2005年2月15日 from 陽光の国 シチリアを行く
さて昼を食べた後は、ホテルで休憩。この「少し休憩」が非常に効く。キーコの言うとおり、イタリア時間である「昼飯食べたら休んで、5時くらいからまた動き始める」というパターンがとても動きやすい。日本の観光気分で日中はずっと歩きづめ、という感じになると、きっと3日と持たないだろう。各自ベッドで眠りにつく。1時間くらいで目覚めると、メインストリートに繰り出してウインドウショッピング。僕は、COINというデパートで念願のイタリア製ジャケットをキーコに見立ててもらい買ってしまった。サルディ(セール)だったので4万円のものが1万2千円で買えた。モノも非常によい。
それにしてもイタリアの建築物と、それで構成された町並みはとても美しい。写真は、ビア・エトナという名前の通りで、その彼方に小さく雪を冠したエトナ山をうかがうことができる。
その後、僕だけインターネットポイントに行く。日本ではインターネットカフェとか漫画喫茶でやるが、イタリアでは本当にインターネットに接続可能なPCが並んでいるだけのインターネットポイントが多い。一時間2ユーロくらいの低価格で使うことができる。シチリア編の数回、ローマ字だけで打ち込んだのは主にこのカターニャでのものである。1時間ほどWebメールを閲覧。帰ったら仕事が大変だなぁと冷や汗をかいていた。
「さってと、メシはどうしようか?馬肉を食べさせる店があるんだけどそこにする?それとも、俺がホテルの厨房に務めてた時によく行ってた、すっごい安くてボリューム満点のパニーニ屋台に行く?」
正直言って連日の大食いでそんなに腹は減っていないのだが、、、んー 馬肉レストランっていかにも重そうだ。パニーニで軽くというのがよさそうだな、ということでパニーニを選択することとなった。
「じゃあ、バスでいくよ!」
カターニャではバス停に並んでいても、ほぼ時刻表というのが無いので、ひたすら待つしかない。314系統というバスが来るのを待っているのだけど、15分以上こない。身体はキンキンに冷えてくる。この間、コバと僕とでひたすらシチリア美人のチェックをし、寒さをやり過ごしていた。
「やっぱこっちは眼鏡美人がどう考えても多いよな!」
「サイコーっすよ!」
黒髪に特徴的な高い鼻に眼鏡をかけているシチリアーナは知的で美しい。しかしその向こうに、眼鏡を外した時に拡がるであろう官能的で蠱惑的な微笑のようなものが透けてみえてしまうのは何故だろう!?いやぁ 女性って本当に素晴らしいですね。
さて待つこと20分でようやくバスが到着。荒っぽい運転に揺られて15分、海岸沿いの通りに出る。
「えーとそろそろあるはずなんだけど、、、お、あった!あれだよあれ!みんな降りるぞ!」
とキーコが懐かしそうな声をあげてバスを降りる。もうすっかり暗くなった、海へりの車だまりの横に、屋台が2つ立っていた。
屋台は二つともパニーニを供するものらしい。屋台と言ってもなんだかトレーラーハウスなみに横に長く、屋根のついた立派なものだ。営業許可を取って、ここで据え置きで営業している店なのだろう。
ショーケースの中にはずらりと惣菜が並んでいる。ドライトマトやフンギのマリネ、揚げナスのマリネやカポナータなど、野菜系の惣菜が中心だ。
その横に肉類が並んでいる。ハンバーグパテもあるが、サルシッチャ(生ソーセージ)に鶏の胸肉、そして写真の中央上部にみえる赤肉は、なんと馬肉である。
「こっちではけっこう馬肉をよく食べるんだよ!しかもすごく安い。」
ふううううん。 馬肉、旨いもんな! 日本では馬肉と言えばまず馬刺が出てくるけど、こちらでは違うらしい。
「馬肉を鉄板でジューって焼いて、暖めたパニーニに載せて、それに好きな惣菜をのっけて挟んでできあがり、だよ。」
うおおおおおおお こいつぁ いい!
自分の好きな具を選んで挟める、お好みタイプのパニーニなのだ。僕は今までパニーニというと、お上品にハムとかチーズ、トマトなんかを挟んでホットプレッサーで挟んで焼き目をつけてハイできあがり、といった綺麗でお上品なスナックの感覚だった。しかしここのは全然そういうのとは違うお好み感である!
「よし、それならおれは馬肉を食べるぞ!あとメランザーネ(ナス)が大好きだからナスマリネを載せて、オリーブオイルをかけてもらおう!」
キーコがそれを伝えると、早速傍らで馬肉をジューと焼き始める。飲み物にバカルディのレモンカクテルを頼んでいると、すぐに出てきた!
おおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これぞ僕が望んでいた食べ物ではないか!?
なんだかんだ言ってどうせおいらはこんなB級っぽいのが好きなのさ!
でもマジで旨そう! さっそくかぶりつく。
馬肉はこちらでは安肉だというが、まったくクセがなく噛みごたえとコクがあって美味しい!それにメランザーネのマリネの酸っぱさ、オリーブオイルの香り、そしてパニーニのきもちパリッとした香ばしいパンの香りが、もうたまらん!
激烈に旨い!
「やまけん、フリット・パタータ(ポテトフライだ)は?」
「もちろんいるいる! ケチャップとマヨネーズたっぷりかけろって言って!」
というと、本当にデロッとかかってきた!
ぐおおおおおおお
もう悶絶である。こちらのポテトフライはどこかのハンバーガーチェーンのようなポテトにいろんなのを加えたまがい品ではなく、本当に芋を割って揚げただけのものだ。こんな簡単な料理でも旨い、、、
パタータとパニーニ、そしてバカルディだ。キーコはもうみるだけで食欲を無くして、ポテトを数本つまんだだけだった。コバはまた何か違う組み合わせで旨そうなのを食べていた。
「よーしもう一個たべるぞ!」
「え、まじ?まだ食えるの???」
という声を尻目にまた具を頼む。こんどはサルシッチャを焼いたのをメインに、フンギのマリネ、ドライトマト、カポナータを欲張って載せてもらう。それがこんなになって出てきたのだ!
うおおおおおおおおおおおおおおお
なんて殺人的な光線を放つ旨そうなプレゼンテーションなんだ!
もちろんすぐさまかぶりつく。滑らかなフンギの食感と風味、ドライトマトの塩気と酸味、そしてサルシッチャの旨味。
旨い~~~
シチリア上陸後の中でこれがベストだ!
しかも会計をして本当に驚いた。なんと最初に頼んだのが2ユーロ、後のてんこもりが3ユーロ程度だ!500円前後である。昼間のアンティカ・マリーナの3人で120ユーロと比べたらいけないのだが、、、いやぁ、これはノックアウトだ!実に最高ではないか!
屋台の兄ちゃん達も相当にノリが良い。僕が喜んで喰いまくって写真を撮っていると、ポーズを撮ってくれるし、遊んでくれた。
「ホテルで働いていた時、月末になると金が尽きてくるから、ここでパニーニ食べて夕飯にしたもんだよ。でも、旨いでしょ?こういう勢いがあってオペレーションが可能なのを日本でもやりたいんだけどね!」
僕はパニーニという食べ物を見誤っていた!上品なホットサンドイッチかと思ったら、違うじゃないか!これは労働者向けの激ウマなんでも挟みサンドである。日本で言えば、どんぶりご飯の上にいろんな惣菜をのっけて「何とか丼」と言ってしまう類のものではないか!
カターニャの屋台で食べるパニーニは、食い倒れ仕様の逸品なのであった!
いや大満足。寒空を忘れるほどに興奮してしまったのであった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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