大・ベーコン大会in某所 バードコート軍団&堀江君もこれで燻製野郎だ!

2004年12月27日 from 出張

ご存じの通り僕にはハム・ベーコン・ソーセージ作りの師匠がいる。それは静岡県で畜産関連の業務に従事しておられる関師匠である。
過去数回このblogでもそのハムソー作りを公開してきたとおりだが、ここにぜひ連れていきたい人たちがいたのだ。それはバードコートの野島さんと、ライブドア堀江君である。

どちらの決断も一瞬であった。

「やまけんさん、それ、連れてってください!シャモを燻製にしたらどうなるんだろうって、ずっと思ってたんですよ。」by野島さん

「えっ、、、俺も行きたいッス、、、」by堀江君

じゃあ行こう!

ちょうど、僕の兄弟分である工藤ちゃんも来られるので、みなで行くことにした。工藤ちゃんは、純米酒を燗して飲ませる居酒屋である「五穀家・日本橋店」の店長を辞めた後、長らく他チェーンの店長をしていたが、とうとう来年度中には自分が100%みることが出来る店をオープンする運びだ。板前は、日本橋の某店で板場にいた五十嵐君だ。いよいよ何かが始まる予感のメンバーばっかりなのであった!

ちなみにベーコン作りのイロハは以前のエントリに書いたとおりだ。僕は淡い味わいのハムよりも濃厚ギトギトなベーコンを好むので、豚バラを2キロ買い込んだ。これまではソミュール液(塩とハーブを溶かし込んだ液だ)に豚肉を漬け込む方式を採っていたが、それだけではつまらない。今回は初めてのチャレンジとして、乾塩法を採用する。乾塩法とは、液に漬け込むのではなく塩とハーブを擦りこんでおくという方法だ。この方式のほうが簡単なので、今回は双方を作り分けてみる。

巨大な豚バラ肉を3等分し、二本をソミュール液(うち一本は贈答用)、一本を乾塩法とする。漬け込み前日に塩を万遍なく擦りこみ、下漬けをする。

ソミュール液の方だが、これまでの経験上、あまりスパイス類を多用すると味がぼやける、くどくなるという傾向がみられた。そこで今回はシンプルに構成してみようと思ったのだが、、、やろうとするとそれじゃつまらないからいろいろ放り込んでしまうのであった!粗塩、胡椒、ベイリーフ、ニンニク、セージ、大分の臼杵から送られてきた完熟カボス、ブーケガルニ、日本酒を沸騰させる。

これを冷まし、ビニール袋に豚肉を入れ、ソミュール液をひたひたになるくらいに入れる。乾塩法は出来るだけ簡素にということで、塩、胡椒、セージのみ擦りこんでビニール袋に包む。

この状態で5日間置いておき、前日に流水に3時間ほどあてて塩を抜く。一旦、細胞すべてに塩分を行き渡らせたうえで、その塩分をほどよいところまで抜くのが燻製の下ごしらえの最重要点なのだ。

塩分が入った豚肉の組織は化学変化を起こしているので、生肉とは全く違う味わいを持つのである。

これを寒空の風にあてて乾燥させる。水分を含みすぎていると燻煙がうまく表面についてくれないので、乾燥は重要な過程なのだ。つるしたほうがいいのだけども、面倒なのでとりあえずザルに乗せて床に就いた。
================================================

さて、朝5時に工藤ちゃんが愛車で僕の家まで迎えに来てくれる。バードコート軍団、堀江君とは高速のサービスエリアで待ち合わせである。どちらも、一週間前から万全に肉を塩漬けにしている。野島さんのところでは合鴨、シャモ、そして豚肉を塩漬けにしてきたとのこと。堀江君も社長日記に書いているように、万全に塩漬けをしてきたようだ。

ちなみに堀江君には、

「フェラーリで来いよな」

と言ってあるのだが、

「フェラーリしかないッス」

ということであった。

某高速の某海がみえる、何も商業施設のないSAで待っていると、大爆音が聞こえてきた。フェラーリ参上である。

僕は車にはほとんど関心がないのでどーでもいいのだが、すごいエンジン音である。しかも堀江君、すごい豚肉を持ってきやがった!

東京エックスっていう豚を漬けてきましたよ!」

なんだよ銘柄豚じゃないか!水を空けられてしまった、、、

気を取り直して、堀江フェラーリを従えて、なんと時速80kmを遵守し一路会場へと向かったのであった。
================================================

さて某所にて師匠や岩澤さんらと再会。早速仕込みに入る。

師匠によるケーシングの模範演技。ハムは形を整えて燻製にし、そののち70度という絶妙な温度で、タンパク質が凝固し過ぎない程度に火を通すのである。

ハム・ベーコンだけではなくソーセージも作る。モクモクファームのスパイスで味付けをして、腸詰めしていく。堀江君とミポリンもほれこの通りご満悦である。

こちらはバードコート軍団が持参した塩漬けシャモと合鴨肉である。

さて仕込み終わった肉どもを燻煙機(スモーカー)に吊していく。1.5キロ見当の肉塊が20本あまりあるので、かなりの運動量だ。けどまぁ、トータルワークアウトで鍛えている堀江君には全然楽勝だろう、、、ほれ、デッドリフトだ!

スモーカー内部には吊るし肉がごっそり。こういう専用のスモーカーでなくとも、段ボールなどでも燻製は可能だ。火事にならないように気をつけないといけないけどネ。

さてしばらくの間、煙を燻さずにコンロの火だけをかけて、水分を飛ばす。温燻といって、肉に熱を通す+煙で燻すということになる。ここからは数時間、待つばかりである。

================================================

さーてそれでは地鶏タイムだ!

