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2004年11月29日

第二回 銀座食学塾 「おコメは好きですか? おコメのことを知ってますか?」

先回も告知した、銀座 食学塾の第二回が開催されるので告知させて頂きます。今回のテーマはずばり「お米」。今回は僕は裏方で、シンポジウムコーディネータは元・ニューズウィーク編集長の藤田さんです。生産者、流通業者、業界のジャーナリストさんなど面白い話・裏話が聴けると思います。交流会では色んな種類の米の食べ比べをしますので、ふるってご参加下さい。


第2回 『銀座 食学塾』のご案内 

【タイトル】  『おコメは好きですか? おコメのことを知ってますか?』
                    
今回のテーマはおコメです。ご飯を毎日のように食べておられると思います。でもお
コメのことを知っていますかと改めてたずねられると多くの方が詰まってしまうので
はないでしょうか。生産のこと、流通のこと、価格のこと、輸入のこと、安全のこ
と。いろいろな立場の人に語ってもらうことで、おコメのことをもっと知ることがで
きたらいいなと思います。そして消費者、生産者、そして流通に携わる人たちで率直
な意見の交換をしましょう。それが明日のおコメにつながります。

【日時】  平成16年12月7日(火)
       
       受付け 18:30~
       第1部 シンポジウム          19:00~20:45
       第2部 おコメの食べ比べ試食会&交流会 20:50~22:00

((続きは下記↓をクリック))

【会場】    シンポジウム : 畜産会館(紙パルプ会館向い側) 
         試食会&交流会 : 紙パルプ会館
         〒104-8193東京都中央区銀座3-9-11
 (お問合せ) TEL03-3584-8111(代表)
  (アクセス: http://www.kamipa-kaikan.co.jp/ )

【シンポジウム】(19:00~20:45)

ファシリテーター :藤田正美 フリージァーナリスト

[1948年東京生まれ。東洋経済新報社で経済記者を14年務めた後、ニュ-ズウィー
ク日本版に参加。1994年に同誌編集長に就任、2001年より編集主幹となり、2004年4
月に独立。フリージャーナリストとして、国際問題、政治・経済などに関して発言を
続けています。]
                              
パネラー     :船久保正明 ふなくぼ商店経営者 米・食味鑑定士

[ お米のソムリエ”食味鑑定士”の船久保さんは、お米に合わせた一番美味しい精
米をする精米職人でもあります。現在、江東区でお米屋さんとお握り屋さんを経営
し、銀座の飲食店にもお得意先がたくさんいます。美味しいお米の炊き方から、米流
通の裏話まで、普段聞けないおコメの話しが聞けると思います。]

            斉藤公雄   農業生産法人アグリクリエイト 代表

[ 有機農業を目指す仲間たちと『有機栽培あゆみの会』(会員250名)を結成
し、代表として活躍中の斉藤さんは、有機農業は発酵の世界だ!とおっしゃっていま
す。自らの米作りや有機農業の現場の話しをお聞きしたいと思います。また、第1回
で聞けなかった、『消えた、秋田こまち』の続きを楽しみにしてます。 ]  
                                      
          
            大久保利克 株式会社商経アドバイス 事業部長

[ 同社は、コメ流通に関する専門新聞(同名)を発行しています。消費者にはあま
り馴染みのない新聞ですが、コメの生産から流通に至るまで、コメを消費者に供給す
る側が必要とする情報を掲載しています。コメ販売が民営化となった昭和26年に創刊
されました。大久保さんは、同社で食管法時代より記者活動を続けられ、新潟支局長
の経験もあるそうです。]


【おコメの食べ比べ試食会&交流会】 (20:50~22:00)

今回は、おコメの食べ比べをして頂きます。5K3,500円のコシヒカリと、5K2,000
円のコシヒカリ、また、新米・古米の4種類です。その違い、分かるかな?!・・・
また、特別企画、銀座食学塾コアメンバーで、寿司の伝道師、岡田大介が寿司を握り
ます。寿司飯で、古米・新米の食べ比べ体験をしてもらいます。
どうぞ、ご期待ください!!
       
【主催】     『銀座 食学塾』

『銀座 食学塾』は、
「農」的な物や、土から一番離れたイメージの銀座で、
こだわり農業生産者と、「食」を提供するお店の人、そして
皆さん(お客さん)が出会い、
「食」に関連した、「農業」、「健康」、「食育・農育」、
「食の国際化」などのテーマについて意見交換する
コミニケーションの場です。
この出会いから生れる、食や農を意識した生き方や
価値観を、銀座から世界に発信していきたいと思います。
 


【協力】     『未来塾21』
          『新世代の会』
          『日本オーガニックネットワーク』

【参加費】   第1部 シンポジウム   一般 1,000円
                         学生   500円

         第2部 試食会&交流会 一般 3,000円
                         学生 1,500円
         (参加費は当日、会場にて申し受けます。)
【定員】 50人

【申込み方法】
以下のフォーマットを、貼り付けてメールでお申込みください。
お申込み先  info@aguri-tokyo.co.jp

*お申込みは、12月2日(木)までにお願いします。
 会場の都合で、50名を超えた場合お申込みをお受けできない場合があります。
 お早めにお申込みください。
   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2回 『銀座 食学塾』 参加申込書

第1部 シンポジウム     参加 ・ 不参加

第2部 試食会&交流会   参加 ・ 不参加

1.氏名
2.所属(会社名等)
3.TEL&FAX
4.メールアドレス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【お問合せ】

『銀座 食学塾』事務局  (農業法人㈲アグリクリエイト内)
高安 和夫
TEL:03-5540-4117 FAX:03-5540-4118
E-mail: takayasu@aguri-tokyo.co.jp
****************************************

Posted by yamaken at 23:47 | Comments (2) | TrackBack

やっぱりハタハタは秋田の郷土の心だ!秋田料理 「ちゃわん屋」(後編)

さて いよいよこれから魚が出てくる気配が!まずは燗酒で喉を暖めておく。

そういえば、秋田の人は純米酒や吟醸酒を燗では絶対に飲まないようだ。給仕の若旦那も「燗で」というと心外な顔をするし、助役もNさんも「ふううううん、、、」という腑に落ちない顔をされる。郷に入っては郷に従えと言うのだが、冷酒でいくとせっかくの味蕾が縮んでしまうので、なんと言われようと燗にしてくれとお願いした。

呑んだのは飛良泉(ひらいずみ)を中心に、秋田の地酒ばかり、それも純米ばかりにする。やはり飛良泉の上燗を少しおいて冷ますくらいが一番、秋田の味覚に添うような気がする。

「はぁーい、ハタハタの塩焼き!」

■鰰(ハタハタ)塩焼き

おおおおおおおお
いきなりでたぁ! ハタハタの塩焼きだ!

前編にも書いたとおり、このハタハタが僕の秋田でのナツカシ味覚である。中ぶりの、15センチくらいのハタハタだが、ブリコがぎっしりと詰まっている。頭から思い切り腹までかぶりつくと、卵がはちきれてぽろぽろと落ちる。

プリコを噛みしめると、あのブチン・ブチンという感触が弾ける!そして、やはり魚卵臭くない、優しい旨味のエキスが油分とともに舌をなめらかに撫でていくのだ!

「おおおっ旨いよぉおおおお、、、何年ぶりだぁ、、、」

本当に数年ぶりに食べた! ハタハタ自体は数回口にしたが、それはハタハタの麹漬けなど、身を調理したものばかりで、このはち切れたブリコを食す機会は本当に数年ぶりである。感動に視界がかすむほどに旨い!あっという間に平らげると、「やまけんさんこっちも食べてください」ともう一匹差し出される。嬉しい、、、

「塩汁(しょっつる)で最後、またブリコが出てきますから、それまで他のを楽しみましょう」

と出てきたのが、出た!ダダミ刺しである!

■ダダミ刺し

この脳ミソ状の白い物体、鱈の白子である。北海道では「タチ」と呼ぶこの最高な食材が、秋田では「ダダミ」。なんたる言語感覚の隔たりであろうか!底には優劣や美醜はない。ただ、
「なんでそういう名前なの?」 というプリミティブな疑問を呈するばかりだ。まぁ解答はないんだけどね。

このダダミ、北海道で食べるタチよりも柔らかでなめらか。北海道のタチだともうすこし個体としての要素が強く、プチンとしたあとムッチリトロトロとなる。けどこのダダミは最初からトローンとしている。ん?もしかしてこのトロトロドロドロの感じが「だだみ~」っていう言語感覚に繋がってるんだろうか。大変に興味深いぞ。

■あん肝

秋田でもあん肝を食べるんだな。立派なでかさのあん肝はほどよく蒸されていて、コクがあって最高に旨い。

助役とN氏、I氏の会話も弾む。村役場と県庁の立場はちがえど、みな秋田をこよなく愛しなんとか良くしていこうという気概に満ちた人ばかりだからだろう。酒を呑み、旨い郷土料理を前にすれば、ポリシーの違いは簡単に吹っ飛んでしまう。

■男鹿の活タコと活ブリ

そういえばここまで刺身が出なかったが、いやもうこの刺身の鮮度と旨さは何も文句のつけようがない。

みよ!プリップリな活タコを!

みよ!このトロリと脂を一枚まとったブリの刺身を!

濃い口醤油につけ、つつと口に運ぶと、なんとも上品な味とコクが拡がる。そうだ、秋田の海の幸は全て品がある。それがキーワードかな。

■舞茸と豚ホルモンの炒め物

「何か食べたいものは?」

と訊かれたのでこの炒め物を頼んだ。まだ行ったこと無いが、秋田では豚のホルモンを使った料理がかなり有名だ。なのでここでも頼んだのだが、一口食べて驚いた。
いや、味は非常によい。旨い。けど、この夜始まっていままで口にしてきたどの食べ物とも違う世界観だ。

それは、油脂の存在だ。これまで出てきた皿には、人工的に抽出した油脂はまったく介在していなかった。そこにいきなり、かなりの強さをもつ油脂と、動物性タンパク質(ホルモン)の登場である。味覚の地平の違いに、本当にびっくりした。

結論として、この一皿も非常に旨いのだが、こと山菜と海の幸を食べている合間に置くべき皿ではなかった。この辺、僕自身のセレクト眼が上手く機能していなかった。反省。でも、料理としてはすんごく旨いぞ!豚ホルは下処理がいいのだろう、臭みも少なく舞茸の繊細な味わいとマッチしていた。濃いめの味付けにご飯を欲してしまうがここは踏みとどまる。なぜならこれからがメインだからだ。

「はい~っ 塩汁(しょっつる)よ!」

■塩汁鍋

何を隠そう、僕は塩汁を食べるのが初めてである!そりゃそうだ、ハタハタを食べる最もポピュラーな料理がこの塩汁なのだが、ハタハタ自体を口にしてこなかったのだから、、、

ちなみに「しょっつる」というと、ハタハタや雑魚を塩漬け発酵させて魚醤という調味料にしたてたものを言うが、同時にそのしょっつるで味を付けた鍋物のこともしょっつる(塩汁)というらしい。この日の午後、大潟村からホテルに向かう途中、車中で村役場の方とこういうやりとりがあった。

「(調味料としての)しょっつるって、なんの料理に使うのが一番ポピュラーなんですか?」

「ん~ しょっつるですねゃ」 (←秋田弁!)

「いや、そのしょっつるを使った料理って何があるんですかね、ってことなんですけど」

「ですから、しょっつるですねゃ。」

「、、、」

そう、鍋の名前もしょっつるなのである!野菜類とハタハタを、塩汁で味付けしただし汁で煮たのがこの塩汁鍋だ。

「やまけんさん、我々はハタハタはいりませんから、3匹分食べてください。」

えええええええええええええええ
塩焼き分も合わせると都合5匹食ってしまうのか、俺は、、、

塩汁鍋のだし汁を取り皿にとり、一匙すする。濃厚なだし汁に魚の旨味と塩気が溶け込んで、豊かな味だ! しかしこの時気がついた。この味、非常に豊かなのだが、縦軸の線がピンと屹立している旨さだ。そう、明確にさきほどの舞茸と豚ホルの炒め物の味世界と違う。

秋田の郷土の味は、強くしなやかなピアノ線を何本も束ねて縒り、ビンと張った単色・単線の味世界なのだ。引き算の世界で、シンプルにして強い旨味を一本だけ。だからご飯に最適にマッチするものばかりなのだ。水墨画の世界がモノクロームなのに無限に豊かであるのと同じ意味で、秋田の食世界はストイックにして豊かだ!これを発見して僕は小躍りしそうになった。

さきの舞茸豚ホル炒めには、コシヒカリのような、油脂と肉にマッチした米が合う。でも、伝統的な秋田県の郷土食には、もう少し主張の柔らかい、ストイックな線の米品種が合うのではないか、だからあきたこまちが現れ、農家の家ではひとめぼれが食べられ、ササニシキが珍重されているのだ。ここしばらくの秋田詣でで、自分なりの解釈に行き着いた。的はずれかも知れないが感動してしまった。

思わず言ってしまうぞ ビバ、秋田!

ブリコがはみ出したハタハタにかぶりつく。塩汁の強い塩気とブリコのブチブチ感、そしてなめらかな旨味が僕の舌を撫でる。ホロリと引きちぎれる身も旨味が濃く、白菜や葱と合わせると甘みも滲んできた。

もう言うことはない。3匹ハタハタを食べて、もう腹一杯です。

「いや、ご馳走様でした!」

「いやぁ、ぼくら秋田県人でもこの店はあまりきたことがなかった。助役、どうもありがとうございました、、、」

このちゃわん屋、前編に秋田のヤング米農家”ひろっきい”のコメントがあるように、地元の人間もイチオシの店である。僕をそういういい店に導いてくださって、本当にありがとうございます。

急な階段を下り、N氏がカクテルを飲もうと言い出した。川反のバーでマティーニを呑み、助役とお別れ。N氏がいたずらっぽく笑いながら

「そばでも食べに行きますかぁ」

と言う。そりゃあ行くしかないだろう。何せ今日は、秋田の食のイメージを完全に自分の中で視覚化した記念すべき日だ。

ということで、この後に蕎麦一枚と中華そばを食べ、ブリコ以上にはち切れそうな腹をかかえてホテルでバタンキューだったのだ。

Posted by yamaken at 11:09 | Comments (6) | TrackBack

やっぱりハタハタは秋田の郷土の心だ!秋田料理 「ちゃわん屋」(前編)

 僕が初めて秋田に行ったのは大学院修士の頃、農業情報という分野で研究をしていた僕はに、大潟村という先進的な米作地帯のある機関から講演依頼を受けた。その頃、若手で農業とインターネットを結びつけた研究を行っていたのは僕くらいだったから、話が来たのだろう。秋田に飛んだ夜、市内の料亭でメシを食べさせてもらった。

そこで初めて食べたのがハタハタだ。秋田県民の心といっていいこの魚を、関東で育った僕は初めて観た。ウロコが無く、ぬめっとした感じの魚。頭からかぶりつくと、口の中に「ブチブチブチっ」という強い弾力感が走った!それが「ブリコ」と呼ばれる、腹に卵を抱いたハタハタだったのだ。強い食感の割には、魚卵特有のひねた香りがほとんどし無いマイルドな味。

「旨い魚ですねぇ~!」

「これが20センチくらいですから、一匹2000円くらいですかね。今、出漁規制されているので高いんですよ、、、」

そう、秋田では乱獲でハタハタの個体数が激減したため、長いこと禁漁ということになったのである。県民の苦しみやいかばかりであったろうか。居合わせた人たちが口々に、

「昔はトロ箱1パイが500円くらいで買えたのに、、、」

「ハタハタなんて、毎日出てくるおやつだったのに、、、」

という愛惜の念のこもった細い糸のような言葉を繰り返すのだった。その日僕は1匹2000円のおおぶりなハタハタを3本食べた。そのブチブチというブリコの食感と上品な身の味は、今に至るまでよく覚えている。

「いやぁよかったですよ、もうハタハタは獲れるようになりましたから。」

秋田の大潟村助役と県庁のN氏がニコニコとしながら、秋田市の繁華街である川反(かわばた)の路地を歩いていく。

そう、本日は大潟村での仕事だったのだが、夜は別件でお付き合いいただいている県庁のN氏、I氏とも飲み交わそうということで川反に来ているのである。

「ここです!やまけんさんが美味しいと思うかどうかわかりませんが、、、」

と言いながら助役が階段を上がっていった。

■ちゃわん屋(詳細は下記画像ご参照)

階段を登ると、威勢のいいおばちゃんと若旦那が迎えてくれる。民芸調の居酒屋である。特にきらびやかでも嫌らしくもない、本当の居酒屋という内装。ここには地元の人が沢山くるのだろう。まったく飾っていない店内に好感を覚える。

座敷にはすでにI氏が座っていて、僕を迎え入れてくれた。

「今日は秋田の味を堪能していただきますよぉ~」

この店を選んで下さったのは助役である。N氏もI氏もここは初めてだといい、品書きをとっくりと観ている。この品書きがまたイイ!


どうだ? 久しぶりに煌めく品書きを観た!いい店のお品書きからは光が放射されるのである!「ダダミ刺し」ってなんだ???「くろも」?? こういう、地のものをリーズナブルに出す店に来ると、本当に品書きを観るだけで心が豊かになる。

嬉しくなって、皆さんがビールで始めるところを、僕だけ初っぱなから燗酒をいただく。

「はいよ突き出し!自家製の豆腐にとんぶりを混ぜてあります。」

と、いきなり秋田名産「畑のキャビア」とんぶりが仕込まれた豆腐である。

これがしみじみと旨い。豆腐には柔らかく火が通っていて温かい。すでに寒空の呈をなしてきた秋田の夜にこの温かさが心を和らげる。

「今日はね、コースでいきますけど、絶対にこれはたべたいってものありますか?」

と女将が訊くので、「ミズのたたきと塩汁(しょっつる)鍋!」と叫ぶ。ミズは東北の誇る山菜で、これをミソと一緒に形が無くなるまで叩いたのが最高なのだ。

8品くらいのコースでこうやって出すものを訊いてくれるのは嬉しいな。柔らかいアタリの女将さんがメモしてくれた。

そこに出てきた二品が、これまた秋田の名産だ。

■じゅんさい(左)ととんぶり

じゅんさいって秋田名産だったのだが、知ってました?

実はこの初夏、じゅんさい収穫が最も盛んになる時期に地域を周り、収穫風景をみたことがある。沼のようにした田に小さな舟(九州の干潟で使う”ガタ”のようなヤツだ)で入り、じゅんさいを摘んでいく。猛烈にやってみたくなったのだが適わなかった。この時期食べられるとりたてのじゅんさいは、「醤油味の小鍋仕立てにすると美味しいですよ」という。これも食いそびれた!

もう一つのとんぶりだが、これも小鉢に一杯盛られてくる。ウズラの卵黄を割って醤油をかけて混ぜる。一匙口に運ぶと、ひんやりした冷たさと清々しい香り、ごく密やかにプチンと弾ける感触が気持ちいい。

キャビアのような魚卵くささはもちろん皆無なので(植物だもんね)僕は和食の前菜にはこちらのほうが断然いいのだ。

「はい、ミズ玉の漬け物ね。」

■ミズ玉

前回の秋田のエントリにも書いたが、このミズ玉の漬け物がめちゃくちゃ旨い!ミズ本体も旨いのだが、このミズ玉のシャクシャク感と、炸裂したあとの粘りが最高なのだ。

そして僕の大好物が来た!

「みずのタタキでーす」

■みずの味噌たたき

でた!こいつがタタキである。山菜のミズをトロトロに成るまで薬味と味噌を加えて叩いたこの一品、もしかすると秋田料理の中でも一番好きなものかも知れない。

箸で持ち上げるとツーと粘りが糸を引く。食べると、少し残ったミズのしゃりしゃりした食感と、味噌の香り、それをまとめるトロ味が舌になめらかに載り、堪えられない。

「め、メシが食いたい~」

と叫ぶがそれはまだ後だ!

「はい、クロモと生イクラね」

■クロモ

男鹿半島で獲れる天然もずくがクロモだ。南国産のそれとは違って、テラテラと黒く、そして一本のもずくがしなやかに堅い。

歯を立てて噛むときっちりとした食感が返ってくる。二杯酢に咳き込まぬように啜り混むと、ミズに引き続いてのネバネバが口中に拡がるのであった!

■生イクラ

この美しき赤玉をみよ!我ら男子には赤玉はかなり危険な響きだが(笑)、、、イクラの赤玉さ加減は本当に蠱惑的である。
ここのイクラは脱水が効いているのか、ブチ、ブチと極めて強い食感。その後にトロリと旨味成分と新鮮な香りが拡がるのだ。

■キノコ →名前ワスレタ

まったく名前を忘れてしまったが、このキノコの煮付けもプリプリ、ヌメヌメとしており、しみじみと旨いものだった。

スギヒラタケのように急に毒性を強めてしまうキノコもあって怖いけど、キノコの旨さは何者にも代え難い。植物のようで植物ではない。だからその旨味成分や香りは、野菜には出せないものなのだ。

さて、ここまでは前菜。一気にこれからメインディッシュへと進むのである!

(続く)

Posted by yamaken at 09:31 | Comments (7) | TrackBack

2004年11月27日

深夜番組で僕のblogが紹介されたらしい

11月26日の深夜2時(日付としては27日)に、ある番組で僕のWebが紹介されたらしい。そんなの、全然聴いてないぞ!だれか録画した人いませんか??

読者のKOKEさんが録画していたので、送って下さることになりました。どうもありがとうございます!

Posted by yamaken at 18:05 | Comments (8) | TrackBack

冬晴れの日六本木、堀江家の昼飯はなかなかに素晴らしきものであった。





六本木ヒルズのレジデンスに住む堀江さんの家に行った。僕のblogの右側サイドバー(こっちね→)のお天気情報を提供している気象ロボット「ウェザーバケット」を堀江家のベランダに設置するためである。

「いいっすね、六本木の住民がこれをみると天気がわかるからね(笑)」

このためにわざわざ常時接続用の気象情報サーバ用のPCを会社からもってきてもらい、出動。ヒルズからレジデンスに入ると、一気に空間が変わる。エレベータで遙か上に登り、寝ぼけまなこの堀江君に出迎えてもらう。

バケットの設置は1時間程度で終了。富士山が見える眺望のベランダに、ウェザーバケットが設置されたのである!


ソフトウェアの設定にあれやこれやと手間どうが、さすがIT系企業のトップで、どんどん設定を進めていく。2時間くらいで動作確認。記念写真を西村さんに撮影してもらう。

この画像みて気づいたのだけど、最近忙しすぎてトレーニングしている時間がないので、顔が丸い!やばいな、、、

「メシ、食ってってくださいよ。4合炊いときゃ足りるかな?」

とやおら彼はばかでかい冷蔵庫を開ける。ほぼ業務用のでかい冷蔵庫にウラヤマシイ声をあげていると「もう一つあるんすよ」とセカンド冷蔵庫をみせてくれる。ん~ 家が広いより、冷蔵庫二個あるほうがウラヤマシイね。はっきり言って。

「じゃあ、ソフトシェルクラブ食べましょうよ。あと宮崎の冷や汁もいいな。豆乳とニガリがあるからこれで豆腐も作ろう!」

と、凄まじい食卓になっていく。さらに、北海道のアグリウェザー社の横山社長と鈴木さんから、サロマの2年モノの生牡蠣が箱一杯送られてきた!

