2005年12月26日 from 首都圏
代々木上原のフレンチ名店として知られていたカストールが、今年9月に京橋に移転した。店舗面積も人員も三倍と、まさに人生の大勝負に出た藤野シェフだ。
今度の店は、京橋の明治屋から歩いてすぐ、ビュレックスというビルの1Fだ。なんとケーキブティックも併設していて、長い面積を真ん中で切って右側にブティック、左側にレストランというスペースになっている。驚いたのは厨房の広さで、元の3倍はあるだろう。当然働いている人も多い。
カストール
東京都中央区京橋2丁目7-14
BUREX京橋101 〒104-0031
TEL03-3535-5035 レストラン
TEL03-3535-5015 ケーキブティック
URL http://www.2castor.com
この店に足を運んでビックリした一皿がある。
「スゴイ料理が出てきましたよ!」
と教えてくださったのは、元々この店に僕を連れて行ってくれた矢島さん。
「フォアグラとマンゴーを合わせた料理なんですけどね、もう最高なんですよ、、、」
うお!
どっちも旨そうじゃないか!
ということで押っ取り刀で駆けつけた。
この一皿がその衝撃作で、ソテーしたフォアグラの下にカラメリゼしたマンゴーを置き、コクのあるソースポルトで仕上げた逸品だ。
加熱されることで活性化したマンゴーの酸味と甘みが、フォアグラの油脂と相乗効果で官能的な世界を創り出している!文句なしの絶品だった。この時、代々木上原時代に感じていた上品でスタンダードで優しい味、というところから、銀座~京橋という尖った激戦区に殴り込みをかけるだけの剛力を感じたのだ。ほんとうにガツンと来る味だった。
さて、冬も本番だ。寒波で野菜の生育は思わしくないものの、寒さに当たらないと美味しくならない葉物野菜は年内からかなりの味に仕上がってきている。
そして冬と言えばなんといってもジビエだ!
鴨好きの僕としてはこの時期数回は鴨を食べに出る。そのベースメントとなるのがカストールである。ちょうど、クリスマスディナーの案内が届いていたので、嫁さんと一緒に食べにいったのだ。
店内はもう一杯。代々木上原時代からのお客さんだろう、ご年配の婦人を囲む家族のテーブルが3つくらいと、あとはカップルで満席である。店の中になんだか優しい空気が漂っていて面白い。フレンチにありがちな「勝負!」と挑むような客がいないということだろう。
さてアミューズに出た逸品が実に秀逸に旨くて泣けた。
鴨の燻製でりんごのコンポートを巻いて、コンソメのジュレをまとわせたものだが、天然ワサビが仕込んである。上に拍子切りに載っているのもそうだ。
(↑写真ここからGR-Dで撮影)
一口にいただくと、鴨の軽い薫煙香がたち、ジュレのひんやりした舌触りの中から熱の通ったりんごが溶け出してくる。そして微かにワサビのツンと立つ香りと刺激が舌を悪戯のように駆け抜けていくのだ!
ついで出てきたのはフォアグラのフラン。
胡麻豆腐茶碗蒸し?という風体だがフォアグラのプリンのようなものだ。
パンと一緒に食べたかったけれども、サービスの人達も忙しすぎて呼び止められない。残念。まあしょうがないな。
「やまけんさん、うちでまだコンソメを飲んでませんでしたよね?」
と浅利さんがカップにコンソメを煎れてきてくれた。
これがまたカストールらしい、華美さのない、限りなくやさしく丸い味のコンソメだったのだ。
(以降続く)
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