パスクワリーノが肉の方を指して「ピカンテ!(辛いぞ)」という。ゆで卵の方からかぶりつくと、トマトの酸味にゴルゴンゾーラの香りと塩気がたちまち口内に溢れて実に旨い!
サルシッチャの乗った方はたしかにピカンテで、ペペロンチーノ(トウガラシ)が効いている。これも旨い、、、人差し指で頬をぐりぐりし「ヴォーノ!」とやると、パスクワリーノが事も無げに「俺のレシピだぜ」(←想像)と言う。
写真だと分からないかもしれないが一片が大きいのでかなり腹に溜まるが、もう二片出てきた!今度はトマトを使っていないピッツァだ。
奥のはリコッタチーズに海老などの魚介類が載り、レモン(リモーネ)の皮の千切りが散らされている。こいつを一口食べて、押しの弱い見た目と大きく違う、その豊穣な味にビックリしてしまった!
まず、リコッタの味が濃く、風味が強い!
「反則だよなぁ、こっちのリコッタは安くてこんなに旨いんだよ。香りもコクも全然違うでしょ?」(by重ちゃん)
本当に違う!それと、上に乗ったペシェ(魚介類)の風味の強さだ。といっても、小さなむき海老がパラパラと乗っているだけなんだけど、その旨味が無茶苦茶に濃いのだ!なんで?ペシェを煮詰めたスープでも使っているんだろうか?
「いや、乗せてるだけだね。こっちの魚は処理が全然違うんだよ。魚屋に行くとね、むき海老なんて、そこの息子が学校に行かないで手で剥いてるんだよ。こっちじゃ、魚屋の息子は魚屋になるしかないからね。日本じゃ海老なんて水洗いしちゃうでしょ。旨味が全部逃げちゃう。こっちだと、手で剥いたのをそのままくれるから、味が違うんだよ~」
ふうううむ なるほどねぇええ
本当にこの小さな海老の旨味にはビックリしてしまった。しかも上にちらされたリモーネの皮が素晴らしいアクセントになっている!
「もちろんこれもパスクワリーノレシピなんだぜ!」(←想像)
とパスクワリーノが誇らしげにニカ!っとする。
どうだこの笑顔!この後の三日間、僕らは嫌と言うほどこのパスクワリーノ節の洗礼を受けるのだが、この顔がとにかく彼の内面から放射される強いエネルギーを良く表している!
この後、食後酒を楽しんでロベルト一家と別れてパスクワリーノの別荘へ。
ここは、重シェフが修業時代に寝泊まりしていた家である。使い方を一通り説明をしてくれてパスクワリーノが帰ると、僕らも疲れていたので速攻でベッドに入り、寝ることになったのだ、、、
明日からは怒濤のシラクーサの世界、ではなくパスクワリーノの世界が拡がるのであった!
朝5時に目覚ましが鳴る。色んな仕事の区切りをつけるために2時くらいまで起きていたから眠い、、、荷物のチェックをする気も起きないので、シャワーを浴びて着替え、水リンから借りたスーツケースを玄関に運ぶ。
僕が住む木場からだと、成田に行くにはNEXやバスを使うよりも早く行ける。東西線直通で東葉勝田台まで行き、京成線に乗ると1時間30分で空港なのだ。
10時半の飛行機に乗るのだが、集合は8時半。
「三越があるはずだからそこで集合にしよう。」
と重シェフが言っていたのだが、なんと三越はいつの間にか撤退し、ユニクロに変わってしまっていた!
チェックイン前に一人1万円ずつユーロに両替する。3万円を両替すると、たったの210ユーロで損した気分になってしまった。
アリタリアの機内に搭乗。設備は新しく綺麗だ。しかし誰もが言うことだが、日本国内の航空各社との最大の違いはキャビンアテンダントさんの佇まいである、、、骨太のがっしりとした、大声でまくし立てる妙齢女性ばかりなのであった。ん~ANAやJALが懐かしい。食い倒れオフでメシを喰った仲のANAのMちゃんや、JALのSちゃんに此処にいて欲しい、と切実に願ってしまった!
さてローマまで10時間のフライトである。その後、国内線に乗り換えて一路シチリア島を目指す。もし2月3日までにこの日記を目にしているならば、僕がこの乗り換えの間にインターネットへの接続ができたということだと思って欲しい。←無理でした、、、
「俺、飛行機大嫌いなんだよ。退屈じゃん!もう成田まで来るバスだけで飽きちゃったのに、これから10時間なんて死んじゃうよ!」
というのは重ちゃんだ。イタリア人ぽい濃い顔立ちでシチリア料理「無二路」の看板を守る重シェフは、濃い顔だけど僕と同い年である。
「退屈ですよねー でもいつもあまり寝てないから休みます」
というのは、同じく無二路でセカンドを務めるコバこと小林君である。無二路のパスタは現在、彼が鍋を振っている。彼はイタリアには行ったことがあるけど、シチリアは始めてということだ。
ちなみに僕はヨーロッパに足を踏み入れること自体が初めてである。そのヨーロッパ初体験がシチリアだというのは、なんとも異例のことではないか!
機内での楽しみといったら、眠るか食べるかしかない。離陸後にドリンクが運ばれ、オレンジジュースと赤ワインを頼む。どちらも旨くなかった、、、
食事はイタリアンか和食。まずはイタリアンを選ぶと、割とまともな内容である。
仔牛肉の煮込みはドミグラス系のソースで、なんだ日本の洋食と同じじゃないかという感じ。トマトとブロッコリのソースで和えたフジッリにイタリアを少し感じる。
ただしこんなもんじゃ足りないのである。僕らの席は最後尾なので一番最後に配膳される。カートにはまだたくさんの機内食が残っているのがみえたので、「もう一つ食べていい?」と訊くと、妙齢の日本人女性らしきスッチーさんが凄絶な笑みを浮かべて「残ってるわよぉ~」と重ちゃんに言う。その後、重ちゃんの笑いがしばらく止まらなかった。
しばらくはジャポニカ米の飯も食い納めか。タップリ喰って腹がくっちい。そういえばお腹が一杯になるという意味の「くちい」は方言らしいが、どこの方言なのだろうな。
アリタリアの設備は新しいといったが、健全に機能しているとは言い難い。各座席にディスプレイがついていて、ハリウッド番TAXIなどの映画が観られるようになっているのだが、なぜか僕らの席だけ映画などの表示がされない!しかも途中まで読書灯も灯かないので、活字がないと死んでしまう僕にはとても辛い。5時間経過したところで、ようやく灯が点く。そして、これを書いているわけだ。
ま、アリタリア機内での残る5時間は、食い倒れ読者の方から送って頂いたイタリア旅行本などを読み込むことで、とにかく10時間をやりすごした。
「おお、やまけんあれがローマだぜ!」
おおお!着いた、、、
ローマの上空は緑が綺麗な田園地帯であった。ただ、ローマは単なる乗り継ぎ。1時間程度でシチリアのカターニャ行き便に乗り換えだ。空港内にはインターネットコーナーがあって、1ユーロ5分の接続が可能だった。ブラウザのみの使用だが、行きがけに自分あてのメールをブラウザでみられるWebメールに転送していたので、アクセスしてみる。さすがに他言語対応しているIEだけあって見事に日本語が表示され、僕宛に届いているメールを読むことができた!仕事上での会議日程がまとまらないなどの連絡が来ていて、一応ローマ字での入力になるが、返事を返しておく。あ、ローマ字をローマで打っているということに今、気づいた!
さて国内線でカターニャへ。空港に着くと、早速ここでトラブルがあった。なんと僕とコバの荷物が来ていないのである!重ちゃんのはちゃんと来ていたのだから、これはミスである。アリタリアの女性職員に話すと、「次の便で来ると思うわよ」と事も無げだが、我々は青くなって右往左往するばかり。やっぱり外国というのは全く常識が違うんだな、と実感してしまった。
次の便を待っている間、空港内にあるバールをひやかす。プロシュートのパニーニは、その場でホットサンドしてくれたが、たいしたもんじゃなかった。
もう一つの、出発ロビーにあるバールは非常に充実していた。ピッツァ、カルツォーネ、パニーニ、たくさんのドルチェ類などがところ狭しと並べられている。
実は今回、コバはドルチェの研究という課題を負っている。
「コバ、カンノーラとカッサータを食べておけよ!」
と重ちゃんが激を飛ばす。カンノーラとは、堅いゴーフレット生地でリコッタクリームを巻いたようなおやつで、実に旨そう!ピスタチオをクリームに練り込んで緑色のクリームにしたやつもある。旨そうだ!
こちらはカッサータ。砂糖菓子のような衣は、これもリコッタクリームらしい。こちらを僕が買い、カンノーラをコバが買う。一つ2ユーロ程度だった。
「すっげえ甘いよ!」
というのを食べてみると本当に甘い!
けど、実に旨い。日本のお菓子に比べてとにかく味が過剰に濃いのだが、その過剰さ加減が徹底していてよろしい。肉料理のようなコクをもったお菓子なのだ。カンノーラに詰まったクリームも、リコッタクリームだから実に濃厚かつ風味が最高!
「ここのはあんまし甘くないね。本当はもっとガビガビになるくらい甘いんだよ。」
それじゃぁ食えねえよ、、、
さて次の便が来る時間に到着ロビーに行くと、懐かしい僕とコバのスーツケースが出てきた!水リンよかったよ、、、なくさないで済みました。
カターニャからシラクーサまでバスで一時間。精神的疲労が溜まってか、僕は爆睡してしまった。
「やまけん、着いたよ!」
と重ちゃんに起こされると、そこは地方都市という風情の、重厚な建物がちらほらみえる市街地だった。ここが、シラクーサなのだった、、、
(続く)
少しずつね、、、
■アランチーニ(ライスコロッケ) 旨い!
■これが例の食い倒れ系パニーニだ!
日記を楽しみにしてくれ!もう最高なのよぉ!
やった!インターネットに接続できたぁ!
電気屋に行って、プリペイドとかで接続できるサービスがないかと訊いたら、店のあんちゃんが、なんと自分のプロバイダのアカウントを教えてくれた!そんな危険なことしていいんかい、、、?
とにかくホテルの部屋から接続。
しかしなぜかFTPが使えません、プロトコル制限しているのかな。
画像なしだったらアップできるんだけど、、、皆さん、画像つきで最初から読みたい?それとも、まずは文字だけバージョンでも読みたい?コメントみて決めるので教えて。
ではでは!
一枚だけ画像をFTPではなくアップロード。
Yamaken desu.
honjitsu ha Parelmo ni imasu.
5-hosi Hotel nanoni Internet ha dekimasen.
My PC wo Internet connect dekinai node, BLOG no up ga dekinai noga tsurai.
demo, everyday writing shitemasu.
sou, Yamaken ha English ga little bit sika dekimasenu. Sorry.
konkai no tabi de kanjiru noha, Shige shef no human network no sugosa desu.
yahari kareha subarashii!
ironna hotel, Restrante de kare ha kangei sareru no desu.
okage de bokumo oishii omoi wo sasete moratte imasu.
Yesterday night ha, subarashii KUIDAORE Panini wo tabemashita.
nanto Italy nimo KUIDAORE na mise ga arunodesu. mou SAIKO-.
sousou, BUS tour to Shizuoka desuga, Bus no kashikiri ha daitai 12 man yen kurai dasoudesu. sorega Option de tsuku to omottekudasai.
moshikasuruto 2dai de ikukamone. imanochoushi dato,,,
deha,mata asu mo POST simasune.
Ciao!
minasan konbann ha!
Yamaken desu. ima, catania ni imasu.
shizuoka no bus tour no comment sugoina! bikkuri simasita.
areha mada moushikomi deha naidesukarane!
soreto bus no mitsumori nansha ka totte kudasai!
sudeni 2nin ga mitsumori yatte kuremasuga.
ii off kai ni simashou ne.
aa sousou,
italy deno yamaken ga kokode miraremasu.
deha yuu gohan tabete kiamasune!
シチリア行きの朝、成田に向かいながら大あわてでこれを書いている。そう、重要なことを告知するのを忘れていた!
静岡県の岩澤さんといえば、ハム・ソーセージ講習会などでお世話になっている、静岡県の食の伝道師だ。彼からこういうお誘いがあったのだ。
「ヤマちゃんがさ、50人くらいバスでまとめてきてくれるんだったら、静岡中の旨いもんを集めてみんなでワーッと交流するイベントをやるけどな!」
おおおおおおおおお それは素晴らしい!