僕が牡蠣を剥いている横で、堀江君がソフトシェルクラブに小麦粉、ガーリックパウダー、塩をまぶす。

「これ作るのは初めてだなぁ」

といいながら手際がいい。彼もなかなか料理やるな。

まんべんなく粉がまぶされたソフトシェルクラブをミホさんが揚げてくれる。

大阪生まれの彼女はなんと、あのインデアンカレー阪急梅田店に学校帰りによく通っていたそうである!わかってるね、やっぱり。

さて凄まじく旨いものばかりの食卓になってしまった!ソフトシェルクラブの揚げ物、サロマ産生牡蠣、ホンモノのししゃも、宮崎の冷や汁(よせ豆腐入り)、浜松の鰻である。

これに加えて、堀江宅に僕が愛して止まない山形の「なんばんの粕漬け」を一本プレゼント。
三人でしばし無言で食いまくる。

食いながら話をしている最中、彼はやはり福岡の農村で過ごした幼少時代の話をしてくれる。世間ではいろいろと尾ひれはひれがついて喧伝される彼の人物像だが、そういうところはようわからん。俺が言えるのは、こと農の問題にたいしては真摯な心を持っている人間だということだな。いずれ農業の構造改革の時代には、彼にも活躍してもらいたいと思うし、おそらくそうなるのではないだろうかと思う。

なーんていいながらもう腹一杯だ!食いまくった。ソフトシェルの唐揚げ最高!俺は料理が出来るやつのセンスは信用するぞ!どうもご馳走様でした!

Posted by yamaken at 17:32 | Comments (7) | TrackBack

2004年11月26日

神田で昼飯はハシゴが基本だよね。 天玉そば「かめや」と親子丼「伊勢」

東京駅からほど近い「神田」って、渋い大人の町(というかサラリーマン天国)だと思うのだが、昼飯を食おうと思うと選択肢が一杯ありすぎて困る。どこもかなり工夫していて激戦区なのだ。けど、腹が激減りで、かつ急いでいる時に僕が使うコースはここしかない、というのをお教えしたい。ていうか絶対にこの近辺に居る人は、同じコースを楽しんでいると思うんだが。

それは、極上の路麺系天玉そば~トロトロ半熟系親子丼の二連戦というコースだ。

まず、JR神田駅の東口(ていうのだろうか)を出て横断歩道を渡り、ガード下の右側にでたところの奥にある立ち食いそば「かめや」に直行。

都内中心に数店舗展開されている店だが、天玉そば元祖の店と銘打っている、路麺界の一流店である。神田には西口にも店舗があるらしいがそちらには行ったことがないんだよな。

昼時はかなり満員率が高いのだが、なんとか潜り込もう。天玉そばは380円。店員に声をかけ、カウンターにダーク(狭いカウンター内で肩を斜めにして立つこと)で立とう。ダークで立たないとケンカの元だからね。

カウンターにおいてあるかき揚げをみると、ふんわり柔らかく、白く上がっている。卵の含有量が少ないのだろうか、この白さがここのかき揚げの特徴なのだ。

この店ではけっこう茹でたて麺が食べられる率が高い。この日も僕の注文から新しく麺を茹でていた。「すこーし麺茹で、待って頂けます?」と言われるが、茹でたて食えるなら待つのは大歓迎である!ザッザッとザルをあげ流水で洗っている量をみると、5玉分くらいと少なめに茹で上げしている。ということは、 一回の茹で量を少なくしている=こまめに茹でている ということで非常に良心的なのだ!

「はい おまちー」

出た!どうだろうかこの白いかき揚げ。ふんわり感が漂ってくるだろう。右中央についているのは温泉卵。ここの天玉は温泉卵なのがポイントなのだ。これにはかなり賛同する。完全な生の白身は、つゆの温度を急激に下げてしまうし、中途半端に固まるので処理にこまることがあるからだ。

つゆは完膚無きまでに醤油色の濃い関東風で、甘めだ。この甘め加減が絶妙で、かき揚げ天を崩してつゆに浸し、温泉卵の黄身を削ってチョイと載せ、下に横たわってる蕎麦と一緒に口に啜り混むと、もう堪えられない世界が拡がるのだ!この感覚を味わうためには関西風の透明度の高いつゆでは無理。

昔から関東風と関西風のうどん・そばつゆの比較で「醤油そのままじゃんか」と言われてきた関東風のつゆだが、愛媛出身の母を持ち、埼玉にいながら関西の味付けの食卓で育った僕ながら、関東風のつゆは大好きである。両者は明らかにベクトルが違うものであって、対立するものではないのだ!

元来、千葉の銚子や埼玉の川越といった醤油蔵がある街が点在していた関東では醤油に含まれる複雑なアミノ酸の旨味世界を最大限に活かした味付けにこだわった。他方、関西では醤油よりも昆布やいりこ+塩分で仕上げたつゆに合わせるため、うどんや蕎麦の麺質もそれにコーディネートされたのだ。昔、蕎麦の専門誌で実施した調査では、関西と関東の蕎麦屋での仕入れコストに占める醤油・昆布・かつお節の割合が全く違い、上述のような結果が出たそうである。

まあ、そんなことはどうでもいい!関東風のドブドブと茶色い濃厚な醤油出汁も大好きなんだ!ていうか通常おれはこっち派だもんね。この醤油の旨味成分の濃さがかき揚げ天に染みこむことによって、天ぷら・玉子・蕎麦の素晴らしき三位一体世界を形作るのである。そういえば関西であまりかき揚げ天を観ないのは(海老天が多いよね)かき揚げが出汁を吸った時、関西風だと味が添わないからではないか、などと推考。

まあそんなことを考えながら2分くらいで蕎麦を啜り混んでしまう。ちなみにここの蕎麦は立ち食いの中ではかなりレベル高い。盛りで頼んでもいいくらいである。

さっと食べ終わり店を出る。かなり深い満足感に浸っているものの、まだ腹は減っている。

そこで先ほど駅から渡った横断歩道を戻り、北に10メートル歩くと、駅のガードに沿ってあずまや風の小さな風体の親子丼「伊勢」がある。

この店は「伊勢ろく」という鶏料理専門店の支店で親子丼しか出さない。
※注:というのは嘘で、夜は焼き鳥やさんになるらしい。夜にいったことないからしらんかった!funaeさんご指摘ありがとうございます。
親子丼といえば湯島の鳥つねやバードコートが有名だが、この伊勢では680円で気軽に食べられるのが吉である。大盛りは100円増しだ。

やたらと狭い店内のカウンターに腰掛け厨房をじっと見ていると、深めのバットに卵を割り入れリズミカルに掻き混ぜている。

親子鍋に二回に分けて卵液を注ぎ、ふんわりと仕上げて白飯に盛り、蓋をして出てくる。

蓋を開けると、半熟トロトロの親子世界が拡がっている!湯気とともに心が踊る瞬間である!

地鶏なのかなんなのか、それほどインパクトの強い鶏肉ではないが、臭みもなく旨い。親子には適している品種なのだろうな。この店では特製七味をふりかけて蓋をしばらくして蒸し、それから食べることを推奨されている。たしかにそうすると旨い!

あとはもうこの親子世界を掻き込むだけだ!水分が多いので、急いでいる人が掻っ込むにはちょうどいい。これぞ丼の真骨頂だろう。

神田お急ぎ充実昼飯コースといえばこれに尽きるかな。JRの改札に戻るまで、15分~20分だ。腹は満腹、心はせわしないが、それもまた東京らしいじゃないか!

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2004年11月25日

メインディッシュはタイ料理「バンコク」店長のノート君でキマリだ。

このblogでも何度か紹介した六本木の裏通りにあるタイ料理「バンコクレストラン」。久しぶりに電話をいれると、ノート君が受けてくれる。

「おおっヤマケン!来てください~」

来たよっ なんだか最近も僕のblog経由で来店する人が多いらしく、オーナーの女性(日本人です)も僕に「いつもどうもありがとうございます」と深々と頭を下げてくださる。いやそんな、、、という感じだが、美味しいからみんな損しないよ!

「ノート君、あれね、あれ!」

というだけでもはや通じてしまう。ニコッと笑って彼が持ってきたのはこいつである。

この炒め肉かけご飯目玉焼きのせなんだが、鶏肉バージョンと豚肉、そして牛肉バージョンもあってそれぞれ名前が違うのでようわからん。けど、こいつが最高に旨い!頼めばタイ並みに辛くしてくれるので、どんなに寒い冬でもタラタラと汗を垂らしてしまうことは間違いない。

運ばれてきたら、ナンプラを少しかけて、卵をぐちゃぐちゃにして混ぜましょう。

旨いなぁ、旨いねぇ。タイ料理って、トムヤムクンや各種カレーよりも、こういう何気ない炒め物が最高に旨いのだ。

「で、どうよ、彼女できたのノート君?」

そう、彼はジャニーズ系イケメンなのに、恋人募集中なんである。

「うーんできないね、、、機会がないんだね、、、」

「君はそんなにイケメンなんだから、学校(彼は日中、コンピュータの専門学校に行っている)の女の子達にもてるでしょ?」

と言うと、ノート君、複雑な顔になる。

「うーん タバコをスパスパ吸ったり、礼儀がよくないない人は好きじゃない、、、」

おおおおおおおおおおおおおおおおおお
素晴らしい!
彼は真面目な人なのだ!
今どき、そんな価値観で生きている人もなかなかいないだろうに、タイからやってきて地道に仕事をし、日本語ペラペラになり、そして倫理観は絶えず持ち続けている!こんな素晴らしき野郎にはあまりあったことがない。

どうぞこのblogをお読みになった女性で「我こそは」という方がいらっしゃったら、バンコクにノート君を「釣りに」行って頂きたい。夜6時半くらいからいつも居るはずだ。

さてそれともう一つ情報が。

このバンコクに数年前まで居たタイ人店長のマーさんが、なんとミャンマーにタイ料理の店を出したそうだ。ミャンマーまでわざわざ見に行ったというカメラマンの方が名刺を見せてくださった。

なんでも、ミャンマーを訪れた際に、一軒だけあったタイ料理の店で食べたら激マズだったため「俺が店をやろう」と即決したらしい。かなり成功を収めているようだ。

しかし、、、ミャンマーってそう簡単に行けたっけ?もし読者さんでミャンマー行く人いたら(居ないか!)ぜひよろしく。

Posted by yamaken at 16:31 | Comments (4) | TrackBack

この冬初めてのジビエ・野鴨を三浦で味わった!ゴージャスリッチコースとうたた寝

 さて先日のトリュフ獲りの後、戦果を携えてフレンチレストラン「シエラザード」を訪れたのである。店の詳細については過去ログご参照
まだ開店前だったのにシェフが迎え入れてくれる。彼もトリュフに興味津々だったのだ。そこからの顛末は先日のトリュフ編のとおり。

「で、どうする?軽くつまんでく?」

という伊崎シェフの声にまんまと載ってしまった。実際には「軽くつまんでく」なんてレベルではなかったのダ!

「今日、ヤマケンが来るって言うから野鴨を仕入れてるんだよ。うちも今年初めてだね。どう?」

なにぃいいいい
ジビエ好きの僕にそれはないだろう、、、
本当は長島君と、この後に別の店に行こうと思っていたのだ。しかしこれはどうしたものか。
しばし悩む僕を尻目に、シェフがまたなにやら取り出してくる。

「北海道から牡蠣が入ったよ~。少し出すね」

と言ってカシャカシャと牡蠣包丁で殻を空け、氷の上に盛って出された牡蠣が超美人。

これに、鷹の爪の輪切りを漬けた赤ワインビネガーを垂らして啜りこむ。

ツルリと喉に送られる牡蠣は海のミルクの異名通りのなめらかさとコクだ!それが鷹の爪のピリッという刺激とビネガーの酸で引き締まり、食欲を最大限に喚起させてしまった!

「うまいじゃん~ こまるよこんなの」

「でしょ? じゃあ、蟹でも食べる?」

と、ズワイガニをいきなり丸茹でしだす。

「全然フレンチじゃないけどねぇ(笑)」

といいながら、蟹の丸茹でにアイオリソースが付いてくる!

殻を剥いてみると、蟹ミソがミッシリと詰まって、その周りのプルプル質も旨そうである!

この蟹ミソにアイオリソースを混ぜる。

アイオリはマヨネーズの原型で、ニンニクを磨り潰し卵黄と油でソースにしたものだ。蟹ミソその磯の風味と塩気を、ニンニク風味のアイオリの油脂分が包み込み、なんともいえない快楽物質に変容する!

「アイオリ、うめぇー!」

「旨いよね、ようするにニンニクマヨネーズだけどね。」

こいつを蟹の身にもつけてむさぼり食う。

旨いに決まってるのである。10分ほど、勝美君と僕は無言。残骸をちらばらせて、まったくここはフレンチらしからぬ空間になってしまった。

続いて運ばれてきたパテもしみじみと旨い。油分が効いてる方が旨いんだよな、カロリーは高いけど、、、フレンチでしかパテは食べないけど、なにか美学を感じるのだ。

厨房の覗いてみると、フライパンになにやら載っている。

「サザエをエスカルゴ風に焼くとね、エスカルゴより旨いんだよ。」

と、新鮮なサザエにニンニクパセリバターを仕込んだのを、上火でジュッと焼き出す。

ジュワジュワとパセリバターが泡立つサザエをほじくって食べる。歯応えの強いサザエは旨味成分もたっぷり含んでいて、パセリバターと合う!

しかもこのサザエの肝の部分がまた、濃厚な旨味とほろ苦さで、胃液を分泌させまくるのだ!

「旨いなぁ、、、旨いよ。 あれっ なにつくってんの?」

と厨房を観ると、シノワで鳥のガラから出た旨味を漉している。

「鴨のソースだよ。これが出来るまでの時間を稼いでいるわけだよ。」

ということで、もう鴨を食うことになっているのであった!

「はい、この料理、ホタテに火が生ぬるい状態で入っている微妙な加減の一皿。」


フランス語で「生ぬるい」という意味ティエード(tiede)という料理!ホタテには本当に微妙な熱が通されている。そのおかげで生の状態より遙かに旨味が増している!ソースはレモンピールならぬ柚子ピールの入った爽やかなバタークリームソースという感じで、可愛らしく軽やかだ。

次ぎに出てきたのがブイヤベース風の魚の煮込み。魚の名前はワスレタ。

この魚、ホロリと身が崩れ、ネットリゼラチン質も含んでいて旨い。ブイヤベースに合う魚だ。

「具材は長島農園の里芋と西洋カブだよ!今年の里芋は絶品の旨さだね。カブも力強い味でイケル。」

とシェフが言うとおり、里芋のネッチョリ感は最高、旨味も強い。カブは勝美君によれば『気候的に最悪の出来の年』にも関わらず、評判は高いという。

この間マダムも加わりワイワイとやる。と、厨房の奥に見慣れない黒いモノリス状の物体が、、、

「釜浅で、炭火焼き機を買ったのよぉ。そしたら思ってたより大きくて大変なのよぉ。」

という巨大炭焼き鉄台であった。鴨はフライパンで焼いてオーブンに入れるのがよく観る焼き方だろうが、炭火焼きはまた野趣溢れる味になる。なんといっても脂が垂れて炭火で燃え、その煙が鴨にかかることで、絶妙な燻し香がつくのだ。

「バードコートさんみたいな突き詰めた焼き方はできないけどね、でも炭火の方が旨いからねぇ!」

と、伊崎シェフはご満悦だ。そうだろうな、炭火で肉を焼くのは本当に楽しい。シェフも絶対に楽しいはずだ。

「はい、今年初めての野鴨!」

うおおおお
うまそうだよぉおおおおおおおお

濃い血の色の肉にかぶりつくと鴨のジューシーな脂が舌に落ち、途端に炭火の燻し香が立ち上る。中心部がほんのり温かい状態に焼かれた鴨肉は、まだこの時期の鴨はアッサリ目なんじゃないかという予想を嬉しく裏切って、濃厚!

手羽の部分には蟹に引き続き、手でかぶりつく!ブロイラーでは感じ得ない歯応えと野趣溢れるゴツゴツとした旨味!もう最高である。

「まだこれも食べてよ~」

出たっ!砂肝&レバー&ハツである。レバーはほろ苦みが強く、赤ワインとガシッと組み合う。ハツが出色の出来で、フニフニという絶妙に官能的な食感だ。砂肝は、これが砂肝か?と思うくらいの上品な歯触りと旨味。ちとこれは感動した。

ふっと一息。最後にデザートでブラマンジェが出てくるが、何気なくたべてビックリ!すぐさまとろけてしまう柔らかさだ!

「ゼラチン濃度をギリギリまで低くしているから、舌の上で溶けるんだよね。クリームソースも皿も冷やして出すと、みんなビックリするよ。」

うーむ
今回はかなり楽しめたなぁ、、、前菜からデザートまで、トリュフを含めて趣向たっぷりの素晴らしい一時だった。

「あのね、ヤマケンさんのWebのおかげで、『じゃらん』が取材に来たのよ。特集コース組んでくれたみたい。これでお客さんが沢山いらしたら、ヤマケンには何か御礼するわよ!」

まじ?まじっすか?
ということで、横須賀近辺の皆様、ぜひシエラザードに足をお運びください。ジビエや各種素材は前もって相談しておくのが吉。気まぐれシェフ&マダムだからね。長島農園の野菜はほぼ常に使っているし、新鮮な三浦の海の幸がある。そしてこれからはジビエの季節だ!予算をあらかじめ伝えれば、伊崎シェフが色々と考えてくれるはずだからご安心。料理に赤、白ワインを飲んでも、都心のフレンチから比べると全然リーズナブルな価格になるのだ!

トリュフオムレツも食って、こんなに食べて、かなりご満悦になった僕と別れ際、勝美君が笑いながらささやく。

「やまけん、そのうちここも耕作放棄地が沢山出てくるんだから。そしたらうちの近くに農地買いなよ!」

そうだな、それもよい。こうやって全国に住みたい土地候補ができていくのであった、、、

Posted by yamaken at 16:18 | Comments (2) | TrackBack

2004年11月24日

六本木ヒルズ二連戦 FiftyOne Clubでは昼飯だけで5000円オーバーだった

二日連続で六本木ヒルズに出かけることになった。最初の日は、東京会場研究所の理事長であらせられる石井威望先生のお話を聞くためである。石井先生は慶應義塾SFCでの僕の恩師だ。卒業後もなにかと気にして下さり、教えていただいている。実は今、大きく学問分野に地殻変動が起きているのだが、その最前線にいてジャッジをしているのが石井先生である。

加賀谷、カネコ、しんのすけと連れだって、49階のアカデミーヒルズの会議室にて先生の薫陶を受ける。内容については食い倒れ話ではないので加賀谷のblogに譲りたい

で、本日はまたこの慶應SFCの研究成果発表の場であるオープン・リサーチ・フォーラムというのが開催されている。これを観に行くというわけではなく、國領次郎先生と村井純先生という両巨頭に「メシでも食おう」と呼ばれているのである。國領先生とは、経済産業省とかe-Japanとかの制作委員会に名をよく連ねている方で、僕からみたら宇宙人である。村井さんについては説明必要ないだろう、世界のインターネット関係者がその存在を知る方である。

なんでこんな二人と飯を食えるかというと、僕は昨年度、このお二人を学識経験者に祭り上げて、農林水産省の実証実験のとりまとめをやったのだ。
農水省のページの表に「青果物流通研究会」というのがあると思うが、これが僕が手がけた実験だ。ICタグを長いもの箱に貼付して産地から卸売市場、そしてスーパー店頭へと流通した実験で、青果物では世界で初めてEPCコードというのを採用したのだ。ま、関心があるひとは覗いてみて欲しい。

でもまあそんなことは関係ない。とりあえず飯を食った場所が六本木ヒルズ倶楽部だったというのが今回の話なのである。六本木ヒルズの51階にあって、会員になるために100万円くらい必要で、というアレだ。実は僕はこのヒルズ倶楽部には数回行ったことがある。当然ながら全て人の財布でだが、、、

「僕はねぇ、このフロアに一杯あるレストランの中で実は、この入り口にあるFiftyOne Clubが一番美味しいんじゃないかって思ってるんだ」

と國領先生が仰った。そう、我々はFiftyOne Clubに居るのだ。51階からの眺望はもはや綺麗とかそういうレベルじゃないのであった。


■FiftyOne Club
http://www.roppongihillsclub.com/dining/dining01.html

「あのさぁ、ここは僕がおごるの?それとも國領さんが出してくれるの?」

と笑いながら村井さんが訊くと、國領さんが笑って「当然僕が出しますよ」と仰る。この日はとりあえず國領先生の日なのであった。

「おれ、3皿くらい食べていいですか?」と訊くともちろんいいよとのことであった。


ここのメニューをみると、予想はしていたがやたらと高い。何とか豚のスペアリブ、ナシゴレン添えというやつと、いわい鶏ときのこと海老のタリアテッレカルボナーラクリームソースというのを頼んだら、もうそれだけで5500円くらいになってしまうので、恐ろしくなってもう一皿は頼まなかった。

「やまけん、ここの料理は盛りがすごいよ、、、」

と國領先生が言うが、こんな綺麗な店でそんなに沢山出てくるわけがない!とタカをくくっていた。この時点では。

そういえば村井さんは、ピザとかが大好きな典型的アメリカン味覚世界の人なので、以前は顔色も悪くお太り気味であらせられた。しかし数ヶ月ぶりにお会いしたら、なんだか痩せた。

「そうなんだよ、実は野菜ばっかり食べるようにしたら、10Kg以上痩せちゃったんだよ!」

と言う。もう、どこへいってもベジタリアンと偽って野菜を食べているのだそうだ。そのとおりこの日もグリーンサラダを別注文して食べていた。

しかし彼が頼んだメインは「タイ風レッドカレーを、無茶苦茶辛くしてくれないと困るんだけど」とオーダーしていた。その後に國領先生が、「僕は普通にしてね」と笑って注文。

両巨頭のオモシロ話を聴いているうちに僕の豚スペアリブが運ばれてきた気配が。鉄板がジュージューいう音がするのだ。振り向いてビックリした。巨大な鉄浅鍋から脂と白煙がジュワジュワと立ち上っている。

「うおおっ これはデカイ!」

ちょっとビックリのボリュームである。そうか、この店は、一皿で満足いくようなポーションにしてあるんだ!だからあの価格設定なのか、と納得。ん、まてよ、とするとパスタの方も量が多いのか?

「おまたせしました、奥においてもいいですか?」

おおおおおおお
こっちもすごいボリュームである!

