君は富良野・唯我独尊のカレーを食べたか!? その1

2005年8月 3日 from 出張

 富良野駅は、後から後から湧き出てくる観光客でごった返していた。ネット接続できる内にとしばし都内と連絡を取り、仕事を終える。

「さって、行くかぁ」

カレーの名店、「唯我独尊」は富良野駅から歩いて3分である。
荷物をゴロゴロと転がしていくと、道路脇から少し入ったところにある、意図的に巧妙にデザインされたあばら屋風の店が、相変わらずいい味を出しているのに突き当たった。

■唯我独尊
北海道富良野市日出町11-8
0167-23-4784
営業時間 11:00~21:00
定休 月曜日(7~8月無休)
http://www.yuigadoxon.com/page003.html

平日の16時という中途半端な時間だからだろうか、店内にはまだあまりお客さんがいない。

「おーーーーーーっ! いらっしゃい!!!」

とマスターがデカイ声で僕を迎えてくれる。僕の数十倍も声がデカく喋りまくる人なんである!店でバイトをしている女性陣達もしっかりと「こんにちは!」と声をかけてくれた。この店の好感度は、マスターのこうしたきめ細やかな教育が行き届いているところから生まれるのだと思う。

「やまけんちゃん、今日はカレーでも食べてから、つもる話もあるし、いろいろ回ろうか!」

とマスターが鍋をボートのオールのような特大木べらで掻き混ぜ始めた。この、鍋前でのスタンスがマスターの基本姿勢なのだ。

「ちょうど明日・明後日・明々後日の3日間が店の来店客のピークになるんだよ!だから今日の内にゆっくりしとこうや! まあ、まずはカレー食べな!」

とマスターが言う。

盛りつけられたカレーにプックリしたソーセージが載り、コーンとフライドポテト、パセリが振られる。このほとんどが富良野で獲れた原料を使っている!この店のこだわりはスゴイのだ!

「あいよ、まずはこの店のベーシックスタイルのカレーを食べてくれ!」



これが唯我独尊のソーセージカレーだ!
独尊では、この厨房裏の工房で信じられないほどの量の自家製ソーセージ&ベーコンを仕込んでいる。この燻製類が信じられないほどカレーに合い、旨いのだ!だからこの店でカレーだけ食べてソーセージを食べないと言うのは、絶対にやってはいけないことである。

独尊のカレーは見ての通り漆黒のルー色である。まろやかな味わい、、、かと思いきや、グワッと強いスパイス香がのぼり、辛さがドドッと押し寄せてくる。そして圧倒的に深みのある旨味が眼前に世界を形作るのだ!

「いやー 旨いわやっぱ! 披露パーティの時も来場客が口々に『カレー最高!』っていってたからなぁ」

そう、唯我独尊のマスターは、僕の披露パーティにカレーを持ってきてくれたのである!大阪の大丸でのフェアまっ最中だったのにも関わらず、水分を飛ばしたルーや豆、ジャガイモなどを工藤ちゃんの店にドドどっと送りつけ、披露パーティ前日の最終電車で大阪から上京し、徹夜で工藤ちゃんとともに仕込みをしてくれたのだ。工藤ちゃんいわく、

「いやーアニキ、宮田マスターは鉄人ですよ!ずっとハイテンションでしゃべり続けてるんだもん、、、」

そしてその勢いは翌日の披露パーティでも炸裂!東京にいる唯我独尊ファンのD黒さんとアシスタントの美女と共に、凄まじい勢いでカレーを配りまくって下さったのだ!

今回はその御礼と、そして次なる仕事の話で来たのだ!
その話とは、、、そろそろ明かしてもいいだろう。

唯我独尊&出張食い倒れ日記 タイアップで、カレー商品を作ります!

この冬、ライブドアデパート(予定)で、完全にオリジナルな唯我独尊のカレーを販売しようというプロジェクトを、ずっと温めていたのだ。堀江君にも独尊のカレールーを送ったところ「旨い!絶対にやって!」といわれていたので、これはもうやるしかないな、という感じなのである。

「よし、じゃあちょっと一回りしますかぁ」

「え、でもお客さんが結構はいってきたけど、大丈夫?」

「大丈夫大丈夫!うちのスタッフは優秀だからサ!」

とニヤッと笑いながら、マスターが店を出る。マスターの孫、雷蔵(らいぞう)君も一緒だ。この雷蔵が可愛らしくてしょうがない子供なのだ。

「あ、ヤマケンでしょう~」

と初対面の僕にころころまとわりついてくる。男の子も可愛いものだなと初めて思った。
店を出ると、その辺に植えてある桜の木にマスターがとりついている!

「さくらんぼが沢山なってるんだよ!すっごい美味しいからねぇ、沢山獲っていこう!」

僕も早速木に登り、鈴なりになっているサクランボをとりまくる!

何も肥料をやっていないサクランボは、小ぶりながらその分味が濃く、甘酸っぱさと香りが堪らなく美味しい!

「やまけんちゃん、うちのカミさんが店だしたから、ちょっと寄っていこう!」

と店から100メートルくらいのところに、富良野では例外的に綺麗なブティックのような作りの店ができていた。

「きらくまるぶんぞう」と読むんだったかな、この店名を構成する漢字は全てお子さんの名前なのだそうだ!

「あら、いらっしゃーい!」

と宮田マスターの奥さんが迎えて下さる。彼女こそが、僕の披露パーティに唯我独尊が出展してくれるかどうかという時に「何をさしおいてもいってらっしゃい!」とマスターに言って下さったのである。感謝。


奥さんは「体育会系なのよ」という快活な女性で、宮田マスターとは高校時代からの付き合いだという、長いなぁ~ 仲むつまじく、ウラヤマシイ。しかもお子さん達との関係・つきあいが非常に上手に見える。皆、「家族の絆」がしっかりとしている感じなのである。

奥さんの店では陶磁器・絵画・芭蕉布や服などの極く選り抜かれたものがならんでいた。富良野を訪れる人はぜひ足を向けてみて頂きたい。唯我独尊から歩いて2分である。

さてマスターの車で一旦、宮田家へと向かう。富良野の夏の夕方は、あまりにも綺麗でずーっと車窓からの風景を眺めていた。

富良野の市街地からわずか10分ほどで、沢が流れる山林地帯に入る。なんとその4町歩という広さをマスターは買い入れて家を建てた。

この宮田家こそがマイナスイオン吹き出まくりの素晴らしい環境なのだ!

「荷物だけ置いて、少し富良野を走ってみよう!」

とマスターの車で走り始めると、夕陽を浴びて刻々と変化する、めくるめく風景があらわれては消えた。

1980年代のウインダム・ヒルレーベルのレコードジャケットのような風景が、富良野にはある。視覚だけではなく、その空気を一緒に吸うと、これはもう本当にそれだけでご馳走なのである。しばし何も言わず味わうだけであった。

(続く)