で、彼がラインナップしてくださったのは、駿河若シャモ・静岡で育種された絶品の豚肉・静岡の銘酒(「開運」他)・静岡市本山のお茶・鰻などなど、、、僕もたべたことがあるものなので言うが、絶品選りすぐりである!
静岡の方々が我々を待っている!
東京からバスを仕立てて、日帰りツアーを行おう!
下記は、岩澤さんがたててくださった企画案である。
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「やまけんの出張食い倒れ日記オフ会IN静岡」
<東京もんと田舎もんの食の交流会>
<目 的>
ヤマケンのHPファンの方々に、「駿河若シャモ」と静岡の銘酒「開運」を味わってもらう。併せて静岡のホンモノの味を楽しんでもらいつつ、食を通じての交流を図る。
<概 要>
日 時:2005年3月13日(日) 9時~17時
場 所:静岡県掛川市「キューイフルーツカントリー」
共 催:(株)グッドテーブルズ(山本謙治)、静岡県駿河若シャモ振興会(鈴木恵美子)
協 賛:静岡県地酒研究会(岩澤敏幸)、工房炭俵(金丸正江)、土井酒造(開運クラブ)、ネクト(花村直人)、味のトンキー、キューイフルーツカントリー 他
募集人数:100名(首都圏50名、地元50名)
首都圏から、バスツアーで来県を希望。車中にて「ヤマケン節」炸裂の方が盛り上がると考える。ただし露天のため人数は多少の増は可能
募集期間:2月末までに取りまとめ
参加費:5,000円(交通費除く)
お土産付き(ハム、お茶、その他)
内 容
(1部)ハム・ソーセージ・マヨネーズ作り体験
指導:関マイスター 他
(2部)大昼食会(飲めや歌えの大宴会)
「食の集い」 静岡の酒で食す静岡の味
<主な食材>
日本酒(開運)、駿河若シャモ、浜名湖そだち(豚肉)、静岡茶、豆腐、野菜キューイフルーツ、浜名湖の幸(ウナギ、シラス他) その他
(3部)ヤマケンを囲んで食に関する意見交換会(ハムができるまで)
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どうだ!
あとは高速バスだな、、、んー シチリアから帰ったら考えよう。もし東京から静岡まで行ってくれる、いい貸し切りバスをご存じの方は教えてください!
帰国後、参加希望者を受け付けるCGIかなにかを作成して告知します。50人て集まるのかなぁ。行きたい!ってひとはコメントよろしくお願い致します。
では、では!
表題の件、2月8日に開催されることになりました。
残念ながら、とある農業関連イベントに出席するので、ヤマケンは不参加。
今回は北上リグさんという面白い方がコーディネータされるので、よい会に成るのではないかと思います。というインフォメーションでした。
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第3回 『銀座 食学塾』シンポジウム&交流会のご案内
(続きは下記↓をクリック)
『銀座 食学塾』は、「農」的な物や、土から一番離れたイメージの銀座で、こだわ
り農業生産者と、「食」を提供するお店の人、そして皆さん(お客さん)が出会い、
「食」に関連した、「農業」、「健康」、「食育・農育」、「食の国際化」などの
テーマについて意見交換するコミュニケーションの場です。
この出会いから生れる、食や農を意識した生き方や価値観を、銀座から世界に発信し
ていきたいと思います。
【タイトル】 『食べることは、生きることです。』
現代人の「飽食」や、子供や若者の「粗食」が話題になっています。
一方で、医療介護の現場では、食べることが元気回復や健康維持に重要な役割を果た
していることが再認識され始めています。また、現代人のライフスタイルに起因する
生活習慣病の予防術として、様々な食品が注目されています。
第3回銀座食学塾では、「食と健康」をテーマに、食べるという行為そのものにス
ポットを当てていきたいと思います。
【日時】 平成17年2月8日(火)
受付 18:30~
第1部 シンポジウム 19:00~20:45
第2部 試食会&交流会 20:50~22:00
【参加費】 第1部 シンポジウム 一般1,000円 学生 500円
第2部 試食会&交流会 一般3,000円 学生1,500円
(参加費は当日、会場にて申し受けます。)
【定員】 70人
【会場】 シンポジウム : 畜産会館 (紙パルプ会館向い側)
試食会&交流会 : 紙パルプ会館 (〒104-8193東京都中央区銀座
3-9-1
1)
(お問合せ): TEL03-3584-8111(代表)
(アクセス): http://www.kamipa-kaikan.co.jp/ )
【主催】 『銀座 食学塾』
【協力】 『未来塾21』
『新世代の会』
『日本オーガニックネットワーク』
~~プログラム~~
第1部 シンポジウム (19:00~20:45)
『食べることは、生きることです。』
ファシリテーター 北上リグ フランス大使館 広報部
フランス滞在歴10年。味にうるさく、職場では「リグについていけば間違いはな
い」といわれている(いまは愛妻弁当)。自然食品と美味いものにこだわる父親の
影響とか。10年間通った東京のフランス人学校の給食は、毎日フルコースだったそ
うな。自らも料理に腕をふるい、お菓子も作る(こともある)。モットーは「生きる
ために食べる」のではなく「食べるために生きる」こと。
パネラー 山田薙夏(ちか) 有限会社 アリスト 代表取締役
病院という枠を越えて、社会というフィールドでライター・編集者として看護実践
(ケア)をしている看護師。
最も身近な自然環境である自分のからだは,食を中心にケアしている。
それは自身が看護師であることもあるが、それよりも、自分が虚弱だということが
きっかけだったと記憶、している。
和田義人(よしと) 医療法人社団 翠会 和光病院 事務長
和光病院 事務長、和光病院在宅介護支援センター 管理者、和光病院居宅介護支
援事業所管理者、平成10年12月、介護老人保健施設 120床の蓮根ひまわり苑
開設、事務長。平成14年4月、285床の老人性痴呆疾患療養病棟、和光病院開
設、事務長、その他兼務で在宅支援事業所の管理者をしている。
寺田啓佐(けいすけ) 造り酒屋蔵元
1948年、千葉県神崎町に生まれ、25歳の時寺田本家に婿入り。23代目の当
主となる。20年前までは添加物のいっぱいの日本酒造りをしていたが、病気体験の
中で反自然物や不調和の積み重ねが心身のバランスを崩し、病気にもなっていること
に気付く。以後、自然の摂理に学び、生命力のある命の宿った酒造りを目指し、現在
に至る。
木内佳央子(かよこ) 地域交流センター
大学で農業経済を学び、各種農家に泊まりこんで農体験をしたこともある。その
後、栄養士の専門学校に通い、卒業後は千葉の有機農家のお庭にプレハブを建て、
農家民宿のまかないをおこなった。現在は、農とはかけ離れた人に、農業に関心を
持ってもらえるような働きかけとして、子育て中のお母さんとお料理をしながらの交
流会を企画し開催している。
第2部【試食会&交流会】 (20:50~22:00)
今回はパネラーの寺田さんの造った日本酒の利き酒をして頂きたいと思います。
添加物の加わっていない生命力のあるお酒を是非御賞味下さい!
また健康食品として代表的なお酢を使ったちらし寿司の試食もございます!
お楽しみに!!
【お申込み方法】
以下の内容をご記入の上、メールまたはFAXでお申込みください。
●記入事項
1.氏名 2.所属(会社名等)3.TEL&FAX 4.メールアドレス 5.紹介者
●お申込み先 E-mail: shokugaku@aguri-tokyo.co.jp
FAX: 03-5540-4118
*お申込みは、 2月3日までにお願いします。
会場の都合で、70名を超えた場合お申込みをお受けできない場合があります。
お早めにお申込みください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・きりとり・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・
第3回 『銀座 食学塾』 参加申込書
◎第1部 シンポジウム ( 参加 ・ 不参加 )
◎第2部 試食会&交流会 ( 参加 ・ 不参加 )
1. 氏名
2. 所属(会社名等)
3.TEL&FAX
4.メールアドレス
5.紹介者(所属ML等)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【お問合せ】 『銀座食学塾』事務局 有限会社アグリクリエイト(内) 高安
和夫
TEL:03-5540-4117 FAX:03-5540-4118
E-mail: takayasu@aguri-tokyo.co.jp
****************************************
やまけんです。24日~2月3日まで、イタリアに行って来ます!
24日カターニャ着→シラクーサ泊
25日シラクーサ→ラグーサ昼夜食→シラクーサ泊
26日シラクーサ
27日シラクーサ→カターニャ泊
28日カターニャ泊
29日カターニャ→パレルモ泊
30日パレルモ→ミラノ
1日ミラノ
2日-3日帰着
今日、ばかでかいスーツケースをオーパの水澤君から借りました。
行きはこれの半分が埋まっているだけ。帰りはもう半分が食い物でギュウギュウになるでしょう。
水リンは、私服で髪を下ろしているとまったく別人である。ちなみに俺と同い年なんだよ。
イタリアではインターネット接続可能なところが限られるハズなので(あまりホテルのようなところに泊まらないので)、更新はあまり期待しないでね。といいつつ、隙あらば更新するかもしれないので、覗いてくださいね。
帰国したら、ようやく「なんばんの粕漬け」の販売についての詳細が確定していると思います。どこのオンライン通販で販売するかは、だいたい皆さん想像つきますよね?楽しみに待っていてくださいね。
しかし、あまりの繁忙にかけていないエントリ多数!
いまから予告しておくと、こんなエントリ群が待っている。
・山形の翌日から北海道・夕張にて蕎麦打ち達人が岩崎農場の蕎麦を打った!
・その夜、巨大真鱈と、洗面器一杯の白子鍋を食ってもうしばらく鱈は観たくないほどだ!
・札幌でスープカレーをハシゴし、2時間後にはラムしゃぶを堪能した!
・帯広で生まれた長いも新品種「和ねんじょ」を、漬物「べにふじ」さんがたまり漬けにしてくれた!
これらは行きの飛行機で書くことにしよう、、、
では行ってきまーす!
すでにコメント欄では既報だが、匠の加藤ちゃんに可愛い赤ちゃんが生まれた!女の子で、百乃香ちゃん(ももか、と読むのかな)である!
写真でもお分かりの通りかなり加藤ちゃん似である! 可愛い、、、早く抱っこしたいな。
「いやぁ 絶対美少女になるよ、決まってるじゃん」
と確信的な加藤ちゃんである。るみ子、よくやった!やっぱり女の子だよなぁ。
とにかく、おめでとう!
そういえばこの日、オーパの水澤君の祝勝会でお会いして友達になったセンダイさんが匠にいた。
「やまけんさん、餞別!」
といって一万円いただいてしまった、、、
なんだ、もうちょっと早くから餞別を募れば良かったぁ!
センダイさんありがとう、何か食い物買ってきますね、、、
いや~ こんなアンコウ鍋は初めて食った!噂には聞いていたけど、その土迫力を目の当たりにして、ちょっと言葉が出ないのであった。
ことの発端は、昨年末に紹介させていただいた新書「築地で食べる」の著者である小関さんこと「築地王」さんからのお誘いである。
やまけんさん、今日は、以前お話させていただいた月島のアンコウ鍋の店のお誘いのメールです。 この店のアンコウ鍋は、「いせ源」などのしょうゆ仕立ての鍋とはことなり、「これでもかぁ~!」という量のアンキモを鍋に投入し、モンのすごいこくスープで、アンコウの七つ道具を煮るという、見た目も、お腹も、舌も満足させてくれる逸品です。ブログのネタにもなりますし、ボリューム的にもご満足いただると思いますので、ぜひご一緒していただきたく思います。
おおおお!
なんとそそることか!
さすが小関氏いや築地王、僕をくすぐるネタをよくご存じである。本もかなりの売れ行きらしいし、この良いパワーをすこしおわけ頂くためにもはせ参じなければなるまい!
![]() | 築地で食べる 場内・場外・”裏”築地 小関 敦之 光文社 2004-12-14 売り上げランキング 4,195 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
で、お店は本にも載っている月島の「ほていさん」である。
■ほていさん
中央区月島3-9-7
電話 03-3531-5200
品書きをみると、なんと刺身などが付くコースで5250円というリーズナブルさである。
さて二階座敷にはいり、築地王さんと奥さんとご対面!この日は他にも中目ののんだくれさん夫妻&子供、リクルート某氏、そして僕のblogによくコメントをいただいているMAX氏も来て下さっている。
実は僕は長いこと、築地王様は、市場の仲卸業者のあんちゃんだと思っていた(笑)
事実は全然違っていて、某大手企業にお勤めのエリートである!ご著書にサインをいれていただき、満悦の俺なのであった!