しかも食ってビックリした。旨いのである。いや、この価格帯でこの場所なら当たり前だけど、味がよろしい。


スペアリブは最近はやりの端麗なだけの豚ではなくしっかりした豚だ。それを甘辛ソースでホロホロに煮込んだのを鉄板にのせ、ジュワジュワと焼いてくる。その下には和風のナシゴレンが敷いてあり、ルッコラが載っている。

「ちょっと頂戴。 おっ 旨いな!」と村井さんも舌鼓を打つ。

パスタの方も、このカルボナーラクリームが、超カロリーオーバー気味だがコッテリしていて旨い。具材もさすがにこれだけの値段をとるだけあってゴロゴロ入っている。

僕ともあろうものが、かなり腹が一杯になってちょっときつめ。そして優雅なヒルズ倶楽部内で、汗ダラダラである。

「よかったらデザートも食べなよ」

まじっすか!?

じゃあこの栗のプリンとタピオカ ココナッツジュースがけと胡麻アイスクリームなんらたかんたらを頼むと、それは1500円以上もするのであった。

栗のプリンは本当に栗の味がして旨い。蒸すか茹でるかした栗を裏ごししてプリンにしたのだろう。粒状感もあまり感じずなめらかな舌触りである。上品なココナツジュースと大粒タピオカが旨い。

村井さんも國領さんも超多忙な方々なので1時間で会食終了。にこやかにお別れをするが、、、

昼飯で7000円以上食べてしまった。

自腹でない分、気が引ける、、、國領先生、ご馳走様でした!

しかし、今ひとつという印象ばかりうけていた六本木ヒルズ倶楽部だが、入ってすぐの空間に拡がっているFiftyOne Club、味は実に旨いと感じた。で、実は25日木曜日もこのフロアで別件の会食なのである。もちろん、自腹ではない!また気がとがめる食い方をするんだろうなぁと自分で怖いのであった。

Posted by yamaken at 02:48 | Comments (3) | TrackBack

休日は裏山にトリュフを採りに行こう! 三浦半島で日本のトリュフを大量に採ってフレンチを堪能した!





「ヤマケン、なんか三浦でトリュフがごろごろしているらしいから、採りに行きましょう!」

と、長島農園の勝美君から連絡があった。こういう面白そうなことがあると必ず電話をかけてくるのがヤツである。

日本の山林でもトリュフが採れるということは、以前から知ってはいた。それで町おこしの起爆剤にしようとしている事例があったりするが、まだ大々的に実現したところはないはず。安定的に採れない要因があるのだろうし、味についてもホンモノとは若干違うのではないか、と推測していた。しかしそうはいってもトリュフである。折しもこれからのジビエの季節がトリュフ大活躍の場ではないか!これは食い倒れ党首としては行くしかないだろう。

ちなみに今回の案内をしていただけるのは、神奈川県のキノコ研究家であるSさんである。

「これから採りに行く場所は、絶対に内密にしてください」

と言われているので、場所は書けない! 三浦市内だということだけでご勘弁いただきたい。

「でも、実は皆さんの近所でも採れるはずなんですよ。その生育条件さえ分かっていれば、案外お近くに見つけられるはずです」

とSさんは仰る。13時半に声をかけていただいた10人くらいで集合し、まずはA4サイズのプリントを配布され、講義。

以下、Sさんに教わったこと。

-----------------------------------
・トリュフとは正式にはセイヨウショウロ属菌と言う。チャワンタケというキノコの仲間が地下に潜って円くなったきのこである。

・ブナ科の樹(スダジイ、シラカシ、コナラ等)かカバノキ科(イヌシデ等)、マツ科(クロマツ等)などの樹木の下に発生します。

・重要なのは、「攪乱地(かくらんち)」に発生しやすいということ。攪乱地とは、造成される等で一度掘り返されたりして、攪乱された土地という意味。従って、古くから人の手が入っていない山奥などには逆に発生しにくい。案外、都会の公園なんかでも、樹があって攪乱地であれば獲れるかも。

・ちなみにフランスで食べられている黒トリュフはペリゴールという品種だが、残念ながらこれと全く同じものが日本で獲れるというわけではない。日本を含む東アジアでよく獲れるのは、学名T. indicum 和名イボセイヨウショウロという品種である。ただしこれも強い香りを発する。
------------------------------------------------------------

ということなんである!日本であろうとどこあろうと、条件が整えば発生するのであった!

まあしかし、品種が違うと言うことで、合点がいく。我々の業界でいえば、アールスメロンという高級品種と、アンデスメロンの違いという感じか。でも、アンデスメロンも実に旨い。だからそれくらいの気持ちで採取すればいいな、という感じだ。

「では、知識がついたところで現地に行きましょうか。」

と車で集合場所のとある公園から5分。車がビュンビュン走る公道のすぐ脇にある森林に分け入っていく。分け入ると言っても、数十年前にデベロッパーが植林をした造成地である。つまり、攪乱されているということだ。


これをずんずんと進んでいくのかと思いきや、公道から5分も歩かないうちに佐々木氏の足が止まった。

「さて、この辺で獲れるんです。足下の落ち葉をどけて、地面を見つめてください。トリュフは土中ではなく地表に出ていますので、すぐに分かるはずです。絶対に地面を掘らないように!掘ってしまうと翌年には発生しませんよ。」
と言うので、目をこらす。長島勝美君がすぐ横で興奮した声で「あ、ほんとだ有ったあった!」とはしゃぐ。マジ?

あったぁ! この写真の真ん中に写っている、動物の糞のような丸いのがそれである。

これかよぉ、、、と感慨に浸る間もなく、落ち葉をどかしただけでゴロゴロとしているのである。

「おおおお 次々に見つかるじゃん!トリュフ犬なんていらないじゃん!」

と一同もう狂乱である。

学者肌のSさんは、資源として取り尽くされては困ると践んだのだろう、開始10分後くらいには「はい、もう終了!しゅーうーりょーうー!」と声をかけて皆を引き戻した。菌が生えているシロには、基本的に人が入って荒らすのは困るのだ。

改めてみると、このゴツゴツしたマツボックリ状の物体がトリュフなのである。

Sさんが小刀で二つに割る。すると断面にはマーブル模様が入っているのがわかる。

「このマーブル模様が見分け方の決め手です。よく似た感じのキノコがありますが、割ってみてください。こういう模様があれば大体トリュフです。」

やたらとマニアックなキノコ辞典のような海外の本を引っ張り出し、僕らが採取したイボセイヨウショウロの写真を見せてくれる。いや、実に面白い!

何が面白いって、条件さえ合えば、このトリュフが都会の町中にもあるかもしれないのだ。痛快だな!

Sさんに御礼を言って解散。なんと、埼玉の川越からわざわざ駆けつけたキノコマニアの方もいらっしゃった、面白い一団であった。


さて
勝美君と、シエラザードへ行く。シエラザードは長島農園の野菜を購入し料理に使っているフレンチレストランである。横須賀には珍しいきっちりとした素晴らしい料理を出す店だ。以前のこのエントリをみていただきたいのだが、ここのジビエは旨いし、見た目も麗しい!このblogの写真の中でも最も旨そうに撮れているエントリだと思う。


さて
伊崎シェフに見せると、「おお~ほんとうだ!」と興奮。

トリュフはまずこのごわごわの外側をナイフで剥く。剥いた皮も薫り高いので、容器に入れて油を注げば、トリュフの香りがオイルに移るという。
さてこの美しいトリュフの薄切りをみていただきたい!

この断面にあるマーブリングが、トリュフの証である。なんて美しいのだろう!

ちなみに、一つのトリュフはあまり香りが漂ってこないが、もう一つの色が濃い方は、プンプンとトリュフ香が立ち上ってくる!

トリュフといえば、卵との相性が抜群によいことで有名だ。なので、まあ今回は味見ということで、トリュフを刻み込んだオムレツを焼いてもらう。

「昔、ホテルに勤務していた頃以来だなぁ、オムレツなんて」といいながら、フライパンをポンポンと叩き丸め込んでいく。

大量にトリュフの入ったオムレツができあがる。同じ量をフランス産のトリュフでやったらどうなっちゃうんだろう?かなり怖~い、、、

さて味はどうか? 濃い色の成熟したトリュフからは、間違いなくあの芳香が立ち上った!ペリゴール種とは香りの性質は違うのだろうが、でもトリュフの香りだと言うことはきちんとアイデンティファイできる!

「いやぁ、すごいね、粗刻みのトリュフを噛みしめると、ブワって香りが立ち上るね。これ、一日目でこんなに薫るんだから、もっと熟成させたら大変なことになりそうだね!」

トリュフは米をしいた密閉容器にふんわりとおいておく。米のおかげで水分調節ができるのだ。これは、シエラザードにプレゼント。

いや、面白い!間違いなくホンモノのトリュフであった!先に挙げた条件が満たされる場所で有れば、身の回りにトリュフが落ちているかも知れないぞ!ぜひ皆さん、お近くの公園や林の中を散策してみてください。

繰り返し注意しますが、掘り返してはダメ!次年度に発生しなくなります。地表に顔を出しているケースが多いので、それを採るに留めること。

シエラザードではこのオムレツの他に、今年初の野鴨などをさんざん食べたので、これはまたアップしますね、、、いや、いい一日だった!

※当然ながら、トリュフが採れるかどうか、そしてそれらしきものがあったとしても、食べるかどうかというのは個人の責任でお願いします。もし何かあっても責任はとれませんので悪しからず。

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2004年11月22日

アスキーF岡さんとの邂逅と門仲フルコース、支那そば 晴弘の暖かみを味わう

仕事を終え、地下鉄日本橋の駅に向かう。夜、週刊アスキーの元編集長として名高いF岡氏とお会いするのである。F岡氏はライブドア堀江氏との対談等の機会で、しょっちゅうこのWebのことをご自分のblogに書いてくれているので、僕もコメントをつけさせていただいていた。で、どうせならお会いしましょうと声をかけたわけだ。お迎えするのは当然ながら、門仲フルコースである!

もう言うまでもないが、門仲フルコースとは①寿司処 匠~②支那そば 晴弘~③Bar オーパというラインナップである。ただし、同行するお相手の胃力・体力・精神力に応じて、②を抜いたりすることもある。今回はどうしようかな、と思いながら歩く。

日本橋高島屋前から地下に入って地下鉄入り口の通路を歩いていると、ソニーのPSPの実機が飾ってある。どれどれとのぞき込む。綺麗な液晶だなぁ。僕の他にも数人が足を止めている。その中に、どこかでみたことがある女性がいらっしゃるのが気にとまったが、ひっかかっただけでそのまま改札へ進む。メトロカードを差し入れると残額不足だ。券売機にいこうときびすを返すと、女性とぶつかりそうになる。「あ、ごめんなさい」と相手の目を見た瞬間に驚いた。先ほど後ろ姿をみたことがあると引っかかっていた女性であり、その人はナンと!支那そば 晴弘の女将さんではないか!
「あらまぁ!」

と向こうも驚いている。実は、僕がよく行くクリーニング店でも一度顔を合わせたことがあるのだが(笑)

しかし今回は、それだけではなかった!

「あのぉ、、、インターネットに色々書いて下さっているんですよね?」

「あ、はい!すみません勝手に色々書いてます。」

「いえ、本当にどうもありがとうございます、、、プリントして持ってきて下さった人が居て、お顔が映っていたので、店のみんなで『ああ、あの人だ』ってわかって、、、」

いやぁ どなたか知らないが、僕のページを印刷して持ち込んでくれたのですね。どうもありがとうございます。しかし面白いのはここからだった。

「それで、自家製麺を楽しみにして下さっているということなんですけど、、、」

この辺の事情はこちらをご参照のこと。そう、この晴弘の支那そばをパワーアップするため、製麺機を購入したとのことなのである!すごいゾ晴弘、これで自家製麺か!と思ったら、それ以来全然自家製麺が出てこない。店のおやっさんに「どうなってるの?」と聴いても「いや まだダメなんです、、、」というばかりだったのである。

「製麺機はあるんですけど、、、うちの主人はのめり込む人なので、製麺を始めたら、また夜も寝ずにやってしまうと思うんです。必ず身体を壊すことになるので、実は店のスタッフ全員で止めているんです。楽しみにして下さるのに大変申し訳ないんですが、、、」

なんと! そういう事情だったかぁ、、、

しかし納得のいく話だ。あのおやっさん、店の従業員全員から止められてしまうほどに仕事の鬼なのだ!そんな鬼のペースで製麺などされたら、倒れてしまう。これはしばらく我慢するしかないなぁ、、、

「わかりましたよ、では気長に待ちますね!」

と、女将さんとはお別れする。今日、行くかも知れないとも言っておいた。

「私は今日は店には出ないんですが、開店はしていますので、ぜひ!」

よし、F岡さん、本日は①②③全部廻るよ!と決めたのであった。

さて
東西線門前仲町駅の出口2番を出たところでしばし待っていると、年齢不詳(若そうに見える!)の、子供のような眼をしたF岡さんが声をかけてくれる。なんだか、昔から知っている人みたいだ。挨拶をして匠に。匠ではいつものお任せコースと「るみ子の酒」のお燗。F岡さんが楽しんでくれたかどうかは彼のblogをご覧いただきたい

さて寿司を平らげ晴弘へと向かう。女将さんは当然出ていないが、すでに顔見知りになった従業員のみんなが僕の顔を見てニッコリしてくれる。

晴弘は、支那そばが旨いわけであるが、僕はそれと同じくらいにここの酒肴が好きだ。しいたけのうま煮、八頭の煮物などを頼んでみて欲しい。350円という凄まじい低価格で、割烹料理屋ではないかとみまごう内容の一皿が出てくるのである!F岡さんも「なんで?なんで支那そばやなのにこんなに旨いの?」と感動して下さっている。

今回旨かったのはトマトと春菊のサラダ。甘めの醤油ドレッシングがよく絡んで、生春菊のシャクシャク感とほろ苦み、トマトの酸味とベストマッチだ。


そしてそろそろ色がエメラルドからイエローに変わりつつある銀杏。これで芋焼酎・島美人のお湯割りを傾ける。

しばしF岡さんと旨いもの談義。彼は僕なんか足下に及ばないほど食い歩いていらっしゃる。週刊アスキーには、全国のホテルの名レストランを巡る連載があるのだが、それを執筆しているのはF岡氏と、あの「恨ミシュラン」の神足氏である。うーんウラヤマシイ!

「俺もぜひ書かせて下さい!」

と直訴をしておいた。果たして成るだろうか?

つけ麺大盛り(やまけん)と普通盛り(F岡氏)を頼んでトイレへ。帰りにおやっさんに声をかけると、僕の顔を見て眼を細めてくれた。

「今さっき女将さんに日本橋でばったり遇って、、、製麺機、難しいんですって?」

と訊くと、

「うん、まず置き場がないんだね。大きいから、席を潰さないと入らないんですよ。それと建坪率の問題とか絡んできて大変なんですよね、、、」

という話になる。そうか、彼の体調の問題だけではなく、建築基準上の問題もあるのであろう。なかなかに大変だ。残念だがもう少し待つしかない。読者のみんなも密やかに期待しましょうね!決して催促してはいけません。

つけ麺を大盛りと、F岡氏が少し残したのを食べてオーパへ移動する。カクテルを飲みながら、F岡氏の旨い店巡り話は尽きるところがない。羨ましいなぁ。俺も食い倒れることが仕事になればなぁ、、、(←誤解している人が多いので言いますが、食い倒れ日記は仕事ではありません!)

F岡氏との語らい、食い倒れ日記の今後の方向性、晴弘の製麺機、いろんなことがぐるぐると頭の仲を周り、すごく面白く、かつなぜか温かいものを感じる夜だった。

F岡さん、また旨いもの食べに行きましょう!次ぎは無二路に行きますか?

Posted by yamaken at 01:38 | Comments (4) | TrackBack

2004年11月20日

ヤブイズオーバー 国会議事堂潜入第二弾 超上質蕎麦天国と、国政のための戦闘食を垣間見た! その2

さて
国会議事堂を出てすぐ目の前にある憲政会館に移動する。

M氏はしきりに、「あそこにレストランなんてあったかなぁ?」と首をかしげている。議員秘書も知らない激レアレストランなのか?

修学旅行生らしき一段をやり過ごして館の中に入る。案内板みたいなのがないので受付におっちゃんに食堂を聴くと、かなり奥まったところにあるらしい。言われた方に歩いていくが、食堂があるようなスペースは見えない?つき当たりには何もなさそうなのだ、、、と思ったら、何やら蝶ネクタイを締めた給仕風の男性が手持ちぶさたに立っている。そして僕ら一団を観るとしずかに「こちらでございます」風のゼスチャーをする。そのつき当たりの壁に、小さく「←食堂」の表示がしてあるではないか!

ガラス戸を引き開けると、全く予想だにしない典雅な空間が拡がっている!テーブルなどの調度品は基本的に国会の食堂と同じような感じで、それほど高価なものではなさそうだが、落ち着いた庭園に面していて、絨毯が敷き詰められており、なにより給仕の服装がビシッと決まっているので、ホテルのラウンジにでも迷い込んだ感がある。現に、国会にはまったく場違いな露出度高いカップルが食事をしていたりする。

メニューを眺めると、明らかに価格体系が違~う!カトウ秘書から教えてもらったビーフシチューは1417円!牛ひれステーキに至っては2520円である!

「これはまた、100メートル離れただけで全く値段が変わるんだねぇ、、、」

おうさるさんはやはりロメスパ研究者らしくスパゲティナポリタンを、僕とM氏はビーフシチューを頼む。

待っている間に、M氏から国会議事堂の食堂制覇のための基本的な知識を教えてもらおうと、一体どれくらいの食堂があるのかを書き出してもらう。

余り知られていないことだが、国会議事堂とその関連施設で働いている人たちは非常に多い!霞ヶ関の官庁なみ、だから3000人くらいはいるのではないか、ということだ。そして議事堂周辺は繁華街などから隔絶されているから、昼時に飯を食いに出ようとしても周辺には何もない!従って、議事堂施設内に充実した食環境が必要不可欠なのである。

議事堂関連の食堂を書き出していってもらったら、後から後から増えて全く把握できない。よくわかったのは、「全制覇には無茶苦茶時間がかかる」ということである。またもう一つの問題は、制覇する前にM氏の上司つまり議員先生が万が一落選されてしまった場合には、彼はその日から無職になってしまうのだ!ただし彼は「政策秘書」という資格を持っているため、また違う代議士に秘書として就くことになるのだが、秘書の世界も楽じゃないのである。
そうそうちなみにこれが今回使わせて頂いた許可証である。

議員先生の名前はもちろんぼかしてあるので悪しからず。これをなくすと洒落にならないらしい。

さて
しめやかに優雅にビーフシチューが運ばれてきた!

なんとも、なんとも典雅な佇まいである。ヤブイズオーヴァーが遙か彼方の地平に思えてしまう。肉は牛バラ芯で、ドミグラスソースでホロリとなるまで煮込んである。ナイフとフォークを入れて食べる。M氏も食べる。

んー

美味しい味である。特にソースは特筆してもいいほどの出来である。でも、これだったらもっと肉よりもソースをジャボッと味わいたい。肉はドミソースに旨味が相当量流出しているので、若干味気ないが、ビーフシチューとしてはこれでよかろう。でもあれだな、ナイフとフォークでこうやって食ってると今ひとつ盛り上がらない。

ということで、食い倒れ仕様としてメシに全部のせてしまった。

フォークでわしわしと口に運びながら、「やっぱりナンだな、ヤブイズの230円を観た後じゃ、コストパフォーマンスでいえば勝負にはならないね」などとのたまう。いやおそらくこの店に単品として食いに来たらいいのだが、国会内の食堂と並列にするもんじゃない、ということだ。逆に、意表をついたデートコースとしてはかなり使えるかもしれない。だってあまり他のお客さんもこないし、サービスはバッチリだし。お忍びデートにはもってこいでしょう。

「ご馳走様でした~」

食い終わって外に出る。蕎麦を都合3杯とビーフシチュー&ライス&サラダ&スープをたいらげたのでかなり腹はきつい状況になってきている。

「よし、腹ごなしの意味も込めて、少し歩きましょう。せっかくだから、面白いところにお連れしますよ。」

といって議事堂のちょうど裏に当たる方面へと歩く。静かな午後、議事堂周辺は見えない緊張の糸が張り巡らされているようだ。

と、彼が向かったのはなんと!自民党本部であった!

「自民党の党員がいつもどんな食環境にいるかみてやって下さい。」

そういって彼はどんどん中に入っていく。許可証を持っているので僕らも入ることができた。エレベータで階を上がり、勉強会などをやっている部屋をいくつかみせてもらう。

議員やその秘書の仕事の多くは、勉強会に出席することである。今で言えばFTAやらWTOだとか、とにかく最新の情報を収集しておかなければ政策なんぞ建てられるはずがないのである。彼が見せてくれたスケジュール表には朝から晩までビッシリと勉強会が入っていた。

「ここが自民党の食堂ですね。」

すでにランチタイムは終了していたが、これが自民党員の腹を満たす食堂であった!

サンプルの入ったケースを見た印象では、議事堂内の食堂に数段劣る内容だった、、、

「僕らが検討会などで長時間詰めている場合は、党からメシが出るんです。朝なら和定食、昼ならカレー。どんな会議でも昼はカレーって決まってるんですよ。」

これがそういう会合の席である。テレビでもよく出てくるアノ部屋だ。

そしてこちらもテレビによく出てくるアノ演壇である(笑)

いやーしかし実に考えさせられるものがあった。自民党内部は、かなり活気があった。政党の建物に入ったことなどなかったから、これは新鮮。みな政策を立てるために勉強しているし(議員が勉強しているのかどうかは知らないが)、世間で流布される政治家というイメージとは違うものを感じる。

さていい腹ごなしになったので国会地下に戻る。

「前回食べられなかったウナギを食べましょうかね。」

と向かうのは、前回の国会潜入で魂の友となった、寿司「初花」の石原君がまつ寿司食堂である!彼とはメールを交わす仲となったのである!

「おっいらっしゃい!」

明るく迎えてくれた彼をみてちょっと嬉しい。なんてったって国会の内部者と俺はダチなんである。

さて鰻のセットはAとBがある。Bはなんと2匹分の鰻重に握りが2貫という凄まじい質量だ。しかし今日はさすがに無理。Aセットを頼む。

Aセットも、鰻が2枚載っていて握り二貫にポテトサラダ、みそ汁がついて850円とリーズナブル。

おうさるさんは隣で特上にぎりを食べる。M氏は午後の仕事に差し支えるといけないので無食待機である。

石原君とまた楽しい語らい。彼の軽妙なトークは実に最高なのだ。

「ごちそうさま~! さすがにもう食えないな!」

国会潜入第二弾はこれにて終了。

さて総括をしよう。国会内の食を重ねてわかったことがある。重点的に配されているのは蕎麦屋。そして、それ以外の通常の食堂のメニューをみればわかるとおり、炭水化物中心!脳内のハードな勉強スケジュールと、いつになったら時間が空くかわからない国会関係者に最適チューニングされた、まさにこれは戦闘食だ! 政治が悪い悪いと言っても、間接民主制を採るこの国において、議員が担う責務は大きい。それをビシッと実行してもらうためにも、彼らに必要十分な糧食が供給されなければならない。そうした観点からいえばこのカーボローディング効果抜群(ていうかそれだけ)なメニュー群は理想的であろう。さらに言えば、どこのメニューをみても米か蕎麦が中心である。さすが日本の国会!

