仙台といえばやっぱ牛タンでしょう! 熟成された分厚い牛タンの旨味を堪能した! 「利久」

2005年1月10日 from 出張

さて今年発の出張は久しぶりの仙台だ。岩手、宮城、青森には、あまり仕事上の縁がない。旨いものがたくさんある地域だけに残念な話だ。
仙台の旨いもの、といえばこれはもう色々ある。三陸の海の幸は言うまでもないが、枝豆を磨り潰したねっとり香ばしい香りのずんだ餅などは最高に旨い部類の甘味ではないだろうか。

そしてやはりなんといっても牛タンだ!仙台出身の娘が「あのねぇ、仙台の人はそんなに牛タン食べたりしないよ」と言うが、でも一方で「食べるならあそこだよ!」と口角泡を飛ばして議論が始まることも多い。要するに地元の人にとっては、名物化された状況に対する愛憎の深い食べ物なんだろう。

牛タンの切り身を塩味で炭火焼きし、浅漬けと青トウガラシの味噌漬けを添え、テールスープと麦飯と一緒に供するというスタイルはここ仙台が生み出したゴールデンスタイルだ。やはり先達としての「太助」の存在抜きには語れない。僕も仙台にきたらとにかく太助で「食事」をいただくのが恒例行事だった。しかしそろそろ、また違う店にも行ってみたいものだ。

「うん、それじゃ、俺が一番旨いと思う店に連れてくよ。」

と請け負ってくれたのが、今回の仕事のクライアントである恵ちゃんだ。

東京で商社に務め、タマネギのスペシャリストとして活躍した後、仙台の市場業者としての家業を継いだナイスガイである。学年が僕と一つしか違わないので、言葉に出来ない連帯感がある。

「牛タンも色んな店があるんだけどね、肉に厚みがあるのに柔らかい。包丁で切り込みをそんなに入れなくても歯で千切れる柔らかさは、ここしかないんじゃないかなぁ。」

そう言いながら彼が連れてきてくれたのは、仙台市街にある「利休」である。

■牛タン焼き 利休
http://www.rikyu-gyutan.co.jp/

※支店がいっぱいあるのだが、どこの店に入ったか分からない!こんど恵ちゃんに訊いておきます。

店に入ると席は空いていなかったが、10分ほどで入れるという。恵ちゃんがびっくりしたように「運がいいぞ!」と言う。

「普通の日は、順番待ちの行列がとぐろを巻いてるんだよ!奇跡的だなぁ、列の一番最初だなんて。」

その言葉の通り、僕らが並んだ後、すぐさま数組の集団が並び始める。店の兄ちゃんが出てきて「はいっお次は何名様ですか?」と訊いていく。この兄ちゃんのトークが軽妙で笑える。女性には「空きましたらお電話差し上げますので、個人的に電話番号教えて下さい!」など笑わせている。恵ちゃんいわく「仙台にはこういうノリの人は少ない」そうだ。

さて5分ほどで入店。着席後すぐに牛タン1.5人前をオーダー。単品で1200円くらいだったろうか。1人前頼むよりやはりドカンと1.5人前でしょう!それと僕は浦霞。熱燗にしてくれというと、東北のどこにいっても必ず「この酒は燗にしない方が、、、」と眉をひそめられてしまうのが煩わしくてしょうがない。
さてこの店には、牛タン塩焼きだけではなく色んな料理がある。牛タン刺しや煮込みなどを頼む。

さて牛タンがババッと焼かれて盛られてきた!久しぶりのご対面だ!

手前に見える緑色の細いのが、青トウガラシの味噌漬けだ。オーソドックスな仙台スタイルである。

ブリブリッとした食感が観ているだけで伝わってくる、張りつめた感じのテクスチャーである!もう堪らず一切れを一口で放り込む!ザクリという食感、しかしそのまますぐ歯で噛み切れる絶妙でモッチリともした感触だ。太助などの店の、噛みきるのに格闘が必要な牛タンとは全く違う!

「やまけん、これにはね、七味をバっとかけて、トウガラシの味噌漬けを囓りながら食べるのが一番旨いんだよ!」

と恵ちゃんがいうので試してみた。

 確かに旨い! タンの塩味と、熟成された旨味の深い世界、そして七味の香りとビリッとした辛み。それを口にしつつ、トウガラシ味噌漬けをほんの2ミリ程度囓ると、味噌の甘い香りの縦軸がいきなり口の中に現出されて、全く飽きることがない!


「旨いじゃんかこれぇ~!!」

「そうだね、お客さんが来た時にいろいろな店に連れていくけど、ここが一番旨いなぁ。みんなここに連れてきたいんだけど、凄まじく並ぶから、団体出来ている人たちを連れてくるのは難しいんだよ。ヤマケンは一人で来たし、しかも並んでなかったから運がいいよ!」

そうなのだ俺は食べることについては本当に運に恵まれているのだ。

「はい、牛タン刺しになります。」

恵ちゃんも初めて食べるという牛タン刺し。ご覧の通りタンにはきめの細かいサシが入っている。

ニンニクとショウガを少しだけ落とした醤油につけて食べてみる。

ネットリとした食感。しばらく噛んでいると、脂の甘みと肉の風味が浮かんでくる。なんというか独特の風味が立ち上るが全く臭くはない。どちらかと言えば気品のある香りだ!

「やまけん、せっかく宮城に来たんだから、魚も食べな!」

というので、名物の牡蠣を頼む。

広島のそれに比べると、水温の関係上、ややこぶりなサイズになるらしいが、味と香りはその分上品さがある!

この他にもタンの煮込み、ガーリック焼きなど頼んだが、さらに牛タン焼きが食いたい!

「じゃあ、牛タン定食と、、、牛タンカレーも食べておきなよヤマケン!」

ということで、恵ちゃんが牛タン定食を頼むが、牛タンは俺がほとんど食べ、その上で牛タンカレー定食を食べるという暴挙に。

今度運ばれてきた牛タンは、さっきのより身がブリブリとしていて旨い!店員さんにそれを言うと、

「そうですね、牛によって味がやはり違いますから、皿ごとに違う味と言っていいかもしれません。」

ということだった。ここではやはり塩漬けにした後、独自の温度と期間で熟成させるのだという。そう、大型動物の肉は熟成が命なのだ!


牛タン定食といえばテールスープも付き物だ。これもまた旨い!全体的に、東京で食べる定食よりも分量が多いぞ!

そして、地元の人も「旨い」という牛タンカレー。

大ぶりのタンがホロホロになるまで煮込まれ、それがゴロゴロと入っている!こんなのが不味かろうハズがない!大満足である!

「旨かったかい?牛タンは色々と好みがあるんだけど、俺はこの利久がいちばん好きだよ!」

ええ、美味しゅうございました!太助とはまた違う、非常に熟成の進んだ柔らかく旨味の濃い牛タンを堪能した!

この後、一大繁華街である国分町で痛飲し、代行を拾って駐車場に向かうものの、駐車場が12時までで閉まってしまうことを忘れていたため、荷物なしでホテル泊。ひええええ

そして翌日はいよいよ山形編である!