2005年9月20日 from 富良野
直近の原稿をなんとか書き上げて、フラフラになりながら「カレー食べるだけだから、、、」と自分に言い訳をしながら新宿に向かった。連休中ではあるけども夜の7時、そんなに混んでいることはないだろうと思ったら、小田急のエレベータが開いた瞬間にどどんと賑わっている11Fだった。北海道物産展はいまやどの百貨店でもドル箱だ。本州以南の人間にとって北海道は、遠き憧れの地でありつづけているのだろう。
前回の小田急新宿の物産展では、ラーメンとみ川と一緒に囲いがしてあるブースだったが、唯我独尊単体で出店している今回はオープンエリアで、マスターの声がフロアにとどろき渡るセットで非常にイイ!
マスターと一緒に店を切り盛りしているのは、富良野でソーセージ番を黙々と務めていた、マスターの片腕「カツ」だ。本名・村田克彦、なんとマスターの義理の息子、ていうか娘婿である。
「おおっ やまけん! 今日来てくれたかぁ!」
と先日来の再会。いつ観てもパワー満開の宮田マスター、全方位的にその陽のエネルギーを放射している!
本当にいつ観てもいい顔してるよなぁ、、、マスター。こういうオトナになりたいと切に願うところであった。
さて今回は、定番のソーセージカレー、ポークカレー、豆と野菜カレーだけではなく、ベーコンやソーセージ各種の燻製類を配したワンプレートディッシュがお奨めだ。
独尊のカレーは単体でも旨いが、彼ら手作りの燻製類と合わせると旨さが倍増する。強めの煙で温燻し
水分を飛ばした燻製類の強いスモーク香と、じんわりスパイシーな漆黒のルーとが合わさると無敵のハードボイルドなカレーになるのである!
今回もライスはスパイスミックスを混ぜて炊きあげられた特製富良野ご飯だ。これにルーが絡まり、コクの強い味になるのだ。
独尊はベーコンも非常に旨い!と思って齧り付いたら、なんと特製の味噌ベーコンだった!これは独尊のスペシャル燻製で、ベーコンの生肉をソミュール液につけ込むのではなく、味噌ベースのタレに漬けて調味・脱水したものだ。味噌の芳香と発酵・熟成香が相まって実に最高なのだ。実はこないだ、僕も真似して作ってみたのだが、絶品である。味噌とベーコンの相性がこんなにいいとは思わなんだ。
「やったぁ、味噌ベーコンじゃん!」
と声をあげると、「いや、普通のベーコンが切れちゃってさ、今だけだよ、今だけ」とのことである。いい時にあたってしまった!ちなみに味噌ベーコンはイートコーナーの脇で販売しているので、ぜひ買ってみて欲しい。
唯我独尊のいいところは、野菜をふんだんに、それも可能な限り富良野産の野菜を使うことだ。
「そのカボチャ美味しいでしょ?富良野では『粉ふきカボチャ』っていってるんだよ!」
本当に美味しいカボチャ。これに男爵芋の素揚げ、リーフサラダが載ってくるのだ。
「はいルーが足りなかったら『ルールールールー』って言ってくださいよ!おかわりかけますからね!」
と客を笑わせるコミュニケーションは健在!やっぱりこれである。調理人が厨房に閉じこもって隔絶されて、純粋に味を楽しむ店もいいものだけれど、こうしてマスターのように積極的に客との境界を崩してくれるのもまた最高に面白い。味にプラスαしまくりなんである。
さて当然ルーもお代わり、「ご飯ももう少し食べる?」と訊かれたのでもちろん食べたが、どうにも腹が減る。ので、野菜と豆カレーを改めて所望。
「マジ?ホントに食べるの?」
とカツが訊くけどホントです。
この店の豆野菜カレー、富良野産の多種多様な豆がふんだんに入っているから、実は結構お腹に貯まるのだ。マスターの豆の使い方は実に最高。富良野の食材の特性をバッチリ頭にいれて調理している。
ちなみにこの日、僕を富良野に誘った水先案内人である某ITメーカF社のD黒さんも、隣に美女を連れてご臨席であった。
「やまけんちゃんD黒ちゃん、鮭の燻製作ったばかりのヤツ食べて!」
おおおおおおおおお
なんと美しい身であろうか!
マスター、鮭の漁業権みたいなのを持っているらしい。来年はぜひ9月の時期に合わせて遊びに行きたいものだ。
タップリ堪能して、隣の外販コーナーで味噌ベーコンとソーセージ、それに特製パンを買って帰る。実は独尊のパンも最高に旨いのである。
そしたら、いつも富良野でマスターが「ここのお茶、旨いんだよ!」と呑ませてくれる、熊本の水俣のお茶生産農家さんである松本さんがいらっしゃった!
なんと彼も物産展で上京中とのこと。22,23日はたまプラーザ、24,25にちは横浜そごうの物産展に出展しているそうだ。「富沢商店という店でやっていますので、お立ち寄りください。」とのこと。
九州の熊本のお茶は、釜煎り茶など特徴のあるお茶が有名だが、彼の茶は穏やかな味がする、じんわりとしたいい茶だ。その人柄が反映されているんだろう。
本日、新宿近辺の人はぜひ独尊を攻めて、横浜方面の人はお茶屋さんを覗いてみて頂きたい。
マスター、お疲れ様です!今日一日頑張ってください!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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