今回も非常に意義深い勉強をしてしまった。Mさん、どうもありがとう!カトウさん、シチューはソースが旨かった!おうさるさん、また行きましょうね!
そして翌日、M氏から連絡があった。

「いろいろと事情聴取したところ、参議院議員会館の喫茶店のスパゲッティ&カレーが超大盛の上に味も上々との情報を仕入れました。スパは多分ジャポネ系のたたずまいではないかと思われるので、また次回攻めてみましょう!事前に調査した上、報告します。」

うおおおおおおお
行くしかない!
第参回国会潜入を期待して待て!!

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2004年11月19日

ヤブイズオーバー 国会議事堂潜入第二弾 超上質蕎麦天国と、国政のための戦闘食を垣間見た!


さて、国会議事堂の食堂潜入の第二弾である!おそらく今まで、国政の中枢である国会議事堂および衆・参議院会館の「食」についての詳細なルポをしたメディアはないんじゃないか。だから僕は真面目にこれを書く!いきさつについては前回潜入記をご覧下さい。

■国会議事堂 議員食堂は食い倒ラーのパラダイスであった!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000336.html

でもまあ「潜入」なんてもんじゃないのである。国会関連施設には、許可証がないと入れない。その辺を、食い倒れ仲間である国会議員秘書・M氏にお願いしているのである。国会内の食堂を全部廻ろうというこんなプロジェクト、果たして許されるのであろうか?

「ええまあ、いいんじゃないですか?」

まじ?まじっすかMさん!?

「国会の内側っていっても、報道番組ではニュース重視ですから、ほとんど報道されない部分が多いんです。こうやって国会の小さな部分にも理解を深めてもらうことも重要だと思うんですよ。」

そう、そうなんである!
このルポは決して食い倒れ魂だけで潜入したわけではなく(←ホントか?)、我らが国政を託す代議士や国会を運営する人たちが、日々なにを糧食とし活動しているのかを明らかにするのが本当の目的なのだ!浮ついた気持ちで入っちゃダメ!

、、、というのが、とりあえず前振りである。

衆議院会館の前でM氏と待ち合わせる。そしてこの日は、ジャポネ学の権威であり、かつトルコ料理マスターでもあるおうさる氏もジョイン。

「いやぁ、こんな機会は滅多にないですからねぇ、、、本当に嬉しいです。」

といきり立つ我々の前に、193センチのM氏登場。許可証を発行していただき、内部に入る。前回と違って、館内にはやたらと人が多い。

「今日は国会開催期間中なんで、色んな人が見学にきたり、議員に会いに来たりして居るんですよ。」

そういうことか!おびたたしい人いきれである。そんな忙しい中、M氏は昼食時間を空けて僕らを先導してくれるのである。感謝に堪えない。

※ちなみに国会議員秘書という仕事はとても忙しいのである。この日は無理を言って1時間ちょっとをお付き合いしてもらっている。

まず衆院議員会館の食堂を観に行くと、ちょうど12時ということもあって凄まじく人が並んでいる!

前回ルポの中に、この食堂には「ジョウカレー」というメニューがあって、なにが「ジョウ」なのかと思ったら「上」のことだったというオチがあるが、なんとこのジョウカレーがなくなっていた!

その代わりに面白いもの発見!

「ここはメニューの価格体系がおかしくてねー。例えばスパゲッティを単品で頼むと710円なんだけど、その上の『スペシャルセット』を頼むと690円でカレーとスパゲッティ、サラダにコーヒーが付いてくるんだよ。しかも盛りも普通通りにあるの。変でしょ?」

本当だ!凄まじいなぁ、、、一瞬そそられるが、「ここはまあ、次ぎでいいでしょ」というM氏の言葉で、次ぎに回る。

さて
前回の国会メシの中で驚倒したのは、蕎麦「一茶」の大盛り蕎麦の盛り具合である。天を衝く高さに盛り込まれたあの蕎麦、最高だった。で、それよりも盛りは劣るが旨いといわれている店が、衆参双方の議員会館の地下にある「藪伊豆」である。

藪伊豆といえば日本橋にある名店である。

■藪伊豆総本店
http://r.gnavi.co.jp/a144900/menu1.htm

この藪伊豆の系列というか出店なのだろう、国会内に2つもあるというのはどういう力学が働いているのかわからないが、国会関係者が口を揃えて言うのが「参院側の藪伊豆の方が旨い」ということである。

「参院側に回るのはちょっと距離があるので、車で行きましょう」

と、ぐるぐると迷路のような階梯を歩き回って地下駐車場へ。こんなところまで観ることができるのはなかなかチャンスがないだろう。

ぐるっと回って参院側に到着。ちなみに衆院に入るパスと、参院に入るパスは違う。従って参院に入る場合にはまた違う許可証が必要になるのであった。

「さて、藪伊豆行きましょうね!」

実は今回僕が絶対に食べたいと思っているのは、「野菜炒め蕎麦」という訳のわからないメニューである。前回小走りに藪伊豆の前を通り過ぎた時に、この品書きをみてググッと惹かれたのだ!今回はこれを食べるのが目的!先の藪伊豆総本店のメニューには載っていない野菜炒め蕎麦とはどんなものなのか!?

これが参院議員会館の藪伊豆である!

メニューを観ると、、、や、安い! 盛り蕎麦がなんと230円である!

藪伊豆総本店のメニューの約二分の一であろうか!?

あろうことか僕も逆上してしまい、野菜炒め蕎麦を頼むことを忘れ、「刻み鴨せいろ」540円を頼んでしまう。だって「2段盛り」って書いてあるンだもん!二枚のせいろに鴨汁で540円ってあなた、信じられますか?通常なら1000円以上でしょう?

さてここのシステムは店の奥で注文をして発券してもらうというもの。

レシートには番号がついていて、蕎麦ができあがるとおばちゃんが「91番さーん」と呼ぶので「ここですここ!」と手を挙げて受け取るというものである。

まず最初にM氏の盛り蕎麦が到着。非常に盛りがいい!230円とは到底思えない。

次に、おうさるさんが頼んだカレー丼セットが到着。

「正しい蕎麦屋のカレー丼の味がします」

とおうさるさんもご満悦である。

そして、、、僕が頼んだ刻み鴨せいろが到着だ!

みよ!きっちりと2段重ねになった蕎麦の分量は、本当に盛りがいい通常のせいろ2枚分である。これだけでヤマケン有頂天である。

しかも驚いたことに、濃厚に旨そうな鴨汁がついてくるのは当然として、もう一つ大根おろしが入った付け汁もついてきたのである!

なんと素晴らしい配慮か、、、

さて蕎麦をたぐってみる。盛り一枚230円という低価格。別にそれほど旨くなくても誰も文句を言うまい。そう思いながらつゆをつけずに啜る。

ビックリした! 一流店の蕎麦の香りがする!

角がビシッと立った生そばからは、あの蕎麦の奥ゆかしい香りがふわっと立ち上って来るではないか!

「いつも藪伊豆ではあまり食べないけど、旨いねぇ、、、」

とM氏も驚いている。これは素晴らしいですよ、、、

感動しながら蕎麦をたぐる!濃い鴨汁には細かい鴨肉が入っていて、出汁にその濃厚な旨味と脂分を与えている。「刻み鴨」とあるのは、本店などでロースなどのいい部分を使って、端肉となったのをこの国会向けに回しているということなのだと思うが、鴨の肉が塊であろうが刻んでいようが関係ない!540円でこのクオリティは、地球上のどこにもないだろう!

ビバ!藪伊豆!

そういえば「やぶいず」というと、1971年生まれの僕の脳裏には「ラブイズオーヴァー」という往年のヒット曲のタイトルとかぶさる。

そう、  「ヤブイズオーヴァー」!!!!!

しかし藪伊豆は最高である。従ってオーヴァーではなくオーケーであるべきだろう。

「ヤブイズオーケー」!!!!!

この日、国会を去るまでにこの呪文が数回繰り返されることになったのである。

と、ここでM氏に指摘されて唐突に思いだした。

「俺は野菜炒め蕎麦を食べに来たんだった!」

せいろ2枚食べているが、これを食べずに帰るわけにはいかない。しかもこの藪伊豆の蕎麦は激ウマ!ここで討ち死にしてもいいや、と思わせるくらいである。ということで野菜炒め蕎麦を頼みに行く。席まで持ってきてくれたおばちゃんも「まだ食べるんですか?」と笑っている。ちなみに先ほどのオーダーが91番だったのに、もう112番にカウントアップされている。短時間で20人が入っているのだ。回転率は最高ということか。

さて野菜炒め蕎麦はこんな感じだ!

つまり野菜炒めを冷やし蕎麦にドンと乗せたもの。わかりやすーい。ちなみに温かい蕎麦バージョンも可能。本来ならキャベツがもっとたんまり入っているんだろうが、相場高を反映してか、ほとんどがモヤシで構成されている、、、まあ仕方がないだろう。

味は、、、野菜炒めのゴマ油の香りが蕎麦に絡まって、これはこれで乙なモノである。でもまあ、一回食べたらいいかな、という感じ。しかし一杯の量はきっちりあるので、かなり腹はふくれてしまった。すでに3枚食べてしまったんである。

と、M氏の隣に端整な顔立ちの人が「どうも」と座る。茨城県の議員さんの秘書を務めるカトウ氏である。

M氏が僕の活動について解説を(どういう解説じゃ!)すると、神妙な面持ちで「ご苦労様です」と言って頂く。しばし、茨城の農業事情について意見交換を交わすが、彼が板蕎麦を食べる前に、僕が鴨せいろの後半を平らげて、野菜炒め蕎麦を頼んで食いきってしまった。

「すごい早いですねぇ  まだ食べに行くんですか?」

「もちろんでス! なにか旨い店ってありますかね?」

と訊くと、うーんと一瞬唸って後、

憲政会館の食堂のビーフシチューは、料理の哲人の道場さんが『旨い』と言ったというエピソードがありますね。」

と仰る。M氏もそこには行ったことが無いという。

よし、次ぎはそこに決定!

ハンサムなカトウ氏と別れを告げ、ヤブイズオーヴァー。

次なる地平へと足を進めるのであった。

議員会館を出て少し歩くと憲政会館という建物がある。折しも修学旅行シーズンということもあり、おびただしい子供達が横断歩道を渡っている。

「本当にこの時期は人が多くて大変なんですよ、、、」

議員ともなれば地元からの陳情などがひっきりなしにくるのだろう。大変そうだなぁ。物見遊山気分で潜入などしてはいけないのだなぁ、、、いや、僕の場合はきちんと目的があるんです!(モウシワケナイ)

さてその憲政記念会館には、思いもかけない空間が拡がっていたのである。

(続く)

Posted by yamaken at 10:56 | Comments (0) | TrackBack

2004年11月18日

うー 繁忙!

忙しいっ!blog書く暇がない!

けど、実は昨日は国会議員食堂潜入の第二弾をやってきたのダ!
国会はやはり、ワンダーランドであった、、、

明日書ければいいのだけど、、、うーん 書けるかなぁ、、、という近況報告。

Posted by yamaken at 18:15 | Comments (5) | TrackBack

京屋焼酎blogにて「へベスロンド」のカクテル二種公開中。

僕が運営を担当している、宮崎の芋焼酎メーカー・京屋酒造のblogにて、新記事公開。宮崎県にしかない「へベス」という柑橘を使ったリキュールで、創作カクテルを作ってみようという趣旨。

■焼酎百景 酒草子
http://blog.e-shouchu.com/archives/2004/11/bar_abby.html

僕もよく行く六本木の名バー「Abby」の店主である今村さんに作ってもらった。オーパとはまた違う趣のバーなのである。酒好きの方はぜひご覧下さい。

Posted by yamaken at 08:38 | Comments (0) | TrackBack

2004年11月17日

誰もが郷愁に駆られる店 ソースをじゃぼじゃぼかけて楽しむ焼きそば 宇都宮市「やきそば石田屋」

栃木県宇都宮市といえば、もう数回このblogでも出てきたとおり、餃子の都である。とにかく行けばいつも餃子を食べて大満足している。

「ま、でもたまには違うのを食べさせたいと思ってね。」

と、ノグっちゃんが言う。今日は宇都宮の市場業者であるノグっちゃんと話をした。

「あのね、俺とかがよく食べてる旨い焼きそば屋があるんだけど、そこに行こうよ。焼きそばしかない店なんだけどさ。」

ぴくっと僕の食い倒れ魂が揺れ動いた。

食い倒れの法則その1: 「専門店には入っとけ

「カレー屋」とか「餃子屋」とか、とにかく専門店というのはその料理一本で食っている。従ってそれが存在し続けているということは、ある程度以上の水準に達している証拠なのである。

しかも「焼きそば屋」などという業態は、あまりきいたことがない。もちろん、有名な富士宮焼きそばや、秋田の横手焼きそばのような事例はあるが、栃木県で焼きそば屋という業態があるというのはいかなることだろうか。

「いや、別に他にも焼きそば屋があるっつーわけじゃないんだけどね。とりあえず知ってるのはその店だけだよ。」

ズルッ とにかくこの石田屋という店だけは焼きそば屋という業態を成り立たせているのであろう。駅から車で5分程度の距離の路地に入ったところに、いきなりその店があった。

■やきそば石田屋
栃木県宇都宮市中央5-8-9
028-634-6945

車を駐車しようといったん店を通り過ぎると、店のガラス戸の中から手ぬぐいを巻いた品の良さそうなおばあちゃんが、微笑みを湛えながらジッと外をうかがっている。駐車してから引き戸を開けると、バイトらしい若い女の子2人と一緒に「いらっしゃいませ」と明るく迎えてくれた。

店内はいわゆる定食屋っぽい風情で、パイプ椅子に座るようなざっくばらんさだ。すでに昼時なため、どのテーブルにもお客さんがいて、相席で座ることになった。

メニューを観ると、野菜・ハム・肉・玉子という4種の具があり、その組み合わせがメニューになっているという状況であった。

嬉しいのは、並・中・大・特大という4段階制だ。特大ってどんなのだろう??
期待にワクワクしながら「ミックスの特大!」とおばちゃんに伝える。しかし、何か変だ。ミックスとは、4種の具を全部合わせた物で、メニュー最下段に「おすすめ品」と書かれているのだが、それよりも「肉・玉子・野菜」の方が50円高いのだ。ミックスが一番高いのが普通だと思うんだけどなぁ。謎。保存食のハムと生鮮の豚肉の価格差だろうか、、、うーん気になる。


厨房を見やると、おっちゃんがしきりに鉄板上をかき混ぜている。そのまなざしは鋭い。ちょっとゾクゾクっと来てしまった!


さきほどのおばあちゃん、店の中と外を行ったり来たりしている。店内のオペレーションはほとんど黄色いトレーナーを着たおねーちゃん達がやっているので、もっぱらおばあちゃんは来客出迎え担当なのだろうか。それにしても店の雰囲気を形作っているのがこのおばあちゃんであることは間違いがない。

「おまちどうさまぁ~ ソースをかけて召し上がってくださいね。」

と、やきそばが来たぁ!

綺麗に蒸し焼き仕上げされた目玉焼きが載った焼きそばである!

麺は太麺。それほどソースでギトついていない。のぐっちゃん曰く、「ここの焼きそばは蒸し焼きって感じなんだよなぁ」と言っていた。厨房のおっちゃんの手元が見えなかったのでなんともいえないが、、、

一口啜ってみる。意外とあっさりした味に驚く。そうか、持ってきたおねーちゃんも「ソースをかけて」と言っていたな。卓上にあるソース瓶からさらさらとしたソースをかける。ほとんど粘度のないウスター状のソースである。かけすぎると台無しになりそうだなと思いながら一口啜ってみると、確かにイケル!このソース、市販のモノではなく店のオリジナルソースである!

「このソースはね、麺をびちゃびちゃにするくらいにかけても旨い。」

とのぐっちゃんが言う。

彼の手前に映っているのがソース瓶である。そう、ここのソースは塩分濃度がかなり低い。その分、きっと保存期間は長くないのであろう。しかし一般の加工食品としてのソースではなく、毎日営業で使うわけだから、これは生鮮食品としてのソースなのである。塩分が低い分、野菜の溶け出した柔らかいアタリとスパイスの香りが楽しめる。いや、スパイスの香りって言う感じではないな。とてもはんなりとした優しいソースの味がする。

「なんかさ、子供の頃から食べてるって感じの味でしょ?」

本当にそうだ!しかしながら屋台の焼きそばとは確実に一線を画すものが存在している!例えばミックスには肉が多量に入ってくるが、フカフカした豚ロース肉には、何らかの下味が施されているようだ。表面のザラザラ感を観るとそれがわかる。

この柔らかい豚肉一つとっても、太めでモチモチした麺の食感を損なわない配慮だろうと想像できる。

目玉焼きを崩して黄身を麺に絡めると、黄身がノッテリと麺に絡んでいい感じ。そこにまた、ソースをかける。うー、このソース持って帰りてぇ!と思ったら、ソースは持ち帰り用があった。

よーし買ってくか、と思ったが辞めた。ソースがあったとしても、このもっちり感のある太麺がなければ意味がないだろうし、それに店で旨い焼きそばが食べられるのに家で再現してどうなるというのか。ということで買うの辞めた。 (本当は買っておけば佳かったと後悔しています。) 

しみじみ旨かった。特大盛りは有楽町ジャポネのジャンボくらいの量で僕には少し控えめの量で800円(ミックス)と高目だが、暖簾代だとしても納得できる。なにせ肉の量がハンパじゃないし、いいんじゃないだろうか。近所にあったら週に1回は通っていること間違いない。

「ありがとうねぇ」

とおばあちゃんが優しく微笑む。駐車場(2台分だけある)から出すのに店から出てきて見送ってくれる。

「いやぁ、美味しかったですよ!」

と言うと、ニコニコしながら話をしてくれる。

「うちはね、焼きそば一筋で50年経つのよ。」

おお!そんなに歴史の深い店なのか!ちょっとびっくり。焼きそばという単品勝負の業態で50年の重みは計り知れないぞ。

「おばあちゃん、お顔を撮らせてください」

とお願いすると、

「まあ、そんなに小さなカメラで写るの?」

と驚きながらニッコリ。

ちなみに僕はおばあちゃんという存在が大好きだ。今も父方のおばあちゃんが居るが、彼女のことを思うとしんみりしてしまう。この石田屋も、食べて出てきて、印象に残っているのはこのおばあちゃんと、焼き方のおっちゃんの二名である。この二人が店を形作っているのだ。

「ありがとうございました」

とおばあちゃんに見送られて車を出す。いい店に連れてきてもらった。

市場に行くと、台風直後のしばらく前と違い、葉物など品目によっては供給が回復し始めている。それでもキャベツなどの時間がかかる結球野菜はまだ手当ができないでいる状態だ。そういえば、あの店では焼きそばにキャベツは欠かせないはずだ。結球野菜の生育がよくなることを祈りつつ過ごす午後であった。

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2004年11月16日

シークレット・ダッチオーブンパーティの週末 その2

「よし、カニだぞ、カニ!」

と言ってしんのすけが大技を繰り出してきた!北海道の花咲ガニをダッチにぶち込み、大根の短冊切りと共に煮込んでのみそ汁だ。

カニの実ではなく徹底的にエキスを絞りだして旨いみそ汁を作るという戦法。
鮒の甘露煮もできて、飯のおかずセットが湯気を立てて完成したのであった。
本城しんのすけ、、、こいつはいつも十分な実弾を繰り出してくる。間違いなくダッチ巧者である。

僕も負けてはいられない。こちらは静岡県の銘柄豚で「浜名湖そだち」という、全国食味品評会で一等を獲った豚肉の肩ロース1.5Kgをダッチでローストにし、僕のスペシャルである「パイナップルクリームマスタードソース」にて食べるという算段だ。十分にプレヒートした10インチディープのダッチに、前夜から塩をしておいた肉の脂の側を下に落とすと、ジュワッという音が立つ。カネコが写真を撮ってくれようとした瞬間にしんのすけが身をかがめる。なんだよまるで俺じゃなくてしんのすけが料理してるみたいじゃんか!

その隣では、ついに登場!秋田が誇る米農家、ひろっきいが、発芽玄米と白米を混ぜて、長島家の2升炊き羽釜にて炊きあげるのである!


ここの羽釜を使うのが初めてのため、水加減に手間取るが、シットリ柔らかい発芽玄米入りご飯が炊きあがる!そのムワッと立ち上る水蒸気に歓声があがる!

この発芽玄米ご飯と花咲ガニ汁の取り合わせは最高!ひろっきいの秋田の実家からは、あの茄子がっこ(漬け物)と梅干しが送られてきている!あのおばちゃんがつくった最高の茄子がっこだ。もう言うことはない。

発芽玄米はプッチリと歯切れ良い食感。それにムッチンとした白米がからみ、面白い食感だ。

「僕は米農家だからこれしか作れないからさぁ、、、」

これだけあれば十分なんだよひろっきぃ!


さて
その横で、事態は進展していた。


奥久慈シャモの卵黄を泡立てマヨネーズを作り、、、

ブロックを使ってのアウトドア焼き台で、鉄串に指したもも肉にタレをつけ焼きし、、、


肉を一口サイズに切り分け、店で使っているタレに漬け込む。
そして、、、

特製のバンズの中心部にマイユのマスタードを一塗りし、

タレをまぶした肉を数きれバンズに乗せて、、、

水に漬けてパリッとさせた後に、しっかりと水切りしたレタスと長島農園で獲れた極上ネギ「ホワイトスター」の白髪ネギを乗せ、地鶏卵黄マヨネーズをとろりとかける!

これを、これまた業務用のハンバーガーペーパーに包めば、、、

できた!これがバードコート特製、奥久慈シャモ照り焼きバーガーである!


この素晴らしきプレゼンテーションに一同大歓声である!プロが作った照り焼きチキンバーガー、しかも奥久慈シャモを使っているのだぞ!こんな最高な野外料理があっていいものだろうか?

満足そうに微笑むバードコート軍団。なんとこのバーガーを作るため、店の営業が終わってから数回試作を重ねてあーでもないこーでもないと議論を交わしたそうだ。

一同ハンバーガーにかぶりつく。奥久慈シャモは肉質がしっかりしているので、噛みきりにくい。それを見越して一片一片小さく切られているので、バンズ、レタス、肉一片を口に送り込む。照り焼きの香ばしいタレの風味と、ところどころにできた適度なコゲの香、それにマヨネーズの酸味と旨味、レタスのシャクシャク感が合わさって実に見事だ!