サインも書いてもらったぞ!
さて まず刺身が出てきた。5人あたりにこのボリュームがボンと出てくる!
すかさず王様がこう仰る。
「ここで飛ばしたらアンコウが食べられなくなるから、軽めにしておくこと!」
でも、刺身のイキもかなりよろしいので、俺はわしわしと食べてしまった。刺身の後はいきなりアンコウである!ガスコンロが並べられ、そして、、、仲居さんが持ってきてくれたこの鍋をみて、一同仰天するのであった。
うおおおおおおおおおおおおおおお
なんだこのてっぺんに乗っているオレンジ色の物体はぁああああああ
それはまごうことなきあん肝の塊、つまりあん肝塊なのであった!(←そのままやんけ!)
「ここまであん肝が乗ってくる店はほぼないでしょう。」
「いやー あん肝だけで原価割れなんじゃないでしょうか?」
などと会話を交わしながら火を入れていく。沸騰すると、あん肝の油分が汁に溶け出し、鍋がオレンジ色に輝き始めた!
「さあできましたよ!」
と仲居さんがとりわけてくれる。
このオレンジ色のスープを観よ!小関さんいわく「和風のスープでここまで濃いものはないでしょう!」とのことだが、全くだ!
スープを一匙すくってすする。とたんにアンコウのあの痺れるようなコクが拡がる!舌の上に若干、クセのある油分が滞留し、だんだんと流れていく!
「うううううううう ウマいっすよ!」
不味いわけがないのである。他の具よりも体積の大きい肝が入るのだから、、、!
アンコウの七つ道具もしっかに煮込まれ、良い味と食感をいかんなく発揮している。プリプリ、むっちんとした食感の身肉は、冬に食べるのが最高だ!
〆は当然、雑炊である。ここまで一気呵成であった、、、
満腹満腹。このコストパフォーマンスはすごい!詳しいことは、築地王、小関さんの本で情報収集してちょうだい!アマゾンとかよりもリアルの本屋さんの方が手に入りやすいかも、です。
いや 王様!旨かったです!またこんどどこかの店に行きましょうね!
「さあ ここが佐藤さんちだぁ」
辺りはもう暗くなり、雪もちらちらと降っていて、何がどうなっているか分からないのだけれど、佐藤家が立派に大きな一軒家であることはわかった。駐車スペースには、凍結しないようにパイプで引っ張った水が絶え間なくチョロチョロと流れている。これはなんと湧き水なのだそうだ!これも雪国の知恵だなぁ、、、しかし、本当に寒い!完全に氷点下である。
「ああ、いらっしゃい!」
佐藤さんやまあどんな会のみんなに迎え入れられ、あたたかな座敷に通して頂く。さっきまで加工場で一緒だった、沼沢かよこさん、沼沢ゆみさん、土谷みちよさん、竹田いちこさん、そして高田まさおさん、そして佐藤さんの夫君だだ。
さて卓上には、山形のいろいろな旨いもんが並んでいる!
色とりどりの漬け物類、煮しめ、白菜の朝鮮漬け、そして山形の味覚である「芋煮」!
「ぜーんぶ、私らが造ったものですよぉ!」
このカラフルな漬け物は、大根ではなくヤーコンという根菜(芋類に分類されることが多い)で、何とも言えぬシャクッとした歯触りと涼やかな甘みが楽しい。漬け物だ。梅酢漬け、奈良漬け、ぬか漬けだ。青菜はその名も「青菜」と書いて「せいさい」と読む、山形特有の漬け菜だ。この青菜漬け(せいさいづけ)が、やたら滅法旨いのだ!
そして今回販売するセットにいれる「やたら漬け」あらため「まあどんな漬け」。これは完全にご飯の友!
もちろん山菜もどどーんと並ぶ!
「やまけんさん、これはね、『こしあぶら』っていう山菜なのよぉ」
というのだが、ワラビやキノコが大量に入っているから、どれがその『こしあぶら』本体なのだかわからない!
「あのね、この緑色の、細いくしゃっとしたのがね、こしあぶらの樹の若芽なのよぉ。」
この画像の手前に写っているのがワラビだけど、その奥、ピントが少しずれているけど、くしゃっとなっている緑色の若芽がそれだ!初めてだこんな山菜は、、、
口にすると、栽培品の野菜ばかりを食べ慣れた口には全く新しい、山菜特有のあの香りが!これは、、、説明しにくいが、杉の木の切り口から漂ってくる香気のような香りがほのかにするのだ。
「旨いなぁ、、、これって、佐藤さんの持ち山で採れるの?」
「そうだよぉ、5月の連休にでも来たら、山菜採りさやらせてあげるのにぃ、、こしあぶらもキノコも、やまけんさんの大好きな「うるい」なんか、もう採りきれないほど出てくるからね。」
うおおおおお それは素晴らしい!
今年、バスツアーでも企画するかぁ!
「そうそう、やまけんさんが好きそうなのがあるのよ。なんばんを麹(こうじ)と醤油漬けにしたものがあるのよ。」
おお、なんばんが出た!しかも、こちらの人たちが普通に食べているという、醤油と麹で漬けた、まさしくご飯の友だ!
なんばんの辛みは適度に醤油の中に溶け出していて、ちょうどいい!そして麹の香りと旨味が慣れて、実に旨い!これは最高に乙な味だ、、、
「来年はなんばんをたくさん作付けして、このなんばんの麹漬けを、一本おおきななんばんのままでつくってみようと思うのよ。」
「あ、それ最高だよ!なんばんの粕漬けにセットにしてなんばんセットだ!」
と、もうすでに商品企画会議が始まってしまった!
今回発売するなんばんの三点セットはこれだ!
元祖なんばんの粕漬け、つぶあぶらなんばん、そして「まあどんな漬け」がセットになっている。いままで彼女達は、このなんばんを細々と造って、直売所に並べたりするだけだったので、箱に入れて送るということは初めてだ。従って箱を特注で造らねばならない。しかし500セットというのは中途半端な数で、型をおこさずに造ると一枚あたりの単価が高くなる。
「今回は500セットだけど、来年はもっと売れると思うから、型を買ってしまいなよ。」
と僕と高橋さんが進言するのだが、佐藤さんはうーんと唸っている。
「そうねぇ、でもなぁ、型を作ると高いからなぁ、、、」
あまりに唸っているので、いろいろ聞き込んでいくと、衝撃の事実が発覚した!
なんと、、、彼女たちはいままで、利益をのせるということをほとんどしてこなかったというのだ!
「いやまあぁ、加工所を借りたりいろいろするのに充てる分はもちろん価格に乗せてはいるけど、わたしだちの手間賃になるようなのはないねぇ、、、」
いやぁ、、、そうだったか、、、
読者さんがどう思われるかわからないが、実は生産農家の女性達がつくる加工食品は、このように自分たちの趣味というか、課外活動的な意味合いのほうが大きいため、利益がまったく乗っていないということが多い。それにしてもまあどんな会の場合はそれも甚だしい。
なんだか聴いてて僕は、自分の母と同じくらいの年代であるまあどんな会の人たちに対して、なんとかしてあげたいという強烈な想いが芽生えてきた。
高橋さんが言う。
「このお母さんがたはねぇ、苦労してきたんだよ。女性達がこういう加工所をやるなんていった当初は、男どもはみんな『なんでそんなことやるんだ』って言っていい顔しないのさぁ。行政も『そんな目的では場所を貸せない』とか『そこの水道は食品に使っちゃダメ』とかいろいろと問題を出してくるしさ、、、」
行政の人が言うくらいだから、本当にまあどんな会の立ち上がりは大変だったのだろう。
「実はそこで助け船を出してくれたのが、このマサオさんなんだよなぁ、、、」
マサオさんとは、加工所でなんばんの粕漬けを瓶詰めしていたこの方だ!
実は僕は彼の存在がすごく気になっていたのだ。なんで一人男性がこの輪に交じって居るのだろうかと、、、
佐藤さんがいう。
「やまけんさん、このマサオさんはまあどんな会の応援団長なんです。この人がまあどんな会の手伝いをするからって地元で立ち上がって下さって、それで周りの男達も『ああ、マサオさんなら仕方ねぇな』って納得して、、、批判や偏見の楯になってくれたんですよ。」
うお、なんと! これが男気ではないか!
「それでね、、、実はなんばんの粕漬けの生みの親は、このマサオさんです。マサオさんも代々教えてもらったものらしいんだけど、マサオさんのレシピが元祖のなんばん粕漬けなんですよぉ」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
そうだったのかぁああああああああああああ
やまけん認定 ご飯の友の部全国No.1 「なんばんの粕漬け」は、このお方がお作りになったものだったのだ!
「マサオさんがね、『なんばんは俺の趣味だから、儲けはなくて良いんだ』って言ってね、、、そういうわけで、昨年はやまけんさんから大量に欲しいっていわれた時、原価でお譲りしたんですよ。」
うーん、、、
昨年中になんばん粕漬けを僕と一緒に共同購入してくれた人たちは、お渡しした価格の安さにびっくりしただろう。でも、それはそうだ、あれは原価だったのだから!あの価格は、もう忘れよう。
俺は決めた。
このなんばんの粕漬けセット、安くは売らない!かといって不当に高く売る気もないが、すくなくとも彼女たちが再生産を行うことが可能で、かつ生産活動で彼女達にいくばくかでも収益があがる価格を設定させてもらう。
ここまで読んでくれた読者、特になんばんを味わったことがある人でも、これに不満に思うことはないはずだ。
「佐藤さん、箱の型代が出せるくらいの価格にできるように頑張るから、今後はまあどんな会の人たちに手間賃がとれるようにちゃんとしていこうね。」
「あらぁ、、、それはありがたいねぇ!」
まあどんな会の皆さんが顔をほころばせて喜んでくれている。僕は、この人たちは、自分たちが作っている食品の価値をこの人達自身に気づかせてあげたいと思う。僕もだてに全国を廻ってはいない。行き当たりばったりで言っているのでもない。今までは無名だったこの「まあどんな会」の作る産品は、実に最高なのである!
「じゃあ、お父さんが打った蕎麦を食べようかねぇ!」
さて、お父さん登場だ!
「俺はな、素人だけど蕎麦打ちのキャリアは40年だよ!蕎麦もうちの畑で作って、そば粉100%で打ってるンだぁ」
おおおおおおお 驚き!なんとここにもぜーんぶ自家製蕎麦を打つ人がいたぁ!山形には自分で蕎麦打ちするのがあたりまえという家が一杯あるのだ!
「俺の打ち方は湯ごねなんだ。湯ごねすると香りが飛ぶっていうけど、俺の蕎麦は香りが強いぞぉ!」
湯ごねとは、そば粉を水分を加える時、冷水ではなく湯を使う方法だ。そば粉が澱粉化するのでネットリとし、繋がりやすくなる。ただし湯で熱が通るので、そば粉から香りが消えやすいのだ。
しかし、中太に見事に切り揃えられた蕎麦は、実にそば粉の香り豊かなものだった!
「どうだいやまけんさん!」
「う、う、う、旨いじゃないですか!!」
いやマジで旨い!中太の麺は噛みしめる楽しみがあり、香りもブワッと強い。
「なんばんの麹しょうゆ漬けをすこしつゆにいれると旨いんだよ」
うおおおおおおおお本当だ! これ、最高である!
「やまけんさんよ、東京からお客さん引っ張ってきてくれたら、まあどんな会の料理に俺の蕎麦も食べられる店でも出すからよぉ!」
とニカッと笑うお父さんだった!いや、最高である。このお父さん、佐藤さんの活動をきめ細かくサポートしている。こんかいのなんばんを入れる箱の設計などを考えているのもお父さんだ。現在は、仲間と一緒に興した建築関連の企業に勤めているが、その前は果樹を手がける農家だったのだ。
「この辺じゃもうブドウ生産ではやっていきにくいんだ。農家でくっていけるならまたやりたいけどなぁ、、、だから、まあどんな会のやってることは重要なんだよ」
うーん 白鷹でもそうなんだな。この国の基幹産業がこうして衰退していく現場をみるのはつらいことだが、、、一方で、これまでのような大量生産・大量出荷ではなく、まあどんな会のように、付加価値の高い製品を産み出し、それを世に問うていく。そしてそれに関心を持った人が、今度はこの白鷹を訪れるというサイクルを作っていくという挑戦もある!