静岡県と言えば、僕が大好きな駿河若シャモという地鶏の産地だ。そして、その若シャモ生産組合の長である鈴木恵美子さんが、今回も駆けつけてくれた!バードコートの皆さんと若シャモを出会わせてみたいというのが、今回の一つの趣旨なのだ!バードコート軍団には、奥久慈シャモを持参頂いている。これと恵美子さんの若シャモをいっしょに食べてみようという、おそらくこれまでにない地鶏食べ比べ大会である!

奥久慈シャモと駿河若シャモをさばくのは、当然ながらバードコート軍団の皆様である。

野島さんのサバキの技をとくと拝見させて頂いてしまった。野島さんは技術を隠すことなく、スイスイッと鶏を捌いていく。それをじっとみていた板前の五十嵐君が、「切るんじゃなくて、包丁をあてて骨から剥がすという感じですね」と言っていたが、まさにそうだ!

野島さんは穏やかに手を動かしながら、五十嵐君の質問にも懇切丁寧に答えてくれる。一流の人とは、こういう人を言うのだ。秘密なんて、どこにもありはしない。だって、毎日の鍛錬が必要なんだもの。みるだけで真似ができれば、料理の世界に一流も二流もあるわけがないのだ。

■地鶏をさばく野島さん動画(3MB)

このようにして、まさに地鶏総覧会といわんばかりの状況になったのであった!

これがバードコート軍団によって捌かれた駿河若シャモの刺身だ、、、と言いたいところだが、僕が撮影する前にすでに居合わせたみんなに食べられてしまいこれしか残っとらんかった!

こちらはピッカピカに鮮度のいい、若シャモの内臓群だ!

このレバー、ハツ、砂肝達は、何もつけなくてもうまかった。鶏肉は、熟成しなければ旨くない牛肉とは違って、鮮度がいいほど美味しく食べられる。内臓はその最たるものだ。この日の朝に捌かれた若シャモの地鶏は、これはもう絶品中の絶品である。個人的にはこの内臓でラグーを作り、太いパスタと合わせたいものだ、、、

会場の駐車場にしつらえたドラム缶バーベキューピットに炭を敷き詰め、鶏を焼きに入る。

最高の焼き手によって、若シャモと奥久慈シャモがいい具合に火を通されていく。依然として彼女募集中の菊リンも焼きまくっている!

奥久慈シャモと駿河若シャモの食べ比べと相成ったわけだが、やはり予想通り、まったくベクトルが違う!奥久慈シャモは端麗辛口、筋肉質のストレート純情派だ。若シャモは脂とコクの乗った、芳醇ウマ口フェロモン系なのだ!

バードコートが望む肉質は奥久慈シャモであるわけだが、全く違う食材として若シャモを推したい。おいらはやはり若シャモ派だったりするのであった!


鶏肉は、かなり火が回るのが早い。燻製にかけていた奥久慈シャモができあがってくる。

野島さんが中華包丁で捌く。肉はあっさりめに仕上がっていて、柔らかく絶妙な味わいだ!

「もうすこし強めに塩をして、もうしばらく燻煙をかけておくともっと脱水されるね。」
といいながら味わう。バードコートのメニューに燻製がのるのはいつになるだろうか!?

おっつけ、ベーコンとハムもできあがってきたようだ。師匠が切り分けてくださる。


できたてのハム・ベーコンは、冷えてからのそれとは全く違う!冷えると、肉が締まり脂が固まって落ち着くのだが、熱が通って落ち着いていない段階のハム・ベーコンは、ここのタイミングでしか味わえない乙なものなのだ!ふんわりした食感、塩分はそれほど前面にでてこない、薫り高い肉が味わえる!
関師匠の作るハム・ベーコンはとてもあっさりめの味わいだ。

「昔は女房も『あんたのハムはしょっぱい』と言っていたものだけど、最近は何も文句を言われないよ。僕の好みがだんだんと落ち着いてきたんだなぁ、、、」

うーむ僕も20年後にはそう言っているのだろうか!


この日は県の岩澤さんの人脈でスバラシイ人たちが集まっていた。この女性は、数年前に開催された利き酒大会でチャンピオンとなった石上さんだ。彼女は静岡県下の旨いものを紹介する活動をしていて、この写真で手に持っているのは、自分たちが田んぼで育てた米で仕込んだ米焼酎である!

これがまた実に味わい深い、くどさのないすっきりした飲み口の米焼酎だった。さすがである。

そして堀江モンも食べている浜松のウナギの白焼き。

炭火でカリッと焼き直し、本わさびで食べるとこれはもう絶品であった!

さて
そうした酒宴の中、粛々と煙は燻り続いていた。

肉に色が付き、熱も十分に肉の内部に浸透した状態になったのがこの状態である。

できたぁ、、、

みよ、数ヶ月は楽しめそうな肉塊が燻りあがった。

野島さんも堀江君も大喜びである。

「こうやってできるんだな、、、やり方はそれほど難しくないな、勉強になりました!今度は店でもやってみよう、、、」by野島

「いやぁ、、、家のベランダでやってみようかなぁ、、、」by堀江

しかしこんなに大規模にスバラシイ企画が出来たのも、岩澤さんと関師匠のおかげである。また、竹炭アーティストの金丸さんも、最高に旨い自家製五穀米のおこわを作ってくれた!そういえば堀江君にあげていた竹炭のレリーフは、いまごろ社長室を飾っているのだろうか。利き酒チャンピオンの石上さんもパワフルオンナだった。鈴木恵美子さん、若シャモはやっぱウマいっすよ。その他ご参加頂いた皆様、どうもありがとうございました!来年も燻製やりましょう!