それもそのはずで、実は野島さんはドトールコーヒー、モスバーガーの本部を歴任した人なのである。

「バーガーは得意なんですよぉ、、、今日はバンズを焼ければもっと美味しかったと思いますけどね、残念。」

いやこんなに旨いバーガー初めてっすよ!
読者の皆様にお断りしておくが、これは店では作ってもらえないからね!とてもじゃないけど大変な手間なんだからね!ていうことは、今のところ俺たちしか食べてないんだもんね~ ふふふ、すっごく嬉しいのであった!

店でいつも料理をしているのに、休日まで料理して、実はみんな嫌なんじゃないの?と菊ちゃんに訊くと、

「いや俺たち料理大好きっすから!皆さんがこれをみて『おおっ』と言ってくれる瞬間に鳥肌が立つんですよぉ、、、」

根っからの料理人とはこういう人たちを言うのだ。写真の後列右側が菊ちゃん、左側がリキちゃん、二人は真面目に恋人募集中である。人柄と腕と楽しさは俺が保証するぞ!


さらに宴は続く。
勝美君が朝の4時に漁港の朝市で買ってきてくれたメバルは、ナンプラーを注いで、大量のレモングラスとパクチーと共にスキレット(ダッチオーブンのフライパン)で蒸し焼きに。

これを庭に生えている芭蕉の葉に乗せ、農園で獲れる青レモンの串切りを添えると、正にここはタイ!タイ人農業研修生を毎年受け入れている彼ならではの一作だ!

これがまたひろっきい米にかけて食べると絶妙の味だったのだ!

遅ればせながら僕も豚を切り分ける。みんなの料理が沢山出てきたので少しおきすぎて、中に火が入りすぎてしまったが、、、

パインクリームマスタードソースは、ニンニクと玉ねぎをオイルでゆっくり炒め煮し、パインジュースを鍋半分注いで水分を飛ばし、生クリームを加えてやはり煮詰め、最後に粒入りマスタードをどかんと一本分入れて火を停める。

豚には甘い果汁に酸味、そしてコッテリとしたクリームを合わせるのが吉なのだ。さすがにみんな満腹になっていたので、蛇足的な料理になってしまった。次回は最初に完成させるぞぉ!


さんざん食べ、歓声を上げ続けて、だいぶん腹も気持ちも落ち着いた。でも10時から開始したこの会、まだ4時である!

豆炭の火を囲み、僕が持参した島根の銘酒「扶桑鶴」の純米吟醸と、野島さんが持ってきてくれた神亀酒蔵の「ひこ孫」を鍋で瓶燗につける。純米酒は燗に限る。

いい時間が流れる。薄闇となるここからが、実はメインといってもいい。
長島君がとつとつと農業の現状や生産者の気持ちを話し出す。畑を実際に観たみんなの胸には実感が灯ったことだろう。

なぜか熾き火を囲むと、皆が寡黙になるのだが、沈黙が気持ちいい。静寂の中、だれかがぼそっと話し出す。それを皆、ゆったりとした気持ちで聞き、反芻していく。

冬の日暮れは早い。17時にはとっぷりと暮れた。薄寒くなってきたこともあり、これにて〆とする。

「皆さん、どうもお疲れ様でしたぁ~~~」

これだけ大人数で集まって、あんなにハイレベルな料理が出て、なんという素晴らしき会だろうか。まずは場所提供をしてくれた長島農園に感謝。三浦・横須賀に近い人は、ぜひ長沢にある長島農園の直売所を訪れて欲しい。YRPの通研を下ったあたりにあるはずだ。忙しいので農園見学は遠慮していただきたいのだが、直売所に本人が居ることもたまにあるはずだ。

参加者皆様、本当にありがとうございました!主催者としては何もしませんでしたが、、、また集まりましょう!

そうそう今回の写真はデジタル漫画家であるカネコが撮影してくれたのが半分入っている。リコーのカプリオは綺麗に発色されるデジカメだな、気に入った。

そしてモロイ車に乗って帰った加賀谷、竹、華、僕は、反省会と称してまたもや月島「魚仁」にて痛飲したのであった、、、

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2004年11月15日

シークレット・ダッチオーブンパーティの週末

僕は晴れ男であるということにはかなりの自信を持っている。この日曜日もやはり雨は降らなかった。天と親から授かった特質(?)の中でもこれには本当に感謝している。なんといっても、大事なキャンプなどのイベントの時、ほとんど雨に祟られたことがないからだ。

で、この日は横須賀の長島農園にてダッチオーブンパーティを実施したのであった。前々から、北千住バードコートの野島さんが「長島農園にいきたいっすねー」と仰っていたので、何か機会を創ろうと思っていたのだ。こんなに寒い時期になってしまったが、でも決行!そう思って人選をしていったが、瞬く間に20人超となってしまった。

メンツは、
横須賀の年間120品目生産農家:長島勝美君ご一家
焼き鳥軍団:北千住バードコート軍団
秋田の米農家兼経営コンサルタント:伊藤ひろっきい
横浜の某大手書店事務機器営業部:長澤ひろさんご一家
三浦市農産課:瀬戸山さんご一家
国会議員秘書兼大男:モロイ氏
教育ビジネス立ち上げ寸前:本城しんのすけ
食い倒れ党員:加賀谷、竹澤、カネコ、華
である。


長島農園ではダッチをできる土地がいくつもあるのだが、今回は庭の作業小屋にブルーシートをタープのように張り、雨をしのげるようにして火を熾した。
その合間に、長島農園に初めて訪れる人たちは農園案内をしてもらい、とりたてのネギやハーブ類を手に持ち帰ってきた。

勝美君が用意しておいてくれた生ビールをぐいと呷りながら各自準備を始める。バードコート野島さんが、店で出している、川越の小野食品の豆腐をオリーブオイルとゲランドの塩で出してくれる!

チーズのようなこってりとした豆腐に一同感動。

我々もすぐ食べられるものをと思い、まず僕がフライドポテトを作る。そう、十勝やっちのフライドポテト最適品種である「ホッカイコガネ」でフライドポテトをやったのだ!二度揚げでパリッと仕上げると、限りなくホックリしながら、崩れないしっかりとした食感のポテトができあがった。

しんのすけもダッチで丸焼きしたタマネギに、バードコート持参のバージンオリーブオイルとゲランドの塩をかけた絶品ロースト玉ねぎを。


これが絶好のビールつまみになる。そう、ダッチ会はほろ酔い気分になりながらやるのが吉なのだ。

料理らしい料理として一番最初にできあがったのが、大巨人国会議員秘書であるモロイ家の海南チキンライスである。こいつが実に最高!

ライブドアの堀江さんも大好きなこの料理、鶏を茹でたスープでインディカ米を炊きあげ、鶏のぶつ切りときゅうりを乗せ各種タレで味わう、さっぱりご飯である。奥様は体調を崩してしまい不参加だったのだが、モロイ氏は「うちのカミさんが作ったので、僕は言われるとおりに並べただけです」とあくまで謙遜。

腹が減った面々が殺到し、すぐに行列ができてしまう!鶏スープご飯も肉もすぐに払底!

「お、美味しい!タイ料理のカオマンガイじゃないかぁ」

と加賀谷が絶叫し喜ぶ。奥様のエリコさん、大変に美味しゅうございました!でもモロイ氏が作ったスープご飯も最高!

三浦市の瀬戸山さんご一家は、自家製スペシャルにんにくタップリ餃子を包みまくる!

この餃子が熱々で、ほんとにニンニクの香りがブワッと拡がる本格派であった!実は瀬戸山さん、さきほどの農場見学の際にぬかるみに足をズボッとはめてしまい、あわや底なし沼状態で生命の危険から帰還してきたばかりなのであった。

しんのすけは、ダッチがブームになる前からのユーザで、かなりの上級者である。この日は、以前本城家で食べた鱒(マス)の甘露煮を野外ダッチで作る。

と、バードコート軍団がものすごい勢いで調理をしている!

野島さんを筆頭に菊ちゃん、ジョウコウさん、力ちゃんの4人がフルスピードで仕込みをしている。

その料理とは何か!?

「今日は、地鶏の照り焼きチキンバーガーを作ります!」

おおおおおおおお!
これは店では出ていないメニューである!

「いや、申し訳ないけど、このキャンプ限りです。あまりに面倒なので店では出せません!」

というこのバーガー、バンズを用意し、レタスの水切りをし、そしてなんと地鶏の卵黄でマヨネーズを作っているのだ!


その脇で、横浜の某大書店勤務の長澤さんがダッチオーブンから炎を吹き出させながらスペシャリティを完成させた!

「鶏とニンニクのオイル煮です。これ、けっこういけるんですよ!」

結構どころか、これが実に旨い!タップリのオリーブオイルで鶏とニンニクをじっくり煮たものだということで脂がギトギトしているかと思ったら大間違い。肉の旨味がそのまま閉じこめられ、適度に脱水されてプリプリの食感。コンフィともまた少し違う旨さだ!

あまりの美味しさに、バードコート野島さんが「これ、どうやって作るんですか?」とヒアリングをしていた。この料理のレシピは当のヒロさんのWebに載っているのでご参照のこと。

ここからまた怒濤の料理続出となるのである!

(続く)

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2004年11月13日

岩崎農場のトマトジュースを、オーパの水リンにブラッディマリーにしてもらった夜。

 前のエントリに書いたように、北海道の岩崎農場が松屋銀座の北海道展に出店している。金曜日までは岩崎ひでのり氏が一人でやっていて、昨日金曜日から嫁さんの亜紀ちゃんがジョイン。店じまい後に会うことになったのである。岩崎氏いわく

「あれだなぁ、あの寿司を食べに行きたいなぁ、、、」

そうだろうなぁ、、、僕の日記をみる友人のほとんどが、寿司匠または無二路に行きたいと言うんだよね。今回は、北海道の海の幸を味わい尽くしているプロフェッショナル農家に、江戸前の寿司をぶつけるチャンスである。なんと都合のいいことに、僕は岩崎農場のメロンを匠の加藤ちゃんに少し分けて上げたことがあるのだ。

「俺、メロン大好きっ!」

という加藤ちゃんに、今日は生産者が来るから。と伝えておいたら、目がぎらぎらしていた!

「今日はサービスしちゃうよぉ~」

ほんとにすごかった。最近のピカイチの握りを食べた。

ススキノの一流店を知っている岩崎夫妻もビックリしていたのである。

「お、おいしい! 東京で寿司なんて、、、っておもってたのにぃ、、、」

亜紀ちゃん、寿司はね、技術なんだよ、、、なんちゃって。

匠では偶然にも、大阪の親友ガイチと、沖縄編をコーディネートしてくれた卓が居た。なんだかなぁ、、、楽しすぎる。

一通り食べて加藤ちゃんの熱い「メロン欲しい光線」を浴びながら店を出て、Barオーパに向かう。この店も本当に最近は混みすぎてゆっくり飲む気にならないことが多いのだが、終電ちょっと前ということもあって団体がお帰りに。ちょうどカウンターに座ることができた。

さて
この日はお題があるのだ。今回、松屋銀座に岩崎農場が出しているのは、生の中玉トマト、ルバーブジャム、そしてトマトジュースだ。このトマトジュース、中玉トマト「レッドオーレ」をそのままジュースにしたもので、極めて糖度が高くフルーティ。あまりこういうこだわり系のトマトジュースを飲んだことのない人にはびっくりされそうな味なのである。

「これをオーパの水澤さんにカクテルにしてもらいたいなぁ、と思って持ってきました。」

おお!これは、以前のエントリで、彼のメロンをカクテルにしてもらった時と同じパターンである!

「かしこまりました、ブラッディマリーをつくらせていただきます。」

水澤君にっこりわらって大きめのシェイカーを取り出す。ウォッカには、トウガラシの入ったチリウォッカを使用。挽きたての胡椒も少々はいる。制作過程をじっと見つめる岩崎氏。

軽めにシェイクし空気が入ると、トマトジュースは赤からピンクに色が変わる。ご家庭にミキサーがあるなら、真っ赤なトマトの皮を湯むきしてミキサーにかけて試してみると一目瞭然だ。この日も柔らかいピンク色のブラッディマリーができあがった。

「あらぁ、あんな少ししかシェイクしてないのにこんなにピンクになるのか、シェイクの技術ってすごいねぇ、、、」

と岩崎氏が唸っている。

岩崎農場のトマトジュースでつくったブラッディマリー、一口のんで驚愕!

「濃い!すんごい濃いぞ!」

一緒につくってもらった川端卓とお連れさんがビックリしている!そう、トマトジュースが濃いので、酒が少しだけ負ける結果になっている。シェイカーに少し残ったカクテルを味見した水澤君も「うわぁ、濃いトマトジュースですね、、、」とビックリしていた。

しかし、旨い!僕はわざわざトマトジュースを飲む気にはならないんだが、こうしてカクテルにすると別物である。

ご満悦の岩崎氏。しかし、前のblogで僕がルバーブジャムのことをことさらに書いたせいか、ジャムが大量に売れて、トマトジュースの方の動きがじゃっかん鈍いらしい。

「一リットルで重いから持って帰りたくないんだろうね。」

まあそんなこといわずに持って帰ってやって下さい。僕も飲みましたが、高い水準のトマトジュースになっている。今日はこれでトマトソースを作ろうかと思っているくらいだ。

松屋銀座の北海道物産展は月曜日までやっている。ぜひ岩崎農場のブースを訪れ、励まして上げてもらいたい。

この後さらにカクテルをのみ、酩酊しながら帰った夫妻。頑張れよ!北海道人!

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2004年11月12日

大阪もカレー天国! 船場カレー「牛すじカレー」とトクマサのカレーをハシゴした。

 僕にとって大阪と言えばカレー「インデアン」がある聖地である。それ以外にも街を歩くとカレー専門店が多く、はっきりいって大阪の方が東京のカレーより文化的に成熟しているように思う。そういえば大阪って、カレー以外にも専門店が多い。串カツとかね。東京では何でも揃えた店が多いが、大阪には専門業態で勝負する一徹者が多いということだろうか。それだけに一点集中型の凄みを感じるのである。

さて大阪のとある市場を歩く。やはり葉物野菜を中心に品不足が続いており、今年度で経営が成り立たなくなる業者がスゴイ数に上りそうだ。

写真は、はっきりとは書かれていないがおそらく輸入の白菜。今まで輸入品を安く叩いて来たのに、食料がなくなるとすぐに外に頼らざるを得ない。あまり殿様商売を続けていると、総スカンを食らってしまう。業界全体で、少量の安定供給を考える時期に来ていると思うが、、、

そんなことを考えながらも腹がへって仕方がない!
本日の昼飯はやはりカレー!大阪きたらカレーなんである。しかも、以前にコメントでタレコミいただいた「船場カレーのスジネギカレー」が気になってしょうがないので、行くことにした。向かうは「本町」である。センタービルという建物の北側にあるというので、それらしき立派なビルを探し当てたが、カレー屋なんぞどこにも無い!電話をすると、

「そっちのセンタービルじゃなくて、もう少し南にある『本町センタービル』ていう建物なのよ~」

という。なんだなんだと歩くと、東京の大手町のような印象の大通りではなく、雑多に店が軒を連ねる、いい感じのストリートが拡がっている。そこに船場カレーがあった。

■船場カリー
http://www.curryhouse.co.jp/

Webは小綺麗にまとまっていたので、よくあるフランチャイズの店かと思ったら、適度に庶民的で食欲をそそる外観である。こういうの好きだ!

階段を登り小さな店内に入る。Webにキャラクタとして登場しているおっちゃんと女将さんの二人で切り盛りしをしているらしい。

メニューを観る。

ビーフカレーなどあるが、コメントに書いてくださった方が「とにかくスジネギカレーを食べるべし。イカ墨が混ぜられていて、辛くて旨いです」と書いていてくれているので、スジネギカレー(950円)大盛り(200円増し)を頼む。

「あ、電話してきてくれた人? 申し訳ないんですけどネギが切れちゃってないんですよぉ~」

おおお残念! それでも仕方がないのでスジカレーの大盛り(1050円)を頼む。

「すぐ隣の建物にアネックスっていう支店があるんですけど、そちらだったらまだネギもあるかも知れませんよ。」

と言ってくれたが、どうせなら本店で味わいたいので、スジカレー大盛りを通すことにした。

「かなり量がありますけどいいですか?」

そんなん俺に訊かないでくれ! 全然OKです! 
、、、ほとんど待たずに出てきたそれは、実に豪快かつ旨そうなカレーであった!


照り照りと艶やかに黒く輝くルーは、粘度が高い。インド系カレーが欲しい人にはまったく向かないと思った方がいいだろう。量的には確かに多いが、大盛りでこれくらいはあって欲しいという量だ。ちなみにインデアンカレーのご飯大盛りは僕には足りない、、、

ご覧いただければおわかりの通り、黒みが強いのはイカ墨の練り込みのせいだろう。これは実に旨そうだ!カレーの香りも強力にビンビンと立っており、ガツガツと食いたくなってしまった!

口に運ぶと、粘度の高さからまったりとした印象があったが、すぐにスパイスの香りと辛み、そして深い旨味がドワッと拡がる。こいつぁ旨い! ジャポニカ米に合うカレールーはこれだ。この粘度とアタックの強い旨味。イカ墨のせいか、辛さがダイレクトではなくまろやかにかつしなやかに身体全体を火照らせていく。

具がよく煮込まれた牛スジ肉なので、ブルンとした食感。けっこう肉がゴロゴロ入っており、満足度高い。これにネギの小口切りがばばんと乗っていたら、確かに旨いだろうなぁ、と思う。スジ肉だけではタンパク質多すぎ感が否めないのだ。でも、スジカレーだけでも標準レベルを遙かに上回っている。文句なしである。

いや、食った。旨かった。いい気分で店を出て空港へ行こうと思うが、さきほどこの船場カレーを探しながら見つけてしまったもう一つの店が気になって仕方がない。それは、こういうカレー屋さんだ。

■得正(とくまさ) 本町店
http://homepage3.nifty.com/tokumasa/

「この味一筋40年」と書かれた看板に引き寄せられどうしても食っておきたいと思ってしまうのであった。スジカレー大盛りを食ってはいるが、胃袋のキャパは全然問題なしである。行くしかあるまい。

入店すると、これまた専門店的簡素なカウンターのみの店である。

メニューを観ると安い!なんとカレーは400円である。

とりあえずカレーとピクルスを頼む。いろんなトッピングがあるようだが、基本で攻めてみるのだ。そしてほどなく盛られてきたカレーを観てびっくりした、、、

インデアンカレーのスタイルそのままではないか! 下記にインデアンカレーの玉子オプション付きの画像を掲載しよう。(ただしこちらは黄身が2つ乗っている「目玉」バージョン」)

どうだろう、楕円の皿の形と言い、スタイルは全く同じである。

まあこういう場合、どれが本家とかそういうことはないはずだ。大阪ではこのスタイルのカレーが広く受け入れられている、ということだろう。ただ、この店、400円のカレーに最初から黄身が乗っているところといい、非常にリーズナブルだ。インデアンよりは確実に安い。

食べてみる。まろやかな一口目から、少したつと辛みがわき上がってくる。これもインデアンスタイルの味の構成だ。しかし、全体的にややぼやけ気味の印象。おそらく船場カレーの強いアタック、濃い味に慣れている舌が、全体的に控えめな得正カレーの印象をより柔らかくしてしまっていると思う。ま、それを引いても、価格が安いだけあって、旨味やインパクトなど総合的にはインデアン、船場カレーには及ばないとは思う。

しかし、この店も僕は好きだな。400円という庶民的な価格で、黄身のせまでやってくれて、非常にハードルが低い。僕みたいに船場カレーみたいな濃いカレーを食べてから入店する人なんてあまりいないだろうから、その場合はきちんと美味しいと感じるはずだ。今度、何も食べていない状態で大盛り辛口を食べに来ようと思った。

ということで図らずも2店探訪。 おお!空港に行かねばならない時間だ!ていうか時間ないじゃん!ということで今回はインデアンには行けず。けど、インデアン以外にもカレー王国大阪の懐を、垣間見ることができたので大満足だ!

伊丹空港は初めてなので行き方に迷う!乗り換え案内で調べたら全然間に合わない!地下鉄を乗り継ぎ走りまくって、空港に20分前に着く。チェックインしたら、まだ余裕で間に合うらしくホッと一安心。

そして帰京し、その足でトルコ料理を食べに行ったのでした。順序が逆になっちゃった。

Posted by yamaken at 14:45 | Comments (7) | TrackBack

松屋銀座の北海道物産展に、岩崎農場が来ている!国内随一のルバーブジャムと、自慢のトマトジュースが売っているらしいゾ

※情報追加!


松屋銀座で、11月10日~15日(月)まで、こんな催事をやっている。

■GINZAの北海道展
http://www.matsuya.com/ginza/topics/1115e_hok/index.html

ここに、僕の親友であり、北海道でも有数の旨い赤肉メロンを生産する農家である岩崎夫妻が出店しているとの連絡が入った。

岩崎農場はメロンと高糖度トマト、そしてルバーブや蕎麦を生産している。生産技術は高い!そして岩崎(夫)さんは技術向上のために世界を行き来している人で、若手農家のホープの一人と言って構わないだろう。

上のリンク先のチラシには小さくしか載っていないのだが、、、下の方(デザートのちょっと上)の右側に、「栗山/岩崎農場」として、早起きトマトジュースとルバーブジャムが載っている。でもきっとトマトも売ってるんじゃないかなぁ、、、
(↑確認しました。トマトも販売中!ただし売れ行きがよく、すぐに無くなってしまいそうな状況らしいです。)
行く人、ぜひチェックを。僕は時間がとれなさそうで、松屋には足を運べなさそう。で、本日夜に店を閉めた岩崎夫妻を歓待する予定である。

ちなみに
お菓子の好きな人は深紅が美しいルバーブをご存じだろう。ほとんどが輸入品だが、まれに国産品が出てくることがある。そして、この岩崎農場はこの国産品の中でも最高グレードと言われているものだ。関東圏の有名なケーキ屋などが採用している。築地市場でも独占である仲卸が取引をしている。もうこの時期、フレッシュなルバーブはないのだが、彼らのジャムを食べても、その片鱗が伺えると思う。

トマトはレッドオーレという品種を生産している。レッドオーレはミディといわれるカネコ種苗の中玉品種で、樹に鈴なりになった姿形が美しく、僕が大好きな品種だ(→マニアックだなぁ)。
僕はトマトについては「こう言うのが好き」という方向性が明確にあるので、彼らのトマト作りのポリシーとは少し違う部分がある。でも、そういう自分の好みを抜きに言えば、彼らのトマトはむちゃくちゃに高糖度でびっくりするはずだ。ぜひブースにいって「トマトないんですかぁ?」と 話しかけて欲しい。

以上、連絡でした!