そして幸せなことに、僕はその挑戦の一端を担うことが出来るのだ!謹んで、そして本気で取り組んでいきたいと思う。
宴はこの後も続き、三々五々で皆が帰り、そして僕は佐藤家の暖かい布団で、深い眠りについたのだった。
やっぱり今日も、書いてる余裕ないかも! と言いながら、インフォメーション。
とうとう、無二路がテレビに登場します!
NHK「食彩浪漫」 2月6日(日)AM11:30~
再放送 2月8日 火曜日 AM2:25~
再放送 2月12日 土曜日 PM0:00~
重シェフがゲストを招いて料理を披露しています。ファン必見ですよ!
ちなみに番組のディレクタ ーさんも僕のWebの読者さんです。丁寧な挨拶メールをどうもありがとう!
もうすでにテキスト販売しているみたいなので買いましょうね!
で、
来週から重シェフとシチリアに行っておりますので、お店の方も休みになります。
月24日から1月31日まで、無二路はお休みです!気をつけてくださいね!
シシリアから帰ったら番組放映だ。楽しみ~
では、本日は「なんばんの粕漬け」を売りたいといってくれている某オンラインショップと打ち合わせです。その後は某省庁で会議。その後は某省庁の別案件で打ち合わせ。あー 資料ができてません!
みなさんどうも、やまけんです。
書いてる暇が無いッス。
そうこうしているうちに来週月曜日からシチリアです。うーむ 山形編は書き終わるのだろうか。
雪印100株運動のエントリへの様々なご反応ありがとうございます。
、、、皆さんそれぞれに思い入れがあるとお見受けするので、野暮なレスはつけられません。私の書いたことはあくまで私の視点・視座ですから、お読みになって心が何らかの動きをされた方もいらっしゃると思いますが、それぞれの生活の中に活かしてくださればと思います。
メグミルクの組織についてご説明下さったKINさんどうもありがとうございます、わたくし手が回りませんでした、、、
てなわけで、シチリアまでに山形編は書き終わるぞ!でも販売まではまだ時間がかかるんです。だって今から500本を詰めるんだもん。ちょっと待ってね。
そうそうイタリアにノートPCを持っていこうかどうか悩んでいます。向こうのコンセントは形状が違うらしい。どうすりゃいいんだ!? ThinkPad X40なんですけどね、、、変圧器とプラグのアダプタが必要なのかな。うーむ 重そうだよぉ、、、シチリアではホテルには泊まらない可能性があるので、そしたらインターネットなんか無理だな、、、
あ、でもデジカメは充電しないといけないから、変圧器とアダプタは絶対に必要じゃん!うわー 秋葉に買いだし決定だな。
などといっている時間はないのであった。睡眠をとります。おやすみなさーい。
山形編の真っ最中だが、「地域」や「生産者との関係」といったキーワードが出てくることに反応していろんなメッセージをいただいている。僕のblogを読んでくださっている方の中でも、おそらくそうした地域や生産・流通の問題に直面している人や、それに関心を持っている人が多いのだろう。そして、僕が発した言葉の中で、 「買い支える」 という言葉は特に関心を持ってくださっている人が多いようだ。
では、逆に「不買」という行為をどのように考えるか。
何か事故が起こったり、社会的責任を問われることが発覚した企業の商品を「買わない」というのは、購買する人が行うことが出来る最も直接的かつ効果的な方法の一つである。不買が長期に渡れば当該企業は体力を消耗し、最悪の場合倒産、解散ということもありうる。つい最近も立て続けに食品関連企業でそうした事例がでたことをご記憶だろう。
しかし、「不買」は当該企業に対する驚異とはなるが、「世直し」に結びつくだろうか?必ずしもそうではないだろう。ある企業が埋めていた商品がごっそりなくなった後は、他の企業がそこを埋めるはずだ。つまり、大局的にみると、勢力地図が少々塗り変わっただけということになってしまうことが多い。
もちろん、消費者の行動は企業にも記憶され、同じことを引き起こさない処置がなされるだろうが、所詮それはビジネスベースでの話である。
この問いかけに答えは存在しないと思うのだが、全く驚きのアプローチから一つの建設的な方向性を提唱した運動がある。それが、この本に書かれている「雪印100株運動」だ。
![]() | 雪印100株運動―起業の原点・企業の責任 やまざき ようこ 大石 和男 榊田 みどり 岸 康彦 田舎のヒロインわくわくネットワーク 創森社 2004-08 売り上げランキング 61,959 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
戦後最大規模の集団食中毒を引き起こし、ほぼ解体といってよい状態に陥った雪印グループ。消費者は雪印商品から離れ、不買運動が続いたのはご記憶だろう。
しかし、雪印は超巨大な組織体である。原料となる生乳を生産している酪農家の数も合わせると、数万人規模の組織体である。事件を引き起こした部門は本当にその責任を追及されるべきであったが、しかし組織すべてが悪の論理で動いていたわけではないのも事実だ。しかし、不買運動はそうしたことに関係なく、すべての雪印商品を排斥する方向へと動いた。
これにより、離農した酪農家の数は計り知れない。彼ら彼女らは、生乳を引き取る乳業メーカがなければ出荷が出来ないのである。野菜と違い、生乳は生産・流通に莫大な設備が必要であり、今日はあそこ、明日はこちらというように機動的に出荷を変えることが出来ない産業だ。それがブツリと切られてしまうということが起きたわけである。
当然、酪農家は怒る。怒ってもどうにもならないが怒る。その中で、「これではいけない」と思う女性たちが現れるのだ。
「雪印を糾弾することは簡単だが、何も産まない。それよりも、私たちが雪印にもっと近づき、いい方向に共に歩むことは出来ないのか?」
酪農家を含む農村女性ネットワークのメンバーがこうして立ち上がり、単位株になるまで数人のグループを組んで株主となる運動を興した。それが「雪印100株運動」だ。晴れて株主となった彼女らは、すっかり萎縮している雪印社員に対し、時に厳しく、時に歩み寄りながら対話を続けていく。そんな話である。サブタイトルに「企業の責任」と書かれているが、実は「消費者として何ができるか」を具体的・明快に示した書ではないか、と思う。
雪印の問題にはまだケリがついていない、と思う人も多い。僕は乳業が専門ではないので、あまり多くをここで語ることはできない。しかし、この運動は乳業ということよりも、現在の日本における生産・流通・消費の流れの分断を見直すためにも重要だと思う。
「消費者」という言葉は、ものを消費する立場ととれる。非常に受動的ではないか。しかしながら消費者が「権利」を謳うと、それを保護する観点から世の中が動く。この「消費者主体」という世の中の原理は、長きに渡り我々が獲得した社会的構図だ。
しかし、現在はそれが過ぎているように思う。消費者が偉すぎて、それを重要視するあまりに、色んな部分で柔軟なことが出来なくなっている。美味しいものがリーズナブルに食べられないのはなぜか?それは、過度に衛生的であることや安全であることを求める消費者の声が反映された結果だということをきちんと捉えなければいけないだろう。
そして、「消費者」から「生活者」という言葉があるように、不買をするだけではなく、その一方で当該企業や、それを取り巻く業界、ひいては社会がより良くなるためには何を働きかければいいのか、ということを考えるのが、重要なことではないか。
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さて本書は複数人で書かれた本である。この著者の中に岸 康彦さんという方がいらっしゃる。岸さん、いや岸先生は僕の大恩人だ。日経新聞の論説委員を長く務められ、日経新聞の農業記事のグレードの高さを保持してきた第一人者だ。
恩人というのは、僕が大学生時代に書いた「僕と畑とキャンパスと」という論文を、ヤンマーの主催する学生農業懸賞論文コンクールで、優勝に推してくださったのが岸先生だからだ。受賞後、「君のセンスがいいよ、センスが!」と満面の笑みを浮かべながら声をかけてくださったのを忘れられない。賞金100万円は、大学院への進学費用となった。
その岸先生が日経新聞を去られた後、特に最近の日経の農業関係記事の質はがた落ちしている。正確な日付等を失念してしまったのだが、先日、日経を読んで驚愕した。農業に対する投資ファンドの記事か、農産物のトレーサビリティ関連の記事のどちらかだったと思う。その中に、こんな一節があったのだ。
「有機野菜の水耕栽培もしており、、、」
この表現が明らかにおかしいということを理解できる方がいらっしゃるだろうか。食品に「有機」という言葉を用いる時は、JAS法で制定された定義を守らなければならない。そしてJASで規定された「有機」の基準では、土を使って栽培されたもの、つまり「土耕栽培」でなければ有機とは認められない。これは、有機農産物が、土壌に堆肥などの有機物を投入することで、生物学的な循環を創り出し、土壌環境の継続的な向上に資するポリシーを内包しているからだ。 つまり、「水耕栽培」は「有機」ではありえない。
正直、日経新聞の当該記事を書いた記者と、それを校閲段階でチェックできなかったデスクは、本当にレベルが低いと実感した。実をいえば数年前から、日経の農業関連記事のレベル低下は際だっていたと思う。唯一、2年前まで米問題を担当していた某記者が、よく勉強し、産地に足繁く通い、素晴らしいパフォーマンスを発揮していたのだが、今や彼も他部署に居る。
本題から逸れてしまったが、岸先生がいらっしゃった頃はこんなことは無かったはずだと思うと、寂しい。日経新聞、頑張ってください。
それと、もう一人著者に親友がいる。大石和男君だ。彼は京大農学部の助手をしているセンセイである。そして、学生時代からの農業ネットワーク仲間である。彼については、忙しい中、先日僕を訪ねてきてくれたので違うエントリで紹介したい。
いずれにしろ、この「雪印100株運動」、いい本だ。食い倒れの傍ら、読んで頂きたいと思う。
さて佐藤家に行く前に、高橋さんに「面白いところ廻るけど行くかい」と言われ、もちろんついていくことに!
「白鷹町はな、川を挟んで一方が技術的な仕事、一方が農業や食品の仕事をする地域に分かれてるんだ。俺の家も実は白鷹にあるんだけど、技術的な方にあるんだぁ。」
訊いてみると、技術的とはいっても、一般の工業ではない!
「ん~例えば紙漉きだな。白鷹町は和紙の有名な産地なんだわ。」
ここで、ザ・地域興し屋の顔がいきなり覗いた!
「実はよ、紙漉きをやる人間がほとんど居なくなってさ。やばいっていうんで、俺の女房に修行させてやらせているんだよ。だから女房は和紙職人として認定を受けてる。またこれで周りからは『あいつは女房を売った』なんて言われてさぁ(笑)」
な、なんと!
スゴイ話である!
地域の消えゆく伝統工芸を守るために、自分の伴侶をその職に就かせるとは!
「もっとも、女房が職人始めたら、和紙の原料の楮(こうぞ)の生産を俺もやらなきゃいけなくなっちまってね。忙しいったらありゃしないんだ。今は農家さんにお願いしているんだけどね。」
とフッフと笑う高橋氏。この人、極めつけの確信犯である。
「荷物とりにいかないといけねーから、ちょっと寄ろう」
と、その和紙工房に寄らせてもらう。
もう作業は終わっていて、これは和紙を漉く台を掃除しているところだ。
傍らには、漉いた和紙の水分を抜くために重しを載せているものがあった。
高橋さんの奥さんがまた素敵な女性であった!あまり話はしなかったが、パワーと暖かさがある。高橋さんのような陽性タイプの人に、同じく陽のエネルギーを持つ人が一緒になっているというのは、考えただけでもパワフルなことだ。和紙葉書を買わせて頂く。
「さてと、じゃあこの辺の産直場を廻ろうね。」
車でぐるっと町にでて、まずはスーパーに隣接された、野菜の産地直売所へ。
「俺は、ここは好きじゃないんだ。スーパーが客寄せに造った直売所で、利用されてる。直売所は、不便でもいいから独特な場所にないといけない。あと、とにかくそこでしか出来ないものをやらないと意味がないんだ。」
農家の直売所は、5年ほど前から火がついて全国で展開されている。しかし数年経った現在では様々な問題が噴出していることを知っているひとはあまりいないだろう。商圏の食い合いも問題だが、もう現役を退いた高齢農家さんが、趣味でやっている産品をタダ同然の価格で出すことがあり、意欲のある若手農家が自分の販売に見合う価格がつけられないという問題もよく耳にするところだ。
でも、一般の人にとっては直売所はなんとなく楽しいワンダーランドである。僕もこの直売所で不思議なものを見つけた。「岡ノ台ごんぼ」つまりゴボウである。
「実はこれが和種のゴボウの古いそのままの姿なんだよ!一部の農家に眠ってた種を最近、復活させたグループがいるんだ。でもね、ここのごんぼよりもいいのを出す直売所があるから、そっちにいこう!」
と、すぐさま移動。着いたのは田んぼの中建てられたビニールハウス内で営業している直売所だ。
ここでも売り子のおばちゃん達に「やあやあ」といいながら入っていく高橋さん。いったいこの人のネットワークはどこまで、、、
「なりはひどいけど、こっちの方が数倍の活気があって、地元の人も面白いもんを出してくるんだよ!ほら、あったよ、これが岡ノ台ごんぼだ!」
おおおおおおおお
これは初めてみた!お分かりだろうか、長さは通常みかけるゴボウの3分の1くらいと短く、その代わりに中太りの姿形だ。握っても親指と中指が届かないくらいの太さがあるのだ。
「こいつを鍋に入れると旨いンだぁ、、、」
もちろん購入!こういう地域にしかない野菜を見つけたら絶対に買い込むのが僕の習性なのだ!
