2005年3月10日 from 出張
ちょうど麺茹での狭間に入ったようで、茹だるまで少し時間がかかる。その間もひっきりなしに客が入ってくるので、たちまちのうちに満員行列になっている。じっとりと待っているとようやく僕らの分らしき2つの大皿が敷かれる!デカ鍋いっぱいに吹きこぼれそうになっている麺を太い菜ばしで皿に盛り込む。おばちゃんがちらっとこちらをみて、
「ちょっと多めですけどいいですか?」
と訊く。いや全く問題ないよ!どんどん盛って!
「ねぎとキュウリが乗りますけど、どっちも大丈夫ですか?」
もうバンバン乗せちゃって!んで、肉みそちょっと多めで!
どど~~~~~~ん!
これがじゃじゃ麺の”大”である!夢にまで見たじゃじゃ麺だ!うおー嬉しいよぉ
じゃじゃ麺の麺は、このとおり小麦粉と塩を練っただけの「うどん」である。カンスイの入った中華麺ではない。それを、さぬきうどんのようなコシのある茹で方ではなく、クタクタのトロトロした食感になるまで軟らかく茹でてある。なぜか数本、緑色の麺が入っているが、ヨモギ入り麺だろうか、、、風流である。
そしてじゃじゃ麺をじゃじゃ麺たらしめているのがこの漆黒の肉みそである!
「味噌だけでも数種ミックスされてますよね」
とI坂さんが言うとおり、ガツンとくる刺激はなくまったりとした味なのに、やみつきになってしまう中毒性をもっている。ゴマの香りが奥深くする、旨味タップリのじゃじゃなのである。中華では甜麺醤を使うが、これは違うな。甜麺醤は小麦粉が原料となった味噌調味料だが、こちらのじゃじゃは大豆由来の味噌ベースなのではないだろうか。
この双方をぐったぐたに混ぜ込みながら食べる。麺に味噌を絡ませ食べるのが旨いから、ここで上品に食べようと思ってはいけない!
ちなみに上に乗っているキュウリとネギも旨いのだけど、ネギは通常の小口切りだが、キュウリの切り方がなかなか特殊だ。中華料理店で出るジャージャー麺や冷やし中華には細い千切りキュウリが定番だが、じゃじゃ麺のキュウリは切り口が長さが2.5センチ、切り口が5ミリ四方になるくらいの直方体に切り揃えられている。
この太さが絶妙なカリポリ食感を産み出しており、柔らかい大量の麺を飽きずに食べさせるアクセントとなっているのである。皿が運ばれてきた当初は瑞々しくパリッとした食感で、食べ進むうちに麺の熱によってしんなりし、食べ終わる頃には食感が変化しているので本当に飽きない。
この他、味の濃い紅ショウガの厚切りとおろし生姜が脇に添えられている。卓上には酢、ラー油がある。カウンターにはなんばん(トウガラシ)の一升漬けと辛みそもおいてあって、自由に使うことができる。ラー油と酢をいれるとまた旨い。また、禁断のニンニク摺り下ろしを混ぜると破壊的に旨いのだが、明日の仕事のことも考え合わせ、泣く泣くあきらめた。
しかし、もう絶品である。これで大盛りが550円とは恐れ入った。
さてこのじゃじゃ麺、目の前の麺を食べて終わりでは、ない。卓上には意味ありげに生卵が入った丼がおかれている。
麺を食べ終わった後には、切れ切れになった麺の残骸とキュウリとネギ、肉みそがペースト状になったのが残っている。ここに卵を割り入れ、掻き混ぜる!
玉子とじゃじゃ麺残骸が混ざり合ったところで、厨房に手渡すのだ。その際に「チータンお願いします」と呪文を唱える。ここで「肉みそ多め」や「スープ少なめ」等のオプショナルな技もある。すると、厨房のおばちゃんが「はい~」と言って、麺茹で鍋から熱々のゆで汁をすくってこの皿の中に入れ、レンゲで掻き混ぜる。そこに肉みそを一盛り入れてこちらに戻してくれるのダ!
これこそがじゃじゃ麺の「後半戦」とも言える「ちいたんたん」(50円)である!絶妙にかき玉汁になった汁に肉みそを溶かし込む。
小麦粉が溶け込んだゆで汁と玉子の柔らかな風味、そこに肉みそが溶け込んだ味はもう筆舌尽くしがたくウマイ。いや、これ単体で食べてどうのという話ではないけど、じゃじゃ麺を食べてチータンで〆めるという、この一連の様式美が素晴らしいではないか!
「いやー旨かった!ご馳走様でした!」
じゃじゃ麺大で550円、ちーたんたん50円で600円。ここから得られる至福感はプライスレス、、、
盛岡のソウルフード、じゃじゃ麺にノックアウトされた午後なのであった、、、
と、そこで終わればいいのだが、終わらないのダ!
出張予告のエントリにコメントくれた方によると、紅茶のお店「シュン」というところの白いカレーなるモノがウマイという。カレー好きとしては押さえておかねばなるまい、と思い並行移動。
有名な商店街の近くにある、非常に綺麗なつくりの店だ。
上品なウェイトレスさんに「白いカレーあります?」と訊くと、、、
「あぁ~ 申し訳ございません、羊の良い肉が今日は手に入らなくて、本日はないんです、、、」
うわあああああああああああああ
ついてない!
ということで、もう一つの定番メニュー「わがままカレー」を食べました。
タマネギをたっぷり使った優しい味のカレー。「辛いですよ」といっていたが、あまり辛くはない。おちついた、紅茶専門店の風格が滲んだカレーだ。これはこれで美味しくいただいた。
いやしかし研究の合間を縫ってご案内頂いたI坂さん、本当にありがとうございました!
車で盛岡駅に行く途中、岩手山がパノラマに綺麗にみえた。
「昨日まで雨だったのに、今日はスゴイ晴れようです。明日からまた崩れるようですが、、、」
はい、それは私が晴れ男だからです。イヤほんとに綺麗な岩手山。満足感に浸りながら、岩手の銘菓「鴎のたまご」を買って社内で食べ、帰京したのであった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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