Posted by yamaken at 09:28 | Comments (6) | TrackBack

阿佐ヶ谷に日本一のトルコ料理あり! おうさるさんのアテンドで未知との遭遇を果たす! 阿佐ヶ谷「イズミル」 その3

さてデザートである。

「トルコ料理では小麦粉モノが重要なんです。今日はバクラワという、ほんっとにスペシャルなデザートを出してくれるように頼んでますから!」

と終盤戦に入ってますます絶好調なおうさるさん。厨房との連携が凄まじく、まるでこの店のオーナーなんじゃないかという感じである。

「きました。これがバクラワです!これだけ並んでるのをみるのは壮観ですねぇ~」

このバクラワ、パイのように焼いた生地を濃いシロップに漬けたものだそうだ。中になにかが挟まれているようで、とにかく手が混んでいる。

「とても面倒な料理なので出ない日もあるし、手抜きしてるなって時もあるんですけど、、、今日は『大事な友人が来る』っていってたんで、最上級の仕上がりですよ!」


そうか!さっそく口に運ぶ。ホロホロのパイ地を噛みしめると、シロップがデュワッと染み出して頬を伝う!甘~い!そしてパイ生地の香ばしさが混ざって鼻に抜ける。パイは幾層にも折り重ねられていて、熟練の技を感じさせる!さすが小麦粉の魔術師!

旨い!しかし甘い!
そこにおうさるさんが持ってきたのが、チャイだ。

この釣り手のついたお盆は多人数の時にしか出ないらしい。

美しい小さなグラスに入ったチャイには、インドのようにミルクやスパイスは入っていない。このチャイがまた旨い!香りも強いが味が非常にまろやか。よく突き刺さる味の紅茶に出会うが、それとは別物。普通の紅茶とはなんだか違うような気がするんだが、、、

「このチャイは、濃い紅茶をお湯で割って作るんです。」

とおうさるさん、厨房からチャイを入れるための2段重ねポットを持ってきてくれた。

こうして、上段の濃い紅茶の部分と下段のお湯を、自分の好みの割合で煎れるのがトルコのチャイなのだそうだ!僕は若干濃いめが好きだった。このチャイ、当たり前だろうけど、とにかくトルコのデザートにあう。

こちらはドンドルマ、いわゆる伸びるアイスクリームだ。

「よく話題になるように極端に伸ばしているのがありますが、本モノはあそこまではやりません。とろっとしてきたときに匙ですくうと、デローって伸びるくらいです。」

そしてこれはライスプティング。

僕はこれが一番気に入った!米なんかデザートで食べたくないよ!と思うことが多いのだが、ここのはプティングのミルキーなソースが絶妙!これははずせないと思うのである。

いや~食った!

そこでおうさるさんのトルコ偏愛ぶりがまた爆発する発言が。

「実はですね。人手がいないみたいで、店を手伝えといわれているんです。毎週金曜日の夜は僕も店にいますので、もしやまけんさんのWebを観てくる人がいらっしゃったら、ガイド致します。」

おおお
すごいなぁ
だっておうさるさんは横浜在住だよ?なかなか横浜から阿佐ヶ谷にバイトに来る人っていないよね、、、
この一件だけでも、おうさるさんと店との親愛関係がよくわかる。厨房のスレイマンさんも、この店の店主である女将も、おうさるさんには身内同然の接し方である。

「お店からの情報です。お店に来て、『やまけんかおうさるのwebを観てきた』とお伝え下さい。何かサービスさせて頂きます」

おおおおおおお! 出たぁ~

食い倒ラーは阿佐ヶ谷イズミルに出陣すべし!いやマジで旨いですよ。激辛とかはないのでまったりと緩やかな食卓なのですが、しみじみ旨い!イスケンデルケバブのように、視覚的にも味的にも最上クラスの慶びを味わえる一品もある。これは超お奨めですね。

「ありがとう、また来てね!」

スレイマンと女将ともがっちり握手!

ガイド役のおうさるさん、どばしさんは引き続き店で何やら話すそうだ。みんなで見送ってくれた。

ちなみにこれだけ食べて一人6000円程度(テキルダーというラクはおうさるさんがおごってくれた。それだけチョット高めなのだ)十分にリーズナブルだと感じた。

阿佐ヶ谷はやっぱりディープな場所だ。イズミルも含め、また散策に行こうと思うこのごろである!


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2004年11月11日

阿佐ヶ谷に日本一のトルコ料理あり! おうさるさんのアテンドで未知との遭遇を果たす! 阿佐ヶ谷「イズミル」 その2

さて、いよいよ肉料理だ!

⑨シシケバブ

羊肉をスパイスで味付けし、串に刺して焼くこの代表的な料理、この一品だけとって酒を飲んでも満足するプレートになっている。というのは、肉の脇に添えられたタマネギの薄切りの付け合わせ、こいつにまぶされたエゴマのようなスパイスが、香ばしい風味をつけている。肉と一緒に口に放り込み、噛みしめるとその独特の香りが食欲を倍加させるのだ!

それと、スープで炊かれたライスには小さな小さな黄金色のパスタがちりばめられている。おうさるさんによればこのパスタが味の決め手となっているらしい。

確かにこのライスを噛みしめると、むっちりとした食感が楽しいのだ。

⑩挽肉のケバブ

次ぎに出てきたのはスパイスを混ぜた挽肉を串焼きにしたものだ。

これは牛挽き肉と思うが、スパイスが牛の癖を軽やかに変容している。まことに旨いひと皿だ。

そして、この日一番の旨い皿がやってきた!

⑪イスケンダル・ケバブ

うおおおおおおおおお
なんという食欲をソソる美しいプレゼンテーションなのだろう!
これは、牛肉を鉄棒に巻き付けて太い柱にして炙り焼きしたドネルケバブを削ったものをパンの上に載せ、上からトマトソースをかけ、最後にヨーグルトとスパイスをふりかけたものだ。

ドネルケバブの肉は牛なのだが、おうさるさんによれば実は巻き付ける際に羊の脂を塗っているということで、コクと深みのある味になっている。このケバブと濃いトマトソースの相性がばっちりで、文句なしに旨い!底にあるパンがソースを吸ってグジュグジュになったのがまた旨い!文句なしにこの日の料理の中でのナンバーワンなのであった。

「見た目も美味しそうだし、食べると予想以上に美味しい。この料理は外せません!」

とおうさるさんが言うだけある!かなり感動の料理である。

⑫羊の挽肉のトマト煮

これは小さな鉄鍋で調理されてそのまま出てくる料理で、たしか料理名も「小さな鍋」という名前だったと記憶している。

こいつもスパイスが隠し味に効いていて、羊の香りを素晴らしいものに昇華している。すばらしい!

⑬野菜と豆のスープ

このスープがまた旨い!

「見た目は悪いんですけど、本当に家庭料理なんですよ。」

というが見た目も悪くないです!一匙すすると、香草類の香りとすりつぶした豆っぽいざらつき感、そして暖かな旨味が拡がる。こういうスープこそ、常食したい料理だ。と思っていたら、トルコ人女性の女将っぽい彼女が、
「このスープはレモンを搾ると、また美味しいのよ!」
と流暢な日本語で言ってのけ、絞ってくれる。

この女性がフランクで日本語の冗談をとばしまくり、座をいい雰囲気にキープしてくれる才女であった。レモンの酸味が足されたこのスープ、さらに味が複雑になり最高の旨さである。

⑭ヨーグルトとキュウリのスープ

先ほどのスープとはまた対極的なさっぱりした味わいのスープ。これがまたホッとする味。おうさるさんはこれをかならず注文するそうだ。

「トルコ人はヨーグルトを常に食べているためか、胃腸が弱い人がほとんどい
ないんです。薬屋にいっても、胃腸薬はほとんど置いてないんですよ!」
それはスゴイ話だ!

このフェンネルの香りがヨーグルトスープにマッチして、食べたことがない感覚だ。

「日本人は甘いヨーグルトしか知らないけど、塩味のヨーグルトも美味しいでしょ?」

とトルコ人女将がにっこり微笑みながら言う。まさしくそうだ。きゅうりの食感と塩っぽく酸味の利いたヨーグルトの味、そしてハーブの使い方が絶妙。
ちなみにおうさるさんによれば、トルコのヨーグルトに一番近いのは明治ブルガリアヨーグルトだそうだ。ナチュレとかは違う系統らしい。

⑮ズッキーニのおやきみたいなの

おうさるさん曰く「さつまあげみたいなんですよ」という料理だが、どっちかというとお焼きという感じだ。でも、中身がズッキーニだとはみなわからないだろう。これもフカフカしていて、美味しい。


「いやぁ、食ったぁ~」

「やまけんさん、まだこれからデザートですよ!スレイマンには、特別なのを作れって言ってありますから、ここからまた一勝負です!」

(その3に続く)

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2004年11月10日

阿佐ヶ谷に日本一のトルコ料理あり! おうさるさんのアテンドで未知との遭遇を果たす! 阿佐ヶ谷「イズミル」 その1

 ジャポネ学の権威にして路麺・立ち飲み居酒屋・串カツ屋愛好家であるおうさるさんとは、つい先日ジャポネにて感動の遭遇を果たしたばかりである。その際に彼は、うわごとのように繰り返し「トルコ料理最高!ぜひ今度お連れしたいんですよ!」と言っていたのである。そう、おそらくおうさる氏は日本有数のトルコ料理偏愛家であろう。

「日本中のトルコ料理屋を廻って本にしたい。すでに大半を把握しています」

という彼の目は狂気に近い偏愛ぶりを示している。実は僕はトルコ料理にはそれほどいい印象がない。過去に訪れた店が今ひとつだったからだろう。ドネルケバブやシシケバブといった肉焼き料理と、ドルマという野菜に米を詰めた煮物、そして色とりどりの前菜類が基調となるものということは大体検討がついているのだが、それ以上のつっこみを入れるつもりに今ひとつなれなかったのである。

「そんなやまけんさんを、ぜひトルコ料理の虜にした~いっ!!」

というおうさる氏の熱烈なお誘いに、食い倒れ党首としては引き下がるわけにはいかない。

「いま僕が一番お奨めする店が、阿佐ヶ谷「イズミル」という店です。前は板橋にあったのですが、その頃から僕は横浜から通っていたんです。」

そう、なんとおうさる氏は横浜在住なのだが、そこから板橋や阿佐ヶ谷といった、決して近いとは言えない場所に遠征しまくって、かつ涼しい顔をしているのである。彼も相当に高いレベルの食い倒ラーなんである。

さてそのイズミルに行って来た!相方は出版社 誠文堂新光社のミソノ氏、国会議員秘書のモロイ氏、そしてギャラリーに務めるコバヤシ氏である。

「この店とは長いつきあいなので、店のスタッフに最大級のもてなしをするように言います!当日は僕は早めには行ってヤマケン攻略のためのメニュー組み立てをしてますから!」

というおうさるさんの言に従い、現地に集合。

「JR阿佐ヶ谷駅・北口に出るとすぐにロータリーがあります。その先に「ロッテリア」が1Fに入っている「パサージュ」というビルがあります。そのビルの2Fです。正面エスカレータを上がり、左手後方に行くと店です。駅から徒歩1分です。」

なんと好立地ではないか!駅北口から本当に1分である。ロッテリアはすぐ駅から見えるので、間違えようがない。そのロッテリアを左にみながらビルの中に入る。エスカレーターがあるので登りましょう。

エスカレータを登り切ったら振り返ってみよう。右側にスカイブルーの小さな看板があるはずた。これがイズミルである。

■イズミル
杉並区阿佐ヶ谷北2-13-2-2F
03-3310-4666

店に入る。カウンターとテーブル席で、40人くらい入れるようになっているのかな。調度は綺麗。トルコっぽい感じは余りせず、ダイニングバーという風情だ。店で働くのはみなトルコ人である。

店の一番奥に少し大きめのテーブルがあり、そこにおうさるさんが座って待ってくれていた。

「どうも!今日はやまけんさんを迎え撃つために僕も黒Tシャツできました!」

とにこやかに僕を迎えてくれた後、早速トルコ料理の解説をしてくださる。

「トルコ料理ではまず、前菜をたっぷり楽しみます。ひよこ豆のペーストやナスとヨーグルトのディップなど、この前菜だけで3皿くらい食べてもいいくらいの美味しさなんです。これにあわせるのがエキメッキというパンです。このイズミルのシェフのスレイマンさんは、超絶な小麦粉使いなんですよ!ですからここのエキメッキは美味しい!」

ということで、まずは前菜盛り合わせとエキメッキをいただくことにする。そういえば写真に撮るのを忘れてしまったのだが、トルコのビール「エフェス」も頼んだ。このピルスナータイプのエフェスが非常に薫り高く上品で旨い!ビールを楽しんでいると、激烈旨そうな前菜群が運ばれてきた!

これが盛り合わせだ。

こちらは漁師風サラダという、シンプルなトルコの家庭料理。

そしてこいつが噂のエキメッキだ。焼きたて、外はパリッとしており中はふっくらの旨そうなパンである!

このエキメッキにそれぞれのペースト類を塗りつけて頂くのが吉である。

ちなみに、料理の名前はほぼ完全に忘れてしまった! けれどもご安心。おうさるさんがコメントに解説を付けてくれます。なので、これから料理には番号をふっておきます。おうさるさんよろしくです!

①なすのディップ

僕が思い浮かべるトルコ料理って、前菜であることが多い。中でも焼いたナスをミンチにしてニンニクやヨーグルトと合わせるこの料理は、自分で作るくらい好きだ。しかし、ホンモノを食べてみないと、自分で作ろうにも味がわからん。で、このナスのディップ、ニンニクが利いていて旨い!ちょびっとずつではなく丼一杯食いたいのであった。

②ひよこ豆のディップ(ホムスとかいったかなぁ)

こいつがまたバカウマ。ゴマが使われているらしいのだが、豆の粒状感はなく、限りなくなめらかなペーストになっている。

④トマトとトウガラシのディップ

こちらはトマトとトウガラシ、香草類を叩いてペーストにした物らしい。あまり火が通っていないらしく香りが非常にフレッシュで、エキゾチックなハーブ類の香りがダイレクトに伝わってくる。ピリッと辛いが、激辛というものではまったくない。

「この料理が一番辛いくらいですね。ですからトルコ料理にはあまり強い辛み要素はないんです。」

とのことであった。

⑤ホウレンソウとヨーグルトのディップ

知っている人も多いだろうが、トルコ料理といえばヨーグルトだ。今回はじめておうさるさんから教わったのだが、「ヨーグルト」とはトルコ語なのだそうだ。もちろんトルコ語ではちょっと発音が違うらしく「ヨーウルト」になるということだ。Gを発音しないのだね。
で、このディップがまた激ウマ。何だかわからないがハーブの併せ方が絶妙で、ヨーウルトの酸味・風味と相まって最高のディップになっているのだ。

次ぎ煮出てきたのが、これも定番の「ドルマ」だ。

⑥ドルマ

赤いのがトマト、緑がピーマンで米を詰めた物だ。非常におとなしい味の料理だけど、しみじみと旨い。

このドルマに使われている米は、てっきり向こうの品種かと思ったが、日本の米だそうだ。ナイフを入れると、さっくりと切り分かれる。

あっさりとした旨味を湛えるスープを含んだ米と、皮となる野菜の甘みと香りと合わさってもっちりと旨い!

地味な存在だが、決して頼むのを忘れてはならない一品だ。

「どうですオイシイでしょ?この前菜を永遠に食べ続けてもいいくらいですよね?」

と言いながらとにかくすべての料理に解説を付けまくるおうさる氏。彼の熱情は、正直僕よりも熱いのではないかと思った!本当に好き者なんだなぁ、、、ちなみにこのおうさるさんは、TVチャンピオンのプリン選手権で準優勝をしている。本業はフリーのシステムエンジニアで、現在は病院関係の電子カルテシステムを構築したりしているという。一つのことに偏執狂的に突っ込んで深堀りをするこの人ならば、かゆいところに手が届くシステムを構築してくれるのではないかと思うのであった。

さてそんな彼が持っている酒が、トルコの蒸留酒である「ラク」である。この日は、ナショナルブランド的なYeniRakiという銘柄と、写真で彼が持っている銘柄の二種を呑んだ。


(↑この写真は、一般的な銘柄の方)

「こっちの方は高いんですが、日本ではほとんど売られてないんですよ!大方のトルコ人はこちらを好みます」

このラクの飲み方だが、水割りにして氷を入れて呑むのが普通らしい。面白いのは、水を注ぐと白濁するのだ。

この状態だったものが、、、

水を注ぐとこうなるのダ!

「酒に含まれている油分のせいで白濁するようです。」

というので表面を接写して観てみると、本当に脂っぽいのが分離している。

このラクが、なんというか独特の香りと甘さがあって旨い!47度とアルコール度数が高いので気を付ける必要があるが、実に美味しい酒なのだ。ペルノーのような薬草っぽい風味があるが、それが特徴的で魅惑的だ。

そして次ぎに出てきたのが、意外や意外の魚料理だ。

⑦魚料理

スズキの手前の「フッコ」をトマト、タマネギ、ナスなどの野菜とハーブと一緒にあっさりと煮た料理だが、これがしみじみとした味で旨い。

「日本ではトルコ料理といえばドネルケバブというイメージがあって、あまり魚料理を出す店はないんです。今日はスレイマンが気を利かせて作ってくれたようです。」

ちなみに厨房のスレイマンは、ブラジルの柔術師であるヴァリッジ・イズマイウにちょっと似た感じのやつである。実は彼は僕と同い年であることが判明。かなりの親近感が湧く。

さて料理は後半戦に突入という感じだ。

⑧マントゥー

中国の饅頭(マントウ)と同じ語源と推測される、小麦を饅頭のように丸めた料理だ。白っぽいのはヨーグルトソース、上にかかっているのはトマトのソースで、これに香辛料のようなものがかけられている。この美しい外観を観よ!という感じだ。

これでもかと使われているヨーグルトのおかげで、料理には舌に刺さるようなインパクトはほぼ無い。だからビックリするような味付けにはなっていない。それをつまらないという向きもあるかも知れないが、元来トルコ料理はこういう、優しい味がポイントなのだろう。

(以下、その2に続く)

Posted by yamaken at 15:22 | Comments (18) | TrackBack

涙がちょちょぎれます

PC求むのエントリに連絡をいただいた皆様、本当にありがとうございました。
PC譲って頂けるというお申し出から、ほぼPCを構成できるパーツ類をいただけるというお話し、そしてホスティングサーバを自由に使わせていただける話など、あまりにも過分なお申し出を多数いただきました。

ただし、皆様にご負担になるといけないので「余っている」ということを優先して連絡差し上げたいと思っています。

いただいたPCはきっちりLinuxマシンに仕立てて、食い倒れ日記のニューバージョンの研究にいそしみたいと思っています。

なにせ食い倒れ日記を「こうしたい」「ああしたい」という欲求は多々あるのです。本業よりも毎日気になってます(笑)

ということで本当にありがとうございました。blogを始めて2年目ですが、温かく読んで頂いていることに感謝。

秋田のホテルより皆様に愛を込めて、、、

Posted by yamaken at 08:57 | Comments (3) | TrackBack

2004年11月09日

いらないPC求む!

イタリア行き航空券の情報、お寄せいただいた皆様には本当にありがとうございました。現在、頂いた情報もチェックしながら、無二路のほうで検討続けています。

さて続きまして、読者の方にお願いがあります。以下のスペックを満たすPCが「余ってる」方がいらっしゃったら、食い倒れ日記に寄付していただけませんか。

■最低限スペック
CPU:PenⅢ1Ghz以上、セレロン1.5Ghz以上
HDD:30GBくらいあれば結構です
RAM:256MBあれば十分です。128MBしか無くても何とかします

食い倒れ日記のエントリ数も450を突破し、コメント総数も2000を超えました。しかし、実験的に始めてしまったため、MovableType2.6を、DBを使用せずテキストファイルで運用し続けています。そういう環境に不安を抱き始めた今日、この頃なのです。

運用をお願いしているプロコムさんとも相談して、いずれはプラットフォームに手を入れるつもりなのですが、まず私が自分の家でシステムを仮構築して、それをホスティングサーバに移行しないとイカン。そのためにLINUXなどのUNIX系OSを走らせるマシンが家に必要になりました。
ラッキーなことに、ライブドア社さんからTurboLinuxの最新評価版をいただいたので、これでサーバ環境を整えて、自宅の環境を構築しなければならないのです。ご存じの通り我が家では、右側のサイドバーに表示されているウェザーバケットの気象情報を取得するためのWinマシンがサーバとして24時間稼働しています。このマシンをLINUXにするわけにはいかず、困っているのです、、、

もし、ご自宅または会社などに使っていないハードがあるという方がいらっしゃったらぜひお譲りいただけませんか。ご存じの通り、このblogは商用で運用していないため、まったく手弁当です。存続にご協力頂ければ幸いです。御礼として、僕が大切に保存している、山形県のまあどんな会が創った、日本最強のご飯の友「なんばんの粕漬け」を一瓶差し上げます(笑)

もし、「あげるよ」という方がいらっしゃれば、下記にメールをいただければ幸いです。
netfarm@mail.goo.ne.jp
代金着払いで送って頂くことになると思います。勝手ばかり申してゴメンナサイ。
あまり過剰な期待せずに待っております。あくまで「余ってたら」です。よろしくお願い致します。

Posted by yamaken at 00:59 | Comments (3) | TrackBack

北関東に絶品キャンプコース登場! 東京から2時間で奥久慈シャモ&ダッチオーブン&温泉三昧を満喫しよう! 後編

さて
組合から15分程度車を走らせてキャンプ場に着くと、曇りながらも青空が垣間見える天気になっていた。俺の祈りが効いたのだろうか!いや違うか、、、

この大子町のキャンプ場「グリーンヴィラ」には宿泊方法がいくつかある。まずは、だだっぴろい広場にテントを張って野営。ただし野営とはいっても、画像をみておわかりのように車が駐車するスペースが地面にカットされている。近代的というか現代的というか、昔の自転車旅行全盛期には無かったようなキャンプ場である。


この他、家族連れやグループのためのキャビンがあるのだが、こいつがまたスゴイ!

こんな立派な建物が使えるのだ。まあそれなりの値段なのだけど、雑魚寝でよければ10人以上が泊まることが可能だろう。

冷蔵庫、キッチン、風呂、トイレ、そしてテレビまで完備である。俺、次ぎに出す農業本はここで缶詰になって書きたいなぁ、、、(願望)

この他、アメリカンなトレーラーハウスもある。家族なんかだとこれが一番いいだろう。キャンピング仕様になっていて、シャワーまでついているらしい。とはいえ、敷地内に温泉もわいている(!)ので、シャワーなんぞ使わなくていいかもしれん。

「よっしゃぁ、準備しましょう!」

総勢13名程度になるため、バーベキュー用のピットは2つ押さえた。

画面左上のベンチの上にある箱は、生ビールサーバである!バードコートに納入している酒屋さんとサントリーさんが、「そういうことなら出しますよサービスで!何本いるの?」と、生の樽を4つも提供してくれたのダ!