「やまけんちゃん、そういえばさ、面白いもんがあるんだよ!りんごの漬け物って食べたことある?」
な、なに?????
「りんごをね、塩漬けにしてあるんだよ。こいつがねぇ、、、口じゃぁ旨く説明できねーけど、素晴らしいもんなんだよ。よし、回り道していくかぁ!」
と、やおら携帯を取り出し、生産者さんに「いまから分けてもらいに行っていいかい?」と確認をし、車は大きく回り道をすることになった。
「これから行く生産者さんは、直売所を仲間内でいっしょに立ち上げて成功させた人で、自分で蕎麦も打つし、すごく多才な人なんだぁ。ああ、それとビールの原料のホップ栽培ではこの辺で知らないひとはいねぇ。」
そう、実は白鷹はホップの産地なのである。
さて生産者さんのご自宅に歓待される。
「そうかぁ、食ったことないんかぁ、ちょっと待っとけ。」
と冷蔵庫をごそごそと探って、持ってきて下さったのがこれだ!
うおおおおおおおおおおおおおおおお
間違いなくりんごだ!
リンゴが塩をされ、重しをのせて発酵させたのだろう。色が適度に抜け、しなしなしているが、まさにリンゴである。
ナイフを入れるとこんな感じだ!
「直売所に試食品をおいとくと、パインと間違える人がいるんだよ。」
と言うように、テクスチャーは正体不明の果物という感じだ。
さて口に運ぶと、りんごよりも洋梨のまだ熟していない食感のようにシャリっとする。そして微かな塩気を感じた後に、熟成された果物の香りと酸味、抑制された甘みが噴出する!
「おおおぉおっ、、、これは初めての味覚だ、、、」
美味しい! しかし初めての味覚世界であり、その世界の受容に時間が少しかかる。なんというか、高貴な味だ!決してキワモノ的な味ではない。切り分けてお茶受けに出しておけば違和感なくみないただくだろう。いや、違和感無く、ということはないな、みな驚き、感動するだろう。
「昔はこの辺では当たり前のように漬けてたんだけどなぁ。落ちたリンゴを漬けるんじゃなくて、最初から漬物用に、いい実を選んでたんだぁ」
ということだ!いや実に素晴らしい!文化をみてしまった、、、
確実にこの日、僕の味蕾とシナプスは、味覚のダイナミックレンジが拡がる体験をした。感動である。
御礼を述べて辞する。
「いやどこまで拡がるんですかね高橋さん、、、」
「まだこれからだんべ。」
そう、夜はこれからなのだ。一路、佐藤さんのご自宅に向かうのであった!
(続く)
山形編の途中ではありますが、号外。
明日発売の週刊アスキー、最後のページから数ページ前のカラーページにある「Hotel de ごはん」というページ、私が書いてます。先述の通り、豪華な執筆陣に私が加わらせて頂くことになったわけです。その第一回。
週刊アスキー(ちなみに表紙はこれではありません!まだ発売されてないから古い号の表紙を出してます)
ま、はっきりいって食い倒れ日記の文調ではございません。字数が少なくて、遊びができなかったのよぉ。ま、それもご愛敬ということで。
ちなみに今回はヒルトン東京の「トゥエンティワン」。フレンチのMOFを取得した凄腕シェフのプロデュースとなる店だ。詳細は紙面をみて欲しいのだが、とにかくフレンチの王道といえる骨太な味を堪能できた。いくつかは日本人好みでない部分があり、それについてはおそれおおくもシェフに具申してしまったが、どう変わったのか、変わらないのか、いずれにしても楽しみだ。
これが前菜。詳細は紙面に書いてますが、鰯のエスカベーシュなんだけど、オニオンとエシャロットの羊羹という感じ!実に旨かった。
こちらはメインの鹿肉。いやこれが全く未曾有のソースでした。何が使われているか全く分からない迷宮のような香りと旨味のソース。中身を教えてくれたんだけど、教えてくれてもそれが何なのか全然わかりませんでした。
そして身体に毒そうなミントアイスのミルフィーユ。しかしこいつが絶品の抑制加減で、ミントの強いのは苦手のぼくも美味しくいただけた!
シェフはウィットに富んだ若手のフランス人だ。きさくにしてプロフェッショナルないいヤツであった。
この店、再度ぼくがプライベートで行くつもりが在るか、と言われれば『行く』だ。
と言うわけで、週アスは300円なんだから、立ち読みしないで買って下さいね。
雪深い中をひた走り、「白鷹町」という標識をみてから15分ほどで、高橋さんの車が停まった。
「さあ、ついたよぉ ここが『まあどんな会』の本拠地である加工場だね。」
なんとまあ小さい! この小さな加工場で、数々の名品が生み出されているのだ。
「もちろん漬け物類はここで作った後に、他の建物で貯蔵しているんだけどね。場所のやりくりが効かないから大変なんだよ。大きな一軒家を早く借りなさいよって言ってるんだけどね。」
まあどんな会の活動は、加工場で漬け物やなんばんの粕漬けなどの加工品を作ることと、夏の間に閉鎖しているスキーのロッジを借りて、農家レストランを開くというものだ。つまり夏場まではこの加工場がメインの作業場になるわけである。
フワフワとした雪を踏みしめながら玄関に立ち、「こんにちは~」と声をかけながら戸を開いた。
「あれー やまけんさん。 お会いしたかったですよ!」
と聞き慣れた声がする。まあどんな会代表の佐藤さんである!
すでに何回も電話をしているのだが、顔を見るのは2回目である。お元気そうで何よりだ!そして佐藤さんの他に、4人の女性と、1人の男性が漬け物を作っていた。
おっ 男性が詰めていらっしゃるのは、なんばんの粕漬けではないか!
「そう、こうしてなんばんを瓶詰めにしているんですよ。」
みよこの大きなボウル一杯のなんばんを、、、素晴らしい現場を目の当たりにしてしまった。
実はなんばんを詰めているこのお方が、なんばん粕漬けの元祖であるマサオさんという方なのだが、それは後ほどわかることだ。とにかくここではなみなみと作られたなんばんの量に圧倒された!
「ちょうど今からつぶあぶら入りのなんばんを作るところですよ。」
おおおおおおおおおおお
今回のオリジナル商品「つぶあぶら」入りのなんばんである。つぶあぶらとは、エゴマの実のことだ。言い得て妙のネーミングである。
なんばんの原料類をボウルに開けていく。
「ぜーんぶ私たちが作ったか、どこでとれたかわかっているものだけを集めてるんです。ほら、今から入れるのがつぶあぶらを煎って粉に引いたものですね。」
ざざっとつぶあぶらの粉末がボウルに入った。
これにニンニクと、なんばん(トウガラシ)の塩漬けが投入される。
なんばんの塩漬けは自分たちの畑で作ったトウガラシを秘伝の漬け込みにしたものだ。まったくオリジナルレシピであり、真似のしようがない。
これを、蕎麦打ちの「水回し」のように万遍なく混ぜていく。そう、すべて手作業なのだ!
「全体をよぉーく混ぜて、そこに酒粕をいれるんだわ。酒粕はね、あたし達がいろんなのを試食して、一番美味しかったのを入れてます。」
山形の高級な地酒粕を使っているからこそ、あの強く高貴な味になるんだな!実に納得である。
酒粕の塊が投入されてからは、ひたすら捏ねる!捏ねる!捏ねる!捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏
捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね捏ね、、、もう本当にひたすらここからコネの作業である。機械なんぞは使わないのである!
「人の手で捏ねた方が美味しいですねぇ」
みたか!このなんばんの粕漬け、どこにも人工的なものが介在しない!原料はほとんどが彼女たちの手作り農産物に地酒の酒粕、それを徹頭徹尾、人力で合わせていくのである。
「あらー 今日来てない人たちにもヤマケンさんってどんなひとだか教えて上げないと行けないから、写真とりましょ!」
と、まあどんな会最年少であるイチコさんが僕を撮ってくれる。
なんばんはひたすらこね回されている。この作業がとにかくずーーーーーっと続くのである!
ひたすら混ぜ合わせられているうちに、それぞれの材料のエキスなどが酒粕に染み出てきて、このような一つの茶褐色のまとまりになっていくのだ!
「味見してみんべか?」
とチョイと小指につけて舐めてみる。
あああ、、、 あのエゴマの濃い風味と油分、そしてなんばんの辛みと酒粕の香りが、たまらない、、、
「本当にこれはヤマケンさんに『オリジナル商品を』っていわれて作ったものだから、オリジナルなんですよぉ。」
それは本当にびっくり!もう昔からずーっとあるものだと思っていた、、、それでも全くおかしくない洗練されたできばえなのである!
ちなみにこの加工場ではなんばん以外にも様々なものを作っている。大豆を揚げて甘辛い味付けをした豆菓子や、染み餅とよばれる、餅を揚げて甘辛いタレに浸したものなど、、、この染み餅が実に最高にうまいんだ!
サクッとした歯触りの後に、ジュワッと甘辛ダレが染み出してくるのだ、、、うーんよだれが出る。
この他、今回販売する「やたら漬け」とよばれる漬け物の製作風景も見ることが出来た。
一端塩漬けにした野菜類を戻し、秘伝の調味液で再度漬け込んでいくのだ。
「これ、『やたら漬け』ではなくて『まあどんな漬け』ていう名前にしようと思うんです!」
おお!
それはいいではないか、、、
入り口に戻ると、マサオさんがなんばんを瓶に詰め続けている。こうして瓶詰めまでが手作業で行われているのであった。機械化されていない旨味はこうして創り出されているのだ!とうとうこれを目の当たりにしてしまった、、、
はい、じゃあ記念写真撮ろうね!」
まあどんな会には30人以上の会員がいるのだが、もちろん都合によって集まる人が変わる。この日集まったメンバはかなりのコアメンバらしい。作業場での仕事はこれでたたんで、次は佐藤さん宅で酒宴である。
いやしかしこのなんばん造りの現場をみることが出来たのはとてもよかった!とにかく手作業である!それと、佐藤さんがずーっと口にしていたのは、
「身体にいいものばかり入れているんです。」
ということだ。そう、身体によいもの、、、当たり前のようでいて、実現するのがこれほど難しいものはない。まあどんな会のなんばんは、化学調味料や着色料、合成保存料も一切使っていない。それは僕がこの眼ではっきりと確かめてきた。
「そんで、元気が出るものばかり使ってますよ。なんていったって私たちが毎日食べるものだからね。」
そう、彼女たちにとっては、これは商品である前に、自分たちの食卓に上るものばかりなのである。それは佐藤家で激しく立証されたのだが、彼女たちが主婦の集団であるということが大きくこの品質ポリシーに影響している。ビジネスベースの企業活動で、このようなものづくりをすることが果たして可能だろうか?
「自分たちで造ったものを原料にする」
「手で造る」
「身体にいいものを入れる」
この基本中の基本といえることを実践できる食品加工業は、この世にそれほど多くない、と思う。その貴重なひとつを、山形は白鷹町に見つけた。
「さあ、それではご飯をたぁっぷり食べて頂きましょうねぇ!」
お声がかかり、いよいよまあどんな会の首領、佐藤洋子さんのご自宅訪問である!ここで、さまざまななんばんを巡る秘密が明らかになったのであった!