とりあえずバードコート軍団、シャモの解体を始める。バーベキューピットの横にある水場は広々としていて使いやすい。ここで一同猛然と鶏をさばくのだ。

野島さんによれば、一日の営業時で一人が仕込むことができる鶏は3羽程度だそうだ。もちろん丸鶏を解体し切り分け、串に刺して焼くことが出来る状態にするまでやって、ということだ。安居酒屋などではすでに串に刺しているタイ産の冷凍焼き鳥などが極安で売っているため、5本で300円などという価格が可能になる。しかし、ホンモノの地鶏を一からさばいて串に刺し、焼くという場合、どうしても一本で300円以上はとらなければならなくなるのが、道理というものだ。


野島さんが若衆にもも肉の切りつけについて指示をしている。

「ここは繊維に沿って切って、それを今度は繊維を断ち切るように切るんだよ。」

ちなみにバードコートでは、肉を捌く包丁にグレステンのガラスキ420WKを使っているようだ。厨房には研がれてかなりすり減ったグレステンが6本くらい並んでいたのだ。密かな包丁マニアとしては見逃せないポイント。
「ステンレス刃だと錆びないから楽ですねぇ~」
と野島さんは何気なく言うのだが、、、

この薫陶を受けるのが若衆だ。

彼は最年少26歳のリキちゃん。まだ若いのに山本益博氏の「ダイブル」に掲載されている店に片っ端から通ったという、筋金入りの食いしん坊だ。

そして菊ちゃんは和食出身の板前さんで、バードコートのナンバー2である。

この二名、現在彼女募集中なので、我こそはと思われる女性は、バードコートを今すぐ予約して、品定めをして欲しい。ちなみに菊ちゃんの好みは「菅野ミホっす、、、」だそうである。

今回のテーマである冷凍シャモは、ビニールごと流水につけて解凍する。通常のブロイラーであればこの時点で大量のドリップが流れ出て、旨味などは吹き飛んでしまうが、シャモの強い肉質は、旨味を逃さないハズなのである。解凍された鶏の解体が瞬く間に終わり、彼らは肉をぴっちりとキッチンペーパーで包む。

「出来るだけ水分を抜いた方がいいんですよ。全然味が変わりますよ。」

ということだ。

「胸肉はユズの果汁と塩胡椒ででマリネして、炭火で焼いてサラダにしましょう。」

このマリネに使ったユズは、キャンプ場のすぐ下にある、農家直売所で買い求めた物だ。肥大した大きなユズが10玉くらい入ってたったの250円だった。

この直売所、特筆ものだったのはきのこが一杯売っていたことだ。確認はしなかったが、地物の天然キノコだろう。すばらしい!これで鍋ってのもいいなぁ、、、

冷凍のシャモは、切り身を焼き鳥にするのと、丸鶏をダッチオーブンで焼くことにする。このキャンプ場ではダッチオーブンや、それを使うための道具類をレンタルしてくれる。これがレンタルしたセットだ。3000円くらいだったかな。

ダッチは、僕が愛用している米国のロッジ社のものではなく、ユニフレームという国産メーカのものだ。くらべると少し鍋肌が薄目なんだが、まあ大丈夫だろう。ダッチ自体はそれほど高くないが、写真にあるようなスタンド類など含めると結構高くなる。初心者には手が出しにくいが、こういうキャンプ場で試すことができるのは非常によいだろう。

冷凍の丸シャモには、強めの塩をし、腹の中に皮を剥いたニンニクをこれでもか!というほど詰め込んで整形し、プレヒートしたダッチに投入する。ちなみにダッチ経験者は僕しかいなかったので、火の番は僕に一任される。へっへっへ任しておけ!

鶏の丸焼きはダッチ料理の基本である。下からだけではなく蓋の上にも炭を載せ、上火を使う。これで火が通ったら、少し蓋をずらして水蒸気を逃がし、パリっと焼き上げるのである。

この辺でもう待ちきれず手羽を焼き始める。

手前の列がフレッシュ、奥が冷凍物の手羽だ。焼き上げて食べ比べてみると、若干の肉質の弾力差はあるが、正直言って並べて食べなければわかるもんじゃない。

「旨いじゃん!イケマスよこれは!!」

「そうでしょ、瞬間冷凍だから品質は落ちないですよ。」

と高安さんが大子の特産品であるリンゴを一杯持ってきてくれた。

組合には鮎釣りの名人もいらっしゃり、この日、20匹くらいを持ってきてくれた!

網の上でこんがりじっくり焼いた鮎を頭から囓ると、あのキュウリの香りがする。

もちろん天然だ!てことは、釣り好きの人には、最適ポイントもあるということである。ん~ 山と川と地鶏!



だんだんと夜も更けてきて、料理が次々とできあがる。

ユズでマリネした胸肉を焼き、ポケットファームどきどきで買ったサニーレタスなどとあわせてサラダにする。ドレッシングには福岡県の銘酒蔵「杜の蔵」の酒ドレッシングを使う。これが絶品に仕上がった!

「胸肉なのに全然ぱさぱさしてないですね!」

「そうですね、奥久慈シャモの繊維の細かさが気持ちいいですね。」

これにも冷凍物が使われているはずだが、みじんにもそんなことを感じさせない。


野島さんが網の前で、シャモの開いたものを焼く。じっくり時間をかけて火を通す。

これにチャレンジする人のために言っておくと、シャモの特性としてとにかく、火を通しすぎるとバサバサして旨くない。かといって火が通らないと強く細かい繊維の感触が味わえない。火の通りがギリギリのラインを見定める力が必要になるのだ。頑張ってチャレンジを!

「大体みんな、ブロイラーと同じ感覚で料理しちゃうんですよね。そうすると美味しくないから、もう食べようと思わない。そうじゃなくて、違う肉なんだと思って試してみて欲しいですね。」

焼き上がったシャモは、アルミフォイルで包んで段ボール箱に入れる。

「焼き上がったらしばらく休めて、肉汁を落ち着かせます。これをしないと美味しくありません。」

しばらくベンチタイムを置いた鶏を中華包丁で切り分ける。

これを一同いただく。生の地鶏の丸焼きは、骨が付いていることもあり、旨味とジュースがたっぷりと封じ込められていて絶妙に旨い。ほどよい固さと繊維のプッチリと切れていく感が最高である。

と、ここでダッチの鶏も焼き上がった。

素晴らしいだろう?これ、冷凍の地鶏だ。上部はコンガリと焼けて芳香を放っている。

これも中華包丁で切り分けていただく。

さて解凍の過程で肉汁が失われずに、美味しさを保っているだろうか?そう思いながら口に運ぶ。噛みしめると、むっちりした歯応え、そしてジューシーに肉汁が口中に拡がる!

「!」

「イケますね!」

ビックリした!これは実に最高に旨い!ダッチは蓋が重いのでぴっちりと鍋に密着し、無水調理を可能にする。材料の水分で焼き上げるのだ。そのせいか、シャモには適度な水分が残り、しっとりとした味わいが保たれていた。大成功である。

「いやぁ、冷凍していても全然味が落ちてない!それに、ダッチとの相性が抜群ですね!」

ちなみにバードコートの人たちは、仕事ではシャモを焼いているが、自分たちの口にはあまり入らないらしく、「シャモ旨めぇなぁ」とうなりながら貪り食べていた。


冷凍の焼き鶏も実に旨い。タレを漬けて焼いたら、素人でもビックリする味になるだろう。ブロイラーと比べると高いが、いいとこ見せるためには惜しい金額ではないはずだ。ぜひチャレンジされたい。

さて〆は地鶏タップリの炊き込みご飯だ。キャビンに炊飯ジャーが付いていたので、こいつを利用。なんとバーベキューピットにコンセントがあるのだ!便利だ、、、こんなキャンプでいいんだろうか、、、

炊きあがりはふっくら。地鶏の清々しい旨味が上品で実に美味しい。また調子に乗って4杯くらいお代わりをした。


このように焼き、食いまくっている間、高安さんら生産者さん達とお話しをする。

「山本さんは色んな業種さんとお付き合いがあるんだと思いますけど、地鶏のようなものをスーパーなんかで売ることは可能性があるんでしょうか?」

「ん~ スーパーですと、価格帯もありますけど、取引が量的に安定することが取り扱いの第一条件だったりしますから、あまり奥久慈シャモの生産形態には合わないかも知れませんねぇ、、、」

というような感じで、今後のシャモ組合が目指す方向性についてディスカッションが始まった。

僕からは、とにかくこの奥久慈シャモについては、品質を下げた量産品を作ったりせず、今のクオリティを保ちつつ増産が可能な体制を少しずつでいいから創りあげていくことが重要でしょう、というお話しをした。釈迦に説法なのだけど。

でもそのためには、奥久慈シャモがもっと知られて、消費者に受け入れられることが必要だ。いまだに「焼き鳥屋で一人7000円以上なんて高いよ」という声が聞こえるが、その根拠は何もない。生産者がどれだけ苦労をしてクオリティの高い物を出荷し、それを料理人がどのように捌き、焼いているか。その過程と結果が価格なのであって、味を見てそれがわからないのであれば仕方がない。けど、それを理解し支援できる人口が少しでも増えてくれればな、と思う。

夜が更けていくと酒が飲みたくなる。神亀の「ひこ孫」から、組合の人がもってきてくれた白く濁った酒(いわゆる「○ぶろく」なのだが、伏せておく)に移行する。

酒盛りは10時くらいまで続き、キャビンの中へと移動した。遅くまで起きて、四方山話をした。組合の人たちの目は、ずっと優しかった、、、

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朝起きると、組合の人たちはすでに出勤していた。帰りしなに立ち寄って御礼を言うと、なんと30パックくらいのシャモ玉子を持たせてくれる。その上、鶏の代金を受け取ろうとしてくれない。にっこりしながら僕たちを送り出してくれた。本当にどうもごちそうさまでした!

実はキャンプ場からの帰り道に温泉宿があって、休憩だけも可能だ。

ここの食堂はなかなか使える。1500円のセットで、手打ち蕎麦とシャモのそぼろご飯、湯葉刺身などが付いているのだ。

写真は、思わず釜飯を頼んでしまった野島さんだ。

この他、なんとシャモの親子丼もメニューにあって、それが運ばれてくると、

「どうだどうだ ちゃんとした火加減か?」

とプロの厳しい視点で論評しているのが笑えた。
中でも野島さんのイチオシは唐揚げ(800円)だったのだが、、、

「あれ、以前より小さい切り身になっちゃってるなぁ これじゃ魅力半減だ。」

という結果であった。でもまあ、この価格でこの内容なら許せるぞ。

このように、買い出し→BBQ→キャンプ→温泉→帰宅というコースを辿った。実に充実、美食、そして簡易さだ。学生時代は金もなく、自転車でテントを担いで野宿スタイルだったが、オトナのキャンプはこれでいいじゃないか、と思った。色んなスタイルがあっていいけど、純粋に野外で旨い飯を食うだけだっていいのダ!

そして、奥久慈のコースの素晴らしさ!これをまだ知らないキャンプ愛好家の方はぜひ、トライしていただきたい!

その際にはぜひ、奥久慈しゃも生産組合に寄って、鶏を購入されたい。冷凍品は毎日、各種の取りそろえがあるのでいきなりでも購入可能。丸鶏を買ってダッチで焼くという基本は押さえて、それ以外の物にもチャレンジしてみよう。

■奥久慈しゃも生産組合
住所 : 〒319-3523 茨城県久慈郡大子町袋田3721
TEL : 02957-2-4250
FAX : 02957-2-2944

本文中にも書いたように、宅配以外では、基本的には生の鶏を買うことは出来ない。けど、あらかじめ先払いで銀行振り込みするとか方法を使えば、きっと生鶏の取り置きをしてくれるのではないかと思う。ぜひにという方は、僕のWebを観たと言ってお願いしてみてはどうだろうか。しかし、絶対に代金は先払いすること。キャンセルなどは絶対にしないこと!

冬は野外が楽しい季節だ。ぜひこの絶好のコースを味わい尽くして欲しい。

Posted by yamaken at 00:40 | Comments (2) | TrackBack

2004年11月08日

北関東に絶品キャンプコース登場! 東京から2時間で奥久慈シャモ&ダッチオーブン&温泉三昧を満喫しよう!

東京から2時間程度でこられる北関東の地にて、こんなにも素晴らしいキャンプができるところがあるとは!しかも銘柄地鶏である奥久慈地鶏をイヤと言うほど楽しめる!そんなスポットを満喫してしまった。茨城の北部に位置する奥久慈にて、キャンプである!先日のエントリで下見の報告をしたように、北千住の地鶏焼鳥店「バードコート」のご一行と共に、茨城県久慈郡大子町(大子は「だいご」と読む)にオートキャンプなのであった。

当日は残念ながら東京は雨。超絶晴れ男の僕なのだが、一向に止む気配がない。んー困ったな、と思っていたが、きっと現地に着くまでに晴れるだろうと思うことにした。

北千住のバードコートに行くと、野島さんや店の従業員のみんなが準備をしていた。

「おはようございまーす!」

この日一緒に行く従業員さんは、菊ちゃん、リキちゃん、ショウちゃん、そしてジョウコウさんご一家である。これに、バードコートの常連ヘビーユーザである毛塚夫妻、車三台である。残念なことにバードコートの名物女将であるチーさんは、息子のカイ君の運動会準備のため、参加できなかったのであった。

さて

本日行く大子町のキャンプ場は、常磐自動車道の那珂インターから国道118号を上っていくと、約1時間で到着する距離にある。つまり、東京から乗れば、空いていれば2時間強で着くという、絶好のロケーションなのだ。

しかしそれだけではない。このルート沿いに、素晴らしき地場食材が点在しているのだ。それを寄り道して購入していけば、キャンプで食べる食材はほぼ全て揃ってしまう。更に、終着点であるオートキャンプ場では、BBQ用の屋根付きファイヤープレイスが完備されておき、炭からダッチオーブンまで全て借りられる。そう、まさに週末手ぶらキャンプが可能なところなのだ!

まずひとつ目のスポット。常磐道の岩間インターをおりて10分ほど車を走らせると、茨城県の農協組織が運営する直売所「ポケットファーム”どきどき”」がある。農協直売所のブームが続いているが、この「どきどき」は大きな規模で、新鮮な野菜や肉が手に入ることで有名だ。昼時には、バイキング方式のレストランが無茶混みになっている。台風直後なのに、特大の白菜が一玉丸ごとで300円と破格の値段で買えるのも、農協直営だからだ。

更に、ここは肉がすごい。常陸(ひたち)牛や、茨城ローズポークなどの銘柄肉が買えるのだ。今回もここで野菜類を購入。写真は撮るのを忘れたのでゴメン。

その後、岩間インターに戻るか友部インターに乗り、更に北上。那珂インターから国道118号に乗る。この道をしばらく行くと、あの「舟納豆」の看板が見えてくる。

キャンプ場での朝飯に納豆を食べたい人は購入していくといいだろう。茨城はやはり納豆の美学が強いのだ。

更に15分ほど上っていくと、左側に奥久慈シャモ組合の事務所が見えてくるはずだ。直前に左カーブがあって見通しが悪いので、要注意。行き過ぎてしまったらどこかでUターンして戻ろう。

川の横にある事務所で、河原におりていくとシャモの鶏舎がある。ただし、ウイルスの外部からの流入を予防するため、関係者以外は立ち入り厳禁なので、あしからず。

事務所に入ると、生産者組合の高安さんが待っていてくれた。


「いやーようこそいらっしゃいました。あいにくの天気だけど、キャンプ場はもう雨はあがっているようですから、大丈夫でしょう。」

そう、道すがら天を見上げると、雨が止んでいるのだ!やったぜこれが晴れ男の実力である。

「鶏は生のを2羽、冷凍を1羽、先発隊の方々に渡していますから。」

そう、このキャンプの主役はもちろん奥久慈シャモである。栄えある地鶏界のコンクールでぶっちぎりの金賞を獲ったこのシャモを入手したい人は沢山いるだろう。

「宅配などは承ってます。ただし、冷凍物になってしまいますが、、、冷凍でも味は遜色がありませんから、お試し下さい。」

そう、丸のまま、もしくは半身、部位ごとの切り身など、何種類かの冷凍シャモの形態で販売が可能だ。しかし、このblog読者には、冷凍ではないフレッシュを食べたいというニーズが強いことだろう。しかしそれは、いくつかの理由があって難しいのだ。

「実はシャモは、食肉処理場で解体処理をしてもらうのえすが、この辺の処理場では面倒だということで引き受けてもらえないんです。毎日100羽程度の量だと、処理効率が悪いんです。しかも、他のブロイラーとは全く違う肉質なので、処理の仕方が変わるんです。100羽程度にそんな手間はかけていられないということなんですね。」

うーむむなんと、地元の食鳥処理場では引き受けてもらえないと言うことなのだ。

「で、県をまたがるんですが、福島の食鳥処理場がこれを引き受けてくれまして、今はそこに毎日持ち込んでいます。ただし遠方ですから、フレッシュ品をご要望の料理屋さんなどには、処理場で即刻荷造りして全国に配送するんです。それ以外の分は、瞬間冷凍にかけて保管しておくわけです。」

なるほど!そういうフローなんだな。でも、それならフレッシュ品の個人向け宅配も可能なのではないですか?

「うーーん、、、絶対にやらないと言うことではないんですけど、、、キャンプする時にとりに行くから、と注文されたのに、当日に来なかったりされると、生ものなのでなんともしようがないんですよね、、、」

と、苦しそうに仰る高安さん。合点がいった。悪いヤツが過去にいたのだろう。事情をわかっていない消費者はすぐにキャンセルをする。雨が降ったからキャンプ中止!でも、鶏は遠方の処理場から組合に届いてしまっている。ひっきりなしに個人客が訪れるような立地ならいいが、まだ知るひとぞ知るという存在ゆえ、その日中に売りさばけるかどうかはわからない。そういうことだ。

このblogを観て、掲載した物を食べたいという人が沢山いらっしゃるようでありがたいのだが、購入を検討する場合は、こうしたことをきちんと考えてやっていただきたい!少なくとも、注文したものは確実に買い、お金を払うように!

「でも、冷凍品はイメージが悪いですけど、僕らが食べても、フレッシュ品と遜色ないんですよ。それをぜひお試しいただきたくて、、、」

そう、このキャンプの主眼はまさにそれなのだ。冷凍物とフレッシュのシャモを食べ比べし、冷凍物を如何にして美味しく食べるかという方法を探るということ。それが上手くいけば、このキャンプコースをきっかけに、シャモのすばらしさをもっと手軽に楽しんでもらえるはずだ。

「やまけんさん、ぜひこのコースや組合のことを書いてください。本当に世の中にもっと知って欲しいんですよ、、、」

と野島さんが言う。彼は本当に心を痛めているのだ。鶏インフルエンザ騒動後、やはり風評被害で売れなくなり、シャモの飼育羽数が相当に下がったという。密度の高い劣悪な環境の鶏舎で飼っているブロイラーと違い、いわゆる地鶏といわれる品種は免疫力が高く、インフルエンザ耐性も強いという。だから全く関係ないのだが、、、

「都心から近いキャンプのコースがあって、そこにいくルートで美味しい食材が買えて、キャンプ場には料理道具もあるので、手ぶらで楽しめる。そういうことを知って、都会からもっとシャモを食べに来て欲しいんですよね。そうすれば、組合の皆さんもすごく助かる。だってね、やまけんさん、この組合の人たちの中でも、シャモ専業でやれている人はいないんです。みな、他の品目と兼業です。シャモだけを育てて生計を立てられるようにならないと、もっと拡がっていかないでしょう?」

この話にはとても考えさせられた、、、この銘柄品種である奥久慈シャモでさえ、専業でやっていくのが難しいということなのだ。肥育日数がブロイラーの倍以上かかるので現金化のタイミングが遅くなり、飼料代もかかるのでコストはかさむ。

そうしてまで育てているのに、インフルエンザなどの風評でダメージを喰らう。そんな状況が続くと、この日本からホンモノの食材は消えてしまうだろう。そうさせないために消費者ができることは一つしかない。みんなで買い支えることだ

しかし美味しいものでないと買う気にはならない。当然だ。安心されたい。この後、冷凍だろうがなんだろうがシャモはうまい!ということが激烈に立証されることとなる。

「じゃあ、行きましょうか」

高安さんと後ほど合流することにし、キャンプ場に向かう。
そうそう、丸鶏2羽に冷凍の丸鶏1羽、各種切り身類を買おうとしたら、高安さんは代金を受け取ってくれなかった。笑って首を振るばかりだったのだ、、、胸を熱くしながら、僕らはキャンプ場に向かった。

空は、少しだけ青空が見えるような状態になっていた。

(文字数が多くてスマン。でも読んでおいて欲しい内容なんだ、、、後編は爆発的バーベキュー編である)

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2004年11月06日

自分で作る粕漬け・奈良漬けって最高だ!もう既製品は買えないよ、、、

しばらくかなりの食い倒れ加熱モードになったので、優しく落ち着いた食事をとりたくなった。鍋に昆布と煮干しを一つかみ入れて水を張り、出汁をとる準備。ひろっきぃの米を研ぎ、これも業務用アルミ鍋にセットし浸水。うちから歩いて2分の八百周にておっちゃんと話をしながら、見事に太い青森産のゴボウを買う。堀川ゴボウかとみまごうばかりの太さだ。それに、路地春菊を買おうとすると、

「ちょっと待ちな、いいのは隠してあるんだよ!」

と言って、リンゴ箱の下から勢いのある中葉春菊の束を出してきた。江戸川で作っている個選農家のもので、これが市場に出ると八百周のおっちゃんが買い占めてしまうのだ。ひと束なんと180円。この時期、素晴らしいことだ。

家に帰ってゴボウをタワシで洗い、太く切り分けて水にさらし、中華鍋で多めの油でじっくり炒め上げ、酒・砂糖・醤油できんぴらにする。

水出汁を極く弱火にかけ、昆布を引き上げる。味噌を溶き、網走から送られてきた生フノリを洗って投入しみそ汁を作る。ここで浸水した米を火にかける。
さて、メインイベントだ。

先日仕込んだ鮭の粕漬けが、佳いつかり具合になっているはずだ。それに、ハヤトウリの奈良漬けもそろそろいいのではないだろうか。掘り出してみることにする。

鮭の粕漬けは、粕床に砂糖と塩を少し足したものだ。通常の板粕(板状になっている堅い粕)ではなく、銘酒「扶桑鶴」の桑原酒造の大畑専務から送られてきた柔らかい「練り粕」を使っているため、柔らかく溶く必要がなく便利だった。

鮭はヌタヌタの粕床に浸され、プンプンと酒の香りを放っている。

そしてハヤトウリの奈良漬けは如何に?ハヤトウリは白瓜などと違い水分含有量が多いため、どうしても粕床が水っぽくなってしまう。このため、長期の保存には向かないそうだ。その旨、そもそも僕が奈良漬けをつくるきっかけになった「のぶかなさん」から連絡があった。

そのとおりジュクジュクになった粕だが、これを全部洗ってしまうようなことは勿体なくてできない!粕をまとったまま包丁を入れてみた。

断面はそれほど色が付いていないので、味が染みていないのかな、と一瞬不安になったが、、、

一口食べてみると、それは全くの杞憂!ブンッと拡がる酒粕の芳醇な香り!そしてハヤトウリの好ましいポリポリ感が素晴らしい。これぞ奈良漬けだ!そのできばえにしばし感動してしまった。



春菊をゴマ和えにし、鮭を焼き、飯とみそ汁を盛って食卓を整える。鮭にも粕を多量に残して焼いたので、焦げてしまった。

果たして鮭の漬かり具合はどうだろう、、、と思い箸を入れる。これまた粕の香りが立ち上る。

一口食べると、これはもう感動の世界だ!酒粕と鮭の旨味成分が結びついて、極上の味噌のような、そしてアルコール分を少し含んでいる故の魅惑的な香りとドキドキ感が胸に迫る。

「旨いぜ!俺って天才か?」

しかしよーく考えてみると、この功績は台風にまけずハヤトウリを育ててくれた長島農園の丹精と、見事な鮭を素晴らしい塩梅に山漬けしてくれた網走のSさん、そして純米吟醸酒の極上酒粕を送ってくれた桑原酒造の大畑専務らにあるのだった!僕がしたことは単に、素材に塩分や糖分を加えて、酒粕に漬けただけなのである。

今回のことでよーくわかった。粕漬けというのは、素材の水分をある程度脱水し、塩味・糖分を好みで添加し、そして酒粕に漬け込むという作業である。旨い酒粕と素材があれば、簡単にできるではないか!子供の頃は食べたくもなかった酒粕だが、三十路を超えるとこれほどに旨いと思うものもなかなかない。それを自分の手で作ることが出来るとは、望外の幸せだ。

折しももうすぐ、酒蔵では酒の本格的な仕込みに入る。そうすると毎日多量の粕が出てくる。家の近くに酒蔵があるならば、ぜひ手に入れて自分で粕漬けを作ってみることをお奨めする。第一級の保存食であるし、何より旨い!これから毎年の恒例行事にしようと心に誓ったのであった。

久しぶりに佳い食事をした、、、鋭気を養い、明日の食い倒れに備えるのであった。

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2004年11月04日

徳江さんが書いた食品の安全性に関する本を紹介しよう

僕のよく知る人たちが執筆した2冊の本を紹介したいと思う。

まず、これは今まさに新刊書として並び始めた本だ。

「危ないものを作りすぎた」
徳江倫明 著
誠文堂新光社刊
1680円

著者の徳江さんは、僕にとっては大事な人だ。彼は、有機・特別栽培の農産物の専門流通業者としては老舗の「大地を守る会」の創世期のメンバであり、その後あの「らでぃっしゅぼーや」を立ち上げ、代表取締役を歴任した人物だ。その後、農産物の第三者認証に関するコンサル会社の社長を経て、現在は食品の安全性を認証する「日本SEQ推進機構」の代表である。

僕が徳江さんをみかけたのは、学生時代に大地を守る会やらでぃっしゅぼーやが主体となって開催した、第一次産業を盛り上げようというイベント「DEVANDA(出番だ)」の開会式だ。武部農相(当時)らが列席する中、開会の辞を述べる、やたらと存在感のでかい、髭のかっこいいオッサンがいた。がっちりした体格と鋭い眼光、渋い鋼のような筋の通った声で、高らかに第一次産業の復権を謳い上げていた。

「こんなカッコイイ人が、有機の世界にいるんだなぁ、、、」

と強烈な印象を受けたことをよく覚えている。ルックスは大事だからね。

その後僕はシンクタンクに入り、3年後に農産物流通のベンチャーに転職する。その会社に、徳江さんも執行役員として(当時)参画することになっていたのだ。初めて徳江さんに引き合わされた日のことは忘れられない。まだ入社を決めかねていた僕に対し、

「やまけんちゃん、こういうのはね、3人がバラバラにやってても進まないんだよ。一緒に(会社で)パワーを合わせて事業を立ち上げようじゃないか。」

その一言で僕は転職を決定したようなものだ。憧れの人から口説かれたら、これはもうしょうがない。
その後、徳江さんと僕は多くの時間を一緒に過ごすことになった。プライベートも含め色んな面をみせていただいたが、いまだに敬愛する人であり続けている。

その徳江さんが「そろそろ本を出そうかなぁ」と言うので、僕が自分の本を出版した誠文堂新光社の御園という担当者を紹介したのだ。話は進み、幾多の苦労を経て、見事上梓された。関係者全員に拍手を送りたい。

誰もがこの表紙を観て、引きつけられるものがあるのではないだろうか。鉄条網のパテをバンズで挟んだこのデザイン、色んなものを象徴している。丸善のOAZOでは3カ所くらいにこの本を置いているらしいが、表紙のビビッド感が引っ張っているだろう。装丁は、これまた僕の著書の表紙デザインをしてくれた、クリエイティブマックスの和田さんだ。彼のデザインは本当にスゴイ!本当は本の装丁とはケタが違う広告デザインが主な仕事なのに、安い装丁の仕事を楽しんでやっていただいている。今年度末あたりを予定している僕の次ぎの本も彼にお願いする予定だ。

で、肝心の内容だが、著者がこれまで携わってきた農産物や加工食品の生産・流通における「安全と安心を確保するための方法」として、何をすればいいのかということを、主に生産・流通に関わる人たち向けに解説をしている。もちろん、消費者にも読んでもらうことを念頭に書かれていて、1,2章あたりは「そうだったの?」という箇所も多いはずだ。

特に傑作な内容がある。消費者アンケートなどをみると、「農薬の情報を開示しろ」という回答が多いのだが、じゃあ全部表示してみよう、という試みだ。ある県(県名は伏せられているが)のハウス栽培トマトに使われた農薬等を真っ正直に表示したら、いったいどのような内容になるのか、という実験的な試みをしているのだ。そこに記載されている農薬の種類や量を観たら、思わず絶望的に笑いたくなるに違いない。しかしそれは国が定めた安全基準には適合しており、違法ではないのだ。つまりそれは「安全と判断される」のである。

このような内容は、いたずらに消費者の不安感を煽るために書かれているのではない。むしろ逆だ。消費者が過剰に「安全・安心」を求めるほど、生産と流通のコストは上がっていく。しかし、今そのコストを消費者が負担するつもりがあるのかどうかは疑問だ。そこに着地点はない。その着地点として必要な社会的な仕組みとしての「認証」というシステムを、どのように創っていくかと言うことが、本書の主題なのだ。

後半部分はこうした話が専門的見地から語られていくので、ISO22000シリーズとかなんたらとかが出てきて、全くの素人には難しい内容かもしれないが、ぜひトライして欲しい。

Posted by yamaken at 10:14 | Comments (2) | TrackBack

2004年11月03日

十勝やっちのジャガイモ「ホッカイコガネとメークイン」当選者は誰だ!?

 先日のエントリで告知したように、北海道の農家「十勝やっち」の栽培する、フライドポテト最適品種「ホッカイコガネ」と「メークイン」のセットには、沢山の人から応募をいただいた!やっぱり仕事とは違うメールアドレスに投稿してもらってよかった、、、

僕の知っている人もいたり、力のはいったコメントがあったりであったが、選ぶのは十勝やっちに一任した。結果だが、ここで公表はしません。十勝やっちから直接メールで当選者にはお知らせが行きますので、しばらくしても何も来ない方は、残念!

ちなみにこのホッカイコガネ、フライドポテトに最適であると言ったが、もちろんそれ以外にも使い道は多々ある。煮るとホッコリしているのに煮くずれにくいという性質があり、かなり使い勝手がいいのだ。なので、当選者は、ぜひいろいろと料理を試して、感想をここに書き込んでいただきたい!

で、来年のシーズンには、十勝やっちに少なくとも100箱くらいはここで販売してもらおうではないか。

ヨロシクお願いしますね。

Posted by yamaken at 23:23 | Comments (4) | TrackBack

北の国からホンモノのシシャモが来る!川魚のような繊細な香りにすぐさま降参しました!

 関東に住む僕が、居酒屋などで口にする「シシャモ」が、実はホンモノのシシャモではないことが多いということは知っていた。で、ホンモノのシシャモがどんな味かということも、帯広で歓待を受けた時に味わってはいた。

しかし、本物のシシャモを、漁師が選り抜きに選り抜いて塩梅したものを食べるのは、これが初めてだった。


「10月13日にシシャモ漁が解禁されますので、東京でもホンモノを食べて頂く会を開催します。『居酒屋ししゃも屋』と題して、ししゃものフルコースを味わって頂きます!」

という連絡が近江さんから届いた。漁師・近江正隆さんは、しんのすけが引き合わせてくれた方で、実は3年前から盛んに「すごいシシャモがあるぞ!」と進めてくれていたものだ。でもいつもタイミングが合わず、食べず仕舞いだったのだ。見かねたのだろう、しんのすけが「今度近江さんが来るから、一緒に飯を食おう」と、六本木の隠れ家的な飯処(この店は残念ながら公開できない)で引き合わせてもらった。

第一印象は、

「この穏やかな人が、本当に漁師なのかぁ?」

ということだ。荒くれ漁師というようなイメージがみじんもない、思慮に満ちた文系の人、というのがイメージだった。控えめに笑いながらとつとつと話す彼の人生は相当に波乱に満ちていたらしい。なにせ東京でサラリーマンをしていたのに、辞めて北海道に渡り、漁師になったのだ。漁師は極端によそ者の闖入を嫌う。彼の苦労は並大抵ではなかっただろう。その辺の話は、楽天に出店している彼のWebをご覧いただきたい。

■漁師・近江正隆さんのWebショップ
http://www.rakuten.co.jp/shishamo/

落ち着いて訥々と語る彼はしかし、戦略家でもあるなと感じた。理に適った方向性をとり、、その理の通りに仕事をしていると思う。別れ際、「とにかくまだ食ったことがないんで楽しみにしてます」と言うと、「美味しいことには地震があります」と微笑んで帰っていった。

そのシシャモを食べる機械がようやく来たのだ!

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びっくりしたことに、居酒屋ししゃも亭の会場となったのは、日本橋の僕の借りているオフィスから50メートルという近さの、居酒屋駒八という店だった。どうやらオーナーが北海道の人らしく、貸し切りになっていた。会場には35人くらいだろうか、座卓についてししゃもを待っている人たちで溢れていた。


「え~ それでは始めさせていただきます」

と、近江さんのの発声で、会が始まった。

この日はとにかくししゃもづくしである。その合間に、北海道の幸も並ぶ。品書きにはししゃものフルコースが書かれていた。

ししゃもの骨酒
鰍(カジカ)のとも和え
秋鮭のちゃんちゃん焼き
本ししゃも刺し二種
天日干しししゃも二種
本シシャモの天ぷら
イクラご飯
ししゃもとナラ茸の三平汁


シシャモ骨酒は、炙ったシシャモを少し漬けていたのだろうか、蓋をとるとダシの濃い香りが漂う。

一口啜ると、シシャモからこんなダシがとれるのか!と驚く旨味が酒に滲み出てでいる。

カジカのとも和え、鮭のチャンチャン焼きは近江さんレシピだそうだ。

特にチャンチャン焼きは、通常は鮭に味噌を塗って鉄板で焼くのだが、彼のは醤油で焼くのだそうだ。

焼けた鮭をほぐしてスクランブル状になったのを食べ、骨酒を楽しんだ。

「皆さん、次ぎに観ていただくのが、今年のとれたてのししゃもです。昨日出漁して私が獲ってきました。今はオスが旨いので、今日はオス中心で楽しんでいただきます。」

と言って出てきたのがこれだ!

ししゃもってこんなに綺麗な姿形の魚だったのか、、、と意外に思ってしまったが、おそらく北海道、特に海の近くに住んでいる人たちにとっては当たり前なのだろうな。

「これからこのししゃもを刺身にしたものをお出しします。まずは醤油もわさびもつけずに一口、食べていただけますか。」

と運ばれてきたのが、小さなシシャモを綺麗におろした刺身である。本当にししゃもかよ?という典雅な佇まいだ。

近江さんの言にならい、美しい切り身を一つ、何も漬けずにそのまま口に運ぶ。噛んだ瞬間、瓜のようなシトラスのような香りが漂う。そう、川魚の雄である鮎は、頭からかじり付いた時にスイカのような香りが弾けるが、それと同じ系統の香りがするのだ!

「これを味わって欲しくて刺身にしました。繊細な味の魚なんですよ、、、」

いやまったく!本当に繊細な味わいと風味である。思わず3切れを何もつけずに口に運んでしまった。

そして、真打ちの「焼きシシャモ」である。大きいオスししゃもと、若シシャモの天日干しだ。絶妙な加減の塩水に漬け、干したという。この塩梅が漁師の腕なのだ。

頭から囓る。骨っぽさはほとんど感じない。瓜の風味は薄くなるが、焼きのちょっとスモークっぽい香りと適度な塩気、そしてあくまで上品な旨味が拡がる。そう、ししゃもって上品なのだ!ちょっとビックリ。無造作に焼いてバクバク食べるようなものではないような、本当に繊細な味わいである。

途中、箸休めというか何というか、あのニューウェーブジャガイモであるインカの目覚めのポテトサラダが出てきた。

「インカの目覚めはご存じの通り、栗の風味のする面白いジャガイモなんですが、これを少し貯蔵しました。貯蔵することで甘みが増すので、美味しくなるんです。これを年明けくらいに販売したいと思っています。」

なるほど。実は本日、インカの目覚めの主生産地として有名な帯広の幕別町のJAのノムさんから、「インカを貯蔵するとうんめえぞ!今度食わしてやるよ!」と電話があったところだ。今年は、インカの貯蔵が結構出回りそうな気配なんである。

さてその後、ししゃもの天ぷらとイクラご飯と、充実の〆に向かい始める。

しかし僕がノックアウトされたのは、若シシャモを使った三平汁だ。

通常は塩鮭でつくられる、北海道を代表する汁物である。これを薄塩じたてのシシャモで作るのだ。これが秀逸!大根と人参の甘みがししゃものダシを旨く引き立てている。これこそ乙な味と言えるだろう。

この会に集まった人たちがまた曲者揃いで面白かった。酒を飲み、笑いながらシシャモを食べた。近江さんはその人いきれの間を縫って、静かに話をして廻っていた。最後まで静かな佇まいという印象が残る人だった。

楽天のショップで販売している今年度産のシシャモ、今年こそ買い逃さないように気を付けようと思う。

Posted by yamaken at 21:58 | Comments (3) | TrackBack

おおお 甘い~なんちゅう甘さなんだろうか、、、 広島県 西条柿は極上甘味だ!

 竹鶴酒造の石川達也杜氏から、昨年に引き続き、西条柿が届いた!

広島が誇る酒蔵の街、西条市の名産品である西条柿は、樹になっているままでは食べられない渋柿である。それを、ドライアイスやアンモニアなどと封入して、渋を抜く。渋を抜いたその甘さは、通常の柿を遙かに上回る強い甘味であり、初めて食べた人はびっくりすること間違いない。

で、箱にはきっちりと食べ頃が記されている。この日付にならないとシブが完全に抜けないということだ。

箱を開けると、厚いビニールで密封された柿が並ぶ。この中に渋を抜くガスが封入されているのだ。

面白ものだなぁ、、、かつては焼酎に漬けておくなどしてシブをとったらしい。渋を抜くというのは化学反応なのだろうけど、俺にはようわからん。先人の知恵というか、何がなんてもこの柿を食ってやる!という意地が素晴らしいではないか!

26日まで待って柿を取り出す。

縦長の実は、上からみるとこのように可愛らしい特徴的な姿形をしている。同じ西条出身の編集者であるカンキさんによると、

「ズクズクに熟させて食べてね!それが一番美味しいから!」ということなので、まさに今、ズクズクにさせているところだ。写真は、そのズクズクの一歩手前。

このなめらかな断面、色っぽいではないか!

種がすくなく食べやすいのもこの柿の特徴だ。半分に断ち割ると熟した部分とまだ堅い部分とのコントラストが美しい。スプーンでこそげてデロデロの果肉を口に運ぶと、、、

甘~い!
糖度20度まで行ってるかわからないけどとにかく甘い!ビックリするくらいだ。この甘さ果糖だから、しつこい嫌味のある甘さではない。強いインパクトとキレのいい、舌に残らない甘さだ。これぞ粋な甘さといえる。

この柿、生ハムみたいな塩気の強いものと併せても良さそうだ。柿ナマスにするとちょっと甘過ぎかな。などと思いながら、日々甘さを増していく柿にそのままかぶりついているのであった。

タツヤン、ごちそうさまでした!

Posted by yamaken at 09:32 | Comments (5) | TrackBack

2004年11月02日

旅行関係の仕事をしている方に、やまけんから切なるお願い

読者さんがかなり増えてきているので、きっと旅行代理店の方もいらっしゃるだろう、ということでぜひお願い!

年明けの1月後半に、イタリアのシチリアに無二路の重シェフと、料理を食いまくりに行くツアーを検討しています。行き帰りの航空チケットを購入しようと思っているんですが、10万円台のしか見あたらないらしい。もう少し安くあがると助かる!

どなたか、「イタリアならまかしとけ!」ちゅう代理店の方、いらっしゃいませんか?相談のってください。メールいただけると助かります。

・オトナ4名
・1月25日から1週間の予定(変動可能性あり)
・必要なのは航空チケットのみ(シチリアに行ってしまえば重シェフの修業先などに泊まれるので)

ちなみにこのツアーに参加したいっちゅうのはご勘弁。人数的に限界です。俺もオマケだし。

あと、何人か、シチリア在住の方から「寄ってけ」情報いただいてます。時間に余裕あればぜひ廻りたいと思いますので、別途連絡しますね!

それと、せっかくだから、この紀行を記事にしたいっちゅう雑誌はありませんかね?スポンサーが付いてくれたら旅のお金に回せるので。そういう意向ある編集部さんがいらっしゃったらぜひ!

では、よろしくお願い致します。

Posted by yamaken at 10:20 | Comments (5) | TrackBack

スリランカフェスティバルで、じんわり旨いカレー各種を味わった!

 あいにくの雨の10月30日、代々木公園で開催されたスリランカフェスティバルに行った。農業講義をした中央大学の学生達(一部先生)が運営にボランティアで関わっているということもあり、みんなの顔を見にいかなきゃなぁと思ったわけだ。

 代々木公園というかNHK裏の催事場では、こういった地域特産展的イベントがよく開催されるので行ったことある人も多いだろう。原宿から歩いていくと、おお、こんな立派なの作ったのかぁというようなゴージャスな門がそびえ立っていた。

中にはいるとテントが建ち並んでいる。スリランカの紹介ブースがあったり色んなものが売っていたりしていて、驚いたことに結構人が集まっている。雨の中だが、集客力はかなりのものだったということだ。

まあしかしとにもかくにもメシ!スリランカ料理を食うぞ、と食べ物屋が集まる一角に移動する。日本のスリランカ料理店が軒並み出店しているようで、僕も昔よく通ったコートロッジなど10店くらいが軒を連ねていた。売られているものはスリランカビールなどのビバレッジと、サモサなどのスナック類とチキンを焼いたもの、そして圧倒的に多種多様なカレー!嬉しい限りだ。

どの店にもかなり人が並んでいるので、適当に見当をつけて並ぶ。屋台とは言っても、どの店もかなり本格的だ。厨房設備を仕込んで、鍋をぶんがらぶんがらと振っている。

大量のワタリガニを素揚げしているのは、あの絶妙な蟹カレーを作っているんだろうなぁ、、、その横では、タイ料理でよく出てくるような幅広の麺(おそらく米の麺ではないか)を炒めた焼きそばを作っている。ん~ ここにしよう。店の名前はようわからん!

とりあえず店に並ぶ間もスナックを摘む。チキンロールとサモサを食べるが、どちらも本格的な造りだ。

特にサモサは、中身のスパイスがきっちり効いていて旨い!ジャガイモ餡になにか甘みの要素が入っているようで、囓るとほんわりと甘さを感じる。その後、各種スパイスが立ち上り、少し辛い。この「甘→辛」の変化は、インデアンカレーでもそうだが、かなり蠱惑的だ。

さてなかなか前に進まぬ行列だが、この店、鍋がいくつか並んでいる。一番手前には、まるで酢豚じゃないの?というような真っ赤っかな炒め物。

その奥には豚肉を煮込んだカレー。

そしてなんとも旨そうに真っ赤なカレーの鍋。

この3種を食いたい!値段をみたらビックリすることにどれも300円でご飯が付いてくるようだ。そりゃ全部頼むわな。

3つのカレー料理を手にして別の方向に歩くと、中大の総合政策学部の敏腕先生であるモモが、ゴミ箱コーナーで分別の呼びかけをしているのに遭遇。この人が素晴らしいのだ。そもそも彼女が昔スリランカで開発関連の仕事をしていたことが、今回のフェスティバルで中大生達がボラをするきっかけなのだそうだ。再会を喜びつつモモお奨めのスリランカ料理の店を教えてもらう。

「そうねぇ、辛いけどこの店がお奨め。」

と教えてくれた店でフィッシュカレーを買い、そろそろ持ちきれなくなったので、混み合っているテーブル席をかきわけ何とか座って、箱を開ける。

キーマカレーが旨そうにほかほか湯気を上げている!早速食べると、強い香りが口に充満。スパイスが効いて先鋭的な味だ。インド料理とも違うこの個性、なんとも形容しがたい。

ポークのカレーは、地味な見た目通りに、渋い地味な味がする。

そうそう地味ということばは人を揶揄する言葉ではない。華やかさやけばけばしさがないことを言うのである。そう、スリランカのカレーは、ハレとケでいえばケの香りがする。一部のインド料理店で出てくるような油がかなりもたれるカレーとは違って、毎日食べても飽きない感じだ。

そして、酢豚みたいだと思った料理は、やっぱりスリランカ版酢豚という感じの味だった。

違うのは、チリペッパーがかなり多量に投入されているというところだろう。甘いんだけど辛い!

この時点で相当に舌が痺れてくる。辛い~
スリランカ料理の辛さは、だんだんと蓄積されていくな。食べれば食べるほど、舌の上の辛さは凝縮されていく感じだ。雨が降っていることで蒸し暑いのと絡んで、汗がダラダラと流れ落ちてきた。

これだけ違う店で買ったフィッシュカレー。これは700円だった。

これも非常に地味な作りの好感がもてる味だ。ライスは各種スパイスと一緒に炊かれたもので、これがまた渋い香りで旨い。

総じて、スリランカ料理は、一発目のインパクトがそれほど強くないものの、じんじんじんじんと効いてくる辛さと蓄積されてくるスパイス類の香りが印象的なものだった。いや、旨いです。毎日食べてもいいなって感じ。

それと、面白いものを見つけた。Barオーパでモスコミュールを頼むと、ジンジャーエールではなくジンジャービアをスミルノフと調合して作ってくれるのだが、スリランカにもジンジャービアがある!

当然こいつを片手に、汗がダラダラと流しながら食いまくったのであった。

いいイベントだった。来年のフェスティバルは晴れるといいな。

Posted by yamaken at 09:12 | Comments (7) | TrackBack