(続く)
牛タン腹がこなれてきた頃、目が覚める。風邪からだいぶ回復したが、少しだけ熱っぽく咳は止まらない。遅くまで呑んでいたツケだな。仙台から山形県庁までは、高速バスを使う。
「やまけん、宮城と山形では吹雪のレベルが違うから気をつけてな。山形の奥羽山脈が雪を遮ってくれているから宮城にはあまり降らないけど、山形はスゴイよ!」
と恵ちゃんが言っていたとおり、高速道路で山を登り始めた途端に猛烈に雪が降ってきた。
周りの風景はそれこそ水墨画の世界である。
バス停「県庁前」を降りると、髪を後ろで結わえた高橋さんが、ひょいっと手を挙げて合図をくれた。まったく初めて会う人なのだが、もう10数年来の知己のようだ。この人こそ、白鷹町の「まあどんな会」の生みの親である、山形県庁の職員さんなのだ。
「いやあ、よく来たね。まあ乗って。」
と10年来の知己のように自然な空気で、僕を迎えてくれた。こういう空気を醸し出す、人の心の奥にするりと入ってきてしまう人が、たまにいる。天性の素質と、職能的もしくは趣味的にそれを磨くことによって獲得できる能力だと思う。それが、高橋さんからはプンプンと匂ってきた。
「高橋さんはどんな仕事をされてるんですか?」
と素朴な質問を投げると、へへっと笑いながら「そうだな、地域興し屋かな」と言う。
山形にある2600近い集落のうち、なんと680もの集落に潜入(?)し、その地域の住民(多くは農家さんたち)をまとめ、なんらかの地域興しプロジェクトを実践してしまうのが、彼の活動である。いや、それは県の仕事としてやっているわけではないらしい。そこがミソで、県職員としての彼の仕事は別にあり、そちらも立派に勤め上げた余力で、地域興しをしているということなのだ!
そうかそうかと合点がいった!先述したような高橋さんに漂う空気は、様々な地理・社会的条件の集落に出入りし、その地域の人々を見つめ、そして新しい秩序を迎え入れ、体制を再構築する。これを繰り返すうちに身につけ、磨き抜かれてきたものなのだろう。
その活動の一端はすぐに開かれた。
「ちょっと見せたい集落があるからさ、回り道するよ!」
と言って車を止めたのは、中山間地の集落にある、とある民家だ。よくみると入り口の小屋の壁に小さな看板がかかっており「農家民宿 はたざお」と書かれている。
「ここはよ、風景が綺麗だから登山客が多いんだけど、休む場所がなかったのよ。それで、ここのお母さんらが集まって考えた上で、民宿をやることにしたんだわ。」
車を降りると高橋さんはズンズンと母家の扉を開け、「ただいま~」と奥に声をかけて上がり込んでしまった。民宿のお母ちゃんと、近所(とはいっても一山超えるくらい距離があるらしいが)のお母ちゃんがこたつに入り、漬け物とカップラーメンの昼食をとっていた。
「最近はどうよぉ」
以降、山形弁が炸裂しまくり、僕にはほとんど意味が分からない!それを知ってて高橋さんはニヤニヤしている。
「俺でもわかんねー言葉がいくつかあるからなぁ。ヤマケンちゃんにはわかんねぇべ。」
そりゃそうだわかるわけがない!
「せっかく来たんだから餅、食べてきな。」
というと、お母ちゃんはホットプレートに餅を載せて焼きだした。
うーん困った、、、僕は餅がそんなに好きではない。ネチネチした食感をあまり好まないのである。正月の雑煮にも餅を入れない。でも、こういう場でそんなことを言っていては始まらない。僕はコンニャクは絶対に食べられないのだが、それ以外は「食べられない」わけではないので、いただくことにする。
「これにからめて食べな」
と出された納豆を混ぜ、取り皿へ。そこへお母ちゃんが「ほれ、ほれ」とぷっくりと焼けて膨らんだ餅を放り込んでくる。
そして、、、餅を納豆に絡めて食べてみて、ビックリした。
!!!!!!!!!!!!!!
旨い!!!!!!!!!!!!!!!!!
お餅に特有のモチ米臭さがほとんど無く、食感もモチモチというよりはフカフカ・ネットリした絶妙な快楽的食感だ。それに、山形必殺の納豆と醤油が混ざり合い、本当に至福の味わいだ!!
「う、旨いなぁ、この餅、ここでついたの?」
「あったりまえだろ、この辺じゃ餅は買わないよ、、、」
うーむ 餅も米やつき方により全く味が変わるんだなぁと実感したのであった。そして僕が喜んでいると、お母ちゃんは嬉々として餅をボンボンと放り込んでくる!餅わんこ状態になってきた!
「おいヤマケンちゃん、俺は数えてるんだけど、12個も餅食べてるぞ!次があるんだからさ!」
と言われハッと我に返る!12個も食ってたっけ?しかしスルスルと入ってしまうのだ、、、うーむ山形の民家の餅、恐るべし。
しかし本当にこの辺の風景は美しい!小高い山の白い稜線と、田んぼに降り積もった雪の遠近感が魔法のように視覚を癒してくれる。
さてお母ちゃん達の座を辞すると、いったん里の街道に降りて山形名物「肉そば」を食べに行く。
山形名物「肉そば」をご存じだろうか?関西で肉そばといえば牛肉の甘辛く煮たのを乗せたものだが、山形のそれは全く違う。鶏スープをベースにしたダシをキンキンに冷たく冷やし(その過程で固まった脂は一切を取り除く)、冷たい蕎麦の上にそのダシを張り、鶏肉を甘辛く茹でたものを上に載せるというものだ。山形の人たちは、寒い冬にこの冷たい肉そばを食べるのを好むのである。これがまた絶品なのだ!
■そば処 太郎亭
住所: 山形県朝日町宮宿中郷2370-3
TEL: 0237-67-3789
営業時間: 11:00-19:00
定休日: 火曜
店データ教えてくれたossaさん、どうもありがとう!
店内にはいるとやはり大きく掲げられているのは「肉そば」だ。
「色んなメニューがあるけど、肉そば以外のものを食べてる人をみたことねえな。ここはよ、鶏肉のだしが濃いんだわ。だから鶏臭いって好きじゃない人もいるけどな、俺はここのが旨いと思うんだわ。」
頼んでほどなくして来た肉そばは、見るからに鶏の香りが漂う濃厚なものであった!
蕎麦をすすり込むと、コクのあるダシの香りが口中に拡がる!まるでラーメンスープのような、しかしやはり蕎麦つゆの味。実に絶妙な加減である。
蕎麦は中太、色濃く強い食感だ。山形の蕎麦にも色々あるが、太め・硬めがすきな僕にはビッタリである。以前食べた肉そばよりも濃厚で野趣の溢れる味とかおりであった!
「しっかし良く食うなぁ。じゃあ、白鷹町にいくかよ。」
車で白鷹に向かう道すがら、まあどんな会についての話をいろいろきいた。
「あそこもさ、地域の中に、女性が集まって何かをやるってのがなんもなかったのよ。足を運んで、ワークショップっていう会を開いて、みんなが好き勝手に喋るってのをやったら、加工場を借りて漬け物や美味しいものを作る会をやりたいって言うのが出てきて、佐藤洋子さんがリーダーになって取り組んだわけさ。でもな、加工場を借りたり、スキー場のロッジを夏場に借りるとかなると、行政の壁がいろいろと立ちふさがってきて大変なわけさぁ。」
ここで決めての言葉が、高橋さんから出てきた!
「結局ね、『どれだけ泣くか』、なんだよな。壁が出る毎に悔しくて泣いて、その数が多ければ多いほど、強固なコミュニティができあがっていくんだぁ。俺もその手伝いをしてるけど、最近じゃ壁をどうやって超えるのがいいか、てのを考えるのが面白くなってきたね。」
といってニタリと笑う高橋さんに、底知れぬ凄みを感じた。これは、県職員でないとできない仕事いや活動だろう。
「さて、こっから白鷹だ。」
車は雪道を、音もなく滑っていった。
(続く)
金曜日には宇都宮~仙台。
土曜日に仙台~山形。
日曜日に東京に戻り、
月曜日~北海道。
水曜日の夜現在、東京に帰宅しました。
明日一日溜まっている仕事を連続的にこなし、
そして金曜日、日帰りで秋田出張です。
そういうわけで
blogの更新ちとまってね。
それよりなにより
多くのコメントを寄せて下さっている皆さん、全部読んでます!
けれど、返事を書く余裕がなく、ごめんなさい!
記事アップを待ってて下さいネ。
咳がまだ出るので、寝ます。お休みなさい、、、
さて今年発の出張は久しぶりの仙台だ。岩手、宮城、青森には、あまり仕事上の縁がない。旨いものがたくさんある地域だけに残念な話だ。
仙台の旨いもの、といえばこれはもう色々ある。三陸の海の幸は言うまでもないが、枝豆を磨り潰したねっとり香ばしい香りのずんだ餅などは最高に旨い部類の甘味ではないだろうか。
そしてやはりなんといっても牛タンだ!仙台出身の娘が「あのねぇ、仙台の人はそんなに牛タン食べたりしないよ」と言うが、でも一方で「食べるならあそこだよ!」と口角泡を飛ばして議論が始まることも多い。要するに地元の人にとっては、名物化された状況に対する愛憎の深い食べ物なんだろう。
牛タンの切り身を塩味で炭火焼きし、浅漬けと青トウガラシの味噌漬けを添え、テールスープと麦飯と一緒に供するというスタイルはここ仙台が生み出したゴールデンスタイルだ。やはり先達としての「太助」の存在抜きには語れない。僕も仙台にきたらとにかく太助で「食事」をいただくのが恒例行事だった。しかしそろそろ、また違う店にも行ってみたいものだ。
「うん、それじゃ、俺が一番旨いと思う店に連れてくよ。」
と請け負ってくれたのが、今回の仕事のクライアントである恵ちゃんだ。
東京で商社に務め、タマネギのスペシャリストとして活躍した後、仙台の市場業者としての家業を継いだナイスガイである。学年が僕と一つしか違わないので、言葉に出来ない連帯感がある。
「牛タンも色んな店があるんだけどね、肉に厚みがあるのに柔らかい。包丁で切り込みをそんなに入れなくても歯で千切れる柔らかさは、ここしかないんじゃないかなぁ。」
そう言いながら彼が連れてきてくれたのは、仙台市街にある「利休」である。
■牛タン焼き 利休
http://www.rikyu-gyutan.co.jp/
※支店がいっぱいあるのだが、どこの店に入ったか分からない!こんど恵ちゃんに訊いておきます。
店に入ると席は空いていなかったが、10分ほどで入れるという。恵ちゃんがびっくりしたように「運がいいぞ!」と言う。
「普通の日は、順番待ちの行列がとぐろを巻いてるんだよ!奇跡的だなぁ、列の一番最初だなんて。」
その言葉の通り、僕らが並んだ後、すぐさま数組の集団が並び始める。店の兄ちゃんが出てきて「はいっお次は何名様ですか?」と訊いていく。この兄ちゃんのトークが軽妙で笑える。女性には「空きましたらお電話差し上げますので、個人的に電話番号教えて下さい!」など笑わせている。恵ちゃんいわく「仙台にはこういうノリの人は少ない」そうだ。
さて5分ほどで入店。着席後すぐに牛タン1.5人前をオーダー。単品で1200円くらいだったろうか。1人前頼むよりやはりドカンと1.5人前でしょう!それと僕は浦霞。熱燗にしてくれというと、東北のどこにいっても必ず「この酒は燗にしない方が、、、」と眉をひそめられてしまうのが煩わしくてしょうがない。
さてこの店には、牛タン塩焼きだけではなく色んな料理がある。牛タン刺しや煮込みなどを頼む。
さて牛タンがババッと焼かれて盛られてきた!久しぶりのご対面だ!
手前に見える緑色の細いのが、青トウガラシの味噌漬けだ。オーソドックスな仙台スタイルである。
ブリブリッとした食感が観ているだけで伝わってくる、張りつめた感じのテクスチャーである!もう堪らず一切れを一口で放り込む!ザクリという食感、しかしそのまますぐ歯で噛み切れる絶妙でモッチリともした感触だ。太助などの店の、噛みきるのに格闘が必要な牛タンとは全く違う!
「やまけん、これにはね、七味をバっとかけて、トウガラシの味噌漬けを囓りながら食べるのが一番旨いんだよ!」
と恵ちゃんがいうので試してみた。
確かに旨い! タンの塩味と、熟成された旨味の深い世界、そして七味の香りとビリッとした辛み。それを口にしつつ、トウガラシ味噌漬けをほんの2ミリ程度囓ると、味噌の甘い香りの縦軸がいきなり口の中に現出されて、全く飽きることがない!
「旨いじゃんかこれぇ~!!」
「そうだね、お客さんが来た時にいろいろな店に連れていくけど、ここが一番旨いなぁ。みんなここに連れてきたいんだけど、凄まじく並ぶから、団体出来ている人たちを連れてくるのは難しいんだよ。ヤマケンは一人で来たし、しかも並んでなかったから運がいいよ!」
そうなのだ俺は食べることについては本当に運に恵まれているのだ。
「はい、牛タン刺しになります。」
恵ちゃんも初めて食べるという牛タン刺し。ご覧の通りタンにはきめの細かいサシが入っている。
ニンニクとショウガを少しだけ落とした醤油につけて食べてみる。
ネットリとした食感。しばらく噛んでいると、脂の甘みと肉の風味が浮かんでくる。なんというか独特の風味が立ち上るが全く臭くはない。どちらかと言えば気品のある香りだ!
「やまけん、せっかく宮城に来たんだから、魚も食べな!」
というので、名物の牡蠣を頼む。
広島のそれに比べると、水温の関係上、ややこぶりなサイズになるらしいが、味と香りはその分上品さがある!
この他にもタンの煮込み、ガーリック焼きなど頼んだが、さらに牛タン焼きが食いたい!
「じゃあ、牛タン定食と、、、牛タンカレーも食べておきなよヤマケン!」
ということで、恵ちゃんが牛タン定食を頼むが、牛タンは俺がほとんど食べ、その上で牛タンカレー定食を食べるという暴挙に。
今度運ばれてきた牛タンは、さっきのより身がブリブリとしていて旨い!店員さんにそれを言うと、
「そうですね、牛によって味がやはり違いますから、皿ごとに違う味と言っていいかもしれません。」
ということだった。ここではやはり塩漬けにした後、独自の温度と期間で熟成させるのだという。そう、大型動物の肉は熟成が命なのだ!
牛タン定食といえばテールスープも付き物だ。これもまた旨い!全体的に、東京で食べる定食よりも分量が多いぞ!
そして、地元の人も「旨い」という牛タンカレー。
大ぶりのタンがホロホロになるまで煮込まれ、それがゴロゴロと入っている!こんなのが不味かろうハズがない!大満足である!
「旨かったかい?牛タンは色々と好みがあるんだけど、俺はこの利久がいちばん好きだよ!」
ええ、美味しゅうございました!太助とはまた違う、非常に熟成の進んだ柔らかく旨味の濃い牛タンを堪能した!
この後、一大繁華街である国分町で痛飲し、代行を拾って駐車場に向かうものの、駐車場が12時までで閉まってしまうことを忘れていたため、荷物なしでホテル泊。ひええええ
そして翌日はいよいよ山形編である!
昨晩は仙台で牛タン食いました!そのレポートはまた後日。風邪の具合はだんだんと直りつつりますが、酒を飲むと咳が止まらない!
さて
本日放映のテレビ「チューボーですよ!」では、親子丼をテーマになるらしいが、バードコートが出ます!
「うちは焼鳥屋だし、親子丼だけの提供はしていないから、あまり嬉しくないんですけどねぇ~」
と野島さんは仰るが、一度でもバードコートの親子丼を食べたことがある人なら、その旨さは分かっているはずだ!
そしてなんと「未来の巨匠」コーナーでは、力ちゃんが登場する!皆、刮目して観るべし!
僕もまあどんな会の佐藤さんの家で見せていただくつもりです!
さて新年開けていきなりのビッグプロジェクトが始動する!
山形県白鷹町の「まあどんな会」が作る「なんばんの粕漬け」が、僕的には世界最高のご飯の友であるということはすでに何度もこのblogで書いている通りである。
■2月18日
山形のおばちゃんが作った旨いもんみつけた
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000217.html
あまりの旨さに僕が共同購入を提案したら、68本の申し込みがあったというのは、食い倒れ日記初期の記念碑的な出来事だった。考えてみれば、寿司処匠で開催した第一回オフ会も、無二路で開催した第二回オフ会も、表向きは共同購入したなんばんを引き渡す会だったのだ!
で、昨年末にはライブドアの堀江君にも一本贈呈した。そしたら彼も見事にはまった!
「う、ウマいっすねー なんばん!」
なんと彼の社長日記にも2度登場したわけだが、、、
「じゃあ食い倒れ日記プロデュースで『オリジナルなんばんの粕漬け』を作ってもらおうか!」
と言ったところ、
「それいいじゃない!協力させていただきますよぉ!」
という運びとなったのだ。
これは面白い!食い倒れ日記の読者も増えてきたことだし、そろそろこういう話があってもおかしくない!僕がマジで旨いと認める、正直な人たちが誠実に作る逸品を、みんなにも味わって欲しい!
いきりたって、すぐさま山形の「まあどんな会」の代表である佐藤さんに電話をする。これこれしかじかと説明すると、佐藤さんもびっくりしていた。
「んまぁ、、、本当にあれがそんなに人気がでるんでしょうかぁ???でも、嬉しいですねぇ、、、」
僕は、通常のなんばんの粕漬け1本に、オリジナルなんばんを1本、そして何か漬け物などを3点セットにしたものを、3000セットくらい販売するというのはどうかという提案をしてみた。
ところがここで驚きの事実が発覚してしまった。
「やまもとさーん、実はこれ、まあどんな会のメンバーの自宅でなんばん(トウガラシ)を作っているんですけど、今年作付けしたのを塩漬けにしたのが、だいたい500本分くらいしかないんですよぉ、、、」
ガーン!
史上最大のショックが僕を襲った、、、
それはそうだ。家内制手工業の世界だからなぁ、、、
「まあでも3000セットは無理ですけど、隣町のなんばん塩漬けを買い求めて、それでオリジナル商品を作るようにすれば、500セットは確保できると思いますよ。」
「おお!それでまあどんな会の方々も自家用にする分くらいは大丈夫ですか???そっちが心配ですけど、、、」
「その辺は何とかなりますからぁ(笑)」
ということになった!
初プロジェクト、なんと限定500セットである!
おそらく一日か二日で売り切れてしまうのではないだろうか???
この辺、どのオンラインショッピングで販売するか、価格をどうするかというのは後日詳細が確定次第ここで発表したいと思う。ぜひ食い倒れ史上初の試みにご声援をいただきたい!
さてその試作品が届いたのだ!
画面左側がなんばんの粕漬け。昨年のと、瓶とシールデザインが違っている!そして右側の手書きラベルが新商品。その背面にあるのが「やたら漬け」という漬け物だ。
さて夢にまで見た新年度なんばんである。
トウガラシの塩漬けをすり潰したものに、クルミ、胡麻、ニンニクのすりつぶしたものを和え、そこに極上の酒粕を加えて練ったもの、それが「なんばんの粕漬け」である。
さっそくご飯に乗せて食べる!
ビックリするくらいの鮮烈で骨太な辛みが炸裂!、、、 と思ったが、それほど辛くない。 あれっと思って佐藤さんに電話すると、
「試作品なので、トウガラシの量を抑えてあるんですよぉ!売り物にするのには、昨年とおなじようにバカ辛いのにしますからご安心ください!」
とのことであった!しかし、トウガラシが押さえられているなんばん粕漬けは、粕の味が前面に出て、かなり甘く感じる。とてつもなく綱渡り的な微妙なバランスで作られているものなのだなぁ、、、と実感してしまった!
さて、実は今回の目玉は、このノーマルなんばんに加えて、新しくつくっていただいたこの逸品だ!
ノーマルなんばんと比べると、少し褐色っぽい色で、つぶつぶが入っているのがおわかりだろう。これは果たして何だろうか!?
「これはねぇ、『つぶあぶら』って私たちは呼んでいるんだけれども、エゴマの実なんですよぉ。これを加えたらまた美味しいんですよねぇ。」
おおおおおおおお
なるほどぉ!エゴマの実か! 風味と適度な油脂成分が加えられることで、絶対的に旨くなっているに決まって居るではないか!
観よ、このうんまそうなプレゼンテーションを!!
堪らず土台のご飯ごと口に運ぶと、ノーマルなんばんのような辛さではなく、エゴマの独特の芳香が鼻孔を抜けていく!コクのある油脂がプラスされているので、旨味が濃い!そして胡麻とニンニクの香りと旨味、トウガラシの適度な辛みが渾然一体となっている!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これは旨いぃぃいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!
この「つぶあぶら入りなんばん粕漬け」、新・定番ご飯の友になることは間違いない! まあどんな会様、あなた方は最高です!
そして、これら2つの瓶が割れないように優しくくるみこむクッション材として、「やたらめったらいろんな素材を漬け込んでみた」という「やたら漬け」も同梱!
これが、濃いめの醤油味で実に旨い!こうした刻み野菜の古漬けは、食感がしなしなして味ばかり濃く、旨くないことが多いのだが、まあどんな会のやたら漬けは、歯触りが劇的にパリパリして、風味もフレッシュで香り立つ。こいつぁ旨い!
どうだろうか?この3点セット、食べたいと思いますか?
今年は泣いても笑っても、この500セットしか作れない!できるだけ多くの人に楽しんで欲しいと思っている。箱代とか送料とかがかかるので、まだ正式な価格は発表に至らないのだが、とりあえずこんなの作るから、皆様どうか心に留めて下さい。
第一回・第二回オフ会参加者のみなさん。今年のなんばんはまたもやパワーアップです!
そして緊急告知。
明日からやまけんは仙台に出張。その翌日土曜日、山形の白鷹町に足を伸ばして、「なんばんの粕漬けの製作工程を見学してきます!」
「山本さんに、10割の手打ち蕎麦を食べさせてあげようと、手ぐすね引いて待ってます!」
まじ!?
「そうそう、夜はぜひ、うちに泊まっていって下さい。」
ま、まじっすか??
風邪を治さなきゃーーーーーーー
全読者、こうご期待!
さて大晦日の忘年会だが、まず昨年と引き続き匠、そしてオーパである。
昨年の匠と比べ、ぐっと賑やかになった感を強く覚える。常連組多数に、しばらく前まで板場に入っていた清ちゃんも来ており懐かしい!
フグ鍋などを囲みながら、PRIDEとK1の観戦、どうでもいい与太話などで大盛り上がりだ。
そうそう加藤ちゃんの奥さんであるるみ子のお腹が大きいのがお分かりだろうか。2月出産予定!女の子だそうだ!今から抱っこするのが楽しみなのである。
10時くらいに、オーパに移動。オーパでは銀座店のお客さんも交えての年越しカウントダウンパーティである。
水澤君に締めくくりのスプリングヒルと頼む。シェーカー振るのは俺の前でお願いね!と言うとこっちにきて振ってくれる。カウンターのお客さんからなぜか黄色い声援が飛ぶ!
一口飲んでみたが、いつもよりなんだかちょっと甘い。んん?と思ったけど、新しい配合なのかなと思っていた。しばらくして水リンがきて、ヘッヘッヘと笑いながら「どうですか本日のスプリングヒルは?」と言う。 ちょっといつもより甘いね、と言うと、
「やっぱりお分かりになります? 実はこれ、バカルディをダークラムに代えてるんです。アルコール度数は60%以上なんですけどね、、、なので、これは『スプリング・ヘル』ていうんですよぉ!」
と、やはりヘッヘッヘと笑い続けている。かわいそうに大晦日になって疲れが蓄積してるんだなぁ、、、使いモンにならんゾ。
オーナーでもある大月さんはじめ、銀座店のスタッフもこの日は門仲店にいる。
水リンの隣にいるのは銀座店の山本ちゃんで、この人は先頃行われた関東のバーテンダーコンクールのレディース大会で優勝したという!
「じゃあ、受賞カクテル作ってよ!」
とお願いしてつくってもらったのがこれ、「GOOD LUCK」だ。
「ミントリキュールにウィルキンソンのジンジャーエールを調合しています。」
ミントは好きじゃないんだが、これはとても美味しかった!ツンと来るミント臭さを、ジンジャーのより強い風味が相殺してくれているのだろうか。
いい感じに酔っぱらっているうちにカウントダウンのタイミング。 3,2,1,ゼロ!でシャンパンで乾杯だ。こんな感じで、2004年は暮れ、2005年が開けたのである。
富岡八幡宮で初詣をし、家に帰り着いて眠る。起きたら喉は壊滅的な様相を呈していたというわけだ。
皆様今年もよろしく。ほどほどにやっていきます。
風邪が治らない。喉の奥が反対側にくっついてしまっていると錯覚するほどの腫れが治まったと思ったら、間断なく咳が出る。眠りにつこうとしても30秒ごとに咳が出るので眠れない。咳は横隔膜を激しく蠕動させるので消耗する。もう大変な状態である。
実は今もそうだ。おとなしく寝ていろと言われても、眠れないのだ。blogでも書いて気を紛らわすしかない。ああ辛いつらい。
一年に一度はこのように悲惨な熱が発せられ、それまで貯めてきた毒素がどかーんと爆発的に表層に浮かび出てくるのが常なのだけれど、それにしても酷かった。それもこれも、熱に浮かされながら廻ってしまった忘年会のせいだろう。
28日は、タイ・バンコクで世話になったつっちー、セコちゃん、アラゴンが日本に帰ってきていたので匠で寿司。ちょうど沖縄から川端パパも上京していたので、タクと一緒に父子で来ていた。その後6人でオーパ。皆喜んでいたけど、もうそこですでに喉が腫れだしていた。
29日、広尾のとある店にて某氏と会食。これはあとで独立したエントリとして書きます。
30日、阿佐ヶ谷バードランドにて、バードランド関係の人たちが忘年会。北千住バードコートの野島さんが誘って下さったので僕も参戦。阿佐ヶ谷店は実に綺麗なカウンターの店内だった。
葱商の安藤ちゃんも来ていて、野島・安藤・やまけんで呑ませて頂く。
ほどなく、バードランドの大将であらせられる和田さんの「学校」が始まる。焼き台の前に立ち、様々な形状のシャモを焼き始めた。
さっとリングサイドに集まる弟子達。真剣なまなざしで師匠の手を見つめる、、、
和田さんが焼いて下さった鶏と、他の人が焼いたものでは明らかに違う!串に刺した肉を焼くということだけでなぜこれだけの違いがでるのか、それは本当に単純な調理法だけに、ミリ秒単位での理解と判断、そして実行の技術が必要になるのだと実感してしまった。
もも肉の塊を焼いた時は、「強く焼いたことによりギュッと中央に集まった肉汁を、一旦火から遠ざけて、肉汁を全体に戻すんです。そうすると、皮はパリっとしたまま、肉を噛むとジュワッと肉汁が染み出て、最高に旨いんですよぉ、、、」と野島さんが解説して下さる。単に強火で焼くだけでは、ギュッとした食感にはなるが旨くはならない。なんと緻密な想いが一串の中に込められているのか、と感動してしまった。
その和田さんが「このワインがねぇ旨いんだよ!」とイチオシしていたのが、クスダさんという日本人がニュージーランドで醸しているこのワインだ。
2002年ものとは思えない、あまりにも美しいブーケだった!「あと2年したらどうなってるか、楽しみでしょ?」という和田さんは、僕の数十倍の食いしん坊だとシャッポを脱いだ瞬間だった。
日本酒も、すごいのがポンポンと抜かれる。
ショウちゃんが瓶燗にして注いでくれたのは、なんと神亀の平成2年に仕込まれた純米だ。14年ものか、、、琥珀色に熟成されたその酒は、まったくひねておらず、熟成香が渋く立つ素晴らしい酒だった。
呑んで食って、野島さんと和田さんに御礼を伝えて店を出る。安藤ちゃんを連れて、その足でトルコ料理イズミルに向かった。あらかじめ電話をしていないし、もう遅いので顔だけ出して、挨拶するつもりだったのだ。
でも、店に入ってエリスとスレイマンに挨拶したら、顔見せるだけじゃ済まなくなってしまった。
「ヤマケンさん!私たち、貴方に御礼をしたい!」
トルコの名物蒸留酒”ラク”で日本では高価はテキルダーを一本持ってきてくれて、スレイマンが次から次へと料理を出してくれる。
「あなたがインターネットに書いてから、それを観た人たちが一杯!大阪から来てくれたグループも居るし、みんな美味しいと言ってくれる!本当に感謝していいます!」
よかった、、、
このWebをやっていて本当に良かったと思う瞬間だ。
先日おうさるさんと来た時には食べなかったピザのような一皿まででて、これがまたすごく旨かった!
まだまだ奥が深いな、トルコ料理!今年もおうさるさんに色々教えてもらおう。
たらふく食べて、二人と握手をして、店を出る。家に帰るともう日付を超えていた。この段階で、喉はふさがり状態。そして大晦日へとなだれ込んでいったのだ、、、
兵庫県にお住まいの読者さんである木瀬さんから、おそらく今世紀10大ニュースの一つとなることが間違いない吉報がもたらされた!
「はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいてます。 12月22日の神戸新聞の夕刊にインデアンカレーの記事が出ていました。 社長(女性です)へのインタビューもありました。目玉は本来の味を隠してしまうのではじめは出していなかったが、リクエストが多くて今では多くの方が注文されるとか。東京丸の内ににも出店予定とのことです。すでにご存知のことばかりかも知れませんが、報告まで。記事が必要でしたらお送りします。突然のメール失礼しました。 兵庫県 木瀬 」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
な、なんと! あのインデアンが東京に?
(インデアンについて知らない人は、本ページ右サイドバーの「食い倒れの殿堂」を参照のこと)
F岡さんからの情報によれば「社長が大の東京嫌いなので進出はない」ということだったのだが、、、
後日郵便で届いた木瀬さんからの封書には、初めて拝むインデアンカレーの社長様が写っていた、、、神々しい!
俺は決めた!東京店の開店一番目の客になるぞ!絶対朝から並んでやる!
そうだ、食い倒れ党員(読者さんね)で来られる人は、オープンの日に集合しましょう!ミニオフ会だ!
それにしても
読者さんが増えたのに、インデアンカレーの関係者さんはいないのかなぁ、、、
ぜひとも取材をしたい!
インデアンのためならそのためだけに出張するぞ!
もしつてがあるならよろしくお願いします!
木瀬さん、情報ありがとうございました!
新年早々、素晴らしいニュースなのであった。
うーむ三十日から続いた熱はだいぶ引いてきました。今日あたりから活動できそうです。
さて食い倒れグランプリ2004に応募してくださった皆さんの、ベスト20以外の設問結果は下記のとおりとなりました!
2.食い倒れ日記をみる頻度は下記のどれに近いでしょうか?
けっこう頻度高く見てくれているんですね。ほとんどが毎日ってことですね、、、しかし毎日複数回観ている方もいらっしゃるということは、、、ますます頑張ってエントリ書かないといかんな!
3.食い倒れ日記に登場した旨いもんを、Webサイト上で買いたいと思いますか?
90%の方が「はい」と答えていますが、残る「いいえ」の10%の声、私にはよくわかります。きっと、「商売に繋がっていないからやまけんサイトはいいんだ」ということなのでしょうね。
4.食い倒れ日記に登場した旨いもんを、どこかの店舗で買いたいと思いますか?
こちらは95%が「はい」と回答して下さっている。先の設問と連関させると、これはやまけんが販売するのではなくて、店舗でということだから、なのでしょうかね。
おそらくお気づきの通り、この3.と4.の設問には意味があります。わたしがホントに旨いと思ういろんなものを、紹介するだけではなくおわけすることを考えていこうかと思っているのです。
ただし、その行動の持つ危険性は十二分に承知しています。ビジネスと絡めることで、食い倒れ日記のスタイルがいやおうなく変化してしまうのではないか、と思う方は絶対にいらっしゃると思います。そしてその変化は私、やまけんが最も嫌だなと思うものです。
でも、その危険性を知りながらも、私はもう一歩さきを踏み出したくてしょうがない!それは、地域に眠っているスバラシイ食材に、少しでも光を当てていきたいということ。そのためには、流通を創るしかないのです。
アンケートの中に、こういうメッセージをいただきました。
「『すごくおいしいもの』は『いくらでも作れるもの』ではないことが多いので,インターネットで売られてしまうと作り手が迷惑するのでは?という懸念が捨てきれません。」
全く仰るとおり、これは守るべきことです。しかしその上で、やはりこの品を世に問うていきたいと地元の人たちが同意してくれるものに光を当てていきたい!広告の打ち方次第でヒットしてしまう商品ではなく、美味しく、正しいということで売れる商品がもっとあってしかるべきだと思うからです。
ということで、今年のやまけんは、食い倒れタイアップの商品販売に一歩踏み出します!とはいっても自分でサイトを創るようなことは今ひとつ乗り気でないので、どこかに間借りしたいと思います。すでに2つくらいのBtoCサイトさんとのコラボが進みそうなのですが、この日記をご覧になっているオンラインショップさんで、ご関心があるというところはご連絡を下さいね。
5.オフ会があったら参加したいと思いますか?
90%が「はい」ですね、、、
うーん
そうかぁ、、、
第一回オフ会in寿司処 匠 が16人参加。
第二回オフ会in無二路 が38名参加。
この次やったら100名以上の規模になってしまうでしょう、、、
ん~
どうやって人選したらいいんだ!
というこの悩みにも、回答が近々でる可能性があります!これは皆さんが「おおっなるほど!」と思ってくれるような、そういう解決策っぽい。ま、これはお楽しみにしていて下さいね。
さてこの他たくさんの自由回答をいただきました。アンケートCGIの仕様で、改行を入れようとすると送信してしまうようになっていたので文章が尻切れになってしまった人も多かったのですが(申し訳ないです)、それでも暖かいお言葉ばかりをいただいて、涙がちょちょ切れそうでした。熱に伏せっている間、何度も読みましたよ、、、
中でも一番笑ったのはこれですね。
「やまけんさん、食べっぷり素敵です!結婚してください!」 (Kさん・学生)
いや感動しました。食べっぷりだけでここまで人を魅了できたのか、俺は、、、
それと、関西の方々から、インデアンのエントリに共感して頂いているコメントが多数。その中に、「グランプリにないのが残念」と言って頂いている方がいらっしゃいましたが、インデアンはもう一昨年の段階の記事なんですよぉ、、、あれはもう殿堂入りです。日本最高のカレーですもの。
それと、けっこう回答者の地域がばらばらなのも面白い。ソースカツ丼の福井や、豚丼の帯広、そして外国と、首都圏集中ではない広範な読者層だったというのが、興味深いですね。やはりこのblogの意味は「出張」にアリですね!これから出張シーズンだから、楽しみにしていて下さいよぉ~
最後に、自由回答を書いてくださった方の2/3が書いてくださっていることがあります。
「あんなに食べて、やまけんさんの身体が心配です。本当に身体には気をつけてください」
はい、気をつけてます、、、
いつもあんなに食べているわけじゃないですよ!
かなりの食い倒れが続く時もありますが、家では本当に慎ましやかに、野菜だけ食べているんです。トレーニング回数は忙しくて減ってしまいましたが、、、
年末にジムにいって計測したら、体脂肪率は20%でした。うー 1年前の18%より増えている!年明けは頑張らねば、、、
と、そんな感じのアンケートでした。
ご回答いただいた皆様、本当にありがとうございました!暖かな自由回答は、私の宝にさせていただきますね。
今回のアンケート集計にご協力賜った、加賀谷&金子のアソブラボには大感謝!素晴らしい友人を持っているのが僕の一番の幸せです。
加賀谷のサイトでもアンケート集計の際の緊迫したデッドヒートを速報してくれているので、ぜひ観てください。
年始からいきなり、食い倒れ行が沢山出てきますので、お楽しみに!
改めてあけましておめでとうございます。
さて今年はいろいろとやって行きますよぉ。
まずみてお分かりの通り、本ページ最上段の題字が、見事な書になりました!
これを書いて下さったのは、、、
沖縄で我ら食い倒れ党員を暖かく迎えて下さった、川端卓の父親である川端吉郎大先生です!
※左端から川端吉郎大先生、タク、山本彩香さん
食い倒れグランプリ2004でも2位となった沖縄編の最重要人物であるタクの精神修養上最大に影響をもつ川端父は、じつは沖縄の重要ポイントに自分の書を残している人なのである。ちなみに山本彩香さんの店の字はほぼすべてがそうである。
ということで、この題字で2005年をスタート!
この場を借りて、川端吉郎大先生に御礼を申し上げます。ありがとうございました!題字に負けない内容を書いていきます!
この正月は、三十日から続く熱で伏していました。本当に寝正月だ、、、
3日にはなおしてフル稼働始めるぞ!
皆さん今年もよろしくお